安らかに眠らせて ロベルト・シュヴェンケ 『R.I.P.D./ゴーストエージェント』
19日ぶりの更新の後に連続更新。年末までに書いてない映画の感想を消化しようと必死なんです… というわけで今回は少し風変わりなアメコミ原作映画『R.I.P.D. ゴーストエージェント』をご紹介いたします。
敏腕警官ニックは捜査中「不幸な事故」がもとであえなくこの世を去る。だが彼が逝った先は天国でも地獄でもなく、「R.I.P.D.」という現世に迷い出た悪霊を捕獲するあの世の警察署だった。R.I.P.D.の捜査官としてスカウトされたニックは,開拓時代に生きていたロイという偏屈な男とコンビを組ませられるが…
いろんな点で既視感を禁じえない作品です…
まず幽霊退治が仕事というところは『ゴーストバスターズ』みたいですし、主人公がこの世に残してきた恋人を心配してるところは『ゴースト ニューヨークの幻』のようであります。この二つを両立させてるってある意味すごいですけどね。
さらにR.I.P.D.本部の景色が『M.I.B.』と非常によく似てます。血気盛んな若者がひねた老人とコンビを組まされるあたりもそっくしですしね…
しかしこれはこれで光るところがないでもありません。
まずニックが死んだ直後の映像が、弾丸や人間はおろか爆炎まで見事に静止してて美しい。さらに悪霊たちはこの世の法則が通用しないもので重力をまるで無視したようなアクションを見せてくれます。まるでビルの壁面を地面のように駆け出したりとかね。まあ問題はそういった凝ったビジュアルがもっぱら前半に偏っちゃってるところでしょうか。
際立ってるところのもうひとつはニックの相棒、ロイのキャラ立ちっぷりであります。このロイさん、ジェフ・ブリッジスが前に演じていた『トゥルー・グリット』の名ガンマン・コグバーンそのまんまのイメージで登場します。ところが動き出すとコグバーンの三割くらい落ち着きがありません。その上傍若無人だわ意地悪だわつまらないことでいじけるわ、まことに面倒くさい。そして普通の人にはお色気ムンムンの美女に見えるというわけわからん設定。キャラが立ちすぎているというか暴走してるといった方がいいかもしれません。そうそう、主演男優賞を受賞した『クレイジーハート』よろしくカントリーを披露してくれる場面もあります。このめんどくせージジイキャラに萌えられればけっこう楽しい約一時間半だと思います。
さて、今年は爆死映画のあたり年と言われております。制作費の二倍を売り上げないと赤字になると言われる映画産業ですが、中でも『ジャックと天空の巨人』とこの『R.I..P.D.』は約5分の1しか儲けてません。またこの似作品はふんだんにCGを使ってるがゆえに注がれたお金も半端ではなく… 両方とも(特に「ジャック」の方)それなりに面白く観たわたしとしては、ちょいと同情せざるをえないのでした。
『R.I.P.D. ゴーストエージェント』は現在全国の劇場で上映中…と書きたかったのですが、もう終了してました(^^; はえ~ 見逃した方たちはDVDをお待ちください。
左の画像は原作コミックより。なんか映画よりまじめそうな絵柄だなあw
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