よみがえる葉っぱ隊 クリス・ウェッジ 『メアリーと秘密の王国』
最近海外のキッズアニメ公開に力を入れているイオンシネマさん。先回の『ミニスキュル』と同じくこちらもイオン限定で現在一応上映中です。『メアリーと秘密の王国』、ご紹介します。
その森では古より生命を司る小人たちと、腐敗を司る小人たちが長い戦いを続けていた。「生命」の側に属するノットは女王を守る「リーフマン」となるよう父代わりのローニンから鍛えられていたが、彼にはそれが重荷だった。
一方その森に引っ越してきた少女メアリーは、わけあって離れて暮らしていた父との生活に不安を感じていた。そんなメアリーの気持ちをよそに科学者である彼女の父は「森に住む小人」の存在を熱っぽく語りだすのだが…
原題は『Epic』。叙事詩という意味だそうです。CGアニメの雄といえばもちろんディズニー&ピクサーの大帝王ですが、それに必死で高レベルの作品で対抗してるのがドリーム・ワークス・アニメーション、そしてこの『Epic』を手がけているブルースカイ・スタジオです。代表作は『アイス・エイジ』シリーズや、昨年ようやっと日本でも公開された『ブルー 初めての空へ』など。他の二社よりもさらに友情や家族の絆をメインに打ち出した作品が多いような気がします。
お互いの種族の主人公であるメアリーとノットは、それぞれ父親的存在との間にぎこちないものを感じています。似た立場の二人が共に数々の冒険に挑んでいくうちに成長し、ゆっくりとそのわだかまりを解いていくあたりがこの作品の「幹」と言えるでしょうか。
一方「枝葉」となるのは最新のCGで描かれた小人の世界。リアルな自然とデフォルメされたファンタジー描写が絶妙なバランスで配合されています。特に目をひくのは葉っぱの鎧を身にまとう騎士「リーフマン」。強度的に疑問が残りますが、色鮮やかな緑がかっこいい。そしてこのリーフマン、鎧や武器のデザインがいちいち日本の時代劇を彷彿とさせるのです。リーダーの名前が「ローニン」なのですから、これはもう確定でしょう。むこうにおける黒澤明の影響力を改めて感じ入りました。
そしてリーフマンたちが駆るのはもちろん馬ではなくハチドリです。このハチドリに乗ってキーンと飛んでく様がまたかっこいい。ただし半人前のノットが乗るのがスズメちゃんだったりするのおかしくてかわいかったです。
しかし自然の生き物というのはかわいいものだけではありません。不気味で気色悪い連中もいます。この映画はその辺の描写でも手を抜いていません。特に目立つのがコメディ・リリーフとなるナメクジとカタツムリのコンビ。まあずっと見てれば粘液まみれのこいつらにも愛着がわいてくるかな~
1.7mの人間と妖精のような小人さんとの交流は、むかしなつかし『ミクロイドS』や『冒険コロボックル』『とんがり帽子のメモル』などを思い出させます。最近でも『かりぐらしのアリエッティ』がありました。逆に「こちらの方が小さかったら」という視点で作られたのが『進撃の巨人』でしょうか。来年にはアリのように小さくなれるヒーロー『アントマン』の公開も迫っています。この大小差をモチーフとした物語は時を越えて多くのクリエイターの興味をそそるようです。
『メアリーと秘密の王国』は本当は本日終了の予定でしたが(^_^;一部の劇場では延長が決定しました。くわしくは公式サイトをご覧ください。本国公開から1年半経ってるので、来月頭にはもうDVDも出ます。
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