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November 30, 2015

ヤッツィー!バカ村 ナイト・M・シャマラン 『ヴィジット』

250pxv_2009_intertitle色々用事が重なって10日ほどおやすみしてましたが、再開させていただきます。本日は当たり外れが激しいのに生暖かいファンの多いあの人の最新作、『ヴィジット』をご紹介いたします。

母親が恋人とバカンスに行くことになったため、一週間の間初めて会う祖父母の家で過ごすことになった姉弟。最初こそ朗らかでしっかりしているように見えた祖父母だったが、1日、2日と経つにつれ姉弟は次第に彼らに異常さに気付き始める…

ここのところCGバリバリのあまり「らしくない」大作を撮っていたナイト・M・シャマラン。しかし今回は実に彼らしい作風に立ち返っております。薄暗い映像、極力抑えられた劇伴、あれ? 今画面の隅をなんかよぎった!? なんかいる!! こわい!!!…という感覚。これこれ、これこそがファンの求めているシャマラン・スタイルですよ。
ただ『ハプニング』以前と少し違うのは、そういう従来のシャマラン・スタイルでありながら微妙に笑えるということ。
この映画の恐怖の対象となるおじいちゃんおばあちゃんですが、老人的な意味でどうもボケているようであり、お笑い的な意味でもボケをかましてくるので、真剣に見入っている場面で「ぶほっ」と吹き出してしまうことが何度かありました。
さらにおびえる側の姉弟もちょっとずれてるところがあります。お姉ちゃんはさっさと逃げ出せばいいのに妙に自作映画を撮ることにこだわってるし、弟は歳に似合わぬラップを歌って失笑させてくれるし、ボケに対してボケを返しているような構図でありました。
じゃあいったい誰がつっこめばいいのか? それはもちろん、わたしたち観客です。しかし映画館で「そらちゃいまんがな!!」と絶叫するわけにもいかないので、仕方なく心の中で必死に雄叫んでいた次第です。

「お笑いと恐怖は紙一重」という言葉があります。あったような気がします。もしかしたらわたしが作ったのかもしれません。ともかく、監督は真剣に作っているのに、感覚がずれているためなんか笑える… そういう映画も確かにあります。ただ『ヴィジット』に関して言えばシャーミン(シャマランの愛称)はちゃんと計算してお笑いを獲りに行ってるのでは…という気がしました。中堅どころに来て、なお新しい挑戦…お笑いと恐怖の境界に挑むシャーミン。その意気やよしとしましょう。
あと古参のファンとしては『サイン』を思わせるキーワードやシーン、急に豹変する『ハプニング』みたいな老人にニヤリとさせられました。
代わりによくみられる「善良な人がなぜ突然悲劇に見舞われるのか」というテーマはだいぶ薄味になってましたね。それも笑える映画になっていたひとつの要因だと思います。

というわけでシャマラン久々の快作となった『ヴィジット』。なんで今回は(それなりに)出来がいいのか。その答えは次のデータを見ると理解できるような気がします。『シックスセンス』以降のシャマラン映画の予算一覧ですが

『シックス・センス』 …4千万$
『アンブレイカブル』        …7千5百万$
『サイン』              …7千2百万$
『ヴィレッジ』            …6千万$
『レディ・イン・ザ・ウォーター』  …7千万$
『ハプニング』          …  4千8百万$
『エアベンダー』        …1億5千万$
『アフター・アース』      …1億3千5百万$
『ヴィジット』      …5百万$

明らかに予算がかかってない作品の方が出来のいいものが多い。これからもプロデューサーの皆さんはくれぐれも彼に大金を与えないようお気を付けください。

Vst1『ヴィジット』はまだどこかで公開してるかと思いますが、あのシャマランの作品なのにぐっと公開館が少なく、しかもそろそろ終わりそうな雰囲気。気になる方はお早めに鑑賞して「ヤッツィー!!」の意味を確かめてください。


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