グラディエイ・タイタニック ポール・W・S・アンダーソン 『ポンペイ』
なぜか今年はハリウッドの古代系・神話系の大作が目白押しでございます。その先陣を切るのがこの作品。あの『バイオハザード』シリーズのポール・W・S・アンダーソン(…)がローマ史の悲劇に挑む『ポンペイ』、ご紹介します。
時は西暦79年。幼少のころ一族をローマ軍に滅ぼされた男は、人買いにさらわれた後剣闘士として育てられ、その才能を開花させていく。やがて男は当時栄えていた街ポンペイで試合をすることになる。その旅の途上、男はカッシアという心優しい貴族の娘と出会う。ポンペイで開かれた祝宴で再会した二人は互いに惹かれあう。だがその晩、街のそばに位置するベスビオ山では異変の兆候が現れていた。
世界史で火山の惨劇というとよく出てくるのがこのポンペイの話。ちなみにわたしもよく混同してましたが、今はムンバイと言われているインドの都市は「ボンベイ」です。濁点と半濁点の違いですね。
あらすじを聞いたとき、「『タイタニック』と『グラディエイター』を足して割ったような話だなあ」と思いましたが、実際に観てみてどうだったかというと… かなりそれに近かったです(笑) そんな既視感こそありましたが、いろいろ良かったところもありました。
まず前半、あのバイオの監督が作ったとは思えないくらいお話が重厚で現実的に出来てる。わたしが特にひかれたのは主人公と、剣闘士のチャンピオンとの友情の部分。最初こそ角つき合わせていたものの、お互いの誠実さや剣技に関心して次第に認め合う二人。しかし親しい友となってもやがては市民の余興のために殺しあわなければならない… わたしこういうの(いい意味で)ダメなんです。本当にあのポール(・ボンクラ)・アンダーソンがこんな哀愁溢れるストーリーを作れるとはねえ…
ただお話も後半の大噴火のあたりになってくると、次第に監督本来の持ち味が目だってきます(笑) それはもう乱れうちのように火山弾が景気よく飛んでくるんですが、周りの人たちが片っ端から直撃を食らっていてもなぜか主人公二人には当たらないという… まあその辺をつっこむのは野暮ってもんでしょうか。
あと以下はネタバレですが
ディザスタームービーってのは概ね結末が決まってて、普通は「主人公たちは助かる」「主人公が犠牲になってヒロイン・子供は助かる」というところに落ち着きます。しかしこの映画はそのふたつにあてはまりません。ある意味非常にリアルで、ディザスターものとしては斬新な結末。しかしまあ爽快なエンターテイメントを期待していくと「納得いかーん!!」ということになるかもしれません。だっていい人も悪い人も見ようによっては結局みんな同じ最後なわけですからね。ただ、主人公たちと悪役たちの死に様で決定的に違うところがあるとすれば、それは「満足して死ねたか、そうでないか」というところだったと思います。
昔の人は今以上にいつ死んでもおかしくない境遇だったのでしょうけど、そんな命のはかなさについて感傷的にさせられる映画でした。
本当にあのポール・W・S・アンダーソンがこんな映画を作るとはねえ…(くどい)
そのポールさんはいよいよこのあと『バイオハザード』の完結編に取り組むようです(一回終わったはずなんだが)。個人的には楽しみにしてます。
古代史劇・伝説ものはすでに『ノア 約束の舟』が大ヒット公開中。さらに『300 帝国の進撃』『ヘラクレス』『ザ・ヘラクレス』(…)『エクソダス』と続きます…
下の画像は前売り特典の「ベスビオ火山大噴火箱ティッシュ」。誰だこんなの考えた人
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