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September 29, 2015

ゲームセンターあだむ氏 クリス・コロンバス 『ピクセル』

Sh_54455ああ、やっぱりハンバーガーにはあれが入ってないとね。ビーフに酸味がよくあう…ってそりゃピクルスじゃーい!! 失礼しました。クリス・コロンバス監督がベテランコメディアンのアダム・サンドラーと組んだ、一風変わった侵略SF『ピクセル』、ご紹介します。

少年のころ向かうところ敵なしの凄腕ゲーマーだったサム。だが大人になってからはしがない電気工事屋としての平凡な日々を送っていた。そんなサムになぜかある日突然ホワイトハウスからお呼びがかかる。なんでも宇宙から地球に対して宣戦のメッセージが送られて来たのだが、侵略者の尖兵はなんと巨大なゲームキャラだというのだ。政府はゲームに詳しいサムにその必勝法を教えてほしいと頼むのだが…

すばらしいバカバカしさですね(笑) ちなみにプロローグの少年時代から本編の大人時代に移るところで、なかなかすごいサプライズがあったりします。これはいままでちょっと見たことがなかった。この点に関しては素直に脚本をほめたいと思います。
ただ全体を通じてエキサイティングだったかというと、ちょっと口ごもってしまいます。全米きってのコメディアンであるアダムさんが柳沢慎吾さんの声でしゃべっていると、どうにも緊張感というものが伝わってこないのですね。はっきり言ってしまうとかなり「ゆるい」んです。侵略SFなのにのんびりしたギャグが連発されるわ、死人が出る気配はまったくないわ、まるでドリフかダウンタウンのコントでも見ているかのようでした。
まあわたしも彼らのコントは嫌いではありませんが、それを2時間スクリーンで観ていたいかというと正直微妙です。家でビール飲みながら寝っ転がって鑑賞した方が面白そう。
けれどこの「ゆるさ」が日本ではうけているようで、全米では取れなかった初週第1位を見事に持っていきました。テッドにミニオン、ベイマックスと、いま日本で最も求められているのは「愛」よりも「泣ける」よりも「ゆるキャラ」なような気がします。この映画なんかクライマックスはもうゆるキャラ大行進ですからね。
実はさっき「微妙」と書いたわたしも巨大パックマンのかわいさには正直メロメロでした。もう最初から最後までパックマンに出ていてほしかった。続編作るのなら(無理ぽ)ぜひそういう構成でおねがいします。

話変わって。アダム・サンドラーといえばアメリカでは長いキャリアを誇る(アンチもいるようですが(^_^;))トップクラスのコメディ俳優。わたしもそれなりに知ってました。個人的には『リトル・ニッキー』とか好きでした。しかし日本のシネコンで素顔が大々的に公開されたのってこれが初めてじゃないでしょうか。そんな知名度の日米格差に感じ入るとともに、これを機に日本の子供たちにもアダムさんが浸透するといいなと思ったのでした。実際こどもたちにはこの映画のゆるゆるなギャグがけっこうウケてましたからね。その辺はさすがに『ホーム・アローン』や『ハリー・ポッター』で子どもたちの心をつかんできたコロンバス監督のテクニックを感じました。

Maxresdefault『ピクセル』はちょっと順位が落ちてきましたが、まだまだ全国のシネコンで元気に上映中。ゲームはやっぱりカクカクした絵に限りますな…(おじさん)

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September 23, 2015

マイ・フェア・レディス&ジェントルメン マーク・ミラー マシュー・ヴォーン 『キングスマン』

Yjimagek1本来ならスパイ映画ラッシュの先駆けとなるはずが、日本では遅れに遅れて本国より9ケ月のブランクを経て公開。でもまあ、無事公開されてよかったよかった。原作マーク・ミラー、監督マシュー・ヴォーンの『キックアス』コンビによる謀略アクション『キングスマン』ご紹介します。

幼いころ父を亡くし、粗暴な継父のもと鬱屈した日々を過ごす青年エグジーは、ある日無鉄砲の末警察に捕まってしまう。「困ったことがあったら助けになる」という父の友人の言葉を思い出したエグジーは、教えられた電話番号にコールする。約束通り何事もなかったように彼を警察署から連れ出した紳士・ハリーはエグジーに説く。無為な生活から抜け出し一角の人物となりたければ、父と同じように世界で最も優秀なスパイ「キングスマン」になるための試験を受けるのだと。

かくしてエグジー君の過酷な試練の日々が始まるのですが、それと並行してスパイ映画にはおなじみの「世界に影響力を持つ」悪の組織の親玉が恐るべき計画を進行させていきます。とはいっても劇中で語られている通り、ダニエル・クレイグがボンドを務めるやたらシリアスな最近の007とはちょっと違う。全体的にバカバカしくてスパイがやたらおしゃれにこだわったりするあたりは、漫画チックだったロジャー・ムーアの時代を意識しているようです。
結論からいえばそのぶっ飛んだノリにずいぶんと楽しませてもらいました。ただしかし、いくつかひっかかった点があったのも事実。今回はそれらの点と、わたしがそれにどうやって折り合いをつけたか語って行きます。あ、ネタバレ全開なのでその点ご了承ください。

rain
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まず引っかかった一つの点は、「キングスマンの強さにやたらブレがある」ということ。たった一人で無数の敵を片づけて無双の強さを見せたかと思えば、そのあとコロッと死んじゃったりする。これは彼らが豪傑ではなく忍者だと思うことで納得いたしました。山田風太郎とか『伊賀の影丸』とか読むとわかっていただけると思うのですが、忍者って「これは無敵だ!」という忍術を見せた後非常にあっさりとその術を破られて頓死したりします。ドラゴンボールの悟空たちのように、自分より強さ数値の低い相手に負けることは絶対にない…ということはないのですね。ものすごく戦闘力は高いですが、ショックや油断が元で簡単に命を落としてしまう、人間臭くてはかない連中なのであります。決して表には出ず人知れず活動を続けるあたりも忍者と似ています。

二つ目の点は「命の重さにブレがある」ということ。冒頭でエグジーは警察に捕まるにも関わらず目の前に飛び出したキツネをよけます。死亡者続出のように見えた試験でもちゃんと「実は生きてるんだよ」という説明がありましたし、スパイ映画に時々ある「飼いならした犬を殺せ」という場面でも犬は撃たれません。ですから「生き物の命はみんな大切なんだよ!」というあたたかいメッセージの込められた映画なんだと思いながら観てました。
ところが中盤のあるシーンから人間たちがまるでゴミのようにくだらなく大量に死んでいきます。少なからず当惑いたしました(^_^; でもよく考えると、死んでる連中のほとんどは勝手に人を差別したりランクづけたりする傲慢なやつらばかりなのですね。マーク&マシューの中では「差別主義者よりも無垢な動物の命の方が大事。ていうか差別するやつはバンバン死んでよくね?」とそういうことになってるのかもしれません。とりあえず映画に出てきたワンちゃんたちが演技とはいえ死ななくてようございました。フィクションの中であれば、人間はいくら死んだっていいです(どっかから怒られそうな発言)。

三つ目の点は前の点と矛盾しますが、ある重要人物がまたコロッと死んでしまったこと。このシーン、わたし「わかってるわかってる、死んだふりして主人公のピンチにさっそうと現れるんでしょ?」と冷めた目で観ておりました。しかし彼の助けがなくても見事に自力でピンチを脱出する主人公。「あ、わかった! エンドロールの前後で『実は生きてました』ってシーンがあるんだな!」と思い直しました。ですが結局彼は以降最後まで画面に出てこず「なんやねん! 死にっぱなしかい!」と。
まあそういう「命を越えた精神の継承」みたいなものがテーマだったのかもしれませんが、この点に関してだけは正直納得がいってません。続編が準備中とのことなのでそちらで何とか解決してください。ジョジョ第3部のアブドゥルと同じトリックで生き返らせることができると思います。

Yjimagek1_2というわけで『キングスマン』は現在全国の映画館で公開中ですが、彼らの外見が地味なゆえかいまひとつ大ヒットには結びついてない模様。「不謹慎な映画大好き!」という人はぜひ早めにご覧になってみてください。

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September 18, 2015

育ちすぎだよ、カメ! 園子温 『ラブ&ピース』

Img033_zoom1熊の映画が4本続きましたが、それと重なって「おもちゃが念で動く映画」も3本続いてしまいました。変な偶然ってあるもんですね… 今回は初挑戦となる園子温作品『ラブ&ピース』、ご紹介します。

かつてミュージシャンとなる夢を抱いていたうだつの上がらないサラリーマン・鈴木良一。常にみんなが自分をあざけっていると思い込んでる彼の慰めは、やさしい同僚の寺島裕子とペットの亀のピカドンだけ。鈴木はむさくるしいアパートの自室でピカドンに誇大妄想的な夢を繰り返し語り聞かせる。だがある日会社にピカドンを連れてきていることがバレ、パニックに陥った鈴木は思いもよらぬ行動にでてしまう。

園子監督といえば凄惨な殺人事件を描いた『冷たい熱帯魚』で国内外から高い評価を得た人。ですが少し前にETVで放映されていた永井豪先生との対談番組によりますと、「ああいうえぐい作品は僕の本道じゃない」とのこと。じゃあどういうのが本道なのか? 『愛のむきだし』『恋の罪』そしてこの『ラブ&ピース』といった作品タイトルを見ると、ピュアーな「愛heart04」こそが彼の描きたいものなのか? とりあえず『ラブ&ピース』は彼が中学校のころ書いた脚本をできるだけいじらず使用したとのこと。本道ならずとも原点とは言えそうです。それにしてもリアル中二ワールドかよ… しかも彼が今年に入って撮った映画は評判のアレなものが多く、ちょっと地雷原に踏み込むような気持ちで鑑賞にのぞみました。
ちなみになぜわたしがなじみのない園作品をそんな覚悟までして観に行ったかというと、「怪獣が出るらしい」という情報を聞いたからです。バカですね。

で、実際にどうだったかというと、作品の8割くらいはすごく観ていてはずかしかったです。特に鈴木君が恥ずかしい。ここまで極端でないにせよいまだに中二的な部分をひきずっているわたしとしては、自分の恥部をことさら強調したものが大画面に映されているようで、「おねがい! もう堪忍して!」と涙目になりながら客席で身もだえしておりました。あやうく羞恥プレイに目覚めそうになったほどです。
また鈴木君のドラマと並行してお人形さんや動物たちが繰り広げている童話のようなパートも(なぜか)あるのですが、これが対象年齢6歳以下の児童番組を見せられているようで、さっきとは別の意味でちょっぴりはずかしい。ちなみに鈴木君パートと人形さんたちパート、それぞれのムードが全く異なっているのでまるっきりかみ合ってないように見えます。ずいぶん変な映画にあたっちゃったな~と晩御飯のことなど考えながら鑑賞してたのですが、忘れたころに目当てだったアレのシーンが見事に大爆発。水と油のようだった2つのパートも見事に融合し、気が付いたら感動の涙を滂沱と流している自分がおりました。いやあ、映画ってやつは本当に最後まで観てみないとわからないものですねえ。やっぱ世の中愛っすよ、愛。

そんな奇天烈な映画の中でとりわけ輝いていたのが主演の長谷川博巳氏。ドラマ『デート』ではかっこ悪いナルシストを、映画『進撃の巨人』ではかっこいいナルシストを演じておられた氏ですが、本作品では「かっこ悪い」から「それもアリか」にシフトする難しいナルシストを演じています。いまナルシーを演じさせたらおそらく日本では彼の右に出るものはいないでしょう。今後の(ナルシストとしての)活躍にますます期待です。

E2df5df3『ラブ&ピース』は非常にわずかながらではありますが、まだちょっとだけ上映館が残っています。くわしくはコチラをご覧ください。11月末にはDVDも出る模様。くどいようですが「ヘンテコな映画好き~」という方におすすめです。


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September 15, 2015

クマジン・オール・ザ・ピープル セス・マクファーレン 『テッド2』

20150914_2221324回にわたって続いた熊映画レビューもようやく最後の1本。世界中を愛と下ネタで包んだあの熊が再登場です。『テッド2』、ご紹介しましょう。

感動の前作から一年くらい。ジョンはあれほど愛していたパートナーとあっさり別れ、相棒の動くぬいぐるみ・テッドはずっとつきあっていたタミ・リンと見事にゴールインを決める。人並みの家庭がほしいと望んだテッドは妻に人工授精を施そうと試みるが、様々な問題が彼らの前に立ちふさがる。ついには「彼は人間ではない(ま、そうなんだが)」とみなしたお役所から、結婚まで取り消されてしまうテッド。彼に逆転のチャンスはあるのか…

というわけで今回は前作のヒロインだったミラ・クニスさんが降板。理由は「産休に入るから」ということでしたが、そのせいでやや不自然な流れになったこの映画が子づくり宣言から始まるのはなんだか皮肉です。
この子づくりから始まる一連の流れは前作以上に品がなく、その下ネタパワーには圧倒されるのですが、一方で作品の芯にはけっこうマジメなテーマがあったりします。それは「人はなにをもって人といえるのか」ということ。人間が人間たりえるのは姿かたちではなく、人間としての愛情・感情ゆえではないのか…ということがテッドの裁判を通して語られるのですね。かつて黒人や女性たちが声を上げて自由のために戦ったように。下ネタと並行しながらその話が進んでいくところはあくまで『テッド』でありますが。

さて、前回「日本でやるとしたらキャラやタイトルをどう置き換えるか」というネタをやったのですが、あまり面白くありませんでした。でも特にこれといった企画が他に思いつかなかったので今回もやります。完全ネタバレなのでご了承ください。

☆テッド…前回「ガチャピンがいいのでは」と書きましたが、日本で人気があってぬいぐるみをよくみかける動物…というとパンダの方が適任かもしれません。名前は「パン太」で(適当)

☆ジョン…いかつい風貌だけど人を和ませる俳優…ということで照英あたりがちょうどいいかと

☆トム・ブレイディ…かつてAV関係でよく東スポの一面を飾った松井秀喜選手を推します

☆フラッシュの人…前回「ギャバンの大場健二さん」と書きましたが、風貌的にやっぱり藤岡弘、さんの方が近いかも

☆「警察24時」みたいなTV…「警察24時」で

☆ちらっと流れる『ルーツ』…『竜馬がゆく』か『龍馬伝』の下士が上士にぼこぼこにされてるシーンとか

☆ハズブロ社…バンダイ以外にありましょうや。部屋に飾られてるのは当然ガンダムです。重役の捨て台詞は「タカラトミーだ!」ですね

☆一行が旅の途中で見つける脱法ハーブ畑でかかる「ジュラシック・パーク」テーマ…『北の国から』のテーマとかちょうどいいと思うんです。

☆コミコン…コミケ

☆ダースベイダー、オビワン、ストームトルーパーのコスプレ一行…シャア、アムロ、赤鼻かなあ。アマンダのずれてるクレームは「ひっこめ碇司令!」で

☆ジャスティン・ビーバー…押尾学…はちと古いか

☆「次のスーパーマンはジョナ・ヒル」…「次の仮面ライダー(もしくは『相棒』)はバナナマン日村」

☆ゴラム…ケロロ軍曹

☆『トータル・リコール』のトリプルおっぱいの人…『デビルマン』の妖鳥シレーヌさんかしら

☆ミュータント・タートルズ…忍たま乱太郎で

☆『96時間』っぽいリーアム・ニーソン…松田勇作氏…は故人なので息子の龍平氏にそれっぽい恰好してもらって
Photo『テッド2』はゆるキャラ大好きな日本で初登場1位の大ヒット。ただ世界的に見ると黒字かどうかギリギリのラインっぽいので、これ以上の続編は作られないかも。あと熊映画では英国代表の『パディントン』が来年新春に公開を控えています。くまー


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September 10, 2015

マッドリラックマ ヤン・スベラーク 『クーキー』

Cky1クマの映画の話が続きます。別にそんなにクマがすきってわけでもないんですが… 今回紹介するのはチェコのしょぼくれたテディベアが活躍する『クーキー』。まずはあらすじから。

喘息もちの少年オンドラの一番の親友はピンクのテディベア・クーキー。だがいい加減くたびれてきたクーキーは「ほこりが出るから」というママの独断でゴミに出されてしまう。「無事でいてほしい」と願うオンドラの祈りが天に通じたのか、クーキーはゴミ捨て場で自我に覚醒。小さな神々が住む森の中で迷いながら、クーキーはオンドラの元へ戻ろうと奮闘する。

チェコは昔から人形劇が盛んな国。その人形劇をコマ撮りアニメとしてアレンジしたものがいわゆる「チェコアニメ」です。『クーキー』はアニメではありませんが、チェコアニメを若干先祖がえりさせて、実写ドラマとハイブリッドさせたような作品です。
同じ形式の作品といえば少し前の『マペッツ』正続編があります。ただあちらが人間と人形が同じ場面に出ていたのに対し、こちらは人間の世界と人形の世界はそれなりに分かたれております。
で、いかにもチェコらしいのがキャラクターのグロテスクさ(笑)。主人公のクーキーはかわいらしいんですが、彼を助けてくれる「村長」や敵対するアヌシュカなどは、いかにも「妖怪」といったふうないでたちをしております。くわしくはこちらを参照。しかもその妖怪の周りを本物のミミズやらムカデやらが這い回っていたりします(リスや小鳥さんもいますけどね)。苦手な方もいるでしょうけど、わたしなどはかえってそういうダークな造形にチェコ特有のカラーが感じられてかえって心惹かれたりします。

さらに「チェコ」というキーワードで考えると、チェコアニメの御大シュバンクマイエルを彷彿とさせるような要素もありました。シュバンクマイエルの作品には妄想が次第に現実に侵食してくるものが多いんですが、『クーキー』も「少年の妄想かも?」と思えていたことが現実に痕跡を残しているようなシーンがあり、ドキッとさせられました。もっともシュバンクマイエルの作品ほど怖いものではなく、少年とクーキーの純粋な思いにかえってほっこりするような仕上がりになっております。

あとお国柄とか全く関係なく面白かったのが、この手の妖精ものには似つかわしくない「車」が大活躍するということ。普通妖精さんの世界ではあまり現代文明の利器は登場しないものですよね。トーベ・ヤンソンさんも日本のアニメでムーミンが車に乗ってるシーンを観て激怒されたそうですし。
ところがクーキーが迷い込んだ妖精の森では、上の位の者はなんでか木で出来た乗用車を使用してたりします。いったいなんで動いているのか謎です。木だけに気(キ)で動かすんでしょうか… … それはともかく。
ヘンテコな車に乗ったヘンテコな妖精がマッドマックスばりのカーチェイスを繰り広げている様はすごくヘンテコで痛快でした。こんな映像はめったに見られるものではありません。

Cky2はたしてクーキーは無事親友のもとに戻れるのか。戻ったとしてもまたママに捨てられてしまうのがオチではないのか。子供のころ親に勝手におもちゃを捨てられた経験のある人には、涙なくしては見られません。
『クーキー』はもうじき改装に入る新宿武蔵野館を中心に、全国でちょぼちょぼと公開中。くわしくは公式サイトをご覧ください。次はいままたしても熊が活躍する『テッド2』をとりあげます。本当にそんなに熊が好きなわけでもないんですが


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September 08, 2015

熊出没チュー意! バンジャマン・レネール ステファン・オビエ&バンサン・パタール 『くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ』

Yjimageb6l98afk渋谷は金玉…じゃなくて金王坂というとこの近くに、アート系の渋い映画や新進作家のドキュメンタリーをよく上映しているイメージフォーラムという映画館があります。そこで珍しく子供向けのほんわかしたアニメ映画をかけるというので興味をひかれて行ってまいりました。『くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ』、ご紹介します。

地上には熊たちが、地下にはネズミたちが暮らす世界。ネズミたちは熊が恐ろしい残酷な生き物だと信じていたが、孤児院で暮らすセレスティーヌは本当にそうなのか疑問を抱いていた。ある時熊の歯を盗みに地上に出たセレスティーヌは、腹ペコのオヤジ熊アーネストに見つかってしまい、あわや食べられそうになる。そんな風に決して友好的な出会いではなかった二匹だったが、思いがけず助け合ううちに大の仲良しになり…

最初に目をひくのは水彩画風の絵本のような描線。少し前公開されていた『かぐや姫の物語』のタッチと少し似ています。この淡くやわらかな線や色調に、温かい気持ちにさせられます。あとごくごくシンプルな構図なのに(あるいはそれゆえか)背景の大きさや奥行きがしっかりと出ていてすごいな、と思いました。
原作は1981年にベルギーで出版され、現在にいたるまで20冊の作品が描かれている長寿シリーズとのこと。ちなみに原作の絵はアニメよりももう少しリアルなタッチとなっております(上の画像を参照)。

熊の社会はわたしたちとはあまり変わらないのですが、面白いのはネズミの世界の描写。そこでは「歯」がなによりも大事なものとしてありがたがられています。もしネズミが歯を失ったら食べることはもちろん、喋ることや土木工事もできなくなってしまうので。よってこの世界では歯医者が最も尊敬される職業となっております。
あと地下にはりめぐらされていることと、ミニサイズのネズミたちがこしらえているということで、街の作りがいちいちこっていたり様々な仕掛けがあったりします。そんなおもちゃの様な町で怪獣の様なアーネストが暴れまわるのがまた楽しかったりします。

で、このアーネストおじさんですがかなりの問題児であります。「腹が減ったから」といって金も払わずよその店の商品をためらうことなく食い漁る、「よくそれで今まで生きてこられたな…」というキャラクター。当然生活力は皆無に等しいです。しかしそんないい年こいて純真というか子供のようなところが微笑ましくもあります。『バケモノの子』の熊徹や『テッド』もそうですが、熊のオヤジというのは問題児なのにどこかにくめない、愛嬌がある…というキャラが多いですね。そんなおやっさんがいつしかちっちゃな女の子のためにあれこれ奔走する姿が、冬の夜の石狩鍋のようにまたなんとも言えずあたたかいのです。

しかしこの世界ではネズミと熊は決して相容れぬ存在。社会のルールを踏み越えようとする二匹は両方の社会から極悪犯罪人として追われることになります。これがヌーベルバーグやアメリカン・ニューシネマであれば逃亡の果てに悲壮な最期がまっているわけですが、果たしてこのアニメではどうなるでしょう(笑) つづきはご自分で確かめてみてください。

Aosn2『くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ』は、現在全国で五か所の上映館が確認されています。アカデミー賞長編アニメ部門ノミネート作品だというのにこの少なさ… くわしくは公式サイトをごらんください。メインのイメージフォーラムではたぶんまだあと10日くらいはやってるはず。年末の12月2日にはDVDも出ます。


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September 05, 2015

モンスター・チルドレン 細田守 『バケモノの子』

Bkmm1「もう新作は作らない」 日本映画界に激震が走った「ジブリ・ショック」から約一年。宮崎駿なき(まだ生きてる)今、その穴を埋めるのはやはりこの男なのか… 細田守監督最新作、『バケモノの子』、紹介します。

ただ一人の家族であった母を亡くし、天涯孤独の身の上となった少年・蓮は、渋谷の街をさまよっていたところ、奇妙な男に「弟子にならないか」と声をかけられる。成り行きで男のあとを追った蓮が行き着いた先は、なんとバケモノたちが暮らす街「渋天街」だった。そして蓮に声をかけた男も「熊徹」という名のバケモノであった。街の実力者・猪王山にやられてもやられても立ち向かう熊徹の姿を観ているうちに、蓮の心にある感情が浮かび上がる。そして彼の弟子となることを受け入れるのだが…

これまでは割と「現実7:非現実3」くらいの割合で作品を作っていた細田監督。しかしあらすじを読んでいただけるとわかるように、今回はその比率が逆転しております。この辺なかなか新境地というか、冒険してると思いました。
ただ十代のころならともかく、40代(…)の固い頭で見ると、我々の世界からひょいとオバケの街にワープしてしまうあたりがなかなかついていきづらかったです。現実世界の描写がリアルできめ細かかったりすると、よけいにね…
そんなひっかかりを感じながら鑑賞してたのですが、観終わってちょっと経って気づきました。これ、もしかしてバケモノの世界ってのは文字通りのそれなのではなく、もしかしたら日本とは異なる人種、異なる価値観のコミュニティの比喩なんじゃないかな…と。
幼いころある理由で中○街、もしくは○国人街で暮らすことになった少年が、成長して、やがて自分の進路やアイデンティティに悩む話…と考えると実に腑に落ちるんですね。
『サマーウォーズ』を除くと『時かけ』以降の細田作品というのは思春期の少年少女が進路に悩んだり決断を迫られたりする話です。勧善懲悪の物語ならともかく、そういう決断というのはどっちを選んでも基本誤りではないんですよね。だから主人公たちがどちらの道を選ぶのかわからない。細田作品の面白さというのは、そういうちょっと先の読めないストーリーにあるような気がします(くどいようですが『サマーウォーズ』はのぞいて)。

「異なる価値観」という点に話を戻しますと、このアニメ「本当に強いとはどういうことか」を問う作品でもありました。そうです。幕ノ内一歩が100巻かけてもまだ結論が出せてないあの論題です。お話の冒頭の部分でいろんな妖怪に武術の心得を訪ねて回るくだりがあるんですが、そこですでに「強さには色々な種類がある」「腕力だけが強さではない」ということが匂わされています。
で、特に十代のころというのは腕力よりも心の強さが求められる時期だと思うのですね。なんでかっていうとこの年頃というのは人によって差はあるでしょうけど、特に不安定だったり、暗黒面に飲み込まれやすい時代だから。じゃあどうすれば強くなれるのか。それはいい大人の手本にならい、その助けを受け入れることです。だから子供の周りの大人というのは子供たちのお手本となり、進んで助けてあげなくてはいけない…ということですよね。たとえ100点満点でなくても。なんか書いてて心苦しくなってきたんですが。
Bkmm2まあそんな風に大人は大人なりにいろいろ考えさせられる作品でした。
『バケモノの子』は『ジュラシック・ワールド』にこそ抜かれましたが、夏休みの興行ではそれに次ぐ大ヒットを記録。これならジブリの穴も1/3くらいは埋められるかもしれません。ただ細田監督も毎年映画が作れるわけではないので、彼と同じくらい実力・収益が安定してるアニメのクリエイターがもう二人くらいほしいところです


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