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May 11, 2015

起き上がれ起き上がれ起き上がれイングラム 押井守 『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』

Img00227宮崎駿や富野由悠季と並んで日本アニメ界のカリスマとして知られる押井守氏。その押井氏の新作は、80年代人気を博した『機動警察パトレイバー』の実写版であります。『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』、ご紹介します。

かつて作業用ロボット「レイバー」がもてはやされた時代は、多忙を極めていた警察内のレイバー所有中隊「特車二課」。だがレイバーがあまり使われなくなった2010年代、彼らが使用する「イングラム」の老朽化のせいもあり、特車二課はいたずらに待機の時間を重ねる警視庁のお荷物的な部署となってしまった。
いつものようにお気楽に慰安旅行に繰り出していた彼らは、レインボーブリッジが爆破されたという知らせを聞いて急きょ東京に舞い戻る。事件の裏には自衛隊内部のテロ集団と、極秘裏に開発されていた「視認されないヘリ」グレイゴーストが絡んでいた。戦闘のプロたちを相手に惰眠をむさぼっていた特車二課はどう立ち向かうのか…

『機動警察パトレイバー』はいわゆる「リアルロボットアニメ」が瀕死の状態にあった1980年代後半、救世主的存在として登場した作品でした。オリジナルビデオと週刊連載漫画がまず始まり、テレビアニメや劇場用アニメにも発展してなかなかに息の長いシリーズとなったのでした。ロボットアニメとして特殊だったのはその徹底した「日常性」。このままロボット技術が進化すれば当然その種の犯罪があり、それを防止するための部署もできるだろうな…という発想がまず」根底にあります。ロボットも十数メートルなどという無茶なサイズではなく、約8mととっても現実的なサイズ。さらに等身大の公務員たちの生活感や存在感もあいまって、ガンダムなどとは違った意味での「リアル感」「日常性」が醸し出されることになったのでした。実はわたしはそのあまりの「お茶の間的」な雰囲気にあまりはまれなかったのだけれど(^_^;

さてこの度の実写版、まず全12話のTVシリーズがあり、その総決算としての映画化となっております。等身大のイングラムまでこさえてしまったというからなんともすごい。ただ現在の技術では忠実な再現モデルを作ることはできても、縦横無尽に動かすレベルにはまだ至っていません(^_^; だからとにかくこのイングラムが動かない。それは製作スタッフも覚悟の上のようで、そのために「老朽化ですぐ壊れる」なんて言い訳めいた設定があったりします。
確かに実機にはCGにはないどっしりとした存在感・たたずまいがあります。しかしさすがにここまで動かないと『トランスフォーマー』や『パシフィック・リム』を見慣れた目にははっきり言ってさびしい。もしかして劇場版ではバリバリ動いてくれるんじゃなかろうか、と淡い期待もしましましたが、まったくそんなことはありませんでした。当然出番もかなり少ないです。

ではロボ・メカが出ない間どうやって尺を埋めているのかというと、人間たちの地道な捜査や押井さん独特の社会論がえんえんと展開されます。まあ押井監督ってもとからそんなにロボが好きではないんでしょうね… どちらかというと社会のシステムとか、それを破壊したがる人間たちの反社会性の方によほど興味が向いてるような。そういうのにひかれる人もいっぱいいるからカリスマとしての地位を得ているのでしょう。ただ迫力あるメカ描写を期待してる人は、クライマックスまでかなりの我慢タイムを強いられることになります。

押井監督、A海在住らしくて今回もなじみの風景が冒頭でいろいろ出てきたのでたまげました。同じ市に住むものとしてひいきしてあげたいのはやまやまなんですが… 「やっぱりあんまり合わないなあ」ということをあらためて実感いたしました(^_^; 『イノセンス』なんかは例外的にけっこう好きなんですけどね。

Nyf1『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』は現在全国の映画館で上映中。さらに20数分の映像を追加した「ディレクターズ・カット版」も近々公開されるそうです。その映像の中に、たぶんメカ描写は入ってないと思われますが。

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Comments

オヤジだからオヤジギャグを一つ呟いておきます。

押井だけに惜しい映画だったな。

Posted by: ふじき78 | May 24, 2015 at 11:38 PM

>ふじき78さん

もういい年なんですから
そろそろ守りに入られては

Posted by: SGA屋伍一 | May 26, 2015 at 08:39 PM

ご無沙汰~、昔の名前に戻したよ~。

で、またこの作品、「首都で戦争?」
状態か・・・・・・

>日常
最近は「ひだまりスケッチ」とか「猫ピッチャー(!)」
辺りの「日常」が主戦場となってる我輩は
25年前、この作品とは無関係ではなかったが・・・・・・

実写1話の千葉繫のプロローグ部分見ましたが
アニメ版旧キャラの「その後」聞いたら何とも
言えない気分に・・・・・・・・・
あのトリガーハッピー「収監中」とな・・・・・・おいおい。

これって、テレビ版やマンガ版の
「影響」を確実にぶっ壊すことが
大前提とも取れるような作りに思えます。
「お前、昔のこと忘れなよ」と・・・・・・・・・・・

押井は容赦ねぇですな(笑)。

個人的に劇場版2作目でこの作品「リタイヤ」宣言
あの結末は・・・公開時自分の
人生環境激変時期直撃で
大変なときに希望なき結末は
勘弁しろと・・・・・・・・・・・・・・(涙)。

Posted by: まさとし | June 07, 2015 at 12:08 AM

>まさとしさん

ご無沙汰しております~
なんでも劇場版第二作のリメイクというか直結した内容のようで
コミックの1巻で「みんなで幸せになろうよ」という印象的なセリフがありましたが、その言葉を発した当の本人が幸せとは程遠い状態にあるような…

この度の「TNG」は製作にあたってゆうき先生も「いきなり聞いた」とのことでほとんど押井さんの独断進行だったようです。本当に容赦ないというか、強引な方です(^_^;
とりあえずあまりもうかってもいないようなので、パトレイバーはまたしばらくの眠りにつくことになりそう

Posted by: SGA屋伍一 | June 12, 2015 at 02:05 PM

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