迷子と迷子の子猫ちゃん ロマン・カチャーノフ 『ミトン+こねこのミーシャ』
チェブラーシカで知られるロシアのアニメ作家ロマン・カチャーノフ。そのカチャーノフのチェブラーシカ以外の作品が渋谷で特集上映されるというので年末進行の合間を縫っていってきました。『ミトン+子猫のミーシャ』というタイトルですが、他にもう2本上映されてます。
☆『子猫のミーシャ』
家の建て替えで寝床を突然ぶち壊されてしまった子猫のミーシャ。雨の中泣いていると作業車両が声をかけてくる…
家をなくした小動物の話ということで、『チェブラーシカ』ぼ別ヴァージョンとも言えるような話。あっという間に家を建てていく車たちに目口がついてるところは『カーズ』を思い出させます。ちなみにこれだけ字幕・セリフがあります。
☆『ミトン』
犬を飼いたいけれど母親から許してもらえない女の子。さびしさを紛らわすためにミトンを子犬に見立てて遊んでいたら、ミトンがまるで本物の子犬のように動きだした…
発想の面白さとキャラクターのかわいらしさが炸裂した傑作短編。高畑勲氏をして「完璧」と言わせた作品でもあります。わたしは楳図 かずお氏の恐怖短編『ねがい』を思い出しました(笑)
☆『迷子のブヌーチカ』
両親の代わりに孫のブヌーチカのお守りをすることになったおじいちゃん。やんちゃなブヌーチカに手を焼いたおじいちゃんは、警察が捕まえにくると言って脅かす。するとちょうどよく?泥棒を追うおまわりさんがやってきて…
セリフのない中で込み入った話をわかりやすく伝える、高度なテクニックが光る作品。箱庭のような町の中を様々なキャラクターや乗り物が駆け回るアクションも面白かったです。
☆『レター』
出征中の夫から手紙が来なくなって胸を痛める夫人。坊やはなんとか母親を元気づけようとするが…
これまた想定の斜め上をいくようなセンス・オブ・ワンダーが印象的な作品。他作品のキャラの目が点かマルチョンなのに対し、この作品の人形はまつげぱさぱさで濃厚なお色気がありました。
チェコの人形アニメにはドライというか皮肉っぽいものが多いですが、カチャーノフの作品には極寒の気候のせいか、哀愁や人情味を強く感じます。本当にこのおっさんは小さくてかわいらしいものをかわいそうな目にあわせるのが好きですね! まあ最後はめでたしめでたしとなるわけですが…
あと「親が子供をちゃんと見ていない」という設定が多いのはなんなんでしょうね? そんな中でも健気にふるまう子供たちを見ていると、人形といえどなんとも言えない気持ちになるのでした。
ちなみにわたしが行ったときは「折り紙教室」というイベントがくっついていました。猫のミーシャが出来上がるはずが微妙に違うものが出来てしまったような…
イベントの模様はこのページの12月23日のところにUPされております…
『ミトン+こねこのミーシャ』は現在渋谷、名古屋で上映中。年明けには大阪でもかかるそうです。詳しくは公式サイトをごらんください。
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