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March 17, 2016

ショーンVS南米の魔獣 『ひつじのショーン いたずらラマがやって来た!』

Rama1ちょうどいま「ショーン」という名前の方が話題を呼んでますけど、昨年夏の劇場版が記憶に新しい「ひつじのショーン」が、早くもスクリーンに帰ってきました。やけにハイペースだな…と思ったら今回のはTVスペシャルと通常シリーズの傑作選をまとめて映画館でやるということだったんですね。それでもコマ撮りアニメが大画面で観られるのは貴重な機会なので行ってまいりました。『ひつじのショーン いたずらラマがやってきた!』、ご紹介します。

日本語版主題歌を歌っておられるカールスモーキー石井氏がこんなことを述べておられました。「おおよそ事件などまったく起こりそうもない環境で、毎回事件が起きてるのがこのシリーズのすごいところ」 …なるほど。そういうわけで事件の起きやすそうな大都会が舞台だった前回の劇場版は、『ひつじのショーン』的にはやはりイレギュラーな作品だったかもしれません。大して今回のセレクション版はTV用に作られたものなので、本来のあくびが出そうなのどかな牧草地帯でお話がすすみます。まずは傑作選の5本のあらすじ・感想を。

「サタデーナイト・ショーン」
牧場主が捨てた古いレコードプレーヤーを拾ったショーンたちは、納屋でディスコパーティーを開催する。で、様々な邪魔が入るのですが、とりわけ印象に残ってるのが牧場主がドアを開けた途端、あれだけ散らかってた納屋内が瞬時にして平常に戻ってるというギャグ。あれは009並の高速移動でもしなければ不可能だと思います(いンだよ細けえこたあ)

「パーティーをしよう」
仮装パーティーを開くことを思いついた牧場主。しかしピッツァが招待状を泥まみれにしてしまったため、動物たちが代わりに招待客に扮装してパーティーに参加する。普段配達人くらいとしか話をしてない牧場主。あんなに招待状を送れるほど友達がいるんだ…と少し安心しました。ただ招待状が無事届いてたとしてもどれほどの人が集まったかは疑問です。

「ショーンの恋」
トラックから落ちてショーンたちの牧場へ迷い込んだ美少女羊。ショーンはたちまち恋に落ち… ま、いろんなアニメでありがちなエピソード。見所はショーンとガールフレンドが見てる『パシフィック・リム』みたいな映画(数秒しかうつりません)。この美少女羊その後一向にシリーズに出てる気配がありませんが、これまたギャグ短編シリーズにはよくあることです。

「ティミーのぬいぐるみ」
お気に入りのぬいぐるみを牧場主に取られてしまい、泣き止まない子羊のティミー。ぬいぐるみを取り戻すべくショーンは計画を練るが… ぬいぐるみと一緒に寝てるとかかわいいとこあるじゃねえか牧場主のおっさん(笑) それ以上にかわいいのがティミーちゃん。人気投票ではショーンを抜いて1位となり、『こひつじのティミー』というスピンオフまで作られています。ショーンもうかうかしてられんぞ!

「おもいでの木」
ひつじたちの大切な遊び場である大木が、牧場主の思いつきで切り倒されることに。ショーンたちはそれを阻止すべく奮闘する。今回もっともじんわりきたエピソード。これはぜひDVDで皆さんにも観ていただきたい。感動したのは今回初めて見たということもあるかもしれません。実は傑作選5本のうち3本が前にTVで観た作品でした。でもぼくは後悔してません。大画面で観ることに意義があるのです。

このほか今回はありませんでしたが、ショーンたちがピザを食べるためにあれこれ知恵をめぐらす「ピザが食べたい!」がマイ・フェイバリット・エピソードです。

そして今回の目玉]「いたずらラマがやってきた!」です。
ショーンのいたずらがもとで品評会でラマを買ってしまった牧場主。しかしこのラマたちは全てを破壊しつくさなければ気がすまない『北斗の拳』の悪役のような性格だった。最初は一緒にはしゃいでいたショーンもその横暴ぶりに辟易するように…
見所はショーンとひつじたちの絆の危機。いつもは仲間のためにあれやこれや骨を折ってるショーンですが、今回は不良たちと一緒に大暴れしてたら、ファミリーに大迷惑をかけて総スカンの目に。十代の少年が非行の道に走って平和だった家庭に亀裂が入る、そんな社会派ドラマのような趣があります(いや、さすがに大げさか)。
もうひとつの見どころはラマたちのアナーキーな破壊っぷりですね。ラマというのは本来温和な生き物だと聞いてましたがそれはまあおいといて。ガタイもでかく顔もぶかっこうなラマさんたちが怒り出すとなかなかの迫力。その辺のモンスターパニックものに負けないくらいのスリルがありました。ただこの怪獣たちにもひとつ弱点がありまして、その描写が珍妙で面白かったです。
20160312_195536というわけで今回も愉快痛快な「ひつじのショーン」でしたが、ヒットを飛ばした昨夏に比べてあんまりお客さんが入ってないみたいです。やっぱり『ドラえもん』と初日がぶつかったのがまずかったのか… せっかくともりかけたアードマンのブレイクの火がここで消えてしまうのはあまりにも惜しいので、少しでも興味を持たれた方はどうぞ劇場に足を運ばれてください~


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Comments

ショーンの恋:汚ギャルかよ!(全然エピソードがないのは汚れていってしまったからかもしれません)

Posted by: ふじき78 | March 24, 2016 11:18 PM

>ふじき78さん

そんな昔の暗い邦画みたいな「ショーン」はいやだ!

Posted by: SGA屋伍一 | March 27, 2016 09:49 PM

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