クールガイ&寒い国から来たスパイ ガイ・リッチー 『コードネーム U.N.C.L.E.』
『ミッション・インポッシブル/ローグ・ネイション』『キングスマン』につづく本年度公開のスパイ映画第3弾。60年代に人気を博したTVドラマを、『シャーロック・ホームズ』などで知られるガイ・リッチーが映画化。『コードネーム U.N.C.L.E.』、ご紹介します。
時は冷戦たけなわのころ。元犯罪者のCIA局員ナポレオン・ソロは、東側からある女性を脱出させる任務を負い、その途中KGBのスパイと死闘を演じることになった。なんとか任務を終え上司の元に出向いたソロの前に、そのスパイ=イリヤ・クリヤキンが現れる。上司はソ連との共通の利害のため、イリヤとコンビを組んで大規模なテロを企むある組織に潜入せよと言うのだが…
ソ連… なつかしい響きですね… 平成生まれの子らは知らんだろ! …それはともかく、いくつかスパイ映画がバッティングしてしまったからかは知りませんが、この『コードネーム U.N.C.L.E.』はあえて懐かしの60年代を舞台とすることで他のスパイ映画との差別化を図っております。
エンターテイメントにおけるバディというのは、なるたけ対照的である方が面白みが増します。本作でもまるっきり違うタイプの二人の造形が出来た時点で、もう一定の面白さは保障されたようなものかと。
まずドラマ版ではタイトルにもなっていたナポレオン・ソロ。元々美術品のちょろまかしをやってたところをCIAに捕まり、その能力を買われてスパイになったという男。ナポレオンというよりルパンに近いキャラです。電光石火の早業で人の懐から財布をかすめとり、すれちがう美女とベッドインしたりしてます。
しかしなによりこのソロという男の特異な点は、いついかなる時でも決して怒らない・あわてないこと。一服盛られても、拷問されても、相棒が目の前で死にかけていても決してあわてません。あくまで優雅なスタイルを保持しつつピンチを脱していきます。そして自身は決して感情的になったりしませんが、相手を怒らせることにかけては超一流です。
一方相棒のイリヤ・クリヤキンはやはりスパイとしては一流でありながら、すぐに感情的になる瞬間湯沸かし器のような男。おまけに計り知れない怪力を有しているので、平常時もいらいらしている超人ハルクみたいなところがあります。
監督のガイ・リッチー&脚本のライオネル・ウィグラムは『シャーロック・ホームズ』でもバディものを手掛けていますが、あちらとはまたムードが異なっているのも面白いところ。コテコテでベタなネタを繰り返す『ホームズ』をドリフとすれば、『コードネーム U.N.C.L.E.』のオシャレな音楽をバックにまったりしたギャグが繰り出されるところは『笑う犬の生活』に近いものがありました。わたしは『ホームズ』も好きですけど、どちらかというと本作のギャグセンスの方がツボにはまりました。いままで観たガイ・リッチー作品のベストであります。彼との出会いだった『リボルバー』があまりにひどかったことを思い返すと、『コードネーム U.N.C.L.E.』の見事な安定ぶりは同じ人の仕事とは思えません。こういってはなんですが、いままでいまひとつ花のなかったヘンリー・カヴィル&アーミー・ハマーの爆裂したようなキャラのはまり具合もかなりポイント高かったです。
あとこの映画で特に痛快だったのは、悪者がやられるくだりがすごく気持ちいいところ。ソロと一緒になって「へっへ~ん~ ざまあみろ~」と舌を出して囃し立てたくなることうけあい。いまでも思い出しただけでごはんが三杯はいけそうです。
と、いうわけで『コードネーム U.N.C.L.E.』は現在全国の映画館で公開中…ですが、冬休みシーズンを前にそろそろ終わりそうな雰囲気。残念ながら本国でぶっこけてしまったために続編は望みうすですが、本編でのソロみたいなあっと驚く大逆転があったら嬉しいですよね…
Comments
伍一くん☆こちらにも
この二人のコンビ、かなり面白かったですね。
私もすっかりハマってしまったわ。
ごはんは3杯もいけないけど・・・
Posted by: ノルウェーまだ~む | December 11, 2015 02:31 PM
>ノルウェーまだ~むさん
ならピロシキ3個では!?
ちなみにカビルさんはインタビューで「ソロは別にイリヤに友情なんか抱いてなくて、助けてやるのがクールだと思ってるから」なんて語ってるそうですw
Posted by: SGA屋伍一 | December 13, 2015 10:42 PM