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May 09, 2014

いかにして私は紅白腹巻の英雄を愛するようになったか アンソニー&ジョー・ルッソ 『キャプテン・アメリカ/ウィンターソルジャー』

Img00611『アヴェンジャーズ』でひとつの頂点を迎えながらも、引き続き力作を送り続けるマーベル・シネマティック・ユニバース。この度そこからまた長く語り継がれるであろうヒーロー映画が誕生しました。第二次大戦時に作られた「超人兵士」の活躍を描く第二弾『キャプテン・アメリカ/ウィンターソルジャー』、ご紹介します。ちなみに第一作『ファースト・アベンジャー』の記事はコチラ

70年の眠りから覚まされたキャプテン・アメリカことスティーブン・ロジャース。未知の軍勢との戦いの後も、彼は軍に籍を置き「アメリカ」のために働き続けていた。だが強引に他国の領土に踏み入る任務や、ますます増強されていく軍備に、スティーブはいつしか悩みを抱くようになっていく。
おりしも上層部に反抗的だった直接の上司ニック・フューリーが何者かにより襲撃される。本当の敵は誰でどこにいるのか。キャプテン・アメリカの周囲で世界を揺るがす大いなる陰謀が、静かに進行し始めていた…

わたしがキャプテン・アメリカを認識したのは90年代中ごろに出版された日本語版『X-MEN』の5巻のエピソード。第二次大戦時ロシアでの陰謀を食い止めるためにウルヴァリンと共に戦う、というお話でした。ジム・リー描くところのアートは非常にかっこよかったものの、頭にちっちゃな羽が生えてて、紅白の腹巻きのような模様があしらわれいるキャプテンのデザインは、正直ちょっと笑えました。
その後幾つかのコミックで彼を見かけましたが、最初のイメージはなかなかぬぐえず。それが急速にひきつけられるようになったのは、やはり2011年の『ファースト・アベンジャー』と、邦訳コミック『ウィンターソルジャー』からでした。
この二つの作品はキャプテン・アメリカの持つ優しさと哀愁を叙情性豊かに描き出し、彼は一躍わたしにとってもっとも重要なヒーローの一人となったのでした。

で、今回の映画版『ウィンター・ソルジャー』です。
はっきりいっこの度の作品、目新しいものはそれほどないんですよね。様々な先達へのリスペクトを集大成して出来た映画といってもいい。しかし作品の各所にスタッフの熱い思いがビシバシとほとばしっておりました。
まずアクションですが、やたら銃をぶっ放したり、ガチャガチャ動き回って画面が不明瞭な作品が多い中で、『ウィンターソルジャー』は誰が(何が)どのように動いているのか非常にクリアになっておりました。
そして巨大な船やビルを背景に、ヒーローたちが縦横無尽に駆け巡り、稲妻のような速さで拳を繰り出し続けます。これ!これ!これ!こそが映画におけるアクションの醍醐味ってやつではないでしょうか。

そして面白いことにこの作品、牧歌的なムードさえあった第一作とはまるで違う雰囲気なのですが、そういうつくりでありながら見事にふたつでひとつの作品として成り立っています。
いろんなところで語られてるところですが、彼が目覚めたとき、単純で純粋な青年だったアメリカはかつての姿とは著しく変っておりました。世界で最も恐るべき国家として、数々の汚れ仕事に手を染めております。
じゃあ自分は21世紀においてなんのために戦うべきなのか? キャプテンは苦悩しますが、すぐに答えを見つけます。70年もの時が経てば人も時代も国も変って当然というもの。しかしそれでも彼はなおも変らぬものがあるということを証明するために戦い続けます。
冒頭で裏仕事をしているキャプテンの腹には、例の紅白模様はありません。それはまあ単純にステルス仕様で模様があったら目立つからなんですが、同時にキャプテンの本来の姿ではないことをも表しています。
しかし自分のなすべきことをはっきりと見出した時、キャプテンは血の赤と純潔の白を今一度腹に刻み込みます。本来ヒーローにとってのマスク・コスチュームというのは正体を隠すためのものです。しかしこの世界ではどうやらキャップの素顔はみんなにはバレバレのようなので、衣装にそういう意味はありません。彼が衣装を身にまとうのは「これこそがアメリカの本当の姿なんだ」ということを知らしめるための、一種のデモンストレーションなのですね。

あと、わたしが映画版のキャプテンにひかれるのは、先も述べましたが彼がどこまでも優しいから。信じた人がどれほど姿を変えようとも、彼自身は変らぬ愛情を注ぎ続けます。まさに「タフでなければ生きていけない。タフなだけでは生きている意味がない」、その言葉の通りに。
そのためにズタボロに傷つきながらも進むことをやめないキャプテンの背中に、わたしは滂沱の涙と鼻水を噴出し続けたのでした。

Img00632いきなりこれから観ても真価がわからない上に、恐らく残りあと一週間という上映期間ではありますが、はっきり言いましょう。

こいつは… 観ないと損するぜ?

『キャプテン・アメリカ/ウィンターソルジャー』、ただいま全国の映画館で絶賛公開中であります!!!!(鼻血)

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Comments

伍一くん☆
GWは楽しめましたかー?

そもそもキャプテンアメリカのコスチュームは、戦時中のプロパガンダのために作られたアピール用のものだったし、伍一くんのいうように、本来の使命というか、本来アメリカが目指したものを再認識する上で重要なアイテムだったのでしょうね。
ちょっとダサダサなかんじも、ある意味彼らしくて良かったのかも。

Posted by: ノルウェーまだ~む | May 10, 2014 at 04:37 PM

>ノルウェーまだ~むさん

ども。GWは一回東京出て映画観たり友達と飲んでたりしてました
キャプテンは名前もそうですけど、このコスチュームがどうも日本での一般ウケをはばんでいるようで
でも一回はまってしまうとこの野暮ったさがたまらない魅力に思えてくるんですよね! キャプテン最高!

Posted by: SGA屋伍一 | May 11, 2014 at 09:28 PM

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