暴れ食いラプトル コリン・トレヴォロウ 『ジュラシック・ワールド』
ああ やばい 恐竜が来る 頭からかじる 人間たちを
逃げろ やばい 恐竜がきた 手足を食いちぎる 骨も残さず
(この曲に合わせて歌ってください)
本日とうとう日本でも2015年度最大のヒットとなった15年ぶりのシリーズ最新作『ジュラシック・ワールド』、ご紹介します。
オープン間近でありながら、色々と問題がありすぎたために頓挫した「ジュラシック・パーク」。しかし多くの難題を乗り越え、約20年の時を経て「ジュラシック・ワールド」として再出発。オープン後には数えきれぬ客たちが押し寄せ、順調に収益を伸ばしていた。気をよくした開発部はさらに客をひきつけようと、T-REXをも上回る大型の肉食恐竜を誕生させる。ヴェロキラプトルの調教係として雇われていた元軍人のオーウェンは、そんな会社の暴走に不安の念を隠せずにいた…
えー、わたくし『ジュラシック・パーク』シリーズは1作目から映画館で観てて、当然前作の『Ⅲ』も記憶にあるんですが、あの時は世界でも日本でも「まずまず」くらいの盛り上がりだったんですよね。それが今回はなぜこんなにぶっちぎり状態なのか、その辺を考えてみたいと思います。
理由その1:「ひさしぶりだから」
頻繁にやられると飽きが来るものですが、一世代くらい間が開くと逆に新鮮に感じられたりするもので。そういうことですよね。
理由その2:「目新しい要素がいっぱい」
やっぱり一番大きな理由はこの辺ですかね… いくつかありますんでさらに小分けにしてあげてみます
目新しい要素その1:「夢の恐竜公園実現」 Ⅲまでの惨状を見てるとどうして実現できたのか不思議でたまりませんでしたが、子供にとってはたまらない夢の恐竜動物園を実際に見せてくれるわけですよ。もちろん映画史上でも初でしょう。だからわたしはパニックが起きずに二時間遊園地を楽しむ映画でもよかったんですけどね…
目新しい要素その2:「インドミナス・レックス」 T-REXを超える怪物を…ということで考えられたのがこのインドミナス・レックス。映画内で開発された、いわば空想上の恐竜であります。思い切ったことをしましたねえ。それだけに謎のベールに包まれた不気味さが漂う存在であります。
目新しい要素その3:「調教されたヴェロキラプトル」 シリーズでは人間たちに襲いかかるヴェロキラプトルですが、今回は主人公オーウェンの仲間として登場。まるで『ターミネーター2』的発想ですよね。しかし完全に仲間になったのかといえば、そこは爬虫類ですから怪しいところもあり…
目新しい要素その4:「モササウルス」 子供のころから恐竜図鑑ではなじみ深かったモササウルス。ですが海棲の大型爬虫類で映画に出てくるのはプレシオサウルスなどの首長竜ばかり。それが満を持しての登場です。化石より二倍くらいでかい気もしますが目をつぶりましょう。
目新しい要素その5:えーと、ここはややネタバレになっちゃいますが
「モンスターをやっつけちゃう」
ということ。『ジュラシック・パーク』シリーズが他のモンスターパニックものと違うのは、大抵モンスターをやっつけずに「逃げて終わり」というとこにあります。小賢しい人間が大自然の脅威にかなうはずあるまい、という教訓がそこには含まれているのかもしれません。けれどもそれがちょっと物足りなかったのも事実。できれば『ジョーズ』やや『トレマーズ』や『エイリアン』のように、豪快に怪物を退治してほしいと願うのが中二的男子であります(笑)。今回はあの手この手を使って見事にやってくれました。インドミナスは自然というより科学の産物なのでぶったおしてもいいだろう、とスタッフに判断されたのかもしれません。ともあれこのカタルシスがリピーターを増やしているのは間違いないでしょう。
ただ、目新しいことばかりではなく、旧作へのリスペクトもしっかりしてるのがこの映画の偉いところです。特に今回は1作目にもあった「純粋な夢が残酷な結果を産むこともある」というテーマが復活してましたからね。これがやっぱり『ジュラシック・パーク』の重要なポイントのひとつであると思うので。
アレ… そういえばそれなりにひさしぶりで、目新しい要素もいっぱい出して、旧作のリスペクトも一応してたのにそんなに盛り上がらなかったシリーズ映画がありましたね。あれはなんでダメだったのだろう。ター…なんとかと言ったかもしれません。
急に説得力がなくなってきた感がありますが、続けます。
理由その3:主に欧米においてですが、「クリス・プラットの魅力」
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』ではラスカルと共演してたクリプラですが、今回はラプトルとのいちゃいちゃを見せつけてくれます。動物と並ばせると輝くんですよね、この人。そういえば『ジュラシック・ワールド』はちょっと『あらいぐまラスカル』と通じる部分もありました。
理由その4:主にというか完全に日本においてですが、「宮崎アニメとぶつからなかった」
実は『ロストワールド』も『Ⅲ』も日本でそれなりにヒットしてるんですが、それぞれ『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』とぶつかってしまったために若干影が薄くなってしまった感は否めません。今回も『バケモノの子』という強力な妖怪アニメが立ちふさがりましたが、まだ細田守氏は宮崎御大ほどのビッグネームではないせいか、ジュラシックシリーズが見事なリベンジを果たしました。正直これは意外でしたねえ。
というわけでまだまだ快進撃を続けている『ジュラシック・ワールド』。実写洋画の不振が続いているこのご時世で、復活の兆しとなればいいのですが…
世界記録第3位の成績を受け、すでにさらなる続編も決定しております。今度は絶望的な状況から多くの試練を乗り越えて無事ワールドを再建する『プロジェクトX』的な話が観とうございます。恐竜映画としてはピクサーの『アーロと少年』も待機中。こちらも楽しみです。
Comments
シリーズを重ねるごとにどんどん偏差値下がっていくよね(^_^;)
恐竜は子供っぽい趣味っていうのを、一作目はわりとインテリジェンスなものとして昇華させてくれたんだけど、やっぱり22年も経つとジュラシックパーク以前のイメージ「恐竜=怪獣」に戻ってきちゃったっていう・・・まさにトランスの理!
理由5はなるほどなあ~・・・
あと理由1は私も大きいと思うw「ひさしぶりだから」
Posted by: ゴーダイ | August 25, 2015 12:29 AM
>ゴーダイさん
いやあ、ゴーダイさんに怒られるんじゃないかなって思いながら書いてましたw
そういえばジュラシック・パーク原作はフラクタクルとかカオス理論とかかなりむずかしところあったよね… そういう科学的要素は乏しかったけど、エンターテイメントとしては申し分ない出来でした
「ひさしぶり」な名シリーズといえば年末にスターウォーズが控えてますが、果たしてどうなりますか。あと来年の『スカルアイランド』にも恐竜出てくると思うよー
Posted by: SGA屋伍一 | August 26, 2015 10:41 PM
SGAさん こちらは絶対お好きですよね~~恐竜!
実は私も好きなんです。あ,恐竜の種類とか知識は皆無なんですが,パニックものとか「食われる」とか好きなんですよね。
今作はヒットしてますね~~実際面白かったです。
なぜヒットしたか?の分析,うんうんと激しくうなずきながら読んでしまいましたよ。
確かに「久しぶりだから」っていう理由は大きいと私も思いました。
忘れたころに登場してくれたって感じですね。懐かしさとバージョンアップ感が。
ついでに1~3もレンタルして観ましたが,やっぱり心理的に怖くって目新しくって緊迫感があるのは1でした。
でも今作も全然違うよさがあって大満足ですね。ラプトルたちがお気に入りです。味方かと思ったら寝返って,また最後はいいやつだった・・・とかね。
Posted by: なな | August 31, 2015 03:13 AM
>ななさん
ごぶさたしててすみません(^_^;
恐竜大好きですが、なにせ恐竜の研究も日進月歩なので、わたしが小学生のころに得た知識などはもうすっかり時代遅れなものになってしまいましたね…
それでもこの映画で子供のころ恐竜に夢中になったころや、1作目の衝撃を懐かしく思い出しました。久しぶりに恐竜博にも行ってこようかと思ったのですが、もたもたしてる間に期日終わってしまいましたね(笑)
1作目であんなに怖かったラプトルやT-REXがこんな活躍を見せてくれるとは思いませんでした。ジョーズやエイリアンではこういうのできないですよね!
Posted by: SGA屋伍一 | August 31, 2015 10:21 PM
モサさん良かったですね〜
美味しいところをまさにパクっと持って行っちゃいました(ネタバレコメント)。
数ある夏休み映画の中で、これがぶっちぎりというのは凄いですよね。
何より、恐竜ワールドに遊びに来れた感じが本当に楽しくて。
子供の頃の夏休みを経験した、って童心に帰れるのが最高〜!
Posted by: とらねこ | September 03, 2015 05:34 PM
>とらねこさん
おお、とらねこさんもモササウルス好きかね。なんか雰囲気的にあなたに似てるよ。おっと地雷発言だったか…
う、上野に近い種類の化石がおいてあるから今度観に行こうぜ。たしか入場料500円くらいだからおじちゃんがおごってあげてもいい。そういえば子供のころわくわくしてそこの博物館に行ったらちょうど休館日で泣いたなあ… 夏休みじゃなくて冬休みの話だけど
Posted by: SGA屋伍一 | September 03, 2015 11:06 PM
伍一くん☆
こちらにもありがとう~
面白かったねー!しかし日本でもそんなメガヒットとは・・・
私はこの作品ヲ観てから、家でシリーズの1から3まで一気に見たのだけど、やっぱり何度見ても面白い!!
そういう意味では今作の生ぬるさがちょいと気に入らないのですが、そういうソフト路線がメガヒットのひとつの理由かなとも思うのです。
Posted by: ノルウェーまだ~む | September 18, 2015 11:25 PM
>ノルウェーまだ~むさん
生ぬるいですか、なるほどw
でも子供たちにしてみれば今回のインドミナスやモササウルスの大暴れのシーン、なかなかのトラウマになると思いますよ。なってほしいw
とりあえず今回の『ジュラシック・ワールド』、シリーズの中では1作目の次くらいに気に入りました!
Posted by: SGA屋伍一 | September 22, 2015 08:49 PM