« 恋活ライオン丸 クリストフ・ガンズ 『美女と野獣』 | Main | トランシルバニア・ファミリー ゲイリー・ショア 『ドラキュラZERO』 »

November 19, 2014

超人ロック冒険記 ブレット・ラトナー 『ヘラクレス』

Hcrs1アキレス、ペルセウス、オリオン、オデュッセウス… ギリシャ神話の英雄は数あれど、その中でももっとも怪力で知られるのは誰でしょう。そう、ご存知ヘラクレスですね。そのヘラクレスの伝説を、ベテランのブレット・ラトナーが新解釈で映画化。『ヘラクレス』(まんま)ご紹介します。

古代ギリシア。12の難行により様々な怪物を倒してきたと噂されるヘラクレスは、傭兵としても無類の強さを誇り、近隣の多くの勢力から恐れられていた。そのヘラクレスの評判を聞きつけ、トラキアから王女が助力を頼みにやってくる。王女が言うには、トラキアは侵略者レーソスの狼藉に苦しめられているとのこと。弱き者のために…と彼女の依頼に応じたヘラクレスだったが、非戦闘民を戦士として鍛えあげる務めまで任され、多くの苦労を背負い込むことになる。

主演は最近『ワイルドスピード』などで大活躍の「ロック様」ことドウェイン・ジョンソン。ロック様が長髪で古代の英雄を演じておられるとむかしなつかしの『ハムナプトラ』スピンオフ、『スコーピオン・キング』を思い出します。しかしあのころと比べるとさすがにロック様も顔のしわが増え、いい年になられたなあ、と感じ入るのでした。

さて、ヘラクレスといえばまず怪獣退治で知られた(架空の)人物です。当然息つく間もなくモンスターたちとの一大バトルが繰り広げられるんだろうなあ…と予想してました。ポスターも予告ももろにそんな感じでしたしね。ところが怪獣たちの出番はほとんどありませんでした。ていうか想像の中だけにしか出てきませんでした。
実はこの映画、もしヘラクレスが現実世界に実在した人物だったら?というアプローチのもと作られています。似たような例ではやはりちょっと前の『キング・アーサー』がありました。まあアーサー王は確か怪獣とは戦ってませんでしたけどね… というかさびしいことですが、怪獣はこの世には実在しません。ではヘラクレスがやっつけてきたと言う怪物たちは一体なんだったのか? このあたりになかなか面白い工夫がなされていました。ギリシャ神話の好きな方であれば、ケンタウルスやヒドラ、ケルベロスの正体をチェックしながら観ていくと楽しめるでしょう。

あと神話のヘラクレスはおおむね一人で危険地帯へ足をズカズカ踏み入れていきますが、この映画では彼に忠実な仲間たちがいたことになってます。このメンバーがなかなかに個性豊かです。「オレ、今日死ぬと思う」と勝手に自分の死亡フラグを立てまくる預言者、口だけ達者なヘラクレスのおい、普段は病んでる系ながら戦場では無類の強さを発揮するあんちゃん、いかにもアマゾネスっぽい女戦士、戦いも好きだけどそれよりもお金が好きなおじさん…などなど。

「神話や伝説の奇跡は、実はこういうことだったんだよ」と種明かししていく話というのは、辛気臭い、地味な話になりがちなものです。しかしこの『ヘラクレス』後半のテンションの盛り上がりは、本年度のアクション映画の中でもかなりハイレベルなものでした。ツイッターでも特に体育会系な映画ファンからは熱狂的な支持を得ていました。
まあいくつか「それはどうかな?」というところもないではないです。いくら力持ちでもそれはないだろ…とか、王様の性格が前半と後半でかなり違う…とか。
しかしそうした細かい疑問も、まさにヘラクレスのように熱気で勢いで強引に押しつぶす映画でした。そういう映画、わたしは大好きです。
わたしは前から信じてましたよ。ブレット・ラトナーはやれば出来る子だって。この辺でいい加減『X-MEN:ファイナル・ディシジョン』も再評価されればいいのに。

Hcrs2なんか知りませんけどいま米国ではぷちっとヘラクレスブームらしくて、少し前にも『ザ・ヘラクレス』という映画が公開されていました。また今月初めには『ヘラクレス 帝国の侵略』という作品もDVDで出てます。まあ日本ではそのブームが一向に伝わってない感じですけど…
(何もついてない)『ヘラクレス』は現在全国で上映中ですが、今週金曜終わるところが多いようです。ロック様の力技をその目で観てみたいという方はぜひ。


|

« 恋活ライオン丸 クリストフ・ガンズ 『美女と野獣』 | Main | トランシルバニア・ファミリー ゲイリー・ショア 『ドラキュラZERO』 »

Comments

伍一くん☆
基本マッチョさんは好きじゃない私ですが、長髪でムキムキなのにオレ様じゃないヘラクレスはとても魅力的に見えました。
まさかそれはないでしょう?なシーンも含め、なかなか面白く観られました♪

Posted by: ノルウェーまだ~む | November 24, 2014 10:41 PM

>ノルウェーまだ~むさん

ロック様もかつては怖い印象でしたが、最近は目元にやさしげな空気を漂わせていて「うほっ いい男♪」と思わずにはいられません
「それはない」のシーンではプロレスラーつながりで「元気があればなんでもできる」の言葉を思い出しました!

Posted by: SGA屋伍一 | November 26, 2014 11:03 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 超人ロック冒険記 ブレット・ラトナー 『ヘラクレス』:

» ヘラクレス/ロック様と仲間たち [MOVIE BOYS]
マッチョ俳優ドゥエイン・ジョンソンがギリシャ神話に登場する半神ヘラクレスを演じるアクションムービー。共演には『スノーピアサー』のジョン・ハート、『恋に落ちたシェイクスピア』のジョセフ・ファインズらが出演している。監督は『X-MEN:ファイナル ディシジョン』のブレット・ラトナー。如何にもハリウッドらしいケレン味と、派手なアクションに人間ドラマのエキスをまぶした映画らしい映画だ。... [Read More]

Tracked on November 19, 2014 11:16 PM

» 「ヘラクレス」伝説のつくりかた [ノルウェー暮らし・イン・原宿]
実はあまりマッスル映画は好きじゃないので、基本的にはさほど期待しないで観に行ったのだった。 ところが!案外面白いよ~♪ 12の難行をこなした勇者ヘラクレスが、全能の神ゼウスと人間の息子として伝説が神話となって語り継がれるようになったいきさつが良く解って、私の苦手なギリシャ神話ファンタジーとは一線を画していたのがとにかく気に入ったwa☆... [Read More]

Tracked on November 24, 2014 10:37 PM

» 「ヘラクレス」ジャパンプレミア試写会 [ここなつ映画レビュー]
舞台挨拶付きジャパンプレミア試写会に文字通り「参戦」。会場はドウェインファンの熱気に溢れ、ああこの人のレスラー人気ってまだ衰えていないんだな、と実感。ザ・ロックはもちろん今や俳優であり、ハリウッドスターとしてアクション作品のドル箱なのであるが、やはりそこはそれ、本物は何か違う。舞台挨拶付きプレミア試写会では異例の一般人も写真撮影OKの大盤振る舞いで、登場した本人でさえ自分のiphone(だか何だか)で会場と自らを自撮りする始末。司会の辻良成の声も冴え渡り、グレートムタまで参戦。かなりノリノリのジャパ... [Read More]

Tracked on December 09, 2014 05:03 PM

» 『ヘラクレス』をミラノ座1で観て虚々実々だふじき★★★ [ふじき78の死屍累々映画日記]
五つ星評価で【★★★筋肉こそ愛、筋肉こそ力、みたいな映画】    予告と本編の関係が「いがみ合ってる」みたいで大笑い。 予告のヘラクレスは伝説のヒーローであり、 本編の ... [Read More]

Tracked on December 10, 2014 11:20 PM

» ヘラクレス [銀幕大帝α]
HERCULES 2014年 アメリカ 98分 アクション/アドベンチャー 劇場公開(2014/10/24) 監督: ブレット・ラトナー 『ペントハウス』 製作: ブレット・ラトナー 出演: ドウェイン・ジョンソン:ヘラクレス イアン・マクシェーン:アムピアラオス ルーファス・シ...... [Read More]

Tracked on February 27, 2015 02:07 AM

» ヘラクレス [いやいやえん]
【概略】 神々の王ゼウスと、人間の女の間に生まれたヘラクレスは、恐るべき怪物と戦う〈12の難業〉を成し遂げ、生ける伝説となる。時は流れ、紀元前358年。アテネ王に仕えていたヘラクレスは、最愛の妻と子供たちの死を機に傭兵となり、金のために仲間と諸国を転戦していた。ある時、トラキアの国王に、反乱軍から国を守ってほしいと頼まれるが、戦地で彼らを待ち受けていたのは過酷な戦いと卑劣な罠だった…。 アクション ドウェイン・ジョンソンさんがヘラクレス役を、でもてっきり神話の怪物たちと戦う話かと思... [Read More]

Tracked on March 11, 2015 01:19 PM

« 恋活ライオン丸 クリストフ・ガンズ 『美女と野獣』 | Main | トランシルバニア・ファミリー ゲイリー・ショア 『ドラキュラZERO』 »