大霊界2016 宮藤官九郎 『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』
資格の勉強が押し迫ってきて更新が途絶えがちです(^_~; 今日は本当は2月に公開されるはずだったのに、不幸な事故が重なってようやく日の目を見たこの映画を紹介します。『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』でございます。
同じクラスの手塚ひろ美に恋い焦がれるアホな高校生・大助は、修学旅行の自由行動で一気に間を縮めようと計画を練るが、その旅行の最中突然の事故に合ってクラスメイト達ともども死んでしまう。大助が目を覚ました場所は鬼が支配する地獄のような場所、というか地獄だった。鬼の1人でなぜかメタルバンドのリーダーであるキラーKが言うには、定期的に開かれる閻魔大王との面談でいい点をもらえれば、現世に生まれ変わるチャンスが与えられるという。手塚ひろ美との初チューを果たすため、大介はキラーKの指導のもと奮闘するが…
とまあなかなかあほらしそうな映画なんですが、感心したのは意外と仏教の教えに忠実に地獄・あの世が再現されているというとこですね。どんな種類の地獄があるかとか、地獄にはどんな鬼がいるかとか、いわゆるひとつの六道輪廻の仕組みとか。まさに若い世代にはうってつけの仏教入門と言えるかもしれません。ちなみに六道輪廻とは天道、人間道、地獄道、修羅道、餓鬼道、畜生道のことです。あらゆる魂はこの6つの世界をひたすらぐるぐる回って生まれ変わるというのが仏教の考えなのですね(『聖闘士星矢』で覚えました)。で、なぜか大助くんが決まって飛ばされるのが畜生道なんですが、何度かかわいい動物の姿も拝めたのが期待外のラッキー♪って感じでした。
ただ「何度も生まれ変わる」というストーリーなゆえ、うまくやらないとグダグダになりやすいんですよね。こういうループものって。そしたらさすがは宮藤官九郎。期待を裏切らないテンポの悪さでしたw でもまあ主演の神木隆之介君の好演と時々ツボにはまるギャグがあったせいで、なんとか面白さがバッドテンポを上回ったような気がします。
少し真面目な話をしますと、身近であればあるほど、そしてその人が若いほど、誰かの死というのは本当にやりきれないものであります。だからこそ昔の人はいろいろあの世の設定を考えて、ここではないどこかで元気でやっていてほしいと考えたのだと思います。くだらない気休めにすぎない、と感じる人もいるでしょうけど多少はそんな空想に心が慰められるのも確かです。死後もなおも元気いっぱいの大助くんの姿を見ながらそんなことを考えていました。
ちなみに主演の神木君は幼いころ体が弱く、医師から「助かる可能性は1%」と言われたこともあったそうです。そんで「何か生きていた証を残したい」とお母さんが子役スタジオに入れたのが芸能界デビューのきっかけだったとか。そんな神木君が成人してこんな映画で大活躍しているのは実に皮肉であり、感動的なことであります。これからもますますの活躍を期待しています。
おふざけのスタイルをとりながらもさらっと「本当の幸せってどういうことなのかな?」ということに触れていたのもよかったです。
夏休み大作に押されてきて少々影が薄くなってきましたが、それでも『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』は全国でまだヒット公開中。配給さんも胸をなでおろしていることでしょう。どうせならお盆の時期まで伸ばした方がもっと盛り上がったかも…
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