チェコアニメ泥酔編 ヤロスラフ・ハシェク イジー・トルンカ 「兵士シュヴェイク」シリーズ
健康診断のため二日酒をひかえていたんですが、今日は豪快に深酒してていい気分ですw そんな心持ちにもってこいのチェコアニメ、「兵士シュヴェイク」シリーズを紹介いたします。
時は第一次世界大戦。平和だったチェコでも軍人たちがやたらと威張り散らかすようになっていた。そんな中下位のの兵士シュヴェイクはいたずら心なのか天然なのか、上官たちを逆なでするようなことを言っては窮地に追い込まれる。だがシュヴェイクはまったく意に介することなく、偶然なのか計算なのか、そうしたピンチを次々と乗り越えていく。
今回記事を書くにあたって初めて知ったのですが、シュヴェイクというのはもともとチェコのユーモア作家ハシェクが想像した国民的キャラクターなんですね。岩波書店から邦訳も出てますし、チェコ語で検索すると実写版の動画もいくつかあがってきます。このハシェクさんという方の経歴をさらっと読んでみたら、うっかりちゃっかりした作風とは対照的に太宰治もかくや…というほどの壮絶な人生を歩まれています。
それはさておき。
その国民的キャラクターを人形アニメ化したのがシュバンクマイエルと並び称されるチェコアニメの巨匠イジー・トルンカ。1954年に「コニャックを探せ!」(24分)、「列車騒動をおさめろ!」(21分)、「行き先はどこだ?」(30分)の3作品が作られました。これまで度々チェコアニメの上映会で名前はみてましたが、なかなかタイミングが合わず、先日渋谷はアップリンクで行われたイベントでようやく拝見することができました。
というわけでチェコアニメにしては珍しい軍記物なのですが、想像をはるかに上回るゆるゆるさです。まず兵器もそんなに進歩していなかった第一次大戦というのがゆるさの原因のひとつです(この戦争とて場所によっては相当悲惨だったようですが)。ちらっと影絵で当時の空戦の様子が映るのですが、機銃がまだ飛行機に搭載されていなかったころゆえかパイロットが拳銃で撃ちあったりしてました。
それですらイメージ場面です。シュヴェイクにいたっては全く戦わないし周囲のだれも死にません。ひたすら後方をのらくらのらくらしてるだけです。このムード、イベントの主催者さんもおっしゃってましたが『釣りバカ日誌』のハマちゃんに少し通ずるものがあります。植木等の「無責任男」シリーズやとんち話の一休さんなども彷彿とさせますね。かように与太郎モノがいけすかない上役を出し抜く話は洋の東西や時代に関わらず人気があるということですね。
あとこのアニメのもうひとつの特徴は登場人物がとにかくよく酒をガバガバ飲むということです。さすがはその辺子供向けの体裁を取りながら子供のことなんかあんまり考えてないイジー・トルンカであります。まあ酒は身を滅ぼすみたいな教訓が感じられないでもないですが、人形たちがそれはもううまそうにお酒をのむこと。こんなの子供のころから観てたらお酒への愛着が深まるばかりですよ。ちなみにチェコは世界で最も1人当たりのビール消費量が激しい国とのこと。このイベントもワンドリンク制でビールを飲みのみ鑑賞させていただきました。そして鑑賞後もついつい近くのお店で酒が弾んでしまったりしてね… ははは…
渋谷アップリンクではこれからも間隔を置いてチェコアニメ上映会を開催する模様。くわしくは公式HPをごらんください。
ここまで書いておいてなんですが、やっぱり飲みすぎはよくないですね! 気をつけましょう! ぷはー
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