厚さ3センチの眉毛 クリスチャン・ディッター 『あと1センチの恋』
年末ガンガン更新していたせいか、なんだか燃え尽き気味なこのごろ。いかーん!! というわけでここらでブログ魂を再点火したいところ。なのに扱う題材がこんな苦手なジャンルだったりして… というわけで当ブログでは大変珍しい恋愛映画のレビュー参ります。『あと1センチの恋』、ご紹介します。
ロージーとアレックスは幼いころからの親友同士。思春期を迎え、いつしかお互いを異性として意識するようになるものの、ささやかなすれ違いのせいで二人はそれぞれ別の相手と初体験を済ませてしまう。さらにすれ違いは続き、ロージーはシングルマザーとして、アレックスは海の向こうで大学生として全く別の生活を送ることになる。だが二人はずっと変わらぬ愛情を抱き続けていた…
ううう。こういう文章を書くと背中がかゆい(^_^;
ときどき洋画を見てると、すぐにどこの国の話かわからないことがあります。この映画の場合は開放的な雰囲気で英語をしゃべってるあたりから、勝手にアメリカの映画かと思ったのですが、主人公の家庭がそれほどハイソでもないのに学校が制服だったりする。そんでアレックスが「国を出てハーバードに行く」と言ってるあたりで、ああ、イギリスの話か、と合点がいきました。
でも制服以外はアメリカのイギリスもそんなに青春模様に大きな違いはないですね。派手なパーティーを普通に楽しんでたり、性モラルに対してあけっぴろげだったり。ちょっと違うのはカトリックだから堕胎がNGな家が多かったり、アメリカに憧れてたりするあたりでしょうか。
あと本当に好きな人に率直に「好き」と言えないのもブリティッシュゆえの不器用さなんでしょうか。アメリカ人やイタリア人なんかはその辺まったく迷いがないように思います(偏見込み)。
この映画はそんな風に「素直になれなくて」すれ違いを繰り返す二人の若者のお話です。どなたかプロのライターの方が「近年は不慮の事態が起きても携帯電話があるゆえに、『恋人たちが約束どおり会えない→すれちがってしまう』という状況が作りにくい」ということを言ってました。でもちょいと工夫すればすれ違いの状況なんていくらでも作れるもので。この映画ではその一言がいえなかったゆえにすれちがってしまう…という悲喜劇が上手に語られていました。アレックスもロージーもEメールに始まりスカイプやらLINEやら文明の利器をバンバン使ってるくせに、肝心の想いはなかなか伝えられなかったりする。この辺、シャイな日本人はしみじみ共感できるかもしれません。
ただガサツな人間としては「お前らいくらなんでもすれ違いすぎだろー!」と突っ込みたくもなりました。いくらそれが肝とはいえ、もう2,3巡すれちがいのターンが少なくてもよかったと思います。こういうことを言ってるからわたしはもてないのでしょうか。
主人公ロージーを演じるのは大歌手フィル・コリンズの娘リリー・コリンズ。少し前から時々「太い眉の女の子」という噂を聞いていましたが、やあ、噂にたがわぬ立派な眉毛でした。こういうあえて太眉で貫きとおす根性、実にあっぱれです。ひきつづきのご活躍を祈っております。
ちなみにわたしがなんでこんなガラでもない映画を観にいったかというと、ぶっちゃけつきあいだったからです。まあたまには人に誘われて興味のない映画を観るのもいろいろ勉強になるというもの。それにそういう時って全く期待していないせいか「意外と良かった」ということも多いですしね。
『あと1センチの恋』は小規模公開だったものの話題を呼んで着々と上映館を増やしている模様。いつかはあなたの住む町へ行くかもしれません(花の子ルンルン風)
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