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December 22, 2013

荒野の忠臣蔵 カール・リンシュ 『47RONIN』

47rn1毎年この時期になるとよくやってる『忠臣蔵』。日本人なら誰でも知ってる話ですが、海外となるとどうか。まあボルヘスの『悪党列伝』やアクション映画『RONIN』で触れられてたりするので、知ってる人は知ってるようです。しかしまさかハリウッドで大々的に映画化されるとは思いませんでしたよ… 『47RONIN』、ご紹介します。

昔の日本らしいどこかの国。浅野内匠頭が治める赤穂領内に迷い込んだ少年カイは、目や髪の色が違うことから妖怪とみなされ命を奪われそうになる。だが浅野がかばったことによりカイは命を永らえ、赤穂に住むことを許される。いつしかカイは浅野の姫と思いを通じる仲になっていた。
そんな二人の思いをよそに、肥沃な赤穂の地を狙う一人の大名がいた。彼の名は吉良上野介。吉良は手下の妖怪と共に赤穂藩をのっとるべく計略をめぐらす。

この映画、確か本来なら昨年の暮れに上映されてたはずなんですよね。ところが謎の延期で丸々一年遅れることになりました。聞くところによると「スタッフのミスで撮るべき映像が全然撮れてなかったらしい」ということで、関係者一同蒼白になってるという噂。もしやこのままお蔵入りになるやも… と思っていたら無事公開が決まって別に楽しみにしてたわけではないのになぜかほっといたしました(笑)
しかしやればやるで、今度はどれほどひどい出来になっているんだろう…という別な不安もわいてきます。おそらく忙しければスルーしたと思うんですが、幸か不幸かたまたま時間が空いてしまったので観てきました。

結論から言うと予想に反して、それほどめちゃくちゃな出来にはなってませんでした。確かにおかしいところ、微妙なところもないでもないですが、これよりひどい映画なんかいくらでもあるし。
切腹の一連の流れが普通に時代劇で見るような感じだったり、「出島」「樹海」なんて単語が出てくるあたり脚本・演出陣もけっこう勉強したと思うのです。かと思えば珍妙なスタイルの将軍様が出てきたり、ジブリアニメに出てきそうな怪獣が登場したり… このチグハグ感にひいてしまうか、わりきって楽しめるか。わたしはそこそこ楽しみましたw

ただ観ながら『忠臣蔵』本来の醍醐味ってなんだろう?と思ったりもしました。それはやはり中盤の浪士たちの「我慢」にあると思うのです。世間から馬鹿にされ、吉良の目を欺くために芝居をしたり… こういう我慢の積み重ねがあったればこそ、クライマックスの討ち入りが盛り上がるわけです。
『47RONN』もそういう我慢描写がないでもなかったですが、カイが出自のゆえにみんなからうとまれる…という話だったので、なんか『忠臣蔵』の「我慢」とはまた違う感じでした。あと浪士たちが世間から苦しめられて耐えることより、『七人の侍』のように「少人数で劣勢の者たちが優位の者たちにどうやって勝つか」というところに重きが置かれていた気がします。敵は妖術とか使ってくるんで、普通の兵学がどれほど通用するかは怪しいんですけど。

さて、本家忠臣蔵のネタバレをしてしまいますと… いいですね?


無事悲願を成就した赤穂浪士たちは、しかし幕府の決定に逆らったということで全員切腹という結末を迎えます。この浪士たちの悲劇的な最後が日本人の感性に合っていたがゆえに、永きに渡って『忠臣蔵』は愛されてきました。
ただこの結末(あるいは感性)、欧米の人たちにどれほど共感してもらえるのか微妙なところですよね。フランダースの犬だってハッピーエンドに変えちゃったアメリカさんですから、きっと『47RONIN』の結末ももっとハッピーな仕様にしちゃったんでは…と予想しておりました。果たしてわたしの予想が当たったかどうかは、ご自分で観てみて確かめてください。

47rn2おそらくかなり日本の売り上げを期待してたと思われる『47RONIN』ですが、公開三週目あたりで早くも圏外になってるあたり(^^;そのあては外れたようです。『ホビット』の公開が待てないという方は、それまでの代用品として観てみるのもいいかも(そしてさらにストレスが高まる恐れも…)
あと主演のキアヌ・リーブス氏、アニメの『カウボーイ・ビバップ』を映画化するって話はどうなったんでしょうかね~ 十中八九流れた可能性が高いですが、ダメもとで気長に待っております。 


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Comments

僕の考えたハッピーエンド

契約して魔法少女になった浪士たちはみんな不幸せになってしまった。最後に一人残ったカイは魔法少女になる代わりに、みんなが幸せになる願い事を………

Posted by: ふじき78 | December 26, 2013 at 10:31 AM

>ふじき78さん

(堀部)ヤスベエ 「ぼくと契約してマトリックスに行こうよ!」

Posted by: SGA屋伍一 | December 26, 2013 at 10:39 PM

伍一くん☆
なるほどー
半年以上経ってから、再び撮影のオファーがメールに来てるなぁと思ったら、撮影し残したところがあったのね?
そんなミスってあるんだ・・・・?
それにしても、想定内といえども大胆なアレンジでしたわ。
できればちょっとでも参加したかったけど・・・

Posted by: ノルウェーまだ~む | December 28, 2013 at 01:20 AM

>ノルウェーまだ~むさん

こんばんは。上の情報はあくまで噂なんですが、監督はこれが長編デビューなんでいかにもありそうな話ではあります。まあなんにせよ無事公開できてよかった!
わたしが一番おったまげたのは菊地凛子かなあ。今年はパシフィック・リムもあったし個人的には本年殿ベスト女優ですね(笑)
スクリーンでまだ~むの姿を見てみたかった…

Posted by: SGA屋伍一 | December 29, 2013 at 11:34 PM

ノルウェー マダムの息子さんと元クラスメートの坊がいる母です
「きゅうり」とマダムには名乗っています
とれていないシーンがあったと言われて合点がいきました
キアヌの幼少期のシーンで、なぜ姫とハーフブリードが仲良くなるのか説得にかけると思いました
ちょうどDVDでサンドラブロックの「幸せの隠れ場所」(ビックマイク)をみていて、思ったのですが
マイケルがブランコをしている二人のおちびちゃんに声をかけて冷たくされてしまいます 見ていたうちの高校生が「キッツウ~、俺こういうシーン嫌い。」といわせるほどの絵があって
そのご、同じおちびちゃんがブランコに乗っていて、声をかけ背を押してあげるシーンが出てきて、もう最高♪
これ!これが必要だったのではござらぬか

それからジプリ映画に出てくる怪獣なんかいたか、と思い
思い思いして、おにいを探して映画のphoto検索していて思い出しました
イタイタ!
凛子さんの狐ともうちょっと関連づけたらよかったのでは
いや
映画見たときは、絶滅した江戸狼か日本狼にしてくれよ
とか考えていたんだった
映画も一度見ただけだとすぐ忘れていく、年になったしまった
広島のマダムの友達より

Posted by: 牡蠣谷 曜一朗 | January 10, 2014 at 07:38 PM

>牡蠣谷 曜一朗さん

おお、コメントありがとうございます。お子様がエキストラに参加されたんでしたよね
上にも書いたようにあくまで「噂」なんですけど、そう考えるといろいろ合点がいきますね(^^; 
話はそれますけど、わたし『幸せの隠れ場所』も大好きで、サンドラ姉さんが影でメソメソしてるシーンで、もらい泣き(正確にはもらい鼻水)した覚えがあります
姫はたぶん監督にとってはジブリのヒロインのようなイメージだったのではないでしょうか。妖怪にも普通にやさしい天真爛漫な女性像(笑)

あとわたし夏の『パシフィック・リム』ですっかり凛子さんびいきになってしまったので、この映画も観ないわけにはいきませんでした。なんかしゃべり方がかったるそうでしたが、『パシフィック~』とはまた違う魅力があってよかったです

Posted by: SGA屋伍一 | January 10, 2014 at 11:56 PM

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