(精神的に)あぶない刑事 アーヴィン・ウェルシュ ジョン・S・ベアード 『フィルス』
ハリウッドの若手俳優の中でも、演技派として注目を浴びているジェームズ・マカボイ。彼の新作で話題を集めていた『トランス』は結局こっちではやらないようで… ええい! 畜生!
代わりに?もっと公開規模の小さいこの作品がかかりました。よくわかりません。『フィルス』、ご紹介します。
スコットランドはエジンバラで日本人留学生が何者かに殺害される。中堅どころの刑事ブルースはこの事件を解決して昇進しようともくろむが、なぜかその割にはあまり熱心に捜査をしない。ヤクと酒と乱交にふけり、同僚の脚をひっぱり、ケチな犯罪者たちを脅かし、フリーメーソンの友達を罠にかけ… 本当にやることなすこと最低のブルース。彼をそこまで悪事に駆り立てるものはいったいなんなのか。そしてブルースは望みどおり昇進できるのか。
別にファンでもないんだけど、マカボイ君の出演作はよく観てます。『ナルニア国第1章』にはじまり『ラストキング・オブ・スコットランド』『つぐない』『ウォンテッド』『X-MEN:ファーストジェネレーション』… こんなもんかな。
で、これらの作品に例外なく言えるのが、マカボイ君はいっつも撃たれたりボコられたりしてなよなよしてる役だということ。予告を見る限りでは『トランス』でもそんな感じでした。
ところがこの『フィルス』では刑事役ということもあってか逆にボコるボコる。ここらでマカボイ君もMからSへイメージチェンジか!? それとも結局はまたボコられるのか!? 答えはご自信で映画を観てご確認ください。
しかしまあマカボイ君だってイケメンでキャリアも積んでるんだしこんな役わざわざやらずとも… 本当に人として恥ずかしいことのほとんどをブルース刑事としてスクリーンで見せてくれます。ついでに書いておくと「フィルス」には「くず」という意味があります。ところがマカボイ君のコメントを見ると「この役がとてもやりたくてたまらなかった」んそうで。…お主も相当の変態、いや変人よのう。ちなみにひげ面でしかめっ面のマカボイ君はラッセル・クロウによく似てきた気がします。
そんなブルース刑事の暴れっぷりが前半は(多少ひきつつも)観ていて愉快なのですが、彼の過去や秘密が明らかになるにつれ、お話はだんだん切ないムードに。個人的には最初のC調なままで進んでほしかったんですが… どこの国に住んでても、やりたい放題やらかしても、結局人間は「さびしい」という気持ちを失わないものなのかもしれません。
あとこの映画の特色のひとつは舞台がスコットランドというところですね。わたしが思いつくスコットランド関連の映画はあんまりありません。『ブレイブハート』『イリュージョニスト』『007/スカイフォール』くらいかな? 未見ですが今年公開した『天使の分け前』もそうだとか。あと意識してなかったけど同じ原作者の『トレイン・スポッティング』も前半はスコットランドなんだそうです。
『イリュージョニスト』や『スカイフォール』を観た時は「町並みも自然も風情があっていいとこだなあ」なんて思いましたが、この映画を観るとあまり「行きたい」とは思えなくなってきますね(^^; それくらい退廃してるというか、物騒。大体のっけから日本人殺されちゃってるし。もう少し治安が落ち着いたら行ってあげてもいいですけど(そんな金はないですけど)。
クリスマスムードが高まりつつあるこのごろですが、『フィルス』も一応クリスマスムービーと言えなくもないです。こんなひどいクリスマス映画はそれこそ『レインディア・ゲーム』以来ですねw 本当にこの時期落ち込んでいる人が見たらさらにどん底まで落ち込みかねない。不幸をケラケラ笑い飛ばせるような人にこそおすすめです。
『フィルス』公開劇場一覧はコチラ。やっぱ少ない… そしてどこもクリスマスの日を微妙にずらしてあったりして…
Comments
伍一くん☆
あ、なんか途中で送られちゃった(汗)つづきを・・・
ちなみにスコットランドのエジンバラは町全体をホラースポットとして観光ツアーを組んだりするところで、殺人鬼がいた歴史とか、怖い話にはことかかないけど、今は別に物騒なことは無いと思うよー
DVDで「トレスポ」と同じダニー・ボイルの「シャロウ・ブレイブ」がどちらもヤク中の話で、両方見た息子が「フィルス」も行くと。
これは18禁だしっ・・・・・行く末が心配☆
Posted by: ノルウェーまだ~む | December 12, 2013 06:15 PM
>ノルウェーまだ~むさん
そうなんだ… スコットランドのみなさん、すいません。この映画が悪いよ! まったくもう!
それにしても息子さん、映画ファンとしてはなかなか香ばしい方向に育ってますなあ。「あれもいいぞ! これもいいぞ!」といろいろすすめてみたいw
ちなみにこちらは『トレスポ』と比べるともうちょっと悲惨でえぐい感じです。『トレスポ』があんなんでも観ていて愉快だったのは、ダニー・ボイルの手腕のせいもあったんだろうなあ
Posted by: SGA屋伍一 | December 12, 2013 11:23 PM