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June 05, 2014

アンドロイドは電磁エンドの火花を散らすか 石ノ森章太郎 下山天 『キカイダーREBOOT』

Img00672電流火花が体を走る~♪ 本日は40年ぶりの復活で喜ばしいはずなのに、例によって特撮ファンの間に物議をかもしちゃってる(^_^;『キカイダー REBOOT』を紹介します。スイッチ~~オン!

現代日本。災害救助や資源発掘のためロボット開発に携わっていた光明寺博士は、スポンサーである政府の機関が、彼の研究を軍事目的に利用しようとしていることを知る。激怒した博士は研究のデータをある場所に隠したが、ほどなくして彼は不可解な死を遂げた。
それから少し後、博士の遺児であるミツコとマサルは、突然謎の集団により拉致されかかる。二人の窮地を救ったのは、博士が作ったアンドロイド、「ジロー」こと「キカイダー」だった。

説明不要とは思いますが『キカイダー』とは第二次特撮ブームに作られた石ノ森最章太郎原作の特撮ヒーロー。鉄腕アトムのように自分が「作られた機械」であることに悩む主人公の姿が、根強いファンを生んだ作品でした。さて、最近の東映の特撮映画というのは、ほとんどがTVシリーズの番外編であります。地獄のようなスケジュールの合間を縫って作ってるわけですから、当然かけられる時間と完成度には限界があります。
それらはそれらで楽しんでいたわたしですが、ここらでハリウッド映画のように、ちゃんと映画だけで独立したヒーロー映画が観たいと思っておりました(東映以外だと少し前に『電人ザボーガー』がありましたが)。
そんなところへ流れてきた『キカイダー』新作の予告編。おお、これはかなり気合入ってる! 少なくとも予告だけならハリウッドとそんなに遜色ない!と、期待に胸躍らせたのでした。では結果はどうだったでしょう(笑) 

まず主演の俳優さんがロボットに見えるかどうか。これは新人さんのぎこちなさゆえか、一応それらしく見えました。序盤・中ごろのスピーディな戦闘シーン、スタイリッシュでありながら旧デザインを踏襲した造形もよかった。なぜいまロボットであり、「キカイダー」なのか。その題材を選んだ理由もきちんと作中で語られ、十分納得のいくものでした。
で、ストーリーの方… 以下は中盤過ぎまでネタバレしちゃってるのでご了承ください。

導入部、ヒーローの登場、序盤の見せ場、そこまではけっこう食い入るように見てました。少々長いかな~と思いつつも、逃亡するジローと姉弟の交流のくだりも『ターミネーター2』のようで好感が持てました。問題はその後です。
戦闘を制御する「良心回路」のゆえか敵組織のアンドロイドに敗北を喫したジローは、ミツコとマサルが投降したことにより救われます。ここから自分の「使命」を失ってしまったジロー君の自問自答がここからえんえんと始まります。その辺がやっぱりくどくて長い(笑) もう少しコンパクトにまとめられなかったものかと思います。
そしてここが『キカイダー REBOOT』の最大の問題点というか特異な点なんですが、ヒーローであるキカイダーが後半から救う側から救われる側になってしまうんですよ。ヒロインはもう完全に安全圏内にいるのに、無茶をするジローを助けるために自分から危険な領域に飛び込んでしまうのですね。
まあジローの存在自体がヒロインを精神的に救ったとも言えないこともないし、こういうヒーロー像も斬新といや斬新です。ですが「スカッとするか」と言えばどうにも厳しいものがありますcoldsweats01

ヒーローものだから必ずしもカタルシスがなければいけない…とはわたしは思いません。でも爽快感を犠牲にするのであれば、もっと観客の心にズシンと来る様な衝撃というか「狂気」がなければならないと思います。『キカイダー REBOOT』には「本気」は十分感じられたけど、そこまでの「狂気」は正直感じられませんでした。

しかし、です。ようやくこのような特撮映画が本気で作られるようになったのですから、そのことをまず喜ばなければなりません。何事も最初から100点満点が取れるわけではありません。ここをスタートとして、さらなる高みを目指してほしいものです。
で、課題としてあげておきたいのはやはり「脚本」ですね。日本特撮界には小林靖子、太田愛、長谷川圭一といった豪腕ライターたちがいらっしゃるので、そうした方たちを積極的に起用していただきたい。小林さんなんかはTVで手一杯かもしれませんが、いつか時間が空いたらね…

というわけでいろいろくさしてしまいましたが『キカイダー REBOOT』、無理と知りつつそれでも多くの人に観てもらいたいです。日本の特撮映画がなんとか次の段階へと進むために。Img00673


予断ですが、原作漫画『人造人間キカイダー』のラストはかなりひどいです。「衝撃的だ」と見る向きもあるようですが、あれはやっぱりひどい(笑)折りよくコンビニで廉価版が全二冊で出るようなので映画と合わせてぜひごらんください!(それで薦めてるのかお前は!)

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Comments

せっかくニア・ビジンダーを出したのにボタンを外す、外さないの下りを一切やらなかったので減点10000点です。

Posted by: ふじき78 | July 06, 2014 at 06:56 AM

>ふじき78さん

そういえばキカイダー01はムダに微エロな展開が多かったと聞きます。それが石ノ森テイストの本領(というか石ノ森漫画はもっと直接的だったか)

Posted by: SGA屋伍一 | July 07, 2014 at 10:43 AM

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