« メリーさんの秘密 ジョン・リー・ハンコック 『ウォルト・ディズニーの約束』 | Main | インビジブル・アフェア ジョニー・トー 『名探偵ゴッド・アイ』 »

April 28, 2014

レッド・ウィング・ダウン ピーター・バーグ 『ローン・サバイバー』

20110一連の「アカデミー有力候補!と言われながら実際にはノミネートされなかった!」作品の最後の一本。もう公開終わっちゃってるっぽいですが… 知られざる「レッド・ウィング作戦」の真実を描いた『ローン・サバイバー』、紹介いたします。

2005年、米軍最強ともうたわれるシールズの精鋭4名は、タリバンの指導者を暗殺すべくアフガニスタンに潜入する。だが作戦遂行中に身を潜めていた彼らは、運悪く土地の羊飼いたちに見つかってしまう。生きて帰せば200人以上のタリバンの追跡を受けることになるのは必定。任務遂行のために、そして生還するために子供を含む民間人を殺すべきなのか。チームのリーダーがくだした決断とは…

監督はピーター・バーグ。この人もよくわからない人で『キングダム 見えざる敵』のような重厚な社会派作品を作ったかと思えば、『ハンコック』『バトルシップ』のような単純おバカなエンターテイメントも撮ったりする。で、今回の作品は実話が元になっているということもあって『キングダム』よりの作品。米軍人が主人公だとそれだけで反米派から「プロパガンダプロパガンダ」と言われたりするもので、本作品もそんな評価をよく見ます。
ただ監督は『キングダム』でいつ果てるともしれない報復合戦のむなしさを嘆いたりもしていたので、「米軍最強! 俺たちが正義だ!!」という主張の人ではないと思うのですよね。『バトルシップ』を思い出すとその印象がちょっと揺らいだりもするのですが(^_^;

わたしがむしろ印象に残ったのは、イデオロギー云々よりも「人の良心」に関してでした。たとえばシールズの隊長は国際世論のことも気になったんでしょうけど、自分を窮地に追いやるとわかりつつ一度つかまえた子供を解放します。「軍隊は人を洗脳する集団」みたいなことも言われますが、「無関係の子供を殺したくない」という思いまでは支配できなかったようで。あとタリバンを敵に回すと知っていながら、それでも主人公を命をかけて助けたアフガンの人たちもいます。立場も国も違えど、世界共通の「これだけはやっちゃいけない」というモラルは確かに存在するんだな、と思いました。そういうモラルが麻痺してしまう例もまた多くありますが…
あととかく人は「○○人はみんなこう」と考えがちですけど、ひとつの国の中にも様々な考え、立場の人がいるということも認識を新たにしました。わたしたちだって「日本人はみんなこう」と思われたら腹が立ちますからね。強いて共通点をあげるとするなら「みんな日本語を話す」ってくらいのものじゃないでしょうか。だから他の国の人たちもなるべくステレオタイプに考えないようにしたいものです。

映画は中盤あたりからとめどなく痛いシーンが頻出しますので、そういうのが苦手な人にはおすすめできません。幾らピンチとはいえ断崖絶壁から躊躇なくジャンプするシールズさんたちには背筋が凍りました。まあコツがあるのかもしれませんが、普通死ぬよね… でも着地してちょっと痛がりながらもまたガンガン戦闘を続ける主人公たちを見て、「シールズすげえ…」って思いました。
一方で地獄のような訓練を積み、最新鋭の装備を持っていても「ダメな時はダメなんだな」ということもよくわかる映画となっています。まあダメとわかっていてもやらなきゃいけないということも時にはありますけんど。

Rsvv2『ラッシュ』『大統領の執事の涙』『LIFE!』『ウォルト・ディズニーの約束』、そして本作と一連の「惜しくもノミネートされなかった」作品群、どれも見ごたえありました。その中では『ラッシュ』が頭一つ抜けて気に入っております。あと『LIFE!』を除いて全部「実話を元にした」話ですね。
そんなわけで『ローン・サバイバー』は主な公開は終わってしまいましたが、惜しくも見逃された「痛い映画」好きな皆さんはDVDか二番館での公開をお待ちください。先に原作『アフガン、たった一人の生還』を読んでおくのもよいかも。


|

« メリーさんの秘密 ジョン・リー・ハンコック 『ウォルト・ディズニーの約束』 | Main | インビジブル・アフェア ジョニー・トー 『名探偵ゴッド・アイ』 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/70832/59547100

Listed below are links to weblogs that reference レッド・ウィング・ダウン ピーター・バーグ 『ローン・サバイバー』:

» 『ローン・サバイバー』を絶賛せよ! [映画のブログ]
 【ネタバレ注意】  この映画のことを考えただけで胸が熱くなる。  米軍の精鋭部隊ネイビーシールズの隊員たちがタリバンの軍勢と戦う本作は、多勢に無勢の戦闘に終始しており、『アラモ』や『300 <スリーハンドレッド>』に通じるものがある。『アラモ』も『300 <スリーハンドレッド>』も、圧倒的多数の敵を前にして、一歩もひるまず戦う男たちのドラマだった。  だが、『ローン・サバイバー』...... [Read More]

Tracked on April 29, 2014 at 12:54 PM

» ローン・サバイバー [風に吹かれて]
差し伸べられた手 公式サイト http://lonesurvivor.jp 実話の映画化 原作: アフガン、たった一人の生還 (マーカス・ラトレル著/亜紀書房)監督: ピーター・バーグ  「キングダム [Read More]

Tracked on April 29, 2014 at 03:10 PM

» 映画『ローン・サバイバー』を観て [kintyres Diary 新館]
14-28.ローン・サバイバー■原題:Lone Survivor■製作年、国:2014年、アメリカ■上映時間:121分■料金:1,800円■観賞日:3月22日、TOHOシネマズ六本木ヒルズ(六本木) □監督・脚本・製作:ピーター・バーグ◆マーク・ウォールバーグ◆テイラー・キッチュ◆エ...... [Read More]

Tracked on May 11, 2014 at 10:03 PM

» 「ローン・サバイバー」 [ここなつ映画レビュー]
マーク・ウォルバーグ好きにはこたえられない作品。でも、マーク・ウォルバーグは主役であって主役ではない。何を言っているのか判らない、というのであれば、こういう風に言えばいいのかな。つまり、主役は全てのソルジャーであり、全ての市井のレジスタンスである。信念を持ち行動する登場人物全て。そしてそれは又、「NAVY SEAL」の強靭さ、仲間力を描き切っていて、誰が取り分けヒーローか、と言うようなものではないということに繋がる。劇場パンフレットを参考に、作品の展開を。(ちなみにこのパンフすごくいい。ストーリーや... [Read More]

Tracked on June 17, 2014 at 04:26 PM

» ローン・サバイバー [いやいやえん]
【概略】 レッド・ウィング作戦に参加した4人のネイビーシールズは、アフガンでの偵察任務中に下した“ある決断”により、200人を超えるタリバン兵と戦うことになる。 戦争アクション マーク・ウォールバーグ、テイラー・キッチュ、エミール・ハーシュ、ベン・フォスター、エリック・バナと共演者が豪華。 苦手な戦争ものではあるのですが、ネイビーシールズがかっこいい映画ではなく、実話に基づいた話なので、シールズ隊員たちを襲う容赦ない攻撃、そして屈することのない鋼の精神と仲間同士の絆が描かれてい... [Read More]

Tracked on November 28, 2015 at 10:50 AM

« メリーさんの秘密 ジョン・リー・ハンコック 『ウォルト・ディズニーの約束』 | Main | インビジブル・アフェア ジョニー・トー 『名探偵ゴッド・アイ』 »