« 氷の世界の車窓から ポン・ジュノ 『スノーピアサー』 | Main | 汝の敵(ライバル)を愛せよ ロン・ハワード 『ラッシュ/プライドと友情』 »

March 05, 2014

新・アスに向かって蹴れ! ジェフ・ワドロウ 『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』

Kajf1_2We are young! We are strong! We're not looking for where we belong!
3年前映画ボンクラの間で絶賛を浴びたあのなりきりヒーローと凶暴ロリヒロインが、満を持して帰ってきました。『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』、紹介いたします。
前作の記事はコチラ

ヒットガールとキックアスがマフィアのボス・ダミーコを葬ってから数年。キック・アス=デイブは平凡な高校生に戻っていたが、以前のような興奮を欲する気持ちが抑えられず、ヒーロー業を再開することを決める。
一方ヒットガール=ミンディは変わらず犯罪と戦い続けていたが、養父の強い願いに折れ、暴力沙汰から足を洗うことを約束する。
有力なパートナーを失って気落ちするデイブ。だがかつてのキック・アスの行動に励まされた者たちが彼の復帰を知り、マスクとタイツを身に着けて集まって来たのだった…

前作は主人公が日常から一歩飛び出して、異常な日々を送った後、また日常に帰っていく… そんなお話だったと思っています。いささか予定調和ではありましたが、全体的にうっかりちゃっかりしたカラーの作品だったので、そんなおとぎ話じみたENDが似つかわしくもあったのでした。
ところがどすこいです。現実では好きに暴力を振るいまくったら、そのまますっと日常に戻るのはとても難しいことなのです。
たとえば一度引退したデイブですが、正義の名の下に振るう暴力の快感を覚えてしまったら、そいつを忘れ去ることは至難の業なんですよね。この辺、ドラッグの惑溺性にも似たものがあります。
また、殴られた側もそのことを忘れてはいません。なんとか復讐を試みようとあの手この手をめぐらします。
前作がやや現実的なおとぎ話風の物語だったとすれば、『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』はそんな現実の難しさや厳しさがちくちくする映画でありました。

あと今回はキック・アスの仲間として適当ななりきりヒーローがたくさん登場します。前作は「思いつきだけでヒーローを初めてしまう」のがキック・アスだけだったし、そういうキャラが斬新だったので笑って見ることもできたのですが、実力も覚悟もともなっていないゆるキャラのような連中が群れをなしていると痛々しいことこのうえない。そしてそんなゆるゆるヒーローがうっかり暴力に手を染めれば、悲惨な事態が待ち受けていることも作品は教えてくれます。

なんだかネガティブなことばかり書いてしまいましたが、多少の「痛さ」に目をつぶれば痛快な映画でありました。特に成長したミンディちゃんが学校でいけすかないチアリーダー?とやりあうシーンは胸がスカーーーッとしましたねえ。ずっと封印していた「ヒットガール」としての素顔が復活するあたりでも拳を握ってしまいましたし。
あと前作で「レッドミスト」だった悪役「マザーファッカー」はやることがいちいち抜けていて、見ていてほほえましい。中途半端な正義の味方にはいらつくのに、中途半端な悪者には癒されるのはいったいどうしてなんでしょう。
マザーファッカーを半端な悪者だとすれば、あまりにも突き抜けちゃってるのがファッカー配下のマザーロシア。恐らく今作中最強のキャラかと思われます。見た目も怖いが腕力もすさまじい。そして女子というところがなぜか一層恐ろしさを引き立てます。

個人的に『ジャスティス・フォーエバー』で特に気に入ってるのはデイブとミンディの関係でしょうか。ミンディちゃんはそんじょそこらの悪党なんかよりもはるかに強いし、精神的にもかなりタフであります。でもそこは十代の女の子ですし、最愛のパパを亡くしたということもあって年相応に繊細な部分もあります。そんな無敵なヒットガールの支えになるのが、へなちょこで実力も乏しいキック・アスだというのがなんかいいjはないですか。ベタベタした恋人同士のようではなく、兄と妹、あるいは年の離れた友人のようなところがまたいい。『ミレニアム』や『バナナフィッシュ』のコンビにも通ずるものがあります。

Kajf2というわけでますます日常へと戻れなさそうなデイブとミンディ。原作者マーク・ミラーは未発表の第3部をもって『キック・アス』の真の完結とすると述べてますが、果たして映画の方は続きがあるでしょうか。ちなみに現時点で世界興収は一応黒字となっております。
『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』は現在全国のシネコンで上映中。一作目んときゃほとんど単館系みたいな扱いだったんだがなー 出世したなー


|

« 氷の世界の車窓から ポン・ジュノ 『スノーピアサー』 | Main | 汝の敵(ライバル)を愛せよ ロン・ハワード 『ラッシュ/プライドと友情』 »

Comments

伍一くん☆
ヘタレなりきりヒーローとしては、鍛え上げて強くなっちゃった本当のヒーローにはシンパシーを感じなかったかな?
思えばこのヘタレ加減がものすごく良かったのに、私もすっかりネガティブな感想になっちゃったわ。
ところで最初の絵は誰~?

Posted by: ノルウェーまだ~む | March 07, 2014 at 11:32 PM

>ノルウェーまだ~むさん

キック君は…本当に強くなったんですかねw  でも彼も今回色々経験して、だいぶ真のヒーローに近づいてきたんじゃないでしょうか
あと前作では普通にヘタレに見えてたアーロン・ジョンソン君がめっちゃキラキラしてて、ヘタレに見え辛かったのも困りものでした
最初の絵は一応クロエちゃんのイメージで。ツイッターでもroseさんやマリーさんに「似てない似てない」とつっこまれました…

Posted by: SGA屋伍一 | March 09, 2014 at 10:22 PM

現実の難しさや厳しさがちくちく
うっかり暴力に手を染めれば、悲惨な事態
中途半端な悪者には癒され
無敵なヒットガールの支えになるのが、へなちょこで実力も乏しいキック・アス
…うーむ。同じです!
我が家の記事にコピペしようかなー。笑
いいよね!(映画が、です)

Posted by: ボー | March 15, 2014 at 07:36 PM

>ボーさん

何度かコメントくださったようですいません…
あまりにもスパムコメントが多いので認証にしたのです
おわびにコピペしてくれてもかまいませんよw
たとえへなちょこであっても、男子たるもの女子の支えでありたいものですな… なかなかよっかかってくれる女子もおりませんけどcoldsweats01

Posted by: SGA屋伍一 | March 16, 2014 at 09:26 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/70832/59243688

Listed below are links to weblogs that reference 新・アスに向かって蹴れ! ジェフ・ワドロウ 『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』:

» 「キック・アス/ジャスティス・フォーエバー」 [或る日の出来事]
いいと思います! [Read More]

Tracked on March 15, 2014 at 07:26 PM

» 『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』に登場しないのは? [映画のブログ]
 続編を作るなら前作よりもスケールアップさせなくちゃ、と作り手の多くは考えるのだろう。  その常套手段の一つが、登場するキャラクターの数を増やすことだ。  ヒーローとして行動しようと孤軍奮闘する少年デイヴを描いた『キック・アス』も、続編『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』ではヒーロー軍団と悪人軍団の集団戦に発展した。  キック・アスに扮したデイヴは、 スターズ・アンド・スト...... [Read More]

Tracked on March 23, 2014 at 10:20 AM

» 「キック・アス/ジャスティス・フォーエバー」 [ここなつ映画レビュー]
言わずと知れた名作「キック・アス」の続編である。B級にも関わらず、ごっつ名作だった「キック・アス」。アメコミの馬鹿馬鹿しさと童貞男子の切なさとヒット・ガールの可愛さに、メロメロになったものだ。口コミが口コミを呼んでヒット作品となった記憶がある。しかしこの「キック・アス/ジャスティス・フォーエバー」。何なのだろう。単なるB級になってしまった。いや、B級にもならなかったかも。少女が大人になり、ヒット・ガールのアクションがほぼ封印され、あの胸張り裂ける哀しく切ない展開が全くなかったのだから、それも然り。旨... [Read More]

Tracked on May 29, 2014 at 01:26 PM

» キック・アス/ジャスティス・フォーエバー [銀幕大帝α]
KICK-ASS 2 2013年 イギリス 103分 アクション/ヒーロー R15+ 劇場公開(2014/02/22) 監督: ジェフ・ワドロウ 製作: マシュー・ヴォーン 製作総指揮: マーク・ミラー 原作: マーク・ミラー 脚本: ジェフ・ワドロウ 出演: アーロン・テイラー=ジョンソ...... [Read More]

Tracked on July 03, 2014 at 02:00 AM

» キック・アス ジャスティス・フォーエバー [いやいやえん]
監督が違うからかな?なんか印象が変わった。ヒーローに憧れるオタク青年と幼少期からヒーローとして育てられた少女が活躍する「キック・アス」の続編で、キックアスたちの影響で増えたヒーローたちと(元レッド・ミストの)マザー・ファッカー率いる悪党たちが衝突するっつー話。 アーロン・テイラー=ジョンソン、クロエ・グレース・モレッツといった主役の続投は嬉しいものの、ヒットガールもまだ幼い少女だったからこそのあのアクションが燃えたんだわ。 前作のインパクトが強すぎたために続編である本作は少々全体的に... [Read More]

Tracked on July 06, 2014 at 09:29 AM

« 氷の世界の車窓から ポン・ジュノ 『スノーピアサー』 | Main | 汝の敵(ライバル)を愛せよ ロン・ハワード 『ラッシュ/プライドと友情』 »