ザ・ワンハンドレッド ヨナス・ヨナソン フェリックス・ハーングレン 『100歳の華麗なる冒険』
ノーベル賞で盛り上がってるせいか、先ごろ2本のスウェーデン映画が公開されました。『100歳の華麗なる冒険』と『ストックホルムでワルツを』です。このうち前者を先日東京は新宿ピカデリーまで行って観て参りましたので、ご紹介いたします。
老人ホームに住むアランは、自分の100歳の誕生日に突如として施設から行方をくらます。駅でチンピラ風の若者からかばんをあずかった彼は、なりゆきで若者とはぐれてしまう。だがそのかばんの中にはマフィアの使う大金がぎっしりつまっていたため、アランは彼らから追われる身となる… のだが、当のアランはそんなことは露知らず。行く先で出会う人たちと触れ合いながら、爆破マニアだった自分の人生を振り返るのだった。
最初タイトルを観たときは、自分の命の短いことを知った老人が、命のはかなさにはらはらと泣きながら奮闘する… そんな『最高の人生の見つけ方』みたいな映画を想像してました。ですがこの『100歳の華麗なる冒険』は、ああいったハートウォーミングな映画よりもっともっとアナーキーで、不謹慎な作品です。なんせ主人公のアランさんはやや引退した身でありながら、筋金入りの爆弾魔と来ています。まあ人を殺すのが目的ではなく、「ものを爆発させるのが何よりも好き」という人なので、それほど罪深くはない気もしますが。
なぜそんなにも爆破が好きなのか… おそらくこの映画の製作国であるスウェーデンが、ダイナマイトの発明者ノーベルの出身地であることに関わりがあるような気がします。
それはさておき、そんな破天荒なおじいちゃんが(意識せずに)ギャングたちを出し抜いたり、世界をまたにかけて冒険するのを見ているのが、ウヒウヒ言いたくなるくらいめちゃくちゃ楽しかったです。
特に回想パートですが、CGかセットかロケか知らないけど(たぶんCG?)、たった数秒のシーンのためにすごく壮大な映像を作ってるんですよ。それもひとつやふたつではなく、20か30はありました。「別にそこまでしなくても、セリフでさっと語るだけでも済ませられるのでは?」とも思いましたが、この無駄に手間隙をかける精神(それもお笑いのために)、大好きです。
あとアランさんのちょっとしたうっかりが元でけっこう人がバンバン死にます。そういう意味ではたしかに命のはかなさも描かれていますが、泣けるというより、むしろ笑えます。そういう時「やっちまったものは仕方ない」と言って済ませてしまうアランさんが、すごく頼もしく感じられました。なるたけやらないように気をつけたいとは思いますが、人間、やっちゃう時はやっちゃうものですよね。
スウェーデン映画というとちょっと前にも『なまいきチョルベンと水夫さん』があり、昨年も『サウンド・オブ・ノイズ』がありましたが、まあヘンテコなセンスの映画が多くて素敵です。
さて、以下はほぼ結末までネタバレしちゃってるのでご了承ください。
この映画、途中で脈絡もなくゾウが登場します。「なぜここでゾウなのだ? ゾウを出す必然性はあるのか?」と少なからず当惑しました。そして考えているうちにふと思い当たることがありました。
思えばアランおじいちゃんは子供のころから絶えず死と深い関わりを持つ存在でした。彼がまったく望んでもいないのにも関わらず、周囲で人がバタバタと死んでいきます。歴史的大惨事の引き金をひいてしまったことさえあります。それでもまったく憎めないところがこのおじいちゃんのすごいところではありますが。
そもそも、彼の父は避妊を強行に主張したことで死ぬことになり、アランさんも成り行きで生殖能力を奪われてしまいます。「生」「誕生」を否定したような存在、と言えなくもありません。
しかしそんなアランじいちゃんが、旅の途中でゾウと会って以降、なぜか若いカップルの仲立ちをすることになります。彼らはやがて子供を生むかもしれません。そうだとしたら、アランさんはようやっとここで人の「生」に手を貸すことになります。
こう言ってはゾウさんに非常に失礼なんですが、ゾウの頭部というのはなかなかチンコに似た形をしています。クレヨンしんちゃんもそう歌っています。つまりこのゾウさんは失われたアランさんの金玉を象徴しているのではないかな、とわたしは考えたのでした。お上品な皆さん、どうもお目汚しでありました。
『100歳の華麗なる冒険』は第1陣がぼちぼち終了したころですが、まだこれからかかるところも多くあります。詳しくは公式サイトをご覧ください。
実は東京まで観にいったのに、数日前近くの静岡東部での上映が決まりました(笑) でも仲良しのお友達と一緒に観られたからいいのさ!
Comments
こんばんは〜メリークリスマス!
これはすごい面白かったですよね〜!
その節はどうもお世話になりましたん。
先日も楽しかったですね〜。すがやんは遠くからエンヤコラお疲れ様です。
爆発シーンは面白いし、笑いのシーンは全く文句なく面白いしで
本当に気に入った作品になりました。
もうねこりんツボったツボった。
すがやんのおかげだもんね。
ところで、ホビット決戦のゆくえはまだ書いてないですよね?
書く時、良かったらトーリンの絵を書いてくれない?
そんで私にください。
実は今日、「トーリン」という技を覚えたのだ!
版権キャラを使うと登録抹消になってしまうので、自作の絵をみんな使ってるの。
いつもの白黒のヘタウマなやつで構わないんで、よろしくでーっす。
あ、ブログに挙げたやつをそのまんまもらうのでもよいのよ。
Posted by: とらねこ | December 25, 2014 08:02 PM
>とらねこどん
先日も先先日もどもども~
とらねこどんにいっぱいお仕置きされて幸せだっった…(M)
この映画は一人で見るよりも誰かと一緒に爆笑しながら観たほうが幸せな映画だと思いました!
あとやっぱり爆発は男のロマンですよ…
ホビットは年末の〆にとってあって今週末にようやっと観るのです。みたらヘタッピながらもトーリン書くからもうちょっと待っててねー
とらねこどんの年間ベスト楽しみにしてるよん
Posted by: SGA屋伍一 | December 25, 2014 11:40 PM