8年目の狂気くらい大目に見ない フランク・ミラー ロバート・ロドリゲス 『シン・シティ 復讐の女神』
昨年と比べるとややさびしいですが、今年もいろいろ控えております、アメコミ映画。その先陣を切るのが、約8年ぶりの復活となる(…)この映画。『シン・シティ 復讐の女神』紹介します。ちなみに前作の記事はコチラ。
暴力と悪徳がはびこる町シン・シティ。その町では愛さえも戦いです。
最愛の人を失ったダンサー・ナンシーと、流れ者のギャンブラー・ジョニーはそれぞれの理由からシン・シティを牛耳るロアーク上院議員に戦いを挑みます。
一方チンケな探偵家業に身をやっしているドワイトは、かつて自分を捨てた女に助力を請われ、戸惑いながらも戦いに身を投じることに…
二作目というのは分の悪いものです。一作目の出来がよければよいほど、比較されてしまうものだからです。
だもんで大抵二作目では次のような方針が取られます。まずお金がある場合は予算とスケールを大きくしてとにかく派手にします。困るのはお金がない場合。そういう場合は、一作目とはガラリとイメージを変えて、真っ向からではなくやや変化球的に勝負を挑みます。
しかしこの度の『シン・シティ』続編、前作とほぼ同じスタイル・同じスケールで勝負しているため、どうにも「前作と比べると物足りない」というイメージをぬぐえませんでした。
分の悪いところはまだあります。前作はちゃんとした原作があり、「その絵をいかにかっこよく再現するか」ということに力が注がれたため、あのような迫力ある絵画のような作品に仕上がりました。しかし今回は半分くらいが映画オリジナルの話であったがゆえ、前作にあった迫力がやや失われてしまったような。この辺は『300 帝国の進撃』の時の感想とほぼ同じことを書いてます。
あと前作の後付けのような話が多かったため、時系列的に大混乱してしまうのもマイナスポイントです。一生懸命考えた結果、順番に並べると
今回のドワイト・パート→前作のハーティガン・パート&前作のドワイト・パート&今回のマーヴ・パート→今回のジョニー・パート→今回のナンシー・パート→前作のマーヴ・パート
…ということでいいのかな? ああああ!! ややこしいいい!!
・相変わらずのマーヴの暴れっぷり
・ジョセフ・ゴードン・レヴィットの向こう見ずぶり
・エヴァ・グリーンの肉体美
・死んだはずのハーティガンの使い方
といいところもそれなりにあるんですけど、トータル的にはインパクトが薄くなってしまったのは残念です。
原作・監督のフランク・ミラーさんは前から「コミックでは偉大だけど、映画は微妙」とよく言われてた方。そういうわけで課題がはっきりしてきました。「ミラーさんはまず漫画をしっかり描いて、それからその漫画を忠実に映画化せよ」ということです。
個人的には超燃えるヒーローコミック『デアデビル:ボーン・アゲイン』の映画版など観てみたいものです。権利関係がむずかしそうですが、なんとかしてくださいマーベルさん&ディズニーさん。
『シン・シティ 復讐の女神』はまだ2、3週は上映してるかと想われます。さんざん愚痴っといてなんですが、白黒とハードボイルドが好きな人はどうぞ。
Comments