世界が終わるまでは中心で愛を叫ぶ 堤幸彦 『SPEC ~結~ 漸の篇』
「『結』なんてねーから」という言葉で締めくられた『天』より約1年半。予想通り『劇場版 SPEC〜結〜』が公開となりました。完結編は二部作… って一本にまとめんかい! 今日は前編にあたる『漸ノ篇』について書きます。TVシリーズおよび前作劇場版について書いた記事はコチラ。
ニノマエのクローンを必死の思いで倒した「ミショウ」の面々。だが彼らが休息をとる暇もなく、事態は次なる局面を迎える。特殊な能力を持つ「SPECホルダー」を恐れた世界の指導者たちは、彼らを殲滅する「シンプルプラン」を発動。ミショウ係長の野々村はシンプルプランの謎を解くべく当麻と瀬文の前から姿を消す。
…とあらすじを書くとすごく緊迫感が増してるように思えますが、『翔』あたりから目だって来た脱力ギャグが今回も満載。さすがに心の広いわたしも「もっとまじめにやらんかい!」と叫びたくなりました(^^;
映画ファンというものは面倒くさいもので、コテコテの感動路線もハナにつく一方、的外れなギャグの連発にも青筋を立てたりします。まあ、大事なのはあれですよね。バランスですよね。
ただ好意的に解釈するなら、このヘンテコなギャグセンスこそが堤幸彦氏の個性とも言えます。普通なら涙を誘うような場面でも、同時進行でわけのわからんギャグを続ける。こんな変な映画はそうそう見られるものではありません。堤さんもいまのなんでも感動にもっていこうとする邦画界の風潮が嫌いなのでしょう。あるいは普通に涙涙の展開にもっていくことに照れがあるのか…
わたしは個性的な映画が大体好きなので「これもありか」と思えましたが、おおよそ人にはすすめられない作品です。そもそもこれからいきなり観たって話についていけないだろうし。
だのにそんな映画がけっこうヒットしてたりするので世の中はわかりません。ドラマだったころの人気の貯金がまだ利いてたってことなんでしょうけど。
そんな風にいろいろ当惑させられながらも、今回も竜雷太演じる野々村係長には魅了されまくりでした。二部作にわけたのはこの「漸の篇」で野々村係長に花を持たせる目的もあったのかも。それくらい「漸の篇」では輝いておりました。
思えば野々村係長も『ケイゾク』のころから14年に渡って親しまれているキャラクターです。そんな係長がこれまででもっとも華々しい活躍を見せる本作品は、もはや「野々村係長(竜雷太)のための映画」と言っても過言ではないでしょう。
というわけでお話は後編の「爻ノ篇」へと続きます。世界レベルの災厄に立ち向かう当麻と瀬文。彼らを待ち受けているものはいったいなにか… って、もう観てきちゃったんですけどね(^^;
『SPEC』シリーズ完結篇となる『結』は現在全国で前後篇ともに公開中です。ちなみにわたしが「漸の篇」でもっともツボにはまったセリフは「イーデオーン」。これからごらんになるロボマニアはどんなところで使われてるかチェックしてみてください。
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