怪獣王(何度目かの)復活 ギャレス・エドワーズ 『ゴジラ GODZILLA』
当ブログ開設直前(笑)の2004年末の『ゴジラ FINAL WARS』から約9年半。日米の違いこそあれ、ようやくあの怪獣王が永い眠りから帰ってまいりました。すっかりブームに乗り遅れてしまった感はありますが、『GODZILLA』紹介いたします。
1999年、フィリピンで謎の巨大生物の化石と卵が発見される。その場所にはやはり巨大な何かが海へと這い出て行った痕跡も残されていた。それからほどなくして、日本のジャンジラ市で原発が何らかの原因により暴走。以後ジャンジラは厳重に封鎖され、人の出入りできない土地となってしまう。
15年後、子供のころジャンジラに住んでいた青年兵、フォードは父・ジョーが日本で逮捕されたという報せを聞いて現地へ向かう。ジョーは妻を死においやった原発事故の真相を暴こうと、立ち入り禁止区域への侵入を試みたのだった。ジョーをいさめながらも結局その情熱にほだされたフォードは、二人でジャンジラへの潜入を試みる。二人は町の奥深くで、いずこかの研究施設により保護されている大きな「繭」を目撃。彼らが見守る中、その繭は激しい鼓動を刻み始めた…
エメリッヒが作った前のハリウッド版(1998)の翌年からお話が始まってるあたりに、なにかこう、作為的なものを感じます(笑)
1954年の第一作から60年、ゴジラは時代と共に様々に立ち位置を変えて参りました。核の象徴といわれたり、憎めない暴れん坊として描かれたり、子供のヒーローとして活躍したり。単純なモンスターとして扱われることもあれば、旧日本軍の怨霊として現れたこともありました。
で、今回はどうかというと、これは劇中で渡辺謙さんがきっぱりすっぱり言っちゃってくれます。
「人間は自然には決して勝てない」と。
つまり今回のゴジラは人間を脅かす自然の猛威として描かれています。たしかに人間がいくら文明を発展させ、巨大な建物をこしらえたとしても、ひとたび自然が暴れたらほとんどのものはこっぱミジンコになってしまいます。劇中の「ゴジラを殺すために原水爆の実験が行われたが、大した効果がなかった」というくだりは、かつて「核兵器を投下してハリケーンを消滅させる」というのんきな計画があったことを思い出させます。しかし実際はハリケーンのエネルギーは当時の核の核兵器の数十万倍はあり、この一件をとってみても自然災害さんはレベルが違うな…と言わざるを得ません。
じゃあビッグな災害が押し寄せたら人間は諦めるしかないのか。そうではないことをギャレス・エドワーズ監督は主人公親子を通じて語ります。ジョーは災害の原因を必死でつきとめようとし、フォードは自分含め多くの人の命を救うべく奔走します。その努力が報われるという保証は全くないにもかかわらず。こういうアリさんのような立場から怪獣=災害を見つめる、という姿勢は確かに第一作を踏襲していると思いました。
あと自然は感情も何もありませんが、そのあまりのパワーを目にして信仰を抱いてしまう者もいる、みたいなこともちょこっとですが描かれてましたね。この辺は元寇の役の時の台風を日本人が「カミカゼだ」と思いこんだあたりとも似ています。
まあ語り口が真面目すぎるゆえか、エンターテイメントとしてはクライマックスに至るまでがなかなかたるいというか、テンポがややずれてるようなところはあります(^_^; これはギャレス監督の特性ですかね… デビュー作の『モンスターズ/地球外生命体』
でもそういうところはありました。監督は違いますが春のリメイク版ロボコップもそんな感じでした。
だがしかし、です。映像的ド迫力という点では『モンスターズ』や『ロボコップ』のはるか上を行っています。怪獣たちの破壊力を体感するだけでも、映画館に行く価値は十分にあります。まだ観てない方はぜひアリさんの立場になって、できるだけでかいスクリーンでそのインパクトを味わってほしいもの。
ちなみにギャレス監督が一作目以外で特に好きなゴジラ映画は『ゴジラ対ガイガン』だそうで… わかんねー(笑) 真面目一辺倒のようで、怪獣バトルにわくわくする、そんな子供心もきちんと持ち合わせているようです。
『GODZILLA』は既に世界中での大ヒットを受け、2018年に続編公開が決定しています。4年後ってオリンピックかい!? たぶん2016年にスターウォーズのスピンオフも撮らねばならないギャレスさんのスケジュールを考慮してのことかと思われますが。
続編ではモスラやキングギドラも登場するとの噂。楽しみのような心配のような… いやいや、めっちゃ楽しみですよ!
Comments
おー、『ゴジラ対ガイガン』! やっぱり~:-)
本作のテイストは『対ガイガン』に近いと思っておりました。やっぱり次作にはアンギラスを登場させて、「おい!アンギラス」「なんだい?」って掛け合いをやって欲しいです。
Posted by: ナドレック | August 25, 2014 11:40 PM
伍一くん☆
ゴジラの猛威には誰もかなわないという、アリさんのような人間の右往左往が描かれていて、なかなか良かったですねー
ガイガン知らないけど、監督は怪獣バトル好きなら、次作はかなりリクエストに答えた作品にしてくれるのかな?
私はどの作品でも怪獣が戦いいてる間、寝ちゃうんだけど・・・(汗)
Posted by: ノルウェーまだ~む | August 26, 2014 04:57 PM
>ナドレックさん
またまたありがとうございます
『対ガイガン』…近いかな? 強いて言うならMUTOさんのシャープでメカっぽいデザインがそれっぽいといえばそれっぽいような
あれは確か若き漫画家が主人公でしたっけ。子供のころはけっこう好きでした
Posted by: SGA屋伍一 | August 27, 2014 09:30 PM
>ノルウェーまだ~むさん
寝ないでください… ま、確かにおしゃれ女子には不向きな映画だったと思いますが
『対ガイガン』はそれこそ40年くらい前の映画ですかね。すでにウルトラマンがだいぶ台頭してきてるころ
次はモスラとかキングギドラまで出てくるという話。ハチャメチャになりそうな気もしますがギャレスさんの手腕に期待します
Posted by: SGA屋伍一 | August 27, 2014 09:37 PM
こんばんは
これ観ました。
いや、ゴジラって名前しか知らなかったのですが・・・それまでも。
だから過去の作品と比べようもなかったのですが。
期待を大きく上回って…面白かったです!
なかなかゴジラがでてこないので少し待ちくたびれましたが。
戦いのシーン見とれてしまいました。かっこいい!
しかし渡辺謙さん・・・いつも憂い顔で解説するばかりで・・・ちょっともったいない。もっと見せ場があるかと思いきや。
監督さんの名前も怪獣っぽいですね。ギャレス?
Posted by: なな | September 30, 2014 10:20 PM
>ななさん
こんばんは 楽しめたようでよかったです
今回のゴジラはB級好きからは「たるい」と言われてたりしますが、人間ドラマの好きなひとたちからは割りと好評のようで
そうそう、ゴジラなかなか出てこないんですが、考えてみれば第1作や1984年版もそうでしたし。ゴジラに限らずこうやってもったいつけるのは怪物映画のお約束でした(ジョーズ、エイリアンなど)
監督の名前はガメラと熱戦を繰り広げたギャオスと似てますね(笑)
Posted by: SGA屋伍一 | October 01, 2014 08:26 PM