アンドロイドでも大丈夫じゃない アレックス・ガーランド 『エクス・マキナ』
低予算ながら海外で高い評価を得、日本ではいつ観られるかな…とやきもきしてたらアカデミー視覚効果賞を受賞してようやく公開が決まりました。『エクス・マキナ』ご紹介します。
IT系の企業に働くケイレブは社内で行われていた「社長の屋敷で一週間すごせる」という懸賞に当選。意気揚々と大自然に囲まれた邸宅にやってくる。だがケイレブは社長のネイサンと会い、それが単なる慰労ではなく人工知能のテストの試験員も兼ねていたということを知らされる。やがてネイサンの最新作である女性型ロボット「エヴァ」と引き合わされるケイレブ。彼女と対話を重ねていくうちに、ケイレブは純真で繊細なエヴァに惹かれていき…
これが日本の少年漫画なら、とくにとりえもないけどお人よしの少年がキュートなロボットに「萌え~」とか言いながらうっかりちゃっかりしたラブコメを繰り広げていくんでしょうね。しかしこの映画にはそうしたお気楽なムードは一片もなく、お話が進むにつれどんどん不穏な緊張感が高められていきます。
この「一週間の間見知らぬ人たちと過ごすことになる」「最初はフレンドリーだったのにだんだんおっかなくなってくる」というストーリー、最近どっかで…と思ったらシャマランの『ヴィジット』がそうでした。そういやあれもけっこうな低予算でしたなあ。ただ『ヴィジット』は怖がりながらも笑える映画でしたが、こちらは「それはひょっとしてギャグなのか?」と戸惑う場面が2,3ある程度でした。
なんでこの映画がそんなに怖いのか。それはたぶん欧米の人たちにとって人工知能というのは基本的にモンスターだからだと思うのです。日本ではアトムやドラえもんの功績で親しみやすいロボットですが、向こうの人たちにとってロボの原点はフランケンシュタインやゴーレムの怪物ですからね(トランスフォーマーやR2-D2といった例外もありますが)。加えて人間とは根本的に作りが違うゆえ、「何を考えているかわからない」そういった得体のしれない不気味さもあるのでは。
ただ…ですね… (ここからどんどんネタバレしていきます) 「なにを考えているかわからない」そういう怖さは相手が人間でも十分にあることです。相手は「あなたのこと愛してる♪」と言っていても、もしかしたら単に自分のエゴのためにあなたを利用しようとしてるだけかもしれない。怖い… 現実的なだけに一層怖い話ですね!! まあエヴァちゃんも人間に使われてただけなのが、そういったエゴに目覚めることによってある意味「人間」として完成されたと言えなくもありません。
女性型ロボットのアイコンといえば『メトロポリス』のマリアがおります。『エクス・マキナ』の「エヴァ」という名は彼女を意識して付けられたものかもしれません。聖女の象徴のようなマリアに対し、自分の欲望のために人類に死をもたらしたエヴァ。そんな恐ろしい女にロボロボ、じゃなくてボロボロにされてみたいものですね!
そんなエヴァちゃんに翻弄されるのが最近売出し中のドーナル・グリーソン君。なんか血色が薄くて不幸のよく似合う顔立ち。そういう意味では今回も大変役柄にマッチしておりました。もう一人ドーナル君を翻弄していたのが『スターウォーズ』でも一緒に出てたオスカー・アイザックさん。今回はポー・ダメロンとはうって変ってハゲにヒゲダルマで登場します。ていうかそのスタイルで日本趣味もありエキセントリックでITの寵児って「ジョブズかよ!」と誰もがつっこみたくなったのではないでしょうか。
『エクス・マキナ』は小規模公開ながらも現在各都市の映画館で公開中。気になる方は公式サイトをチェックしてみてください。
Comments
そうだよな。変身サイボーグだよな、あのビジュアル。ミクロマンと合わせて腕先がドリルのアタッチメントとか付けたエヴァを見てみたい気がする(買ってもらえなかったからこの辺のオモチャは詳細よう知らん)
Posted by: ふじき78 | August 05, 2016 08:34 AM
>ふじき78さん
今度マグネモの鋼鉄ジーグをグレードアップさせたフィギュアが出るみたいですよ。ほしいね!
Posted by: SGA屋伍一 | August 08, 2016 08:32 PM