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October 16, 2013

そこに希望はアルカディア 荒牧伸志 『キャプテンハーロック -SPACE PIRATE CAPTAIN HARLOCK-』

Photo「キャプテン・ハーロック」といえば松本零士が生み出した名キャラクターの一人。わたしのイメージは「『999』の鉄郎がピンチになると助けに来てくれる人」というものですが、そのハーロックがここに来てフルCG映画で復活。今日はあのジェームズ・キャメロンが絶賛したというその劇場版をご紹介します。すでに公開終わっちゃってるようでいささかバツが悪いんですが… ははは…

時は遠い未来、あるいは過去。銀河の果てにまで進出した人類だったが、やがてそれも限界に達し、人々は母なる星・地球へ帰りたいと願うようになる。だが地球には増えすぎた人類を受け入れるだけの余裕はなく、その居住をめぐり凄惨な戦争が始まる。多くの血が流された後、地球は不可侵領域となることが決定。ガイア・サンクションという強力な組織のもと、管理された社会に一人反旗を翻す男がいた。彼の名はキャプテン・ハーロック。彼はなぜ戦い続けるのか。そして彼の戦いは人類になにをもたらすのか。

まずよかったところから。日本の映画でSF巨編をやろうとしてもハリウッドの映画と比べるとどうしても見劣りがしてしまうものですが、CGアニメでならなんとか宇宙スケールのでかい世界が描けるわけです。
この映画でも太陽系をまたにかけて、ばかでかい兵器や大規模な艦隊戦が展開され、中二中年としては大いに胸がわくわくさせられました。ダークマター機関か何か知らないけど爆炎と共にドカーンとワープしてくる「アルカディア号」のビジュアルにも「ウホホッ」と、興奮せずにはいられませんでした。
あと「日本のエンタメはなんでも恋愛をからめがち」とよく批判されますが、ラブはあくまで添え物にとどめられてて、男の骨太なドラマになってたところもよかったです。

ついで悪かった…と言わないまでもちょいとひっかかったところを。こういったセカイ系の話にありがちなことなんですが、「世界を変える!」と息巻くのはいいんですが、その世界に住む一般庶民の描写がちょっとおざなりになりやすいというか。尺の問題でそこまで手が回らないという事情もあるかもしれませんが、こういうのを丁寧にやってくれるとぐっとその世界が身近に感じられるし、厚みが増してくる気がします。
あとわたしハーロックにはそんなに思い入れがあるわけでもないんですが、原作のハーロックは「たぶんこんなことはしないんじゃないかなあ…」というところがありまして。(以下、チョイバレ)


昔のTVシリーズ主題歌に「たとえ明日のない星と知っても やはり守って戦うのだ」という一節があるんですが、途中で思いっきり見捨ててましたよね… 地球。このハーロック、松本先生のキャラというか、脚本福井晴敏先生の小説によく出てくる「人生に疲れたオヤジキャラ」に近い気がしてなりません。そしてそれに血気盛んな青年キャラがぶつかるとなると、これはもう福井小説の王道的展開としか言いようがありませんw まあわたし『亡国のイージス』とか『終戦のローレライ』が大好きなんでそれはそれでいいかなって気もするんですが(^^;

さて、『キャプテン・ハーロック』映像化はコケの歴史でもあります。第一TVシリーズは決して視聴率が高くなく、第二シリーズ『わが青春のアルカディア』はさらにそれより低く打ち切り。その劇場版も興行成績はいまひとつ。近年深夜に第3シリーズがあったようですがわずか13話の上、開始早々松本先生からクレームがついて約一年製作が止まってたとか。
大変残念ながら今回の劇場版もこれまたその歴史をなぞることとなってしまいました。でもそれでも何度も忘れた頃に映像化されてるのがハーロックのすごいところです。いつかまた不死鳥のごとく復活することでしょう。

Photo_2最後に原作版のハーロックの大変勇気づけられた台詞を紹介してしめることといたします。
「男は時々、何をしてもまったく駄目だという時があるのだ。やればやるだけおかしくなる だけですることなすこと無駄な努力‥ふふ、いいか、そういう時、男はな、酒でも飲んで ひっくり返って寝てればいいんだ」
なるほど! というわけでわたしも飲んでひっくりかえって寝ます。ぐびー

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Comments

伍一君☆
世代なのかなー?
コメントくださった方たちは、どうやらハーロックを惚れぬいた人が多かったみたいで、絶賛されている人ばかりだったけど、伍一くんはまだ男ハーロックの魅力を、当時見つけられなかった・・・・的な?

ちなみに私もハーロックに思い入れはあまりない方(世代的にはバッチリだけど)ですが、やっぱりカッコイイなぁーと。
地球を守っているのか壊しているのかよく解りませんでしたが。

Posted by: ノルウェーまだ~む | October 19, 2013 at 10:48 PM

>ノルウェーまだ~むさん

あ、いまそちらうかがおうと思ってたところです。いつも愚図ですいません
>伍一くんはまだ男ハーロックの魅力を、当時見つけられなかった・・・・的な?

そうですねえ。小学校上がるか上がらないかってころでしたから(^^; 巨大ロボが出てこなくて物足りないなあ、なんて考えてました
いまオリジナルを見直せば彼のかっこよさがもう少し理解できるかも。とりあえずジャック・スパロウや麦わらの海賊君に比べれば立派に海賊の船長やってると思います!

Posted by: SGA屋伍一 | October 19, 2013 at 10:58 PM

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