インビジブル・アフェア ジョニー・トー 『名探偵ゴッド・アイ』
映画では『コナン』が、ドラマでは『シャーロック』が注目を集めていますが、いつの世も人は名探偵が好きなもの。今日は中国の鬼才ジョニー・トーが生み出した風変わりな名探偵をご紹介します。『名探偵ゴッド・アイ』、まずはあらすじから。
女性刑事ホーは、ある事件で上司から盲目の探偵ジョンストンのあとをつけるように命令される。ジョンストンの行き先を追って、警察は掠め取るように犯人を逮捕。彼の推理能力に感嘆したホーは、報酬と引替えに行方不明となった学生時代の友人を探してくれるように依頼する。
原題は『盲探 Blind Detective』。主演がアクションもこなすアンディ・ラウなので、てっきり座頭市のように超感覚で悪者たちをばったばったとなぎ倒すのかと思ったら、これがてんで弱い。凶悪犯に追いかけられるとこけつまろびつしながら、ひたすらホーに助けを呼び求めます。ハンデがあるからしょうがないとはいえ、はっきり言ってかっこ悪い(笑)
では変りに探偵としての能力は抜群なのかというと、これもかなり適当…なように見えます。なぜかというと捜査の途中で意中の美女を追いかけたり、おいしいものをやたら食べてたりするので。それでも気がつけば事件を解決しているので、やっぱり探偵としては一流なのかもしれません(脚本の力技のような気もしますが)。
ちなみにジョンストンの推理方法というのは、とにかく被害者や加害者の気持ちになりきること。彼が思いを巡らすと事件の関係者が亡霊のように周りに現れる映像はなかなか面白うございました。
そんなわけで先に観たジョニー・トー作品『ドラッグ・ウォー 毒戦』と比べるとあまりのギャップに驚かされました。あっちにもユーモアは感じられましたがひたすらブラックで、かえって作品の非情さを際立たせるように使われていました。
対して『ゴッドアイ』はひたすらハチャメチャでスラップスティック。恐らくジョニーさんが評価されてるのは『毒戦』のようなシリアスな映画なのでしょうけど、馬鹿馬鹿しいものが好きな者としては『ゴッドアイ』の方がツボにはまりましたw
そんなハチャメチャさに花をそえているのがヒロインのホー刑事。落ち着いてみれば整った顔立ちをしているのですが、とにかくせわしなく暴れまわっているので、あまり「美人」という気がしません。日本の刑事物でいうと『あぶない刑事』の浅野温子さんに近い雰囲気があります。ジョンストンの無茶な要求で5、6人の女性に代わる代わるなりきるシーンがあるのですが、そのくだりでぶん殴られたり、階段から転げ落ちたり、タトゥーまで入れさせられたり… まことに気の毒なんですが同時に爆笑させられました。刑事も大変だけど女優も本当にきつい仕事ですよね~
あと女心に無頓着な主人公と、健気で三枚目?な女性との組み合わせはチャウ・シンチーの『食神』『少林サッカー』とも似ています。
そんな『名探偵ゴッド・アイ』ですが、もうほぼ劇場公開を終えて来週にはDVDが出ます。興味のある方はアマゾンかレンタル店で探してみてください。気分が滅入ってるときなどに観ると意外と元気が出てくるかもしれません。
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Comments
こ、これはダメだったあ。
ほら、ぼかあ何といっても真面目だからさあ。
Posted by: ふじき78 | May 07, 2014 10:50 PM
>ふじき78さん
おにいさん、うそつきはきらいだな
っていうかふじきさん私が観る前に「いいよ」ってつぶやいてたじゃないですか! 信じてたのに!!
Posted by: SGA屋伍一 | May 09, 2014 09:46 PM