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February 24, 2016

あいぽんのお仕事 ダニー・ボイル 『スティーブ・ジョブズ』

Applelogo没後4年。いまだ多くの人々に影響を与えているスティーブ・ジョブズの伝記を、鬼才ダニー・ボイルとアーロン・ソーキンが映画化。本日はその『スティーブ・ジョブズ』(まんまのタイトル)を紹介します。

生涯で幾つもの革新的な製品を開発し続けたジョブズ。だが彼の晴れ舞台とも言える新商品発表の日には、決まって楽屋に何人かの招かれざる客が訪れるのであった。その中には彼がかたくなに認知しようとしない娘のリサの姿もあった。

『スティーブ・ジョブズ』という映画は彼が亡くなって1年ちょいしか断ってない2013年にも作られています(原題は『Jobs』)。そっちの方は観てないんですが、聞くところによるとオーソドックスに彼の生涯を追った伝記映画になっているとのこと。その差別化のためかは知りませんが、本作は一風変わった形式が試みられています。ジョブズの生涯で特に象徴的な3日間を、3幕形式で映像化しているのですね。1幕目は1984年のマッキントッシュ発表の日、2幕目は1988年のNeXT発表の日、3幕目はiMac発表の日…という具合です。

ジョブズについてはそれほどくわしくないわたくし。それでもちらちら見聞きするのは「絶大な支持を得ているカリスマでありながら、人格が強烈すぎてまわりの人々からはよく嫌われてた」という話です。この映画でもその点がよく描写されていました。
特に印象的だったのは「素人からすればどうでもよさそうなすごい細かいことにめちゃくちゃこだわる」ということです。マッキントッシュに「ハロー」と言わせたり、NeXTが正方形に見えるようにある辺を1㎝伸ばしたり、どれも同じようなサメのデモ画面を何回も何回も作りなおさせたり…
そのくらいだったらまだ笑ってすませられるレベルですが、恩人であり親友であるウォズニアックが「アップルⅡチームに謝辞を述べてくれ」と頼んでも、プライドを曲げられずに頑として応じない。友達を大切に思ってるんだったらそれくらい折れてやれよ…と思わずにはいられません。劇中に出てくる「嫌われたくはない。だが嫌われてもかまわない」という言葉がジョブズの性格をよくあらわしています。この一切の妥協を許さない性格だからこそカリスマとなり、優れた業績をなしとげてきたのかもしれません。わたしは凡人なので人から好かれるのであればいくらでも妥協しますけどね~ それはともかく、そんなジョブズとてひとなみの愛情を欲していたのでは…という風に映画では描かれています。本当は大切に思っているのに不器用でプライドが高いため、なかなかそれを素直に言い表せない。そんなところは孤高の天才もわたしたちと同じ人間であることを感じさせます(そういえば今回ジョブズを演じていたミヒャエル・ファスベンダー、愛情表現がへたくそなために嫌われたり仲たがいしたりする役をよくやってますよね…)。
しかし同じことの繰り返しとも思える3幕の中で、ジョブズは少しずつ娘との関係を改善させていきます。この少しあたたかみのあるムードがいかにもダニー・ボイルらしいと思いました。彼の映画の主人公たちは欠点も多くありますが、それでも監督は愛情をこめて描きます。同じソーキン脚本でデビッド・フィンチャー監督が撮った『ソーシャルネットワーク』はよく今回の『ジョブズ』と比較されますが、あちらはやはり監督の性向ゆえか本作よりもシニカルで冷笑的に感じられました。
ここでそんな風に「ちょっといい話」に落ち着いてしまったあたりが評価が分かれるところでしょうね。わたしは普通に心地よかったのでアリです。
Sjb2そんなわけで新しい方の『スティーブ・ジョブズ』は全国の映画館で公開中です。とりあえずジョブズさんのファンの人は観ておいて損はないと思います。


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Comments

アシュトン・カッチャー版スティーブ・ジョブズと同じくらいつまんなかったです
まあ、トントンかな。
アーロン・ソーキン脚本の映画を今回全部見直してみたんですが、
『ア・フュー・グッドメン』『ソーシャル・ネットワーク』『マネーボール』のような素晴らしいものから、『アメリカン・プレジデント』『冷たい月を抱く女』のようなチョイ微妙なもの、さらに『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』のようなつまらないものまであって、
最高なのはやっぱりドラマ作品だなと(『ザ・ホワイトハウス』『ニュースルーム』)

Posted by: とらねこ | March 27, 2016 at 03:06 PM

>とらねこどん

アーロン・ソーキン鑑賞マラソンお疲れ様です。わたしは中盤くらいまでやっぱり退屈だったんだけど、監督&脚本のねらいがわかってきたあたりからはちょっと面白くなってきたかな
あげられた作品の中で好きなのは『マネーボール』です。『ソーシャル~』はあわなかったなあ
『ザ・ホワイトハウス』ってもう6シーズンくらいまであるんだっけ? とてもいまからはおいつけんわ(^_^;

Posted by: SGA屋伍一 | March 27, 2016 at 10:05 PM

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