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March 30, 2016

萌えが戦車でやって来る 水島努 劇場版『ガールズ&パンツァー』

Gp1昨年後半にツイッターをにぎわしていた謎?の言葉。「ガルパンはいいぞ」 これ、TVアニメ『ガールズ&パンツァー』を熱心に愛する「ガルパンおじさん」たちの決めゼリフのようなものだったのですね。「そんなにいいのか…」と気になっていたところへ、我らがコロナO田原でも「4DXバージョン」として劇場版がかかることになり、TVシリーズを全然観てないにも関わらず観に行くことにしました。劇場版『ガールズ&パンツァー』、ご紹介します。

華道や茶道などとともに、戦車戦が女子のたしなみとされている世界。廃校を文科省より促されていた大洗女子学園は、転校生西住みほらの活躍で「戦車道」の全国大会に優勝。廃校は免れたかに思えた。しかし文科省の役人は強引に大洗女子学園をつぶしにかかる。そこで生徒会長角谷は母校を存続させるために一発逆転の秘策を実行に移す。

あ、主人公について何も書いてないな。ヒロインの西住みほさんはやさしさと冷静さをあわせもつ戦車道の天才。戦車道の家元の出であるが事情があって親と絶縁。しかし転校先の大洗女子学園で素晴らしい仲間たちとあい、失っていた戦車道への情熱を取り戻します。外見はこの手のアニメにしてはちょっと地味。

正直初心者ということもあって、この世界に入っていくには多少の努力を要しました。コクピットが特殊なカーボンで包まれていると言っても、ハッチから頭を出してたら怪我をするんじゃないか…?とか、市街戦で家を壊された人には賠償金が入るようだけど、あんなに壊しまくったら都市機能がマヒしてしまうのでは?とか。あと一応学園ドラマなのに先生が誰一人として出てこないのも大いに疑問でした。
そういう風に頭に「?」マークが浮かぶたびに、わたしは「いや、これはこういう世界観なんだ」と自分を一生懸命説得いたしました。脳みそをもみほぐしもみほぐし、柔らかくすることによってなんとかついていけた次第です。

そして脳みそが存分に柔らかくなった中盤あたりから、だいぶこの作品を楽しめるようになっていきました。たとえば学園の生徒たちが母校を追い出されてひなびた土地で仮住まいをしてるくだりがあるのですが、その辺の美術背景がいちいち美しいんですよね。おそらく茨城県大洗町をモデルにしてるんでしょうけど、実在の風景に材をとりながらこの世のどこにもない景色を作り出してるということで、一種のメタ・ファンタジー的なムードを醸し出しておりました。大洗町はあってもそこで女の子が戦車を転がしてるなんてことはまず起こりえませんからねw

あと復活にかける大洗メンバーの前に強敵がたちふさがるわけですが、この辺で「さすがにそりゃ無理だ」ってくらい主人公たちに不利な条件をいくつも作り出すわけです。その到底不可能な要素をひとつ、またひとつと覆していって勝利に少しずつ近いづいていく過程が心地よかったです。特に圧倒的劣勢だったミポリンたちを助けにかつて下した世界の?強豪たちが一斉に集結するあたりは『リングにかけろ』の「ギリシア十二神編」みたいで燃えました。

ほかに好感のもてた点としては、ブルーとかピンクとか現実にない髪色の子が一人もいないこととか、この手の萌え系アニメにありがちな「優柔不断な男の子がハーレムを作る」という話でなかったことです。というか男性はほぼわき役のおっさんしか登場せず、女の子たちのさわやかな友情ばかりが120分語られます。そのシンプルな徹底ぶりにわたしは26巻かけて野球とチームワークしか描かなかったちばあきおの『キャプテン』を思い出しました。

Bundesarchiv_bild_101i0883734a19a_r肝心の4DX効果については入浴シーン&ラストシーンのシャボン玉くらいしか印象に残りませんでしたが、噂に聞く「ガルパン」を実際に体感できてよかったです。
普段すいてることも多い(…)コロナO田原の予約が瞬時に埋まったほどに大人気の劇場版『ガールズ&パンツァー』。さすがにもう落ち着いてきましたが、始まって一か月以上たってるのに来週もまだ続映するようです。萌えと戦車とスポ根が好きな方はどうぞごらんください。パンツァー、フォー!!


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March 28, 2016

つかもうぜ! ゴールデンボール!! 漫☆画太郎 山口雄大 『珍遊記』

Photoここんとこ忙しかったので、実に11日ぶりの更新です(^_^; 90年代『週刊少年ジャンプ』に連載された(ある意味)伝説の作品が、20年以上の時を経てなぜか突然の映画化。『珍遊記』、ご紹介します。

中国っぽいどこかの異世界の「食」の国。怪人・山田太郎はものすごいチ○コとオナラを武器に、周囲の国を荒らしまわっていた。太郎の暴れっぷりを気に病んだ育ての親・じじいとばばあは、ひそかに強い法力を持つ玄じょうという僧を呼び寄せ、太郎を調伏してもらおうとする。スッタモンダの末に玄じょうに倒された太郎は、その罪滅ぼしのため「徳を積むための旅」に連行されることになるのだが…

原作以前にどこかで聞いたような話だ(笑) 一応最初に「有名なあの話とは一切関わりがございません」というテロップが入るのですが、そんなん誰も信じるわけねえだろ!
この漫画が連載されてたころ、たしかわたしは高校生だったか。友達が「すげえ漫画がはじまったぞ!」というのでちらっと見せてもらったのですが、「こんなに絵が乱暴でも少年ジャンプで連載できるんだ…!」とそれなりに衝撃を受けたのを覚えています。が、その後続きを読むこともなく、長い間存在を忘れておりました。
そんな『珍遊記』にとくに思い入れもないわたしがこの映画を観に行った理由は、監督が山口雄大氏だったから。彼の『魁!! クロマティ高校 THE MOVIE』はその年のわたしのベストムービーであったので、あの感動というか爆笑を再び…と大いに期待したのでした。さらに公式サイトの原作者、漫☆画太郎先生のコメントが奮っています。「史上最低の糞映画にしろって言ったのに、なんでこんなに面白くしたんだバカヤローッ!! ◯◯の巨人の監督に撮り直させろーーッ!!!」
ほほう… なかなか言うじゃねえか!!と、勢い込んで観に行ったのですが、結論から申しますと

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非常に人を選ぶ映画だと思いましたw
ギャグのセンスとしては少し前のチャウ・シンチー版『西遊記』と似ています。あれをさらにゆるーくゆるーくした感じ。ギャグが10あったとしてポカーンとしてしまうものが7つ。あとの3つに辛うじて「ヘャッ」と笑える程度です。まあわたしはこういうのも嫌いじゃありませんが、決して万人(特にまじめな人)向けではないなあと。
あとチャウ版西遊記はそれなりに旅をしてるのでスケールの広さを感じるのですが、こちらは基本的に狭い村の中であっちいったりこっちいったりするだけなので、ちょっとこぢんまりしてしまった感は否めません。
そんな中多少光っていたのは松山ケンイチの頭…と、定評のある天然感あふれる演技。どんなにくだらない映画でも常に全力を尽くしている彼の姿勢には頭が下がります。
太郎のライバルの龍翔 を演じる 溝端淳平君もがんばっていました。普段は恋愛ドラマとかでかっこいい役をやっているんだろうに、「ここまでやるか」というくらい恥ずかしいことに色々チャレンジしています。ベテラン・笹野高史師匠もブラジャーまでつけてババア役を熱演されていて、目が点になりました。
そんなわけで後からいろいろ思い返してみるとなんだか不思議な愛情がこみあげてくるのですが、これはいわゆる「ダメな子ほどかわいい」というアレに近い気がします。ただダメなだけではなく、ちょっと愛嬌のあるダメさですね。
それでももう一点だけ苦言を呈させてもらうなら、お色気むんむんのお姉さんもそれなりに出てるのに、なぜか男の尻や胸毛ばかり露出していたのはどうかと思いました。この点を続編ではぜひ改善していただきたく思います。でも続編はないかな… うちの近所の劇場でももう終わってしまったし…

Photo_2世の中には多くのダメ映画があり、公開規模の大きいものは多くのバッシングを受けるわけですが、小規模のものはこうやって話題になることもなく忘れられていきます。なんか切ないぜ…! 気になった方は是非DVD化の際ごらんください。

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March 17, 2016

ショーンVS南米の魔獣 『ひつじのショーン いたずらラマがやって来た!』

Rama1ちょうどいま「ショーン」という名前の方が話題を呼んでますけど、昨年夏の劇場版が記憶に新しい「ひつじのショーン」が、早くもスクリーンに帰ってきました。やけにハイペースだな…と思ったら今回のはTVスペシャルと通常シリーズの傑作選をまとめて映画館でやるということだったんですね。それでもコマ撮りアニメが大画面で観られるのは貴重な機会なので行ってまいりました。『ひつじのショーン いたずらラマがやってきた!』、ご紹介します。

日本語版主題歌を歌っておられるカールスモーキー石井氏がこんなことを述べておられました。「おおよそ事件などまったく起こりそうもない環境で、毎回事件が起きてるのがこのシリーズのすごいところ」 …なるほど。そういうわけで事件の起きやすそうな大都会が舞台だった前回の劇場版は、『ひつじのショーン』的にはやはりイレギュラーな作品だったかもしれません。大して今回のセレクション版はTV用に作られたものなので、本来のあくびが出そうなのどかな牧草地帯でお話がすすみます。まずは傑作選の5本のあらすじ・感想を。

aries「サタデーナイト・ショーン」
牧場主が捨てた古いレコードプレーヤーを拾ったショーンたちは、納屋でディスコパーティーを開催する。で、様々な邪魔が入るのですが、とりわけ印象に残ってるのが牧場主がドアを開けた途端、あれだけ散らかってた納屋内が瞬時にして平常に戻ってるというギャグ。あれは009並の高速移動でもしなければ不可能だと思います(いンだよ細けえこたあ)

aries「パーティーをしよう」
仮装パーティーを開くことを思いついた牧場主。しかしピッツァが招待状を泥まみれにしてしまったため、動物たちが代わりに招待客に扮装してパーティーに参加する。普段配達人くらいとしか話をしてない牧場主。あんなに招待状を送れるほど友達がいるんだ…と少し安心しました。ただ招待状が無事届いてたとしてもどれほどの人が集まったかは疑問です。

aries「ショーンの恋」
トラックから落ちてショーンたちの牧場へ迷い込んだ美少女羊。ショーンはたちまち恋に落ち… ま、いろんなアニメでありがちなエピソード。見所はショーンとガールフレンドが見てる『パシフィック・リム』みたいな映画(数秒しかうつりません)。この美少女羊その後一向にシリーズに出てる気配がありませんが、これまたギャグ短編シリーズにはよくあることです。

aries「ティミーのぬいぐるみ」
お気に入りのぬいぐるみを牧場主に取られてしまい、泣き止まない子羊のティミー。ぬいぐるみを取り戻すべくショーンは計画を練るが… ぬいぐるみと一緒に寝てるとかかわいいとこあるじゃねえか牧場主のおっさん(笑) それ以上にかわいいのがティミーちゃん。人気投票ではショーンを抜いて1位となり、『こひつじのティミー』というスピンオフまで作られています。ショーンもうかうかしてられんぞ!

aries「おもいでの木」
ひつじたちの大切な遊び場である大木が、牧場主の思いつきで切り倒されることに。ショーンたちはそれを阻止すべく奮闘する。今回もっともじんわりきたエピソード。これはぜひDVDで皆さんにも観ていただきたい。感動したのは今回初めて見たということもあるかもしれません。実は傑作選5本のうち3本が前にTVで観た作品でした。でもぼくは後悔してません。大画面で観ることに意義があるのです。

このほか今回はありませんでしたが、ショーンたちがピザを食べるためにあれこれ知恵をめぐらす「ピザが食べたい!」がマイ・フェイバリット・エピソードです。

そして今回の目玉aries]「いたずらラマがやってきた!」です。
ショーンのいたずらがもとで品評会でラマを買ってしまった牧場主。しかしこのラマたちは全てを破壊しつくさなければ気がすまない『北斗の拳』の悪役のような性格だった。最初は一緒にはしゃいでいたショーンもその横暴ぶりに辟易するように…
見所はショーンとひつじたちの絆の危機。いつもは仲間のためにあれやこれや骨を折ってるショーンですが、今回は不良たちと一緒に大暴れしてたら、ファミリーに大迷惑をかけて総スカンの目に。十代の少年が非行の道に走って平和だった家庭に亀裂が入る、そんな社会派ドラマのような趣があります(いや、さすがに大げさか)。
もうひとつの見どころはラマたちのアナーキーな破壊っぷりですね。ラマというのは本来温和な生き物だと聞いてましたがそれはまあおいといて。ガタイもでかく顔もぶかっこうなラマさんたちが怒り出すとなかなかの迫力。その辺のモンスターパニックものに負けないくらいのスリルがありました。ただこの怪獣たちにもひとつ弱点がありまして、その描写が珍妙で面白かったです。
20160312_195536というわけで今回も愉快痛快な「ひつじのショーン」でしたが、ヒットを飛ばした昨夏に比べてあんまりお客さんが入ってないみたいです。やっぱり『ドラえもん』と初日がぶつかったのがまずかったのか… せっかくともりかけたアードマンのブレイクの火がここで消えてしまうのはあまりにも惜しいので、少しでも興味を持たれた方はどうぞ劇場に足を運ばれてください~


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March 14, 2016

女にはむかないヒーロー稼業 『ジェシカ・ジョーンズ』シーズン1なんちゃって総解説

Aliasjewel実はこれ、昨年秋に全話見終えてたんですが、ほかの記事を優先してたらだいぶ書くのが遅くなってしまいました(^_^; 『デアデビル』につづいてNetflixが送るMCUドラマ第二弾『ジェシカ・ジョーンズ』ご紹介します。


#1 「AKAレディース・ナイト」
NYヘルズキッチンで私立探偵を営むジェシカは、実は怪力のスーパーウーマン。行方不明の女子大生を探す依頼を受けた彼女は、やがて自身のトラウマと向き合うことに…
ジェシカについては邦訳の出てる『ニューアベンジャーズ/ブレイクアウト』などで見かけていました。パワーマンことルークを支えるさわやかヤングママといったキャラでしたが、こちらでは毒舌吐きまくりのメンヘラビッチ… しかし無実の少女を助けるために圧倒的な恐怖に立ち向かうその姿に、ヒーロー(ヒロイン)としての矜持を見るわけです

#2 「AKAクラッシュ症候群」
地獄に送ったはずの宿敵「キルグレイブ」が生きていることを知った彼女は、その復活のなぞについて調査する。
行く先々で怒られたりののしられたり冷たくされるジェシカたんが気の毒になる回。それもこれももとはといえば最凶最悪のサイコキラー・キルグレイブのせいであります。原作ではフェロモンをふりまいて主に女性を虜にする「パープルマン」というなかなかにしょぼいキャラなんですが、こちらでは異様な凄みと得体のしれない不気味さを感じさせるカリスマヴィランになっています。

#3 「AKA着付け薬」
自分の調査報告でルークがピンチに陥ったと知ったジェシカは、彼を助けに行くがそこでルークの驚くべき正体を知る。原作ではジェシカの旦那であるルーク・ケイジ。ニコラス・ケイジの芸名の元になったキャラでもあります。こちらでは少女漫画でヒロインに冷たくするクールなイケメンといったポジションですが、ジャニーズ系の細体系ではなくムキムキマッチョのスキンヘッドというところが納得いきません。

#4 「AKA99人の能力者」
ジェシカの親友の人気芸能人パッツィはラジオを通じてキルグレイブをバッシングするが、そのためにキルグレイブの恐ろしい報復を身に受ける。
本ドラマの重要人物の一人パッツィ。きらびやかな芸能アイドルとがらの悪い街のメンヘラ探偵が親友という設定が面白いですね。ただこのパッツィさん、けっこう考えなしで行動するところがあってヒヤヒヤいたします。原作では「ヘルキャット」というスーパーヒロインでもあるんですが、マイナーなキャラなんでよく知りません。通りすがりの犠牲者かと思われたシンプソンはこのあといろいろお話をかきみだしてくれます。

#5 「AKA着ぐるみが命の恩人」 
キルグレイブのスパイを発見したジェシカは一発逆転とばかりに彼を拉致監禁する大作戦を実行しますが… まだ5話なんで当然失敗(笑) 並行してキルグレイブに会う前後のジェシカたんの様子も語られます。着ぐるみのまま女の子を事故から守ったり、クズワーカーを薬から一生懸命更生させるジェシカたんが、一層「根は本当にいい子なのよね!」と思える回。

#6 「AKA当選詐欺」
キルさん追撃はひとまずおやすみ。その間にルークが探偵としてのジェシカに仕事を依頼しにくる。それは彼の妻を殺した犯人を捜すためだった。…で、実はその犯人というのがキルたんに操られたジェシカたんだったから驚きです。そういう秘密は早めにしゃべっといたほうがいいよ~と思っていたらあっさりこの回のラストで告白しちゃいました。そんな傷ついたジェシカたんを責めるルーク。彼女の気持ちも考えてやれこのハゲダコ、と思わずにはいられません。

#7 「AKA一流の変態」
ひどいサブタイトル(^_^; ルークに傷つけられたジェシカたんにさらに追い打ちをかけるできごとが。彼女になれなれしかった隣人の童貞君がキルグレイブの怒りを買って惨殺されたのだ。これ以上犠牲者を出さないためになぜか童貞君の生首をもって警察に出頭するジェシカ。そこで彼女はひさびさにキルグレイブと正面から相対する。ひたすらおっかなかったキルさんですが、実は彼ジェシカにベタぼれなんですね。そんな悪役これまでのドラマでいたか!?(いたかもしれない)。とはいえクライマックスで周囲の人々に自ら銃口をつきつけさせる彼はやはり恐ろしい…

#8 「AKAジェシカならどうする」
キルさんの狂気を止めるため彼と同棲する道を選んだジェシカ。キルキルは彼女のご機嫌をとるため立てこもり事件から被害者を助けようとまでする。実はこの回がもっとも印象に残ってたりして… このままジェシカに感化されてキルさんが正義のヒーローになったら面白いのにな~と思いましたがもちろんそんなことは全然なく。ジェシカたんの家族に関する悲しい真実が語られたのもこの回だったか。

#9 「AKAシンビン」
とうとうキルグレイブの拉致監禁に成功したジェシカは、女子大生無実の証言を吐かせるべくキルさんをねちねちといたぶり続ける。今度はキルさんの幼少時のエピソードが明かされます。いかれちゃったのも毒親の臨床実験のせいだったのね…とキルさんに同情しかけますが、その直後に「やっぱり根っからの問題児だった」ことが明かされ不思議な心境に。

#10 「AKA1000回切りつけろ」
まんまと脱出することに成功したキルグレイブ。彼の怒りは暴走した童貞姉をも巻き込んでジェシカを地獄絵図に叩き込む。この作品で一番イライラさせられるのがこの童貞姉。弟への愛情はわかりますが、なまじ周りにいそうなキャラだけに「さっさと消えてくんねえかな~」という思いがつのります。最終回まで生き残りましたが… 対照的にあわれな最期を遂げた女子大生(名前忘れました)。このあまりに非情な結末にディスプレイの前でおもわず突っ伏してしまいましたよ…

#11 「AKA耐性をつけてから」
パッツィの恋人シンプソン大暴れの巻。軍が開発した超筋肉増強剤で精神をやんだ彼はトチ狂ってジェシカを殺そうとする。シンプソン、途中まではいいやつだったのに… 実は彼やはり邦訳の出てる『デアデビル:ボーン・アゲイン』に登場するヴィラン。一言でいうとキャプテン・アメリカのなりそこないです。死んだわけではないようなのでシーズン2での再登場に期待しましょう。お互いを思いあうジェシカとパッツィの友情に素直に感動。あとジェシカが怪力を身に着けた原因がチラリとほのめかされましたが、これ結局最後まで明らかになりませんでしたね。

#12 「AKA殺しの順番待ち」
裁判に引きずり出す必要もなくなったのでキルグレイブをキルする決意を固めたジェシカ。そこへ冷静になったルークが現れ共闘を申し込む…が、彼はすでにキルさんに操られていたのでした。ほんとこのハゲ役にたたねえ…  しかしまあ終盤のジェシカVSルークの大一番は平成ライダーによくあるヒーローバトルみたいで燃えました。

#13「AKA笑顔で」
パワーを最大限にまで高めたキルグレイブ。その能力への耐性を身に着けたジェシカ。どちらの能力が果たして上なのか。二人の対決は港での命をかけた「だるまさんが転んだ」へと発展する。
もっとがっつり『デアデビル』とからむかと思われた本作品でしたが、実際はこの最終話にロザリオ・ドーソン演じるクレアが出てくるくらいでした。そこはちょっと残念。そして宿敵キルグレイブをとうとう演技力と首ゴキで葬ったジェシカ・ジョーンズ。13話通してなぜかけっこうキルさんに愛着がわいてしまったのでここもちょっと切なかった。100回殺されても仕方ない最低のクズなんですけどね(^_^;
大事件を解決したものの浮かない顔をしたジェシカ。彼女の人生というヤマはまだまだ続きます。

Purpleman…というわけでシーズン2も決定した『ジェシカ・ジョーンズ』。キルグレイブ亡き後どうやって話をもりあげていくのでしょう… まあスタッフの手腕に期待です。
NetfkixのMCUドラマで次にスタンバイしているのは『デアデビル』のシーズン2。あのパニッシャーとデアデビルが真っ向から激突ということで配信が本当に待ち遠しい!

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March 09, 2016

名探偵今昔 『シャーロック 忌まわしき花嫁』

Slih1数年前から人気を誇ってるBBCのドラマ『SHERLOCK』。19世紀末のシャーロック・ホームズの冒険譚を、現代を舞台におきかえてリメイクした意欲的なシリーズです。これをまた19世紀末にアレンジしなおした(ややこしい)特別編が、日本では劇場公開という形でお目見えすることになりました。『シャーロック 忌まわしき花嫁』、ご紹介します。

数々の難事件を解決し、「名探偵」と噂されるシャーロック・ホームズ。彼のもとにまた不可解な事件がもちこまれる。衆人環視の中自殺した花嫁衣装の女性が、その日の晩にまた現れ自分の夫を殺害したというのだ。死者がよみがえって凶行を遂げたのか。名探偵は親友のワトソン博士と共にこの難事件に挑む。

と、いうわけで通常のシリーズとは時代設定が異なる故、これからいきなり観ても問題なさそうな本作品。ところがどすこい、これが観すすめていくと割と密接なかかわりがあることが明らかになりまして… わたくしも観る前にそんな噂を聞いて「???」となりました。まあどうつながっているかは実際に観て確かめてください。シリーズ全話観る余裕がないという方はシーズン1の1話、シーズン2の3話、シーズン3の1話と3話だけでも観てから臨むことをおすすめします。

絶大な人気を誇る故、今までも何度も何度も映像化されてきたシャーロック・ホームズの物語。近年ではガイ・リッチーがロバート・ダウニーJr.と作った映画版二作や、NHKで学園ものとしてアレンジされた三谷幸喜氏の人形劇などが思い浮かびます。
BBCドラマ『シャーロック』の特徴といえば時代設定のほかにも画面に思考が文字となって浮かび上がる独特な演出や、マイクロフトとモリアーティの比重がかなり大きいということなどがあげられます。二人とも原作では本格的に登場するのは1,2編くらいですが、こちらではシリーズを通じてなくてはならないキャラクターになっています。特にモリアーティが怖い。彼は言ってみればホームズに倒される宿命を背負ったキャラでありましたが、このシリーズでは「もしかしたらシャーロック負けちゃう?」と思わせるほどに、モンスター的な存在にまで進化しております。
あとホームズシリーズに不可欠な存在といえばジョン・ワトソン。こちらもホームズの助手というか引き立て役のように描かれることが多いですが、『シャーロック』ではその純粋さでもって、人間性に乏しいホームズを辛うじて現世にとどめるような役割を果たしています。おおよそ人のためには動かなそうなシャーロックが、彼を守るためには全力で行動する姿には思わず目頭が熱くなります。それと同じくらい振り回して迷惑もかけたりしてるので、あまり感謝されてはいないようですが(笑)。

『忌まわしき花嫁』に話を戻しますと、思い切ったことやったな~って感じです(^_^; 島田荘司先生が提唱する「本格ミステリー」(ホラーと思えた不可思議を論理的に解く類の推理小説)的なコンセプトにはワクワクしましたが、結局この19世紀の世界がシャーロックの○○ッた○○だったというのはびっくりぽんでした。まあなかなか見られない構成で面白かったのでよしとします。個人的には『超光戦士シャンゼリオン』の最終回を思い出しましたが、そういってわかってもらえる人がどれほどいるか…

Slih2『シャーロック 忌まわしき花嫁』は「特別限定上映」と銘打って4週間かっきりの公開となるようです。そんだけやってたらもう普通の公開と変わらないのでは… その上映もあと10日ほどでしょうか。
近日中にはイアン・マッケランを主演に老ホームズを描いた『Mr.ホームズ』という作品もスタンバイしているそうです。お好きな方はそちらもどうぞ。

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March 06, 2016

小屋の八人 クエンティン・タランティ―ノ 『ヘイトフル・エイト』

Hf81凝った台詞回しとユーモラスなゴア描写で絶大な人気を誇るクエンティン・タランティーノ。そのタラちゃんの新作は、前作『ジャンゴ』に続いて一風変わった西部劇であります。『ヘイトフル・エイト』、ご紹介しましょう。

南北戦争から数年後の西部。賞金稼ぎジョン・ルースは女犯罪者デイジーを護送する旅の途中、同業者のウォーレンと保安官だと名乗るクリスという青年を、自分の馬車に乗せてやることにする。大きな吹雪が来ることを予測して一行は目的地の途中にある宿屋で数日過ごすことにする。すでに宿屋にいた数人の先客はもっともらしく自己紹介をするが、どことなく怪しい。それぞれの思惑をよそに、吹雪はますます勢いを増していく。

題を直訳すると「憎らしい8人」「忌々しい8人」ということになるでしょうか。
その8人を順々に紹介していきます。
1.賞金首をすぐに殺さずに絞首台まで連れて行くことをモットーとする賞金稼ぎジョン・ルース
2.その従者で有能な御者O.B.
3.ジョン・ルースにつかまった凶悪犯デイジー(女)。殴られて片目がパンダになってる
4.雪道で拾われた黒人の賞金稼ぎウォーレン。リンカーンとマブダチらしい
5.保安官だと主張する南軍崩れの若者クリス。正義の名のもとにけっこうえげつないことをやってたらしい
ここまでが駅馬車組。以後は先に宿に到着してた面々です。
6.絞首刑の執行人と自称する上品な男
7.数年ぶりにママに会いに来たという不気味な顔の男
8.偉い愛想の悪いじいさん
9.主人夫妻から店をまかされたというむさくるしいメキシコ人

…あれ。タイトルに「8」ってついてるのに9人いるじゃねーか! おそらくヘイトフルな8人というのはポスターに写っている御者さんを除いた8人のことかと思われます。まあO.B.さんは他の面々と比べると確かにいまひとつキャラ立ちしてないというか影が薄いのでね… 仕方なきこととは思いますが同情を禁じえません。
話は戻りまして。タイトルは西部劇の名作『荒野の七人』の原題(『The Magnificent Seven』=堂々たる7人?)をもじったものだと思われます。ですから世間のはみ出し者たちがチームを組んで悪事を働くとかそういう内容を予想してたんですが、これが全然違いまして… タランティ―ノが「『オリエント急行』や『遊星からの物体X』を意識した」と公言してるように、狭い空間に限定されたミステリーというか心理サスペンスのような趣がありました。最近で似た例と言いますと三谷幸喜氏の舞台とよく似てる。一癖も二癖もありそうな濃いいメンバーがその場を動くことなくえんえんと舌戦を繰り返す…みたいな。ただ三谷氏の舞台と違うのは派手に血しぶきがビシュ―!と飛び散ったりするところですね。あと三谷作品はいろいろあった末にみんなに奇妙な連帯感が生まれてほっこりするのですが、こちらはひたすら凄惨な殺し合いがユーモアまじりで続きます。そんなナンセンスな殺戮劇を見ていて、ちらっと「結局この映画はなにが言いたいんだ?」と思わないでもありません。まあタランティ―ノは映画を通じて「これが言いたい!」という作家ではないんでしょうね。ストーリーの中で残酷性と「誰と誰が生き残るのか」、そういった面白さを追求していく人だと思います。あえてテーマがあるとすれば人間の愚かしさとか嗜虐性とか、「物事はなかなか計算通りにいかない」ってことでしょうか。

ヘイトフルと言われるだけあって、小屋の8人はどいつもこいつも決して友達にはなりたくないようなやつら。ジャンゴに近い賞金稼ぎのウォーレンですらドン引きするようなことをいろいろやってくれます。エンターテイメントの場合、登場人物に誰1人として感情移入できないと、観客としては熱が冷めていくというかむなしさばかりがつのっていくものですが、それでもなんかこの映画にニマニマしてしまうのは、先に名前を出した『遊星からの物体X』を思い出させるからでしょうか。あれはわたしにとっては永遠の中二メモリー的な思いで深い作品なので。人間の情愛というものが一切入り込む余地のない状況で、生き残りをかけた究極のゲームが行われる。そういうテイストはまさしく『ヘイトフル・エイト』にも受け継がれていました。以下、ラストネタバレですが

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結末もまた実に『物体X』的なんですよね。生き残るために全力をつくしたけど結局ダメで、「でもやるだけやったんだからまあいいや」と満足してさわやかに終わる。生涯を旅にすごしいつどこで死ぬかもわからないカウボーイの生き様がそこにはあります。『ヘイトフル・エイト』の場合はそれをかっこよくではなくコントっぽく見せていたのがまた印象的でした。あと役どころは違いますがカート・ラッセルが出演してるのも『物体X』へのオマージュかと思われます。
Hf82『ヘイトフル・エイト』は現在全国の映画館で上映中ですが、『ジャンゴ』などに比べると公開館が少ないようで… まあたしかに人を選ぶ映画ではありますが。
来年にはタイトルをもじられた『荒野の七人』リメイクも公開されるようでこちらも楽しみです。


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March 02, 2016

団地夫 昼下がりの銃撃 ジャック・オーディアール 『ディーパンの闘い』

20080810210034『預言者』『君と歩く世界』などで近年我が国でも注目を集めているフランスの実力派ジャック・オーディアール監督。こちらの方まではなかなか作品が流れてこなかったりするんですが(^_^;,先日上京のタイミングがあったので最新作を観てきました。第68回カンヌ国際映画祭でパルムドールに輝いた『ディーパンの闘い』、ご紹介します。

内紛の続くスリランカで戦争に疲れたディーパンは、赤の他人の女子供と「家族だ」と偽り、フランスへと移り住む(家族だと渡航許可が下りやすいそうです)。苦労しながらもなんとか団地の管理人の仕事を得たディーパン。共に来た二人とも次第に打ち解け、安らかな生活を手に入れたはずだった。だが団地を根城とするギャングたちの争いが、次第に彼らの上に暗い影を落とし始める。

「闘い」とタイトルについてはいますが、半ばほどまでディーパンは文字通りのバトルはしません。見ず知らずの女性との生活や、慣れない土地で生計を立てるのに難儀する、そういう戦いはありますが。前半はそんなディーパンさんたちの喜怒哀楽を微笑ましく見ておりましたが、後半彼はタイトル通り再び「闘い」に巻き込まれていき、その痛々しい姿に胸をしめつけられることになります。
お話の合間に何度か象徴的なゾウさんの映像が写し出されます。ゾウは基本的におだやかな生き物ですが、わが身や家族に危険が迫ると嵐のように怒り狂います。戦いを避け続けていたのに追いつめられて阿修羅のようになるディーパンさんが、まるでそんなゾウさんのように思えました。
ただ普通のアクション映画と異なっているのは、ギャングたちがそんなに悪くも見えないところ。わかりやすいエンターテイメントでは主人公と敵対する者たちをこれでもかってくらい悪どく描くものです。自分たちの利益や欲望のためにとことん弱い者たちを食い物にしたりしてね。
しかしこの映画のギャングたちは闇雲に周りの住民たちを襲ったりはしません。団地のど真ん中で抗争を繰り広げたりするので、これ以上ないくらいはた迷惑な存在ではありますが。おそらく彼らも貧しい環境から流されて流されてそんな風になってしまったのでしょう。大体ちょっとでも金があったら団地などを根城にしたりはしないと思います。
ですから監督が伝えたかったのは誰が悪いかとかそういうことではなく、地球のどこにいっても暴力から逃れられない、そういう悲しさなんでしょうね… 実際銃や暴力におびえずに暮らせる国というのは世界では少ないほうではないでしょうか。日本も問題はいろいろありますが、いきなり撃ち殺される心配がないという点では大変ありがたいことです。
そんな国に住んでるからか、あるいは前半ののどかなムードとの落差のためか、この映画で鳴り響く銃声は大変重苦しく、恐ろしく感じられました。無敵のヒーローが活躍する映画ではいくら射撃音が鳴り響こうと一向に平気なのですが… 

ここから結末に触れます。
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ラストシーン、打って変わって立派なお家で幸せそうに暮らすディーパンさんたち。「いろいろあったけど最後はハッピーでよかったね!」と思いたいところですけど、不自然でとってつけたような雰囲気が観る者を困惑させます。いまわの際に彼が見た幻影と考える方がしっくりくるかもしれませんが、それじゃあまりにも悲しすぎるじゃありませんか。こういうやんわりと観客の判断にゆだねる結末、文学的ではありますが実にもやもやします。

Photo『ディーパンの闘い』は現在東京は有楽町を中心にほそぼそと公開中。おフランスの地方の現実を知りたいという方などにおすすめです。


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