終わりなきネタを探し求めて アラン・テイラー 。『ターミネーター:新起動/ジェニシス』
デデンデン! 妙に中途半端で終わった『ターミネーター4』から6年。あのシリーズがシュワちゃんとと共に久方ぶりに帰ってきました。『ターミネーター:新起動/ジェニシス』、ご紹介します。
遠くない未来、人類は意識を持つ大型コンピューター「スカイネット」に征服され、存亡の危機に直面していた。だがカリスマ的指導者、ジョン・コナーの活躍により、人類は劣勢から逆転。スカイネットをほぼ壊滅にまで追い込む。だがスカイネットはコナーが生まれる前にその母サラを抹殺することで、彼の存在を抹消しようと企てる。そしてタイムマシンにより殺人マシン「ターミネーター」を1980年代に送り込むのだった。それを察知したコナーはサラを守るため、腹心のカイル・リースを後から同じ時代へと転送する。だがカイルがその時代で見たものは、コナーの話とはまるで別人のタフなサラと、敵のはずなのに彼女を守るターミネーターの姿だった…
今回は全体の半ばくらいまでネタバレしちゃってるのでご了承ください… まず前作までの出来事をさっとまとめてみます。
①ターミネーター1~4の出来事が順番に起きる
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②スカイネット、T-800を80年代に転送。企てを阻止すべくジョンもカイルを同じ時代に転送
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③どうも失敗したっぽいので、今度は90年代にT-1000を送り込むスカイネット。負けじとジョンもT-800を(略)
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④やっぱり失敗したようなので、今度は00年代にT-Xを送り込むスカイネット。負けじと(略)
こんな感じでしょうか。で、新作ではカイルを送り込んだ直後にジョンがああなっちゃったので、もうおっかけでT-800を送ることは不可能でしょう。ですからこんなふうな流れに変わってると思います。
①ターミネーター1の出来事が起きる
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②スカイネット、T-800を80年代に転送。企てを阻止すべくジョンもカイルを同じ時代に転送
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③その前後に少女時代のサラを襲わせたり、80年代にビョンホン型のT-1000を追加で転送したりするスカイネット。そして正体不明の何者かが少女時代のサラを守るためT-800を送る
↓
④スカイネット、自身が起動する2015年に改造型ジョンを送る
…どう考えても矛盾点があちこちでてきますね(^_^;
わたくしこの映画を観る前に、一作目を二十年ぶりくらいに観かえしてみたんですね。そしてそのシンプルさに、あらためて心打たれました。あんなにわかりやすかったターミネーターが、どうしてこんなに複雑怪奇でわかりにくい話になってしまったんでしょう。
思うに、ターミネーターシリーズというのは「建て増しを続けてきたおうち」に似ています。一作目はシンプルながらも無駄のない完成度の高い建築で好評を呼びました。そしてそれをそのままバージョンアップさせて、豪華な造りにしたのが二作目です。世間の評価はこの時最高潮に達しました。
で、時が流れてそのままでもよかったのに、別の建築家がさらに増築しようとして、工事半ばで終わってしまったのが三作目。また別の建築家が再挑戦して、やっぱり中途半端で終わってしまったのが四作目。
そして今回は二~四作目で建て増しした部分を全部とっぱずし、あらたに増築しなおそうという試みがなされています。しかし結局全部を撤去できず、強引に工事を進めた結果どこが入り口でどこが出口かもわからないおうちが出来てしまいましたw
わたくし四作目を観てる時に、「今まで話でしか語られなかった部分…人類軍がスカイネットを倒し、ジョンがカイルを過去へ送り込むところを映像で見せて、ようやっと『ターミネーター』シリーズはきれいに終われるのではないか」と考えていました。
今回の「新起動」でようやく待望のその部分を観ることができましたが、きれいに終わる気配など全くありませんでしたね~ たぶん会社はきれいに終わらせることなんてあんまり考えてないのでしょう。そういえばこのシリーズは、整合性とか完成度よりも、「意外性」をいつも重視してきた気がします。
1…未来から送られてきた男が実は救世主の父だった!?
2…前作で敵だったシュワちゃんが味方に!?
3…滅ぼしたスカイネットが健在で審判の日も来ちゃった!?
4…よくわからない半分生身・半分機械のターミネーターが出てきた!?
という具合に。そして今回の「新起動」ではT-800が少女のころからサラを世話してたり、救世主のジョン・コナーがあんなことになっちゃったり前にも増して意外性というかハッタリを連発しておりましたw もうこうなると辻褄合わせと考えずに、ド派手なアクションとメカ描写のみを楽しんだ方が勝ちなような気がします。実際途中からそうやって割り切って観たらそれなりに面白かったですしね。
『ターミネーター:新起動/ジェニシス』は現在全国の映画館で上映中です。2~3の間以外は6年周期で作られている『ターミネーター』ですが、(またしても)三部作を予定しているために会社としてはもっと早く作りたいところでしょう。
それもこれも、すべては売上しだい。現在なんとか製作費の二倍くらいを稼いでいるので、あとは中国で宣伝費の分をカバーできれば…というところでしょうか。がんばってください(^_^;
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Comments
SGAさんこんばんわ♪
おお、今回のよく分からないタイムトラベルを分かり易く纏めてますね(笑)でも少女サラの元にターミネーターを送った人物もなんかよく分からなかったので、今の所謎な部分も少しありますよね。最後の映像を見る限りではまた新しいシリーズとして出発するような雰囲気でもあるので、どんどん真相を小出しにする狙いもあるかもしれませんね?
『意外』で言えば自分は審判の日が先延ばしになった『3』が良かったんですけども、今回はジョンが敵になったりをはじめ本当に意外性のオンパレードでした。内容より驚き重視って感じにも見えますね。
Posted by: メビウス | August 02, 2015 09:03 PM
>メビウスさん
がんばりました(^_^; いろいろ謎をふりまいたまま終わってしまいましたよね。スカイネットが滅びない限りはシリーズもまだ続くのでしょう。下手をするとまたリブートかもしれませんが
みんな心が広くなったのか、今回の作品あまり悪評を聞かないんですが、ファンはジョン・コナーがあのままでいいのかしら…
Posted by: SGA屋伍一 | August 03, 2015 10:27 PM
伍一くん☆
ついにパラレルワールドまで持ち出した反則技が出てしまって、ちょっとどうなの?と思うけど、それでもシュワちゃんオンパレードで私としてはすっかり楽しめました!!
続きは辻褄を合わせる気はあるのかないのか・・・・
いっそのこと、時代が追い付いて、本物の人工知能シュワ型ロボットを登場させるまで頑張って欲しいと思います。
Posted by: ノルウェーまだ~む | August 09, 2015 11:21 PM
>ノルウェーまだ~むさん
ねえ。「パラレルワールド」って便利な言葉ですよねえ(笑)
なんだかんだ言ってわたしも若シュワVS老シュワの戦いは燃えました。これもCG技術の進歩があったればこそできたシーンですねえ
>いっそのこと、時代が追い付いて、本物の人工知能シュワ型ロボットを登場させるまで頑張って欲しいと思います
タイムマシンよりはよほど実現しそうです。ついでにスカイネットまで開発しなけりゃいいですがね!
Posted by: SGA屋伍一 | August 11, 2015 10:32 PM