新・惑星大戦争 ジョージ・ルーカス J・J・エイブラムス 『スターウォーズ フォースの覚醒』
遠い昔はるか銀河の彼方で・・・ マッドマックスとかターミネーターとかナポレオン・ソロとか007のスペクターとかいろんなものが帰ってきた2015年。映画史上最大の人気を誇るこのシリーズまで帰ってまいりました。『スターウォーズ フォースの覚醒』、ご紹介いたします。もう今回は最初からネタバレ全開の観た人向けでお送りします。
共和国軍が帝国軍を打ち破って約30年。宇宙は平和になるかと思われたが、ジェダイの末裔ルーク・スカイウォーカーの失踪や帝国の後継者「ファースト・オーダー」の台頭によりいまだ混乱のさなかにあった。
砂の星ジャクーに住むレイはいつか家族が迎えに来ると信じ、機械の部品を捜し歩く日々を送っていた。だが彼女は奇妙なドロイドBB-8と、「反乱軍」と自称する若者フィンとの出会いからそれまでの生活に別れを告げ、宇宙のはるか彼方にまで旅を続けることになる。
というわけで前エピソードの主人公であるルークがいきなりの行方不明でビックリするエピソード7。SWの元ネタの一つと言われる『デューン』で、主人公ポウル・ムアドティブがシリーズ途中で突然行方を断ったくだりなどを思い出させます。で、お話をひっぱることになるのがレイという少女とフィンというあんちゃん。
レイは名前や思わせぶりな予告からてっきりレイアの娘なのかと思ったらどうもそうではないようで。露骨なミスリードにぷちっと腹が立ちましたw そして彼女をサポートするフィンはこれまたびっくりの元ストームトルーパー。これまでの作品でうじゃうじゃ出てきはしたもののあからさまなモブキャラであり、素顔とか個性とかあんのかと思ってましたが、あのマスクの下にはやっぱり普通の人間の顔があったようです。この言ってみれば没個性的なキャラクターが葛藤したり奮闘したりしていくことで、見事な個性を勝ち得ていくところがこの映画の白眉であり、新機軸だと思っています。
ただしかし今回の「フォースの覚醒」、まず印象に残ったのは「暗い」ということ。エピソード1にしても4にしても三部作の幕開けは基本的に脳天気で明るいストーリーだったので、こんだけどシリアスなムードで終始進んでいくとはまったく意外でした。
ですが考えてみるに、『スターウォーズ』というのは全体的に暗い話です。出だしこそ陽気でスカッとするスペースオペラとして始まってますが、エピソード5で宿敵が父親であることが明かされ、つづく6で改心させることはできましたが直後に父はあっけなく息を引き取ります。さらに狙っていた女の子は実は妹であることが明らかになり、ルークはなくなく?身を引いて熊たちと踊ることになります。
巨悪を倒して大団円なはずなのに、めちゃくちゃさびしそうなルーク。その姿はやはり元ネタと言われている『指輪物語』ラストのフロドと通じるものがあります。さらに主人公の闇落ちという悲劇的な形で幕を閉じる新三部作が、その暗さに拍車をかけてくれました。
自身SWのファンでるJJエイブラムスは、シリーズの本質を鋭く見抜き、見事にくら~い新章をつくりあげました。その違和感のなさは元祖ルーカスが作った新三部作をもしのぐほどです。このJJという監督も実に変わっているというか興味深い人です。前は彼がブレイクしたドラマ『LOST』の内容から想像して「謎をちりばめたり胃が痛くなるようなサスペンスが得意な人なのかな」と思ってました。しかし映画ではリメイクの仕事ばかり回ってくるからかもしれませんが、見事に自分の個性を打消し、『ミッション・インポッシブル』にしろ『スタートレック』にしろシリーズの雰囲気を再現することを最優先させています。その才能?が『スターウォーズ』では最大限に発揮されました。30年経っても同じ役者を使い、旧三部作のメカをバンバン出すことによって「これはわたしたちが知っていたあの世界とつながっている」という感覚を強烈に呼び起こしてくれます。
あとこれは憶測ですが、今回の「フォースの覚醒」におけるルーク像がJJにとってのルーカス像だったら…と考えると面白いですよね。旧三部作のころのルーカスというのはJJたちの世代にとって、それこそジェダイのルークのようにかがやかしい英雄のような存在だったと思われます。しかしその後多くのファンがもやもやすることになった新三部作を世に送り出し、しまいにはあっさりSW製作の権利を手放して第一線から姿を消してしまう。そんな「信じてたのに大丈夫かな、あの人」という思いを抱かせるところはまんま今回のルークと重なります。
ヒロインのレイはいつか家族が迎えに来てくれることを信じ、不毛の惑星でひたすら待ち続けていました。けれど幾つかの出会いが彼女に「待ってるだけじゃだめなんだ。自分から行動を起こさないと」ということを気づかせます。
ルーカスを待ち続けることをやめ、自ら新作を作ることで偉大なる師と向き合うJJ。その先に果たしてなにがあるのか。はやくも次章への期待が高まります。まあこの次は監督変わっちゃうみたいですけどw
さて、シリーズの今後の予定ですが次のようになっています。
2016年 スピンオフ「ローグ・ワン:ア・スターウォーズ・ストーリー」
2017年 エピソード8
2018年 スピンオフ・タイトル未定(若き日のハン・ソロの話らしい)
2019年 エピソード9
噂ではスピンオフはもう一本作られるとか。とりあえずしばらくは毎年スターウォーズ状態です。
2019年はSW新新三部作とMCUフェイズ3が完結する年になるわけか。わしまだ生きてられるかしら(現時点では一応健康体です)
Comments
まいど。いつぞやは愚痴ってすまなんだ・・・・・・・・。
で数少ない語れる洋画作品シリーズ来た!ので。
見に行ってないけど・・・・・・・・・・
気が付けば6部作は見てるし(EP5だけは
あまりまともに見てない記憶が・・・・・・・)
好みのメカニックはファルコン号と言う
>露骨なミスリード
センセ、短気はいかん(苦笑)
と先日怒り狂っていた俺は敢えて言う・・・・(爆)
彼女は特に主役サイドの血縁者とかではなく
関連はフォースがあるぐらいじゃねぇの?
と思ってた俺は只ののんき者~(笑)
ルーク失踪は知らなんだけど・・・・・・
あからさまに子孫出したら後日談かかれている
小説版との乖離というか
・・・・・・・パラレルワールドにするにしてもあんまり
かけ離れすぎてはいかんと思ったろうし
かといって既に知れている小説の通りに行くと
面白くないのもあるからなぁ・・・・・・・・。
個人的には・・・・・・・・・・
今回は一度6部作の状況をリセット(と言うには
ファルコン号とかトルーパーは出てくるけど)して
改めて新たな主人公に引っ張って
もらおうとしたのかも(EP1~3はどうしても
4~6のプロローグになるので)。
>普通の人間の顔
完璧に教育しても中身の人間はばらばらなので
やはり心変わりは居るようですね。
ところで・・・・・・・
関西空港まで行く南海電鉄の鉄人28号こと
特急ラピートは現在この映画の
PR用に黒くラッピングされました。
んで発車式にトルーパー来るのはお約束。
ガンダムUC用に赤くなったり
ピーチカラーになったりとなかなか面白い。
Posted by: まさとし | December 27, 2015 11:48 AM
>まさとしさん
いや… そんなきついことは言ってなかったと思いますよ(^_^; 年末ですがその後おかわりないでしょうか
わたしは最近になって一層タイファイターに愛着がわいてきました。新作でも大活躍でうれしいかぎりです。ただR2が… クキエエエエエエエ!! 失礼、取り乱しました
レイちゃんの出自は単に名前が似てるだけ、でもいいと思うのですが、先日のホビージャパンでネタバレなのか記者の誤認なのかわからない文章が書かれてました。一応避難しておくことをおすすめします
>>普通の人間の顔
いやー、わたし全員ジャンゴ・フェットのクローンかと思ってたので。そうでないトルーパーもいるんですね
関西と言えば日本初のレーザーIMAXが大阪にできたとか。スターウォーズを見るのに一番適した設備らしいですよ。うらやましい~
Posted by: SGA屋伍一 | December 28, 2015 10:24 PM
伍一くん☆
丁寧な説明で良く判りました~~
ざっくり知るのに最適!
でも所々判らなくなっちゃう私です。
何しろ敵の白いやつは、てっきりロボットだと思っていたくらいで。
でもSWファンのJJ監督が作ったからこその愛に溢れた作品だったのは確かね☆
Posted by: ノルウェーまだ~む | January 21, 2016 12:48 AM
>ノルウェーまだ~むさん
こんなんでわかっていただけたでしょうかw
わたしも白い奴=ストームトルーパーはてっきり全員クローンなのかと思ってたくらいなので、適当なスターウォーズファンであります(^_^;
このままJJが監督続ければいいのにねー なんらかの形でかかわるんでしょうけど
Posted by: SGA屋伍一 | January 25, 2016 09:15 PM