恐怖のバナナ軍団の逆襲 ピアー・コフィン クリス・ルノー 『怪盗グルーのミニオン危機一発』
バンバンバーババンバンババンバン バンバンバーババンバンババンバン(バナナ~~~ア~~~) バンバンバーババンバンババンバン バンバンバーババンバンババンバン(ポテト~~~オ~~~) バンバンバーババ…
失礼しました。怪人グルーとその配下のミニオン軍団の活躍を描く待望の第二作。『怪盗グルーのミニオン危機一発』、ご紹介いたしましょう。ちなみに前作の感想記事はコチラ
いろいろあって三人の孤児を引き取った怪盗グルー。彼は子供たちのために悪党稼業を引退し(タイトルに偽りありじゃねえか!)、おいしいゼリーの発明に精を出していた。
そんなグルーのもとにある日「世界反悪党同盟」のエージェント・ルーシーがやってくる。ルーシーとその上司が言うには、極秘に開発されていた生物を凶暴化させるウィルスが何者かにより強奪されたとのこと。彼らは元怪盗のグルーなら悪党の手口に詳しかろうということで、その調査を依頼するのだが…
鼻が異様に突き出たグルーと、彼を取り囲む無数の楕円状の生き物のビジュアルが強烈だった第一作。三年経ってもそのヘンテコさは少しも色あせていません。
前作では名うてのひねくれ者だったグルーが少しずつ「真実の愛(笑)」に目覚めていく様子が面白うございました。今回はすっかりいい人になってしまったグルーさんですが、不器用ながらも幸せそうにシングルファーザーをこなしている彼をずっと見ているのもそれはそれで楽しいものです。
ただ子供たちの欲望には際限がありません。ユニコーンの次にはパパを欲しがり、パパの次には何を欲しがるのかといえば、当然ママを欲しがるわけです。しかし幼いころのトラウマのせいでやや女性恐怖症の気があるグルー氏は、周囲がすすめる縁談からひたすら逃げまくります。なんかこれ他人事とはおもえな… いえ、なんでもありません。
えー、そんなストーリーもなかなか痛快ですが、このシリーズのキモはやっぱりストーリーより、ところ狭しとうじゃうじゃ動き回るミニオンたち。今回も多種多様な言語とコスプレと一発ネタで観客たちを楽しませてくれます。
聞くところによるとこのミニオン、監督は最初小さなロボットを想定していたそうです。しかしロボットよりももっと感情豊かにさせたい…ということで考え出されたのが「バナナ人間」。ロボットからバナナ… すごい発想の飛躍ですよね。果たして周囲がそれですぐに納得したのか怪しいところですが、このヘンテコな生き物はいまや大人気となり全米ではトイストーリーのオープニング記録を抜いたというから驚きです。
たしか日本では第一作ってそんなにヒットしなかったんですよね。三週目くらいに見に行った時は観客がわたしと友人たちしかいなくて、貸切状態。「こんな面白い映画をなぜみんな観ないのだ!」とやけになってエンドロールで踊りまくった記憶があります(映写係の人の存在をすっかり忘れていた…)。
ですから今回も興行は厳しいんじゃないかな…と予想していたのですが、これまた驚きの大ヒット。たくさんの子供たちの歓声に囲まれて幸せな気分で鑑賞できました。
思えば今ディズニーランドで荒稼ぎしてるトイストーリーの連中だって、一作目の時は日本ではそんなに人気でもなかったような。それがDVDやTVで繰り返し親しまれるようになって、いつの間にかドラえもんやアンパンマンとも肩を並べるようになっていったわけです。ミニオンたちがこんだけ親しまれるようになったのも同じ経緯でしょう。
ですからわたしは日本の配給会社の方々に言いたい。もうすぐれたキッズ洋画の一作目は、捨石というかコマセのつもりで、儲けは度外視してバンバン公開しちゃいましょう。その時は目立った反応はなくても、やがて月日が経ち続編が製作された時に、そのコマセが実って大収穫となる…はず?
というのは最近キッズ洋画で評価が高くても、なかなかこちらでは公開されないものが多いからなんですよね。『ブルー』は今年になってようやく日の目をみたし、裏『Mr.インクレディブル』として絶賛されてる『メガマインド』はいまだにDVDにすらなっていません。日本でアニメ化された『ビッケ』はDVDスルーで二作目公開ももちろん未定。ほかにも『アステリックス』とか『エピック』とか… ああ、もう!
もう一度言いましょう。キッズ洋画は公開が終了してからが本番です。だからまず公開しないと…!
…話をミニオン、じゃなくてグルーに戻しまして。長女の恋模様にやきもきしていたグルーさん。この調子だと彼女たちが嫁にいくころには相当大変なことになるでしょう。もし3作目が作られるならその辺にスポットがあてられそうです。
ただそのまえにとりあえずスピンオフ作品『ミニオンズ』の製作が決定しております。これまで以上にバナナ軍団の大活躍が楽しめそう。全米公開は来年末だそうですが、なんとか日米同時にいかないものでしょうか…
『怪盗グルーのミニオン危機一発』はまだまだ全国の映画館で上映中。できたらもう一回観にいきたいところだけど、資格の勉強で11月はあまり余裕がないんだ…
Comments
>思えば今ディズニーランドで荒稼ぎしてるトイストーリーの連中
wwここら辺がコンテンツビジネスの難しいところなんでしょうね。大ヒットする作品は最初は大衆ウケがいまいち悪い・・・
ヤマトもガンダムもルパン三世もそうだったらしいですね。
最近読んだアイドルの本には、コンテンツがブームになるメカニズムには、良質なコンテンツを探し出すイノベーターと、イノベーターの見つけたコンテンツを大衆に拡張させる影響力を持つアーリーアダプターの存在が必須だそうです。
そう言う意味で、前作の面白さを知っていたSGA屋さんは「やりい」って感じですよねw(私も『ヒックとドラゴン』よかこっちが好きでした。
これと似た話では、人気がなかった『まどマギ』と『踊る大捜査線』があるんですが、どっちも社会現象的なヒットになったら興味が薄れちゃいましたね・・・遠いところに行っちゃったなあって(勝手な思い込み!
Posted by: 田代剛大 | October 26, 2013 12:06 AM
>田代剛代さん
コンテンツビジネスのお話興味深く読みました
まあファンとしては別に大ヒットしなくてもいいんですよね。打ち切りにならずに終わりまで続いてくれれば、あるいは続編がちゃんと公開してくれれば… だから黒字が見込める程度のヒットでいいんですw
その作品がヒットするか否かは時代性だけでなく、国民性等もありますよね。『グルー』は米国では最初っから大人気だったので、このキャラが日本に受け入れられないのかな… とあきらめムードだったのですが、勘違いでよかったです。配給さんの地道な宣伝の賜物でしょうか
>遠いところに行っちゃったなあって(勝手な思い込み!
あるあるw それこそ人気のないころから応援してたアイドルが大ブレイクした時のような微妙な気持ちですねw
Posted by: SGA屋伍一 | October 27, 2013 10:47 PM