三代目は黒井さん 『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』
いつの間にやら春の恒例となってしまった「東映ヒーロー大集合シリーズ」。本日はその最新作である『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』、ご紹介いたします。
1973年(オレが生まれた年じゃねーか)、仮面ライダー1号2号の戦いによりショッカーは全滅。世界には平和が訪れたはず…だった。突如として発生した時空の歪みにより、ダブルライダーの前に現われたのは、彼らを上回る性能を持った「仮面ライダー3号」。そしてこの時空改変は2015年の仮面ライダードライブの戦いにも重大な影響を及ぼす。
夏の単品映画も冬の「MOVIE大戦」も最近は足が遠のきがちなわたくし。だのになぜ最もファンからの評判が悪い春映画を観続けているかというと、「なつかしのあの人・あのキャラ」を大画面で観られるからにほかなりません。今回も仮面ライダーブラックの倉田てつを氏や、同555の半田健人氏、同ギャレンの天野浩成氏といった面々が「ライダー」として出演してくれています。それに加えて謎の新ライダー「3号」まで登場するという。
情報を漁ったところによると、この1号2号に近いデザインで「V3」とはまた別の「3号」(上画像参照)は、本当は新ヒーローとしてTVに登場するはずだったものの、企画変更により設定から抹消。辛うじて幼年誌に一度登場したのみの不憫なキャラクターであります。ウルトラセブンの夢の中にだけ出てきて、以後完全に忘れられてた「セブン上司」を彷彿とさせますが、あちらは一応映像に出てきましたからねえ…
ともかくこのものめずらしいヒーローの勇姿が観たくて今回も足を運んでまいりました。以下、中バレ気味で
それ以外に個人的に盛り上がったのは石ノ森章太郎氏の漫画版『仮面ライダー』へのオマージュが幾つか見受けられたこと。喫茶店のマスターでなく、執事姿の立花藤兵衛や、巨大なコンピューターと化した本郷猛とか。
あとこんな映画ではありますが、「歴史の縮図」というものがそれなりに表現されていたと思います。仮面ライダーにしてもショッカーにしても、何度滅ぼされてもその都度復活してくるんですよ(笑) 健全な社会も恐ろしい独裁政府も永遠に続くものではなく、歴史を通じて繰り返し繰り返し出現するものなんではないでしょうか。
そしてその正義と悪も、はっきり二つに分かたれているというよりかは、境界線が非常にあやふやだったりして。ことに仮面ライダーは善悪の狭間でふらついているような人が多いのですが、今回の映画ではタイトルの「3号」を筆頭にそれが顕著でした。
さて、いい加減褒めたので次は困った点を…
プロデューサー白倉伸一郎氏の見上げたところは、「同じものは二度とやらない」ことを心がけていることです。傍からはほとんど同じように見えたとしても、毎回何かしら新しい要素や試みを盛り込んできます。この「スーパーヒーロー大戦」シリーズで申しますと
スーパーヒーロー大戦→ライダーと戦隊を戦わせてみました
同 Z→その戦いに宇宙刑事も混ぜてみました
仮面ライダー大戦→今度はライダーたちを昭和世代・平成世代に分けて戦わせてみました
今作→幻の「3号」を登場させてみました。そんでライダーたちにレースをやらせてみました
こんな感じかと。こうしたマンネリズムを嫌う姿勢はまことに天晴れです。ただ問題はこの実験精神が作品の完成度や「燃える展開」を著しく低下させてるということですね(^_^; 今回も「そこはおかしいだろ」「それはあまりに無茶だろ」「あなたはいったいなにがしたいの!?」というところいっぱいありましたw
スケジュールが押し迫ってる中、ビックリするような設定をつめこんで、しかも感動させるお話を作る… 確かにそれは至難の業かもしれません。でも『アギト』~『555』の映画の時はそれなりに出来てたんだから、決して不可能ではないと思うのですが。
まあ面倒くさいオタクとしてはそんな風に感じましたが、もっと重要なのは子供たちがこういうのをどれほど楽しんでいるのか、ということですね。自分が子供のころにこれを観たら、そこそこ楽しめるような気はします。ただ今回は平日の20時からの鑑賞ということもあって、お客さんがわたし一人だったのでお子様たちの反応は確認のしようがありませんでした。子供たちからの支持があれば来年も再来年も続くでしょうけど、彼らが置いてけぼりになっているのであればそろそろこの春の大集合シリーズも終了するんではないでしょうか。その辺は少し時間が経ってみないとわかりませんね。
『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』は現在全国の映画館で上映中です。そしてビデオ配信による『仮面ライダー4号』に続いてしまうとか…
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