パパンが ジョー・ライト 『PAN ネバーランド、夢のはじまり』
誰もが知ってるおとぎ話のヒーローを、ディズニー…じゃなくてワーナーブラザーズが新解釈で映画化。『PAN ネバーランド、夢のはじまり』、ご紹介します。
たぶん第二次大戦時。ロンドンの孤児院で暮らすピーターは、意地悪な院長にいじめられながらも、いつか母が迎えに来てくれることを信じていた。だがある晩ピーターは他の孤児たちと一緒に空飛ぶ海賊船に連れ去られてしまう。海賊船が向かった先は恐ろしい魔人「黒ひげ」が支配する地獄のような国だった。そこで過酷な労働を強いられていたピーターは、ぶっきらぼうだが親切なフックという男と知り合う。
最近のファンタジー映画にありがちな傾向として「○○は実は悪者じゃなかった」というのがあります。『雪の女王』は実は悪い人じゃなかった。『マレフィセント』は実はかわいそうな女性だった。『シンデレラ』の継母は… あれは普通に悪人だったんだっけ?(未見) ま、ともかくそんな流れに沿ってかこの『PAN』では「フック船長はもともとはいいやつだった」というコンセプトで作られています。もう演者が『トロン・レガシー』『オン・ザ・ロード』のイケメン、ギャレッド・ヘドランドですからね。ちょび髭でワニに食われたヘンテコなおっさんのイメージはこれっぽっちもありません。ていうかまるっきりインディ・ジョーンズな外見でした。
では誰が代わりに悪者を務めるかというと、『パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉』にも出てきた海賊黒ひげ氏です。時代がまるっきり違うような気もするんですが、ある種の魔法で命を永らえている模様。あと「黒」ひげだけにブラック企業の社長さんみたいでした。
悪者はもう一人います。それは孤児院の院長先生。そういえば『アーネストおじさん』や『怪盗グルー』でも院長先生はかなり性悪でした。ただ『キャンディ・キャンディ』や『ルイスと未来泥棒』の院長さんは慈愛深い方だったので、人間いろいろ、院長もいろいろということなのでしょう。
まあそんな子供たちをサクサク搾取していく悪漢を相手に、年端もいかぬピーターがチョイ悪大人のフックとタッグを組んで立ち向かっていくあたりがとても痛快でした。この二人、年齢差も慎重差もあるのに対等の友人のように接していて、見ていて気持ちよかったです。
あとこの作品の大きな魅力のひとつは、壮大で想像性に富んだビジュアルであります。RPGでしか見ないような空飛ぶ帆船が大スクリーンで激突したり旋回したりする姿はまことに迫力満点でした。ほかにも空中にプカプカ浮かんでる巨大な水玉とか、天空に向かって延々と登っていくケーブルカーとか。とにかく宙に浮いてるものがいろいろ多かったですね。
ピーターが健気に母や親友を思う気持ちにもじ~んと来るものがありました。
しかしこの映画、手堅いところを押えているようで興行の方は東西ともにぱっとしないようです。ほかの国ではなんでだかわかりませんが、とりあえずわが国ではもうファンタジー映画はプリンセスを前面に出さないと当たらないのかも。さもなくばゆるキャラを目立たせるとか。ハリー・ポッターが大活躍してたのもそんなに前じゃないとは思うんですがね~
そんでもって「どうしてフック船長が闇落ちしたのか」という謎は明かされぬまま終わってしまうんですよね。続編が望み薄だと「あとはご自分で想像してください」ということになってしまうんだろうな… 最近はそういう終わり方もそれはそれでいいんじゃないかと思えるのですが。
『PAN ネバーランド、夢のはじまり』は現在全国の映画館で公開中ですが、そんなわけで興味終わる方ははやめに観に行きましょう。ちなみに『アナ雪』の娘に負けじと松田聖子さんが日本語版主題歌を歌っておられますw
Comments
伍一くん☆
続編が見込まれないのだと、「夢のはじまり」なのに早くも終わっちゃうのかな。
イケメンフックはインディだし、せっかくハゲ面で頑張っていたヒュー様もカリスマ的魅力がいまひとつ感じられなくて…
Posted by: ノルウェーまだ~む | November 19, 2015 11:14 PM
>ノルウェーまだ~むさん
むかし『レモ 第一の挑戦』という映画があったのですが、第二が作られぬまま終わってしまったのを思い出しましたw
ヒューさまは今年はチャッピーでも悪役に挑戦されてましたが、やっぱりウルヴァリンほどのインパクトがないのがつらいですね(^_^;
Posted by: SGA屋伍一 | November 22, 2015 08:35 PM