天国に一番近い地獄 堤幸彦 『劇場版 SPEC〜結〜 爻ノ篇』
ブツッと切れたような「漸の篇」から約一ヶ月。無事今度こそ本当の完結編である「爻ノ篇」が公開されました『SPEC 結』。まあ堤さんのことだからスッキリサッパリ終わらないだろうな… とは思ってましたが果たしてその結果は。ちなみにTVシリーズと「天」の感想はコチラ。「漸の篇」の感想はコチラ。
ついに実現してしまった「ファティマ第3の予言」。地球の意思を代表し自らを神とも称する謎の青年セカイは、すでに霊体となっていた多くのSPECホルダーをよみがえらせ、人類の一掃と地球の再生をもくろむ。自分の意思とは関係なく、その計画の鍵となっていた当麻は、セカイのコマとなることを拒絶。ミショウ生き残りのメンバーである瀬文と敢然と立ち向かう。しかしセカイの力はあまりにも強大であった。
え~。SF的要素はあったものの一応刑事ドラマであった『SPEC』ですが、完結編ではなんだかずいぶん遠いところまで来ちゃいました。今回ミショウの二人が立ち向かうのは「人類の滅亡」。もう刑事というか一国の警察の手には負えない領域かと。しかもそれを成そうとするのは物理的攻撃がまったく利かず、手をかざしただけで対象を消滅させてしまうという化物のような男。
それでもひるむことなくセカイに立ち向かっていく当麻と瀬文。傍からはまったく勝ち目のない無謀な戦いのように思えます。だがしかし、圧倒的に大きな敵に迷わず戦いを挑む姿に、少年漫画好きは燃えます。『男組』しかり、『ワイルド7』しかり。果たして当麻たちは弔っていった多くの仲間たちの仇を討つことができるでしょうか。
前作でもありあまるほど炸裂していた脱力ギャグ、今回もそれなりにありましたが、前ほどはひどくなかったかな… それでもこのシリーズのファンでなければポカーンとしちゃうと思います。本当にどうしてそこまでして「餃子ロボ」にこだわるのか。あとわたしが観てたときに一番お客さんに受けたセリフは「全員集合? 平成ライダーかよ」でした。堤さんもやっぱり見てるんですかね、ニチアサキッズタイム。
当麻演じる戸田恵梨香嬢は一時勝手に「『SPEC』10年計画」というものまで考えておられたそうです。うーん。でも収まりの悪いところや新たに出てきちゃった謎(おーい)などもあるけれど、「結」というだけあって見事に終わっちゃってましたね。こっから先はネタバレしていきますがご了承ください。
正直今回のオチは『攻○機動隊』とか『ま○か☆マ○カ』とかぶっちゃった印象もありますが、わたしとしては好みなまとめ方でありました。いろいろさびしいし、瀬文も当麻も気の毒だけれど、ほんのわずか、あるかなしか程度の希望をチラッと匂わせてくれたあたりがね… こういうのに弱いのです。少なくともわけわかんなかった劇場版『ケイゾク』のオチよりもずっとよかったです。
『ケイゾク』といえば今度こそその主人公である二人…柴田と真山が登場するのでは、と期待していたんですが、結局出てきませんでした。というか真山刑事は『結』直前に放映されたTVSP『零』でさくっと「殉職した」なんて語られてたんですが… マジか? そして映画の最後の最後にもうみんな忘れたであろうあの名前が出てきます。まあ堤さんのことだからあんまり深い考えとかなくて、単に「みんなをビックリさせてやれ!」くらいの気持ちで出したものと思われます。
いや~ それにしても本当に終わっちゃったんですね… 『SPEC』。このシリーズは一部から強烈な拒否反応があるせいか、一層愛着が深まってしまってこんなにもさびしい気持ちに襲われるとは思いませんでした。また10年後、世界観を共有する刑事ドラマが出来たりして… いやいやいや、さすがにそれはもういいか(^_^;)
堤印のミステリーは、続けてこちらも長期シリーズとなった『トリック』完結編が来春公開予定です。こちらはわたし一回も見てないんでどうでもいいかなー(すいません)
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