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November 19, 2015

文化遺産を守り隊 ジョージ・クルーニー 『ミケランジェロ・プロジェクト』

Img_6久々の連続更新。なにをそんなに無駄にがんばっているんだろう! 本日は一時期お蔵入りが心配されながらも、無事公開となりましたジョージ・クルーニー監督・主演の「実話に基づく物語」、『ミケランジェロ・プロジェクト』をご紹介いたします。

第二次大戦末期、もはやドイツの敗北は時間の問題となっていた。だがヒトラーが道連れに略奪した美術品を破壊するかもしれない…という情報を聞き、ハーバード大学付属美術館の館長ジョージ・ストークスは危機感を募らせる。彼は軍上層部にかけあい、仲間たちと美術品を保護するためのチーム「モニュメンツ・メン」を結成。戦火の続いている欧州へと向かう。

この映画の特色はまず「戦争映画なのに雰囲気がゆるめ」というところでしょうか。第二次大戦もほぼ終わりかけのころなので、戦場といっても大規模な戦闘はだいぶ少なくなっている状況。そしてモニュメンツ・メンは立場上軍属ですが中身は学者さんだったり職人さんだったりするので、いまひとつ緊張感というものに欠けております。彼らの多くがおじいちゃんやおじさんであることも一層ゆるいムードに拍車をかけておりました。

とはいえ、ドイツ近辺まで来ると当然ナチス残党もそれなりにおります。緊張感のないおじさんたちがうっかり修羅場に足を踏み入れてしまい、アクション映画とはまた違った形でハラハラする場面も何度かありました。
ストークスたちの障害となるのはドイツ軍だけではありません。時には味方である連合軍も彼らの足をひっぱります。モニュメンツ・メンの最優先事項は文化遺産を守ることですが、軍隊の第一の目的は敵をぶっ殺すことですからね。「歴史的建造物を壊さないでほしい」というストークスらに対し、「そっから敵がバンバン撃ってくるんだから攻撃しないわけにはいかん。アホ」なんてやり取りもありました。さらにソ連軍はどさくさに紛れて高価な美術品を自国に持って帰ろうとする気満々だったりします。

そういう血の気の荒い連中を相手に、学者さんたちは頭を使ったりタイミングを見計らったりして少しずつ成果を収めていきます。その最中にとんでもないものを見つけてしまったり、びっくりするところで見つけてしまったり。多少の脚色が加えられてはいるようですが、そういった知られざる歴史秘話にただただ感心するばかりでした。

ひとつ目についたのがいまどきの映画にしてはやけに喫煙シーンが多いこと。貴重な絵画の前でもみんな平気でプカプカやっておりました(^_^; まあそういう時代だったんでしょうね。ストレスのたまる戦場だから…ということもあるでしょう。ただいくつかのシーンでは重要な小道具としても使われていて、煙草に関してクルーニーさんなにかこだわりでもあるのかな…なんてことを思ったりしました。

冒頭でストークスは「人間は減ってもまた増える。でも文化財は壊れたら元に戻らない(つまり人命より文化財の方が大事)」となかなか過激なことを申します。しかし敵地で大切な仲間を失ったとき、彼はやはり人一人一人の命も大切であるということを改めて実感します。では人命と文化財、果たしてどちらが大事なのでしょう。答えは「どっちも大事」ということだと思いました。比べられるようなことではないんですよね。美術品も人間もどんなに気を使ってもいつかは形をとどめなくなるものであります。だからこそがんばって少しでも長持ちできるようにしていかなければいけない… モニュメンツ・メンの奮闘を観ていてそんな風に感じました。

Od7en2oaakzos0『ミケランジェロ・プロジェクト』は現在全国の映画館で上映中。せっかく公開にこぎつけたのにこれまたあんまり客が入っていないようです(^_^; いい映画なのに! なんでや!!


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Comments

伍一くん☆こちらにも~
文化遺産奪還ブームなのでしょうか?
こちらはエンタメ性の強いゆるっとした作品だったけど、「黄金のアデーレ」はだだ被りながらも社会派なかんじでした。
折しもISが歴史的遺産をボコボコにしている時期なので、このような作品も必要だな~と感じマス☆

Posted by: ノルウェーまだ~む | November 19, 2015 at 11:20 PM

>ノルウェーまだ~むさん

そうそう、『黄金のアデーレ』もナチスがらみで美術品関係の映画みたいですね。美術品は関係ないけど日本でも年末に『杉原千畝』がやるし、本当にナチス映画のネタもつきないというか
とりあえず「落し物や盗品は持ち主に返しましょう」という当たり前のマナーをこれからも心がけていきたいです(^_^;

Posted by: SGA屋伍一 | November 22, 2015 at 08:43 PM

美術品を鑑定する人がプカプカ喫ってるのはいかんすよね。油絵とか発熱素材だから、フィルム同様、人命にとっても危険な行為じゃないですかね。

マナーは「憎まず、殺さず、許しましょう」で落とし者については定額の現金については許してほしいですわ。それを拾うのが老後の生きる励みなので。

Posted by: ふじき78 | May 08, 2016 at 10:08 AM

>ふじき78さん

>油絵とか発熱素材だから、フィルム同様、人命にとっても危険な行為じゃないですかね

『ニューシネマパラダイス』の技師のおじさんにきちっと叱っといてもらいたいものですね(名前忘れた)

都会は注意深く地面を見てればお金が落ちてるんでしょうけど、田舎では落ちてるのは石ころとどんぐりくらいですかねえ。いよいよ無一文になったら都会に出よう

Posted by: SGA屋伍一 | May 09, 2016 at 09:38 PM

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