« November 2015 | Main | January 2016 »

December 31, 2015

2015年、この映画がアレだ!! 幕内編

めいっこたちが去って、ようやく家に静寂が戻ってまいりました。もはや見てくれる人がどれほどいるかもわかりませんが、1年のけじめ?なので本年度映画館で鑑賞した映画のまとめ記事後半まいります。では35位から11位までずずずいっといきますか。

Aosn2第35位 『フォーカス』 素敵にだまされて!
第34位 『くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ』 クマとネズミはなかよしこよし!
第33位 『ラブ&ピース』 ピカドン! お前を! 忘れない!
第32位 『誘拐の掟』 飲んだら乗るな! 拳銃も撃つな!
第31位 『バクマン。』 燃えよペン!
第30位 『ナイトクローラー』 人の不幸は蜜の味!
Umd2第29位  『007/スペクター』 ボンド対お化けタコ!
第28位 『海街diary』 原作続巻はまだか!
第27位 『インサイド・ヘッド』 ゆかいなやつさ! ビンボンビンボン! ロケットで飛ぶよ! ビンボンビンボン!(くりかえし)
第26位 『コードネーム U.N.C.L.E』 スーパーマン×ローンレンジャー!?
第25位 『ジュラシック・ワールド』 生きてる間に現実に作って!
第24位 『トゥモロー・ワールド』 俺はブラッド・バードを見捨てない!(でもこの順位!)
Ssn1第23位 『セッション』 ファッキン・○ンポ!
第22位 『メイズランナー』 ハリウッド版「風雲たけし城!?」
第21位 『ミケランジェロ・プロジェクト』 オーシャンズ1945!
第20位 『コングレス/未来学会議』 CG対手描きアニメ!
第19位 『百日紅 ~miss hokusai~』 浮世絵×アニメ!
第18位 『たまこちゃんとコックボー』 ドーナツの穴は異次元空間!
Sos1第17位 『イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密』 「○○と○○の○○」って邦題いい加減やめた方がいいと思うけど、これはゆるす!
第16位 『ミニオンズ』 おまえらいい加減自立しろ!(いや、やっぱりしなくていい!)
第15位 『ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム』 本年度ベスト・ストップ・モーション・アニメ。というか新作これしか観てない!
第14位 『トラッシュ! この街が輝く日まで』 本年度ベスト「『アカデミー有力候補!』と予告しておきながら実際はノミネートされなかった」映画。反省しろ! FIFA!!
Bkmm2第13位 『バケモノの子』 熊映画四天王のうちでもっともツボにはまりました!(ほかはアーネストおじさん、クーキー、TED2)
第12位 『アメリカン・スナイパー』 イーストウッドなおも健在! 報道が公開とリンクしてしまったのも印象深い。
第11位 『アントマン』 MCUの癒し! アベンジャーズが和やかになるかは君にかかっている!(ダメそう!)

ではいよいよベスト10に参ります。

Sgkj2第10位 『野火』
食人映画が目立った2015年。現実的なラインではこれがベストでした。大岡昇平氏の代表作『俘虜記』をあわせて読むとまた感慨深いものがあります。
第9位 『バードマン あるいは(無知がもたらす予知せぬ奇跡)』
タイトルなげーよ! ということはさておき、オスカー関連ではこれがベスト。全編長回し風で貫いたのも、ゴンザレスがM・キートンでこの題材をやったのも、そして賞を総なめにするほどの傑作になったのもある意味「奇跡」
第8位 『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』(前編後編
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!! 今年後半はツイッターでこの映画がボロクソに言われてるのを読むのがつらくてつらくて… たしかに色々ひどい(笑) でもいいところもいっぱいあると思ってます! 好きです!
Gamba1第7位 『ラスト・ナイツ』 全自分待望の紀里谷和明監督最新作。これもさぞやネットでぶったたかれるんだろうな…と身構えていたら意外と好評で拍子抜けしました(笑) まあ興行の方はさんざんだったようですが… この逆境も跳ね返してまたいい映画作ってください! 監督!
第6位 『GAMBA ガンバと仲間たち』
本年度ベストアニメ大賞。これまた興行は大惨事でしたが(_ _;)かまいません! TVシリーズと一緒にわたしが生ある限り語り伝えていきます! ボーボをめぐるくだりでは泣きすぎて頭が痛くなりました…
第5位 『KANO1931 海の向こうの甲子園』
本年度「実話に基づく物語」大賞。かつて野球漫画『キャプテン』を愛読した者としては推さずにいられない一本。首狩り族映画『セデック・バレ』のスタッフが手掛けたというのがビックリするほどさわやかな作品です。
Mxfd1第4位 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
おそらく今年もっとも映画ファンから熱い支持を受けた作品。なんだかんだでわたしも3回観ました。どうでもいいことですが、わたしがこれまで映画館で3回以上観た作品にはみな「マックス」というキャラクターが登場します。本当にどうでもいいですね!
第3位 『スターウォーズ フォースの覚醒』
公開されたてのほやほやの新作。実は不満点もちょこちょこあるのですが、もうスターウォーズはわたしの人生の一部みたいなものなので、奇跡の復活を遂げたからにはこのくらいのとこに入れとかないといかんのですわ…

次は順当にいけば2位なのですが、1位が2本同着ということでご了承ください。
Kisk1
まず1位の一本目は『寄生獣 完結編』
本文にも書きましたが、昨年暮れに観た第一部が、期待以上のものではなかったので消化試合のような気持ちで臨んだところ、これが「ごめんなさい! ごめんなさい!」と泣いて土下座したくなるような素晴らしい出来でした。ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい!

127bqもう一本の第1位は『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』
わたしの2015年は、この映画のためにあったようなものでした。辛いとき悲しいとき(そんなになかったけれど)この映画が楽しみだったからこそ乗り越えられたようなもの。そしてさらに続くMCUの楽しみ(と若干の不安)も与えてくれて本当にどうもありがとう!

おそらく太陽系に3人くらいしかいないと思われますが、このブログをたびたび読んでくださってるみなさんも、今年1年どうもありがとうございました。来年も続くかどうか微妙なところですが(そう言い続けて11年)、2016年もどうぞよろしく~


 


| | Comments (18) | TrackBack (17)

December 28, 2015

2015年、この映画がアレだ! 幕下編

2015年も今日を入れてあと4日。そろそろ恒例の映画総まとめ参ります。完全なる自己満足とか、そういうことは言いっこなしだ! 本日は主に下位の作品をまとめた「幕下編」。では順序良くワーストから。

0mri☆ワースト3位 『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』
3号とひっかけて3位というわけではありません…
☆ワースト2位 『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』
「監督、パシフィック・リムって観ました?」「おれだって予算があればあのくらい…」このやり取りがすべてを物語っています。
☆ワースト1位 『ゼロの未来』
左の脱力しきったイラストから察してください。鑑賞5本目にして「あれ? ぼくもしかしてギリアムと相性悪い?」ということに気が付きました(おせーよ)


つづきまして「ワーストというほどひどくないけど、なんかモヤる!」という4本。
Chapy1あと1センチの恋
シン・シティ 復讐の女神
博士と彼女のセオリー
チャッピー
『チャッピー』は「テンシヨン」にすべてを持って行かれた気がします。


さらに続きまして「まあどっちかってえとよかった。元は取った」という13本。一気に参ります。
Exds1
ショート・ターム
ミュータント・タートルズ
エクソダス
ジュピター
6才のボクが、大人になるまで
ターミネーター新起動/ジェニシス
ピクセル
Pprc1ビッグ・ゲーム 大統領と少年ハンター
ギヴァー 記憶を注ぐ者
わたしに会うまでの1600キロ
メイズ・ランナー2 砂漠の迷宮
ジョン・ウィック
リトル・プリンス 星の王子さまと私
世評高い『6歳のボク~』や『リトル・プリンス』はわたしはこの辺。『ジュピター』は世間よりはちょっと高く評価してます。


さらにさらに続きまして、「はっきり言ってよかった! でも上位の作品と比べて思い入れ・感動などがちょっと足りない」という15本参ります。
Umkkk1シェフ 三ツ星フードトラック始めました
フォックスキャッチャー
ワイルドスピード スカイミッション
海にかかる霧
ラン・オールナイト
ブラックハット
シグナル
ミッション・インポッシブル/ローグネイション
Cky1クーキー
テッド2
ファンタスティック・フォー
PAN ネバーランド、夢の始まり
ヴィジット
俺物語!!
☆ストレイト・アウタ・コンプトン(来年レビュー予定)
こうやって並べてみるとどれも傑作だなあ… おしい! 実に惜しかった! 

幕下編の最後は「リバイバル賞」。旧作の上映で特に印象に残ったのはユジク阿佐ヶ谷のチェコアニメ特集で観た
Fsgn1「ふしぎな庭」シリーズ。
チェコアニメはそれなりに見てきたつもりですが、こんな変わった連作集がまだあったとは… まだまだこういう隠れた宝石がたくさんありそうです。
リバイバルでは他にゴダールの『アルファヴィル』や、シュバンクマイエルの特集上映、、あと4DXで『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』と『パシフィック・リム』を楽しみました。

残る35本はきちんと順位をつけて大晦日までに発表いたします。たとえ誰も待っていなくても!だ!!

| | Comments (4) | TrackBack (1)

December 27, 2015

第十二回SGA屋漫画文化賞

この世界には…誰も待っていない漫画賞というものがあります。それがこれ、「SGA屋漫画文化賞」! 誰も待っていないにも関わらず今年でもう12回目です! バカじゃないの!!
そんな賞なので例によって賞品も賞金もありません。むしろ私にください。ではまいりましょうか。

Nexus☆少年漫画部門 椎名高志 『ウルトラマンネクサス』「十年前、そのウルトラは時代に早すぎた」 『GS美神』『絶対可憐チルドレン』などで知られる椎名先生が、ウルトラ史上最も突き抜けた作品をコミカライズ…したものがなぜか十年後のいまになっていきなりの初単行本化。これを奇跡と言わずしてなんと申しましょう。
少年漫画では他に月刊ヒーローズ連載中のコミック版というか井上俊樹版『仮面ライダークウガ』もなかなかの盛り上がりを見せています(また特撮かい)。
 
Omg2☆少女漫画部門 河原和音・アルコ 『俺物語!!』
現代の侍といってもいい快男児・剛田猛男の限りなく純粋な恋を描き、女子ならず男子たちのハートまで虜にした話題作。少女漫画なのにガチムチなゴリラ男が主人公って、めちゃくちゃ型破りなのにそれでも大ヒットを飛ばしてるところがすごい。
実は冒頭試し読みの100ページしか読んでないのですが、そこだけで話は十分完結してると思うのでどうか見逃してください。


Sga2☆青年漫画部門 原泰久 『キングダム』
またこれです。今年はアメトークで取り上げられたせいかかつてない大ブレイクを巻き起こし、「わしゃずっと前から注目しとったんやでーーーーー!!」ということを声を大にして言いたくなりました。お話もいよいよ大きなターニングポイントを迎え、信たちのこれからの活躍にも目が離せません。
ほかにも『リクドウ』『銀河英雄伝説』『テラフォーマーズ』『ゴールデンカムイ』とヤングジャンプ誌の異常なまでの充実ぶりには目を見張るものがあります。


091124_181222☆オヤジ漫画部門 高橋よしひろ 『銀牙 THE LAST WARS』
永井豪先生の『激マン!!』目当てで読んでいた「漫画ゴラク」誌ですが、永井先生は休載が多いので仕方なく他のものを読んでいるうちに目が離せなくなってしまいました。
30年以上前に少年ジャンプから始まった犬の戦国乱世バトル。人間の戦い以上にハードでえぐい。そんな作風のなかにぽつっと「俺の犬生(けんせい)はいったいなんだった」なんてセリフもあってほっこりいたします。


Ponta☆ギャグ漫画部門 鴻池剛 『鴻池剛と猫のぽんた ニャアアアン!』
ギャグ漫画というか猫漫画というか。こんな脱力しきった猫の絵で一大ブーム?を巻き起こしている鴻池先生がにくい! ねたましい! …まあでも確かに面白いんですよ。
来年もこのブームが続くといいですけどね~(やっかみ半分)


Ebisu☆歴史漫画部門 高橋克彦・高室弓生 『えびす聖子』
「まさにエキサイティング古事記!」 伝奇小説の大家・高橋克彦先生と古代日本を描かせたら右に出る者はいない高室弓生先生ががっちりタッグを組んだ意欲作。原作の1/3のところでひとまず終わっているので、ぜひとも続きが読みたいものです。
しかしコミックトムがいつの間にかウェブ化していたとは知りませなんだ…


☆ウェブ漫画部門 アサイ 『木根さんの1人でキネマ』映画愛をこじらせて周囲と感覚がずれがちな30代OL・木根さんの日常とうんちくとお尻を描いた作品。映画ファンなら誰しも「あるあるあるある」と思うネタが満載。人気が出たため最近めでたく単行本が出たとのこと。祝! ウェブ卒業!!


Yjimage☆海外漫画部門 デイビッド・ピーターセン 『マウスガード 1152秋』
森の中にあるネズミたちの国を舞台に、大自然や陰謀に立ち向かう勇敢な騎士たち「マウスガード」の活躍を描いた作品。「何と戦うのではなく、何のために戦うか」といったネズミさんたちの気高いモノローグに心打たれます。今気が付きましたが、動物ものの受賞、これで3作目です。
邦訳作品ではほかに『アントマン:セカンド・チャンスマン』『シャザム! 魔法の守護者』『驚異の螺子頭と興味深き物事の数々』などがとりわけポイントが高かったです。


2011030819580001☆アニメ部門 羽原信義・冲方丁 『蒼穹のファフナーEXODUS』
これまた10年前好評を博したTVシリーズが、パチンコ化・映画化を経て再び第二シリーズとして帰ってまいりました。
映画版でめでたしめでたしだったんだから、これ以上続き作らなくてもいいのに…と思いつつ、非情な運命に立ち向かう子供たちの姿に毎週鼻水をたらしまくりでした。実は昨日最終回だったようですが、まだ観てません。つか、観るの怖い…


Photo☆大賞 川原正敏 『修羅の門 第弐門』『修羅の刻』
『第弐門』の方は終盤急に駆け足になったようなきらいはありましたが、32年に及ぶ陸奥九十九の旅にひとまず決着がついたことを祝して。そして現在連載中の『修羅の刻 昭和編』がこれまた面白いんですわ。
川原先生のご活躍、ひきつづき期待しております。


来年はどんな漫画に出会えますかね~(定番ゼリフ)。次は映画ベスト行きます。


| | Comments (2) | TrackBack (0)

December 23, 2015

新・惑星大戦争 ジョージ・ルーカス J・J・エイブラムス 『スターウォーズ フォースの覚醒』

20151221_174840遠い昔はるか銀河の彼方で・・・ マッドマックスとかターミネーターとかナポレオン・ソロとか007のスペクターとかいろんなものが帰ってきた2015年。映画史上最大の人気を誇るこのシリーズまで帰ってまいりました。『スターウォーズ フォースの覚醒』、ご紹介いたします。もう今回は最初からネタバレ全開の観た人向けでお送りします。

共和国軍が帝国軍を打ち破って約30年。宇宙は平和になるかと思われたが、ジェダイの末裔ルーク・スカイウォーカーの失踪や帝国の後継者「ファースト・オーダー」の台頭によりいまだ混乱のさなかにあった。
砂の星ジャクーに住むレイはいつか家族が迎えに来ると信じ、機械の部品を捜し歩く日々を送っていた。だが彼女は奇妙なドロイドBB-8と、「反乱軍」と自称する若者フィンとの出会いからそれまでの生活に別れを告げ、宇宙のはるか彼方にまで旅を続けることになる。

というわけで前エピソードの主人公であるルークがいきなりの行方不明でビックリするエピソード7。SWの元ネタの一つと言われる『デューン』で、主人公ポウル・ムアドティブがシリーズ途中で突然行方を断ったくだりなどを思い出させます。で、お話をひっぱることになるのがレイという少女とフィンというあんちゃん。
レイは名前や思わせぶりな予告からてっきりレイアの娘なのかと思ったらどうもそうではないようで。露骨なミスリードにぷちっと腹が立ちましたw そして彼女をサポートするフィンはこれまたびっくりの元ストームトルーパー。これまでの作品でうじゃうじゃ出てきはしたもののあからさまなモブキャラであり、素顔とか個性とかあんのかと思ってましたが、あのマスクの下にはやっぱり普通の人間の顔があったようです。この言ってみれば没個性的なキャラクターが葛藤したり奮闘したりしていくことで、見事な個性を勝ち得ていくところがこの映画の白眉であり、新機軸だと思っています。

ただしかし今回の「フォースの覚醒」、まず印象に残ったのは「暗い」ということ。エピソード1にしても4にしても三部作の幕開けは基本的に脳天気で明るいストーリーだったので、こんだけどシリアスなムードで終始進んでいくとはまったく意外でした。
ですが考えてみるに、『スターウォーズ』というのは全体的に暗い話です。出だしこそ陽気でスカッとするスペースオペラとして始まってますが、エピソード5で宿敵が父親であることが明かされ、つづく6で改心させることはできましたが直後に父はあっけなく息を引き取ります。さらに狙っていた女の子は実は妹であることが明らかになり、ルークはなくなく?身を引いて熊たちと踊ることになります。
巨悪を倒して大団円なはずなのに、めちゃくちゃさびしそうなルーク。その姿はやはり元ネタと言われている『指輪物語』ラストのフロドと通じるものがあります。さらに主人公の闇落ちという悲劇的な形で幕を閉じる新三部作が、その暗さに拍車をかけてくれました。

自身SWのファンでるJJエイブラムスは、シリーズの本質を鋭く見抜き、見事にくら~い新章をつくりあげました。その違和感のなさは元祖ルーカスが作った新三部作をもしのぐほどです。このJJという監督も実に変わっているというか興味深い人です。前は彼がブレイクしたドラマ『LOST』の内容から想像して「謎をちりばめたり胃が痛くなるようなサスペンスが得意な人なのかな」と思ってました。しかし映画ではリメイクの仕事ばかり回ってくるからかもしれませんが、見事に自分の個性を打消し、『ミッション・インポッシブル』にしろ『スタートレック』にしろシリーズの雰囲気を再現することを最優先させています。その才能?が『スターウォーズ』では最大限に発揮されました。30年経っても同じ役者を使い、旧三部作のメカをバンバン出すことによって「これはわたしたちが知っていたあの世界とつながっている」という感覚を強烈に呼び起こしてくれます。
あとこれは憶測ですが、今回の「フォースの覚醒」におけるルーク像がJJにとってのルーカス像だったら…と考えると面白いですよね。旧三部作のころのルーカスというのはJJたちの世代にとって、それこそジェダイのルークのようにかがやかしい英雄のような存在だったと思われます。しかしその後多くのファンがもやもやすることになった新三部作を世に送り出し、しまいにはあっさりSW製作の権利を手放して第一線から姿を消してしまう。そんな「信じてたのに大丈夫かな、あの人」という思いを抱かせるところはまんま今回のルークと重なります。
ヒロインのレイはいつか家族が迎えに来てくれることを信じ、不毛の惑星でひたすら待ち続けていました。けれど幾つかの出会いが彼女に「待ってるだけじゃだめなんだ。自分から行動を起こさないと」ということを気づかせます。
ルーカスを待ち続けることをやめ、自ら新作を作ることで偉大なる師と向き合うJJ。その先に果たしてなにがあるのか。はやくも次章への期待が高まります。まあこの次は監督変わっちゃうみたいですけどw

1091さて、シリーズの今後の予定ですが次のようになっています。
2016年 スピンオフ「ローグ・ワン:ア・スターウォーズ・ストーリー」
2017年 エピソード8
2018年 スピンオフ・タイトル未定(若き日のハン・ソロの話らしい)
2019年 エピソード9
噂ではスピンオフはもう一本作られるとか。とりあえずしばらくは毎年スターウォーズ状態です。
2019年はSW新新三部作とMCUフェイズ3が完結する年になるわけか。わしまだ生きてられるかしら(現時点では一応健康体です)

| | Comments (4) | TrackBack (5)

December 21, 2015

観殺仕事人 ダン・ギルロイ 『ナイトクローラー』

Ntcr2この映画の話を初めて聞いたのが、アカデミー候補が噂され出す去年のいまごろだったかなあ。そんで日本で公開されたのが今年の夏くらい。そんで今月になってこちらに流れてきて、先週ようやく観られたわけです。ヤクザなジャーナリストの異常心理を描く『ナイトクローラー』、ご紹介します。

せこい盗みで生計を立てていた青年ルイスは、ある晩事故現場で衝撃映像を狙うフリーのカメラマンの姿を見て、自分もやってみようと思い立つ。なんとか撮れた最初の映像がそれなりの値でTV局に売れ、ルイスは調子に乗る。そんな風に夜通しスクープ映像を追いかけているうちに、やがてルイスはジャーナリストに許されている境界から逸脱するようになり…

イケメン俳優には2通りいると思います。イケメンしかできないイケメンと、キモメンも演じられるイケメン。で、この映画の主演のジェイク・ギレンホールはギョロッとした目つきが異様な迫力を帯びていて、キモメンを演じさせてもなかなか様になるアクターであります。キモメン系での代表作はデビッド・フィンチャーの『ゾディアック』でしょうか。
彼の演じるルイスという青年は、最初見ていてイライラさせられます。「おれはこんなにすごいんだぜ~」ということを行く先々で会う人たちに語るのですが、どう見ても勘違い野郎の口だけ君にしか思えない。かつて調子に乗った勘違い君な人には「あったあった、あんなころ」と懐かしさといたたまれなさを感じさせる若者です。決してわたしのことではありますんよ?

しかしまあそれでも彼が次第に仕事をこなせるようになってくると、ストーリーテーリングの巧みさも手伝って応援してあげたくなってきます。ただそれもつかの間。衝撃映像を撮るためにどんどんモラルを踏み越えていくルイスに、多くの観客はどんびきすることでしょう。けれども彼が理想とする「刺激的な映像」をわたしたちも心の中では「見たい」と願っていることに気づきます。そして口だけ君が真のカリスマへと変貌を遂げたとき、複雑な思いと爽快感がごたまぜになって胸を満たしたのでした。これがスポーツとか何かの芸事だったらもっと素直に感動できたんでしょうけどね… 感動といえばルイスがえぐい行動に出るときになぜだかきまってさわやかな劇伴が流れるのが不思議でありました(^_^;

ルイスが異常なまでの執念で衝撃映像を追う理由はなんでしょう。金銭欲や出世欲も確かにあるでしょう。でもそれ以上に死を観察することや演出することに麻薬のような快感を覚えてしまった…ということが最大の動機であると思います。陰気で孤独な青年、背景がほとんど夜であること、犯罪や死への異常な心理… こういった要素は時と場所を越えて江戸川乱歩のインモラルな世界を思い出させます。うしろめたさを覚えつつも、同時にゾクゾクワクワクした感覚がわきあがってくるあのフィーリングです。

090612_194600『ナイトクローラー』はまだ数館上映予定が残ってるところもありますが、来年2月にはもうDVDが出るようです。そしてそろそろまたアカデミー候補の予想が上がってくるころですねー

| | Comments (6) | TrackBack (5)

December 17, 2015

オバケのタコ八郎 サム・メンデス 『007/スペクター』

201411212022_49_31はやいものでダニエル・クレイグの007ももう4作目。最初の『カジノ・ロワイヤル』が2006年の暮れだったから、彼が就任してからもう9年も経つんですねえ。時の経つのははやいものだなあ… … 
はっ 数秒物思いにふけってしまいましたが、そんなわけで007最新作『スペクター』紹介します。

メキシコシティで「死者の日」が祝われていたその日、MI6の腕利きスパイ007=ジェームズ・ボンドはテロを企む殺し屋を追っていた。テロは未然に防がれたが、亡き上司の前Mからの情報で事件の背後に別の大きな組織が控えていること、さらに今まで自分が倒してきた強大な敵たちがみなその組織とつながっていたことをボンドは知る。折りしもボンドの無茶な行動やイギリス諜報部の再編により、MI6の00セクションには解体の危機が迫っていた。

で、その謎の組織の名前が「スペクター」というのですね。日本語になおすと「オバケ」。「スペクター」の紋章はタコの形をしているのですが、西洋人にとってはイカ・タコは「得体の知れない不気味なもの」というイメージが強いので、そういう関係でシンボルに選ばれたのでしょう。

古い世代の人にはおなじみでしょうけど(^_^;、実は「スペクター」という組織は007の定番の悪役だったりします。イデオロギーに囚われず、単純に自分たちの私利私欲のために悪事を企む秘密結社ということになってます。まるでシ○ッカーじゃん!!と思いますが、おそらくショ○カーの方がこの組織をモデルにしているのでしょう。
007とスペクターのかかわりについてはこちらのサイトで大変丁寧に解説されていて勉強になりました。はあ~そんなややこしい権利問題のいざこざがあったんですね~ 
ただクレイグ版のボンドにはわざわざ昔の悪役を出してこなくても、いまだ決着のついてない「クァンタム」という組織があったじゃないですか。わたしは前から「ボンドがクァンタムを壊滅に導いてこそ、クレイグ版007はきれいに終われる」と主張してきました。ダニエル・クレイグも年のせいかいい加減やめたがってるみたいだし、その前にきっちりその辺をやっておいてほしいなと前情報を聞いたときは思ったのでした。

ところがどすこい… 以下、どんどんネタバレしていきます。

impact
impact
impact
impact

実は今回「クァンタム」の上部組織が「スペクター」だったということが明らかになり、「スペクター」が崩壊したことで「クァンタム」との決着もあっさりついてしまったのでした。だのに「よかった~ めでたしめでたし」という気持ちにならないのはなぜでしょう(^_^;
ひとつはスペクターというのがあんまりそんなにすごい組織とも思えなかったからです。首領のブロフェルドさんは登場シーンこそなかなかの威厳を漂わせているのですが、後半を過ぎたあたりから段々不手際が目立ってくるのですね。スパイ映画によくある「さっさと殺せばいいのに無意識に主役に反撃の機会をくれている」というアレです。そんな首領に率いられてる組織が前作までの事件の黒幕だったと言われてもいまいちピンと来ません。やはりその配下だった『スカイフォール』のシルヴァさんのほうが怖かったし、やり手だったと思いませんか?
もうひとつのすっきりしない理由は、これまでのクレイグ版007と雰囲気が微妙に違っていたからです。2006年以降のボンド全体的に切なげでほろ苦いムードが漂っているのが特徴であり長所であると思っています。それがダニエル・クレイグの地味でクールな風貌とマッチしていたし、それ以前のボンドとの差別化ともなっていました。しかし今回はもうこれ以上ないくらいのハッピーエンドだったので、「ちょっと! 君にそんな幸せは似合わないよ!」とつっこみたくなったのでした(われながらひどい)。
つっこみたくなるといえばほかにもいろいろ強引なところがありましたねえ。サム・メンデス監督もまた自分にオファーが回ってこないように、「多少の矛盾が出たとしても今回で終わらせてやる!終わらせてやる!終わらせてやる!」という気合を込めて作っていたんだと思います。

けれどこうしたことは観終わって反芻してからむらむらわきあがってきた気持ちであり、観ている間はほとんど気にならず2時間半もあっという間でした。007の特色である息もつかせぬ連続アクションは今回も健在でしたし。あとひとつ感心したのが最後のブロフェルドの処置の仕方ですね。007にしてはぬるい…という方もおられましょうが、常に新しいことに挑戦し続けるクレイグ版ボンドらしいシーンだと感じました。

Img_top_mainというわけで見事に最終回みたいだった『007/スペクター』ですが、もちろんシリーズが終わるはずもなく(^_^;  ファンの注目しているのはあと一本契約の残っているダニエルさんが続投するかどうか、ということでしょう。わたしは交代するにせよしないにせよ、長期シリーズが陥りがちなマンネリにならなければそれでいいです。というわけで次回作は001から009まで勢ぞろいで大活躍な話なんかどうでしょうか。まるでどこかのサイボーグみたいですけれどw


| | Comments (4) | TrackBack (2)

December 14, 2015

花園の秘密 ブジェチスラフ・ポヤル 「ふしぎな庭」シリーズ

Fsgn1最近日本のどこかで定期的に上映されている感のあるチェコアニメ特集。いまから5,60年前に作られた東欧のアニメが、それだけの支持があるというのが不思議でもあり、微笑ましくもあります。先日も阿佐ヶ谷であらたにオープンした「ユジク阿佐ヶ谷」という劇場で特集があり、おさそいいただいたので行ってまいりました。今回観たのはチェコアニメでシュバンクマイエル、トルンカと並び称される巨匠ブジェチスラフ・ポヤルの連作「ふしぎな庭」シリーズ。ご紹介します。

一人暮らしで寂しい思いをしている老紳士。ペットを飼えば楽しい毎日を送れるのでは?と考えた彼は、小さな魚や子犬らしきものを買ってきたのだが、それらが成長するにつれ手に負えなくなり、広大な庭に放し飼いにしてしまう…

以上が第一話「動物好きな男」のあらすじ。こちらは絵アニメで作られ、やさしいタッチのちょっと物悲しいムードも漂っているエピソードです。
ただ面白いことにつづくエピソードはややスタイルが変わってきています。第二話からはチェコお得意の人形アニメとなり、しっとりした一話と比べてドタバタ忙しい愉快な空気に包まれています。

2~4話にあたる「広がる霧」「トラを捕まえろ」「銀紙に包まれたネズミの話」のストーリーはこんな感じ。老紳士がこの世を去ってしばらくして、彼の庭は世間に隔絶されたまま荒れ放題になる。登校途中そこを通りかかった少年たちは冒険心に駆られて庭への侵入を試みるが、そこの主らしき大きな猫から意地悪な目にあわされる…

1話では玉のようにかわいかった子猫ちゃんが、どこをどうまちがったのか性悪のドラ猫に成長してるあたり、爆笑するとともに時の流れの無情さを痛感いたします。果たして老紳士の他のペットたちはどうなったのか? 少年たちの目線になって、庭の奥へと探検に出かけたくなります。で、「子犬っぽかったもの」のその後はわりと早い段階で出てくるのですが「小魚っぽかったもの」の存在はちらっと語られただけで4話まで終わってしまいました。まあこういう風に「あとは自分で想像の翼を広げてつづきを考えなよ」という形もかっこいいし、こころにくいよなあ…と思いながら映画館を出ました。
ところがどすこい、家に帰ってしらべてみたら今回は上映されなかったけれどちゃんと続きにあたる第5話があるじゃありませんか。おそらくこのエピソードこそが真の最終話です。がんばって検索したらyoutubeで見つけました。チェコ語なので何を言ってるのか見当をつけるのが大変でしたが…

まあとにかくそんな大胆な構成と破天荒なお話が楽しいシリーズです。
何本か見た限りでは、三巨匠のイメージは大体こんな感じかと思います。
・シュバンクマイエル…ほとんど子供のことなど考えてない。ひたすらアートとしてのアニメを追及する
・トルンカ…一応子供向けの体裁をとっているが、やはり作品のアート性を重視している
・ポヤル…まず子供たちを楽しませるためにアニメを作っている

必ずそう、というわけではなく、そういう傾向がある…という程度の特徴ですが。
あとポヤル作品も子供むけだからすべてがゆるゆるのふわふわというわけではなく、時折ちらりと残酷性やブラックユーモアが顔をのぞかせたりもします。世界の名作童話に無邪気に混ざっているたぐいのからっとした残酷さですけどね。

20151213_223206_3おそらく来年もどこかで行われるであろうチェコアニメ特集。気になる方は専門サイト「チェコチェコランド」をまめにチェックされてみてください。左の画像はアンケートに答えたらいただいたクリアファイル。気前いいな! ユジク阿佐ヶ谷!

| | Comments (2) | TrackBack (0)

December 08, 2015

あのスターの人は、いま サン・テクジュペリ マーク・オズボーン 『リトルプリンス 星の王子さまと私』

Pprc1じつはあんまり観る気なかったんですが、絶賛派の熱気に押されて予定外でしたが鑑賞してまいりました。サン・テグジュペリの伝説の名作を、現代の物語と融合させた『リトルプリンス 星の王子さまと私』、ご紹介します。

母親の熱心な指導のもと、名門校に入る準備をする一人の少女。彼女は引っ越した先で、隣の家に住む風変わりな老人と知り合う。最初こそ煙たがっていた女の子だったが、老人の話す「星の王子さま」の物語を聞いているうちに、いつしか彼とそのお話に夢中になっていくのだった…

というわけでこの映画の前半は、いわゆる二重構造になっております。少女の住む現実の世界と、空想の中に広がる「星の王子さま」原作の世界とに。その仲介をしてるのがかつて星の王子さまとあったという元飛行士=隣の家のおじいさんであります。
わたし「星の王子さま」は断片的にしか知らなくて、最後はハッピーエンドだったんだろうな~と勝手に思い込んでいたら、なかなかにショッキングな幕切れでちょっと驚きました(^_^;

それはともかく、純真な王子さまと彼を愛していながら文句が多い「バラ」の関係は、そのまま主人公の少女と母親のそれにあてはまります。また、あとで関係がぎくしゃくしたりそう命が長くないことを考えると、おじいさんが「バラ」を表しているようにも見えます。まあ一人の個人を表しているのではなく、「大切に思っているのに関係がうまくいかない」すべての対象を表しているのかもしれません。
以下、下へいくほどネタバレがひどくなっていきます…

この映画、偶然でしょうが夏に公開されていた『インサイド・ヘッド』と設定的に似てるところがありました。主人公が引っ越したばかりの女の子で、途中でショックのあまり思い切った行動に出るあたりとかね。ただ『インサイド・ヘッド』ではファンタジーの物体に最後まで直に交流することはありませんでしたが、こちらでは空想との境界を飛び越えて王子様の世界へと突入してしまいます。少々その強引さに面喰わないでもなかったですが、後半のこの展開は予想外だったので「これから先どうなるんだ?」というわくわく感がありました。

でもあまり思い入れのないわたしだったからよかったけど、原作のファンが王子様のあんな姿を見たらショックだろうな~ということも思いました。星の王子さまって言ったら夢見る十代少女のアイドルですからね、アイドル。
なんてことをこないだやはり『星の王子さま』が好きでこの映画を観た友人に語ったら、「あのしょぼい王子さまは、かつて純真だったのに夢を失ってしまったわたしたちの象徴なんだよ。だからわたしたちも劇中の王子さまのように、かつての心を取り戻さなくてはならない」と言われて、「はは~、なるほど」と納得がいった次第です。

Pprc2『リトル・プリンス 星の王子さまと私』は原作の根強いファンに支えられてか、わが国でもなかなかのヒットを記録しています。まだ二三週は公開が続くものと思われます。
この映画観たら、昔のちらっとだけ見たTVアニメ版の主題歌を思い出しました。40代の心にこの素朴な歌詞がしみじみと沁みます…


| | Comments (2) | TrackBack (0)

December 07, 2015

クールガイ&寒い国から来たスパイ ガイ・リッチー 『コードネーム U.N.C.L.E.』

Cnac1『ミッション・インポッシブル/ローグ・ネイション』『キングスマン』につづく本年度公開のスパイ映画第3弾。60年代に人気を博したTVドラマを、『シャーロック・ホームズ』などで知られるガイ・リッチーが映画化。『コードネーム U.N.C.L.E.』、ご紹介します。

時は冷戦たけなわのころ。元犯罪者のCIA局員ナポレオン・ソロは、東側からある女性を脱出させる任務を負い、その途中KGBのスパイと死闘を演じることになった。なんとか任務を終え上司の元に出向いたソロの前に、そのスパイ=イリヤ・クリヤキンが現れる。上司はソ連との共通の利害のため、イリヤとコンビを組んで大規模なテロを企むある組織に潜入せよと言うのだが…

ソ連… なつかしい響きですね… 平成生まれの子らは知らんだろ! …それはともかく、いくつかスパイ映画がバッティングしてしまったからかは知りませんが、この『コードネーム U.N.C.L.E.』はあえて懐かしの60年代を舞台とすることで他のスパイ映画との差別化を図っております。

エンターテイメントにおけるバディというのは、なるたけ対照的である方が面白みが増します。本作でもまるっきり違うタイプの二人の造形が出来た時点で、もう一定の面白さは保障されたようなものかと。
まずドラマ版ではタイトルにもなっていたナポレオン・ソロ。元々美術品のちょろまかしをやってたところをCIAに捕まり、その能力を買われてスパイになったという男。ナポレオンというよりルパンに近いキャラです。電光石火の早業で人の懐から財布をかすめとり、すれちがう美女とベッドインしたりしてます。
しかしなによりこのソロという男の特異な点は、いついかなる時でも決して怒らない・あわてないこと。一服盛られても、拷問されても、相棒が目の前で死にかけていても決してあわてません。あくまで優雅なスタイルを保持しつつピンチを脱していきます。そして自身は決して感情的になったりしませんが、相手を怒らせることにかけては超一流です。
一方相棒のイリヤ・クリヤキンはやはりスパイとしては一流でありながら、すぐに感情的になる瞬間湯沸かし器のような男。おまけに計り知れない怪力を有しているので、平常時もいらいらしている超人ハルクみたいなところがあります。

監督のガイ・リッチー&脚本のライオネル・ウィグラムは『シャーロック・ホームズ』でもバディものを手掛けていますが、あちらとはまたムードが異なっているのも面白いところ。コテコテでベタなネタを繰り返す『ホームズ』をドリフとすれば、『コードネーム U.N.C.L.E.』のオシャレな音楽をバックにまったりしたギャグが繰り出されるところは『笑う犬の生活』に近いものがありました。わたしは『ホームズ』も好きですけど、どちらかというと本作のギャグセンスの方がツボにはまりました。いままで観たガイ・リッチー作品のベストであります。彼との出会いだった『リボルバー』があまりにひどかったことを思い返すと、『コードネーム U.N.C.L.E.』の見事な安定ぶりは同じ人の仕事とは思えません。こういってはなんですが、いままでいまひとつ花のなかったヘンリー・カヴィル&アーミー・ハマーの爆裂したようなキャラのはまり具合もかなりポイント高かったです。

あとこの映画で特に痛快だったのは、悪者がやられるくだりがすごく気持ちいいところ。ソロと一緒になって「へっへ~ん~ ざまあみろ~」と舌を出して囃し立てたくなることうけあい。いまでも思い出しただけでごはんが三杯はいけそうです。
Cnac2と、いうわけで『コードネーム U.N.C.L.E.』は現在全国の映画館で公開中…ですが、冬休みシーズンを前にそろそろ終わりそうな雰囲気。残念ながら本国でぶっこけてしまったために続編は望みうすですが、本編でのソロみたいなあっと驚く大逆転があったら嬉しいですよね…


| | Comments (2) | TrackBack (3)

December 02, 2015

騎士道も死ぬことと見つけたり 紀里谷和明 『ラスト・ナイツ』

Lskt11年のうちで1回くらいしかやらない3日連続更新に挑んでおります。なぜにそんなに急いでいるのか。それはこの映画がもう終わってしまいそうだからです。マイ・フェイバリット・ディレクターの一人紀里谷和明氏が6年ぶりに挑んだファンタジーアクション。『ラスト・ナイツ』、ご紹介します。

様々な人種が入り乱れるある帝国。野心家のギザ・モット大臣は己の地位を利用して私腹を肥やすことに精力を傾けていた。しかし高潔な地方領主バルトークはギザ・モットに賄賂を贈ることを拒絶したため、大臣の恨みを買うことに。二人の確執は深刻なものとなり、ついにバルトークはギザ・モットの訴えにより自身の家臣の手で斬首されることになる。バルトークに忠誠を誓い、しかしわが手で彼の命を絶つことになった騎士団長ライデンは深く慟哭する。彼はギザ・モットに復讐するのでは…という噂がささやかれたが、一年後、町で別人のように落ちぶれたライデンの姿があった。

というわけで読んでいたければわかるとおりこのお話、西洋風の世界でありながら『忠臣蔵』を題材としています。
紀里谷ファンのわたしも今回はいろいろと不安でした。まず予告編を見たらいつもの紀里谷らしさがまったくない。そんでロッテントマトメーターでも悲惨な結果を出していて、封切りと同時になぜかビデオ配信されているという謎の公開スタイル。そしてハリウッド資本で『忠臣蔵』を作るといったらいやでもあの珍作『47RONIN』を思い出してしまうではないですか…

しかしそうした不安は杞憂でした。ファンタジー世界を舞台としながらも驚くほどしっかりと『忠臣蔵』を再現している。やはりモチはモチ屋というべきか、日本の題材は日本人にアレンジさせた方が自然に仕上がります。忠臣蔵のあのエピソードやこのエピソードが実に心憎く配分されています。これ、知らない人に「外国の監督が撮ったシェイクスピア原作作品」と言ったら信じてしまうのでは…と思ったほどに重厚な造りになっていました。

紀里谷氏お得意のドラゴンボールみたいな無茶アクションは確かにありませんでしたが、忠臣蔵にあれを取り入れたらそれこそ『47RONIN』みたくなっちゃいますしね… 題材のために普段のスタイルを捨てて地味に徹した監督の判断は正しいと思いました。
もしひっかるところがあるとすれば、中世ヨーロッパ風に世界に普通に黒人やアジア人が多数存在してるあたりですかね。ここはあくまで「架空世界」ということで見過ごしましょう。あとモーガン・フリーマンの髭のはやし方や伊原剛志さんの髪型が変だなあとは思いましたが、細かいことです。

まあとにかく画面のひとつひとつが計算された絵画のように美しい。CGを極力排した剣舞のようなアクションにもいちいち見惚れます。そして重要な場面でどアップになるクライヴ・オーウェンがこれまた美しい。不精髭の生えたおっさんであるにも関わらず、です。主君への忠誠ゆえに苦悩する場面や、落ちぶれ果てて虚無的な目をするあたりはキャラクターの心情とあいまって一層輝きを増しておりました。こう言うとやや語弊がありますが、全編クライヴ氏のPVと言っても過言ではないくらいです。やはり映画監督の大林宣彦氏は「映画を撮るときはヒロインに惚れないと」と言っておられましたが、まさにクライブさんへの紀里谷氏の惚れっぷりがビンビンと伝わってきました。

あと難攻不落の城砦をどうやって攻め落とすのか?という戦術的な面白さもあります。原作と同様こちらのローニンたちもあれこれと策をめぐらしますが、ギザ・モットは吉良よりも権力があるので金にモノをいわせて防備を幾重にも固めます。それを知略をめぐらしてバルトークの騎士たちがひとつひとつ攻略していく様は痛快であるとともに実に手に汗握らされました。

そして忠臣蔵と言えばナイツたちのラストはどうなるのかおおよそ予想がつきますが、果たしてそれがどのようにアレンジされているのか…という点も気になります。その辺はご自分の目で確かめられてください。

この映画が公開される前、「しくじり先生」というバラエティ番組で紀里谷氏がご自分の歩みを振り返っておられました。好きな監督であるにも関わらず、「きっとオシャレですかしたクールな人なんだろうなー」と思い込んでおりましたが、某評論家をユーモアたっぷりに締め上げるところとか実に面白かったです。そして今の映画界に対して大いに反骨心を抱いている方であることもよくわかりました。
Lskt2残念ながらこの『ラスト・ナイツ』は興行的には振るわなかったようなので、これから彼の行く道はさらに険しいものになるかと思われます。でもその行動力と反骨心なら、きっとさらに高いステップを踏めるであろうとわたしは信じています。がんばれ! キリヤーン!!
というわけで『ラスト・ナイツ』は早いところは明日明後日で終了してしまう模様(はえーよ)。『300』や『グラディエイター』が好きな方にSGA屋伍一強く推奨します!(おせーよ)


| | Comments (2) | TrackBack (1)

December 01, 2015

ゴリラの恋 河原和音・アルコ・河合勇人 『俺物語!!』(映画版)

Omg1ヒロイン失格、レインツリーの国、オレンジ… 途切れることなく作られ続けるコテコテの恋愛映画。普段はまず観に行きませんが、この映画は予告からあふれんばかりの男汁を感じて鑑賞してまいりました。人気漫画の実写映画化作品、『俺物語!!』ご紹介します。

男が惚れる男の中の男、剛田猛男18歳。彼はそのたくましい肉体と海のような懐の広さで男子から絶大な人望を得ていたが、ゴリラのようなルックスが災いして女子からはいつも敬遠されるのだった。一方皮肉なことに無二の親友の砂川誠は、ずば抜けたイケメンぶりで学校中の女子の視線を独占していた。
ある日猛男と砂川は下校途中ちゃらい男にからまれている他校の女子生徒を目撃する。男気から彼女を助けてやった猛男は、その子…大和凜子のあまりの可憐さに思わずときめいてしまう。だが彼女は砂川のことを好きだと思い込んだ猛男は、自分の気持ちを押し隠して二人の仲を取り持とうとする…

泣けますね… 少女漫画の主人公がゴリ面の男の子というのは相当無茶だと思うのですが、猛男の純な気持ちが読者の心に伝わったのか、原作は今年もっとも注目を浴びた漫画の一つとなりました。無類の武勇をほこりながらも性的魅力にまったく自信のもてない猛男くんは、まさしく現代のシラノ・ド・ベルジュラックといえましょう。名前がジャイアンこと剛田猛のもじりなのは「マジメにやれ」と思いましたが(同様に砂川誠は骨川スネ夫からきているのでしょう)。
ちょうど昨日脚本の手法に関して面白い一文を読みました。恋愛もの、バディものの常道というのは、主人公は最初お互いのことを最低だと思っているが、ともにいくつかの困難をのりこえていくうちに、最後にはかけがえのないパートナーだと思うようになる…というもの。
しかしこの『俺物語!!』は最初から猛男も凜子もお互いのことを最高だと思っています。あれ… じゃあ話すぐ終わっちゃうじゃん…となるところですが、となりにたまたま紛らわしく砂川のアホが突っ立っていたため(そしてあまりにもこれまでモテなかったため)、猛男はえんえんと誤解を引っ張り続けることになります。
砂川はいちはやく両者の気持ちを察しているのだからさっさと伝えてやればいいのに…と思いますが、「こういうのは自分で気づくのが大切」というポリシーでもあるのか、はたまた映画を二時間もたせるためか、あえてそのことを口にしません。まあよく「しゃべらせすぎ」と批判される邦画において、こういう「大事なことをなかなか言わない」というキャラはちょっと粋な気もしますけれども。

一応自分はこの映画は笑いが目的で観に来たのですが、その期待は裏切られなかったものの笑いのテンションは冒頭のシーンがMAXだったりして(^_^; ただお笑い抜きにしても十分気持ちよくさせてもらえる映画でした。正直いまどきのおっさんとしてはいまどきの若者とか、もうセンスとか考えてることとか全然違うんだろうな…という思いがあったのですが、フィクションではあるものの猛男たちの切ない気持ちや思いやりは非常によくわかるもので、なんだか安心したのでした。そして夕焼けや星空の下で思い悩む猛男=鈴木亮平氏の背中がまことに絵になるのですね。ゴリ面なのに。やはり男は顔じゃない、男気だと強く実感しました。自分、男気もあんまりないですけれども。
Omg2そんなブサメンをもあたたかい気持ちにさせてくれる『俺物語!!』はまだ二三週は全国の映画館でやっているかと思われます。かっこいいとはこういうことか!!


| | Comments (0) | TrackBack (0)

« November 2015 | Main | January 2016 »