宇宙からかもしれないメッセージ ウィリアム・ユーバンク 『シグナル』
ガールフレンドの引っ越しのためアメリカを旅していたニックは、その途中以前大学に侵入しようとしていたハッカーの居場所を突き止める。自分の病気のことで恋人とすれちがっていたニックは、気晴らしとばかりにハッカーをとっちめるため、その家に立ち寄ることにする。だが突然ニックは意識を失い、気が付くと病院の一室に寝かされていた。不気味な研究者らしき男は、ニックが謎の病気に感染した恐れがあると言う…
監督はウィリアム・ユーバンク。どっかで聞いた名だなあ…と思って調べてみたら、2013年のマイ・ワーストムービー『地球、最後の男』の監督さんでした。普通なら「もう君の映画は観るまい!」となるところですが、知らずに観た予告編がすげ~面白そうだったんですね。というわけで「もう一回くらいだまされてやるか!」という気持ちで観に行ったのでした(だまされやすい)。
で、結果から申しますと、ユーバンクさん、成長しましたね! まあ前作は予算もかなり少なかったんでしょうけど、趣味に走ったPVみたいなところがあってすごくげんなりしたのですね。しかし今回の『シグナル』は荒削りなところもありましたが、ちゃんと多くの人がついていきやすいエンターテイメントとして成立しておりました。
わたしが予告編で特にひかれたのは、主人公たちが謎の義手や義足を使って超人的なパワーをふるっているカット。まるで皆川亮二先生の『ARMS』みたいじゃないか!と。ところがそういう展開に入るまで、かなり時間を要します。どちらかというと彼らがおかれた謎の状況や、怪しい研究者(ローレンス・フィッシュバーン)からの逃避行の方が中心。その辺がちょびっと不満ではありましたが、「閉じ込められる系」の話も嫌いではないのでこれはこれでよしかと。昔の『トワイライトゾーン』みたいな雰囲気も好みでしたし。
まあラストが投げっぱなだったところは前作と変わってませんでしたけど(^_^; ただこのラストも見せ方が「???」が頭にあふれる『地球~』とは異なっていて、それなりに腑に落ちる幕切れとなっていました。あとなんというか、とても『スカイライン 征服』的でよかったです。
この作品、詩情あふれる心理描写や、みずみずしい自然の風景などもいちいち印象的でした。前作もSF描写よりも孤独に苦しむ主人公の心情の方がメインでしたし。だからユーバンクさん、SFとかよりも、普通に現実的で等身大の青春ドラマやった方が才能を発揮できるんじゃね? と思いました。でもきっと二作続けて作ってるくらいですから、相当SFが好きというか、このジャンルにこだわりたいんでしょうね…
『シグナル』は大体公開終わっちゃってますが、西日本の方にまだ少々上映予定が残ってますね。くわしくはコチラをどうぞ。
ブラックエンジェルズの某松田さんのように「(勢いがあれば)細けえこたいンだよ」という方におすすめです!
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