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September 30, 2013

この木なんの木そして父になる木 ジュリー・ ベルトゥチェリ 『パパの木』

Ppnk2夏休み現実離れした映画ばかり観ていたので、すっかり感性が中二ムードになってしまったわたし。このままじゃいけない! もっとアーティスティックでソフィスケイトされたセンスを保たなくっちゃ! …というわけで沼津で遅れてかかっていたしっとり系のヒューマンドラマ観てきました。『パパの木』、ご紹介します。

オーストラリアの自然豊かな土地に住むピーターとドーンは、四人の子供たちに恵まれ仲むつまじく暮らしていた。ところがある日、仕事から帰ってきたピーターが心臓発作のため突然亡くなってしまう。最愛の人を失ったドーンは子供たちの世話もままならず、精神的にまいっていく。そんな折り子供たちの一人のシモーヌは、家のそばに立っている巨大なゴムの木から死んだはずの父の声を聞く。シモーヌは父の魂がゴムの木に乗り移ったと信じ込み、暇を見つけては木の上に上るようになるのだが…

広大な大地。どこまでも続く山なみ。やっぱアメリカの風景はスケールがでかいよなーっ! と思い込みながら途中まで観ていたのですが、シモーヌたちがクリスマスだというのに暑そうな日差しの中海水浴をしているシーンで「???」となりました。その後会話の中で「シドニー」という言葉が出てきた時点でようやく「ああ! ここオーストラリアなのか!」と気づいた次第です。
だってさー 普通オーストラリアだったら出てきますよね。コアラとかカンガルーとか。オペラハウスとか。ところがどすこい出てくるのはカエル、コウモリ、クラゲ、トカゲといったなかなかに不気味らしい動物さんたちばかり。これはどうやらこの映画に「自然というのは決して人間に優しいばかりではないんだよ」というテーマがこめられているからのようです。本当に「老後は田舎でロハスでヘルシーなライフを満喫したいよなー」と考えている人の夢を粉みじんにぶち砕いてくれるような作品です。
親を失った少女が自然のぬくもりに触れて「お父さんはいつまでもわたしを見守ってくれるのね! ありがとう! わたしはたくましく生きていくわ!」というお話とはちょっと違うので、これから観られる方はどうぞご用心ください。

あとこの映画、主人公はシモーヌだけではなく、お母さんのドーンにもかなりの比重が置かれています。演じるは最近ラース・フォン・トリアーにえぐいことばかりやらされているシャルロット・ゲンズブール。こちらでは辛うじて普通のお母さんでしたけど、精神の危うさは健在です。

そんな風によろよろしてたかと思えば職場の雇い主と急速にいい仲になってしまったりするからポカーンです。普通こういう映画に出てくるシングルファーザーの恋人というのは、熟女とのエッチだけが目的で子供たちへの優しさはうわべだけだったりするのですが、この「お母さんの恋人」が普通にいい人なんですよ。決してわたしと同じ職業だから言ってるわけではありません。
なのにその優しさがわからず冷たい態度をとり続けるシモーヌが憎たらしくてたまりませんでした。決してわたしと同じ職業だから(略)

えー、私情はひとまず置いといて。
「一家の中心を失って、子供より先に親が参ってしまう」「子供が死んだ親と交信を試みる」というところは去年観た邦画『聴こえてる、ふりをしただけ』と似ていました。あと最近「幼くしてお父さんを亡くしてしまう話」では『蜂蜜』『ブラック・ブレッド』などがありました。名作劇場のアニメの主人公なんかは割りかし親を亡くしても立ち直りが早かったりしますが、現実や大人のための子供映画ではそう簡単に割り切れるものではなく。そういう姿を見るのは胸がキリキリと痛みますね。わたしの親父なんか70でもピンピンとしてますが、ええ、いつまでも長生きしてほしいものです…

以下ネタバレで
bud
bud
maple
maple
080827_183317果たして本当に大樹に父の魂が宿っていたのか。映画でははっきりそれを明らかにしてない… というより恐らくはシモーヌの思い込み&偶然が重なっただけのように思われます。でももしゴムの木にお父さんの意志が込められていたとしたなら、「自分のことはいつまでもひっぱらないで、早く新しい生活を始めなさい」ということだったんじゃないかな… と思いました。冒頭でパパがトレーラーで家を丸ごと運んでいくシーンにもそんな意味があるような気がします。

『パパの木』は沼津でも一週間前に終了(^^; でも東北・関東・中国・四国あたりでもまだちょぼちょぼと公開してますね。地味ながらシミジミいい映画なので気の向いた方&上映館が近くにある方はぜひ。

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September 26, 2013

ダイ統領・ハード ローランド・エメリッヒ 『ホワイトハウス・ダウン』 

798pxwhitehousetour_cropped『パシフィック・リム』から続いてきた夏休みバカ大作映画シリーズもいよいよこれで最後です。『インデペンデンス・デイ』のローランド・エメリッヒが「全米熱狂」チャニング・テイタムを主役に迎えて挑んだ『ダイハード』風アクションムービー、『ホワイトハウス・ダウン』、ご紹介します。

米国下院議長の警護を務めるジョン・ケイルは、別れた妻と暮らす娘の尊敬を得るため、コネを使ってなんとか大統領SPの面接にこぎつける。だが結果は不採用。落胆を隠しながらケイルは娘とホワイトハウスの見学ツアーを回る。
時を同じくして、ホワイトハウスに巧みに侵入する謎の一団があった。やがてホールのひとつで爆発が起きる。男たちは大統領を捕らえようと彼が避難すると予想される特別シェルターへと向かう。娘とはぐれたケイルは彼らと鉢合わせしてしまい、銃撃戦を繰り広げることに。男たちの狙いは何か。そしてケイルは娘を守ることができるのか。

ローランド・エメリッヒといえば『インデペンデンス・デイ』を初め『ゴジラ』『紀元前1万年』『2012』と、スケールがでかくて中味はなくて非現実的でCGバリバリなそういう作風で知られています(好きなんですけどね…)。
それが今回はぐっとスケールがせばまって主な舞台はホワイトハウス周辺のみ。なんだよエメリッヒ… らしくないじゃん! と最初は鑑賞スルー予定でした。少し前にやっていた題材がモロかぶりの『エンド・オブ・ホワイトハウス』も観ませんでしたし。
ところが割と映画ファンから小馬鹿にされがちなエメリッヒ作品が、今回はなかなか評判がよろしかったりして。そうなると元々好きな監督だし、流されやすい性格も手伝って結局観たのでした(^^; 夏のバカ映画ほとんど観たのにこれだけスルーというのもアレでしたし。

で、結論から言いますとあまり内容がないところはいつものエメリッヒでしたね… ただあらすじからもわかるように、今回の話は一応現実的にギリギリありな話になってます。だからCGもそんなには使ってない。その辺がいつもは突拍子もないストーリーにひいてしまう人たちもひきつけたんだと思います。
あと感心したのは途中何気なく画面や話の中に出てきたものが、あとで思わぬところで役に立ったりするエピソードが幾つかあったりして。こういうのが多ければ多いほどよく出来た脚本のように思えてきます。特によくできた例としては、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の特に2,3あたりを思い出していただけるとわかりやすいかと。
してみると、今回の功績は脚本のジェームズ・ヴァンダービルト氏に追うところが大きい気がします。エメさんは時々『パトリオット』や『もうひとりのシェイクスピア』といった割と手堅い作品も撮ったりしてるのですが、脚本によって出来が大きく左右されがちなタイプなのかもしれません。

お話はそんなに目新しくなくても、要所要所で小技をしっかり決めておけば高評価を得られるという好例でした。現場に不自然なお色気ムチムチなお姉さんがいなくて、とってつけたような恋愛要素がなかったのもアクションの王道という感じでした。なんせこの映画のヒロインは主人公の10歳くらいの娘っ子なもんで。
しかしどうしてハリウッドのアクション、エンターテイメントの主人公には「バツイチ・子持ち」がこんなに多いのでしょう。そんで大抵仕事ばっかりで子供の約束をすっぽかして愛想をつかされたりしててねw ぱっと思いつく例で言うとエメリッヒも『2012』がそうでしたし、他には『ナイト・ミュージアム』『リアル・スティール』『宇宙戦争』など。最近の『ダイハード』もそんな感じだし、古い例だとイーストウッドの『トゥルー・クライム』も。ハリウッドじゃないですけど『オーガスト・ウォーズ』はお父さんじゃなくお母さんがアクションする珍しい例。他にももっと色々あった気がするんだが… 
余談ですけど「家族を亡くして立ち直れてない」というパターンも多いですね。
ともかくアクションヒーローにバツイチ子持ちが多い理由について三分ほど考えてみました。それはやっぱり「感情移入しやすい」ってところにあるのではないかと。人間ある程度生きてれば何度か挫折や大失敗をするもの。バリバリのエリートで一度の挫折も味わってないような者を主人公にしても、一般庶民には身近には感じられないでしょう。
で、米国の皆さんが特に共感しやすい挫折の例が「離婚」なんでないかと。アメリカの離婚率は約50%。二組に一組が離婚すると言われているので、映画観ていて「あー、これ俺みたい」と思う(元)パパさんも多いことかと思われます。そんでいつかは立派になって子供に尊敬されたい…と願っているのではないでしょうか。なんだか書いてて悲しくなってきました。あと今のハリウッドの作り手にはもしかしたら『クレイマー・クレイマー』が好きな人がいっぱいいるのかもしれません。

1f19121b映画ファンからは概ね好評を得た『ホワイトハウス・ダウン』ですが、成績の方はなぜか日米ともにいまひとつの模様。米国ではここのところ破竹の勢いのチャニング・テイタムですが、やっぱり「よくあるストーリー」ということで敬遠されてしまったのか。むーん
まあこの記事読んで気になった人は観にいってみてください。あ、明日で公開ほとんど終わる…(ダメじゃん!)


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September 19, 2013

コン性×キチ○イ ヨアヒム・ローニング エスペン・サンドベリ 『コン・ティキ』 

0575a0643dわたしは子供の頃学研から出ていた「ひみつシリーズ」という学習漫画を愛読してたんですが、その中で特に面白かった一冊に『できる・できないのひみつ』という本がありました。前半は「高層ビルは何階まで建てられるか?」「温度は何度まで下げられるか?」という科学の疑問に答えた内容となっていたのですが、後半は未知の領域に挑んだ探険家たちの列伝となっておりました。紹介されていたのはヘディン、ピアリ、スコット、クストー、ピカール、そしてハ(へ)イエルダールという面々。子供のころ夢中になって読んだものというのは、不思議と幾つになっても覚えているもので。
で、この度へイエルダールさんの冒険が映画化されたというので(こちらではちょっと遅れましたが)張り切って観て来ました。『コン・ティキ』、ご紹介します。

海洋学者トール・へイエルダールは長期間のフィールドワークの末、ポリネシアと南米には文化や植物の点で多くの共通点があることに気づく。そしてポリネシアに最初にやってきたのは南米の人々だったのでは…という学説を唱えた。だが二つの土地の間には広大な海が広がっているため、当時はポリネシア人の先祖はアジア人、というのが定説であった。学会から冷遇されたヘイエルダールは、太古の南米の技術・・・イカダで実際に太平洋を渡り、己の学説の正しさを証明しようとする。

漫画で読んだときは「すごいなあ」くらいにしか思わなかったんですが、実写映像で見せられるといかにそれが無茶かよくわかります。広い海の上にぽつーんとイカダだけ浮いてて、しかも行き先はほとんど風まかせですから。目的とする海流までたどり着ければあとはそれに乗っかるだけなんですけど、そこにいくまでがけっこう大変だったりします。下手をすると出発地点まで押し戻されてしまうことも十分ありえます。さらにいくら「太平」洋といっても嵐に遭遇する可能性は幾らでもあります。それなりにしっかりした作りであるとはいえ、ロープで木材を縛り付けたイカダでそれをやりすごすのは至難の技であります。
危険はそれだけではありません。予告を見ると自然の美しい風景が次々と映し出されるので、そういう癒し系のビジュアルがメインなのかな、と思っていたのですが、実際は4割くらいがジョーズ映画でしたw 本当にちょびっと海にもぐったらすぐでかいサメがのっそりとやってきます。航海中ずっとイカダと一緒に泳いでたんじゃないか?というくらいサメの出番が多かったです。でもそんなに本気で人間を襲ってる風でもなかったので、もしかしたらサメさんたちはヘイエルダールとお友達になりたかったのかもしれません。

問題はまだあります┐(´д`)┌ヤレヤレ このイカダ=コン・ティキ号の乗組員たちがちょっと変わった人たちでして。まず二人は第二次大戦でけっこうな人数をあの世へ送ったというランボーみたいな経歴。うちひとりは罪の意識が消えずにPTSDに悩まされています。
これにアマゾンでずっと一人で過ごしていたというエキセントリックなカメラマンと、「一皮むけたい」というだけで航海に志願した冷蔵庫屋さんが加わります。タイムリーというべきか、冷蔵庫って、なんか今非常にあやういイメージがつきまとってますよねw
ヘイエルダールの親友で航海術に長けた天パ君はあまり問題なく頼れる人間なんですが、肝心のリーダーのヘイさんが「危険と見ればつっこんでいく」「何かと自分の偉さを主張する」「周りの意見をほとんど聞かない」「根拠のない自身に満ち溢れている」「航海してるのに泳げない」「カミさんを家で泣かせている」と問題ありまくりの人物です。まあこんだけ天然でなきゃこんな無謀なチャレンジはできないかもしれませんが…

ともかくそんな6人が極限状況で100日以上も顔つき合わせていれば、ギスギスした空気になるのも無理はなく。よくまあ船の上で血を見るような事態に発展しなかったな… と思います。なんせ判断のひとつひとつにそれぞれの「命」がかかってきますからね。「こいつを殺さなきゃ俺は生きて帰れない!」というとこまで思いつめてしまっても不思議ではありません。しかしまあそこまでの悲劇に発展しなかったのは、性格にに問題はあってもそこは誇り高い冒険野郎たちだから… なんでしょうかね。一名初心者の冷蔵庫屋さんも混じっていますけど。

Ktk2彼らがコン・ティキ号と共に無数の困難を乗り越え、目的達成へと一歩一歩近づいていく姿に手に汗握り、深く胸を打たれました。航海ものといえば今年初めに『ライフ・オブ・パイ』もありましたが、こっちはなんといっても本当にあった話ですからね!
そんな『コン・ティキ』はもう大体のとこで上映終了。わが小田原のコロナワールドでは明日まで遅い時間にやっております。海や冒険といえば心が騒ぐ野郎どもはぜひ(ってもう遅いか…)
このあとヘイエルダールは「古代エジプトの葦舟で大西洋を渡る」というこれまた無茶なチャレンジを行っています。その辺の話も映画化希望であります!


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September 17, 2013

スーパーマン・リブーツ ザック・スナイダー 『マン・オブ・スティール』

Img00216クリストファー・ノーランの手によってバットマンを見事に新生、そして完結させたワーナーブラザーズが、次に狙うのはアメコミヒーローの原点である「あの人」のリブート。現在ヒット公開中の『マン・オブ・スティール』、ご紹介します。

地球から遠くはなれた惑星クリプトン。その星は優れた文明を誇っていたが、環境破壊のため滅亡の危機に瀕していた。科学者ジョー・エルは生まれたばかりのわが子をクリプトンより脱出させ、生存可能な惑星であった地球へと送り込む。地球人よりはるかに強靭な肉体を持つその子カル・エルは、たまたま宇宙船を見つけたカンザスのケント夫妻に「クラーク」と名づけられ育てられる。成長するつれ周囲と違うことを、その力を隠すことにクラークは深く苦悩する。

ここまで書けばわかると思いますが「マン・オブ・スティール」というのはスーパーマンの愛称のひとつです。他に「マン・オブ・トゥモロー」とも呼ばれてたような。
「単純明快」というイメージを持つ人もおられますが、その実読んでみると暗かったり悩んでばっかりな話が多いアメリカン・コミックス。こういうのは60年代のマーベルコミックスから始まった流れですが、近年ではDCコミックスも大きくその影響を受け、脳天気なヒーローの代表だったスーパーマンまで作品によっては深く悩んでいたりします。
で、特にその「悩む」側面が強調されたのがこの度の映画。なんせバットマン・スパイダーマンと比べるとそのパワーは桁違いですから、そんな原爆みたいな力を抱え込んでりゃ悩みもするでしょう。前半は「この強大な力を何に使うのか?」「一般人類に公にすべきなのか?」といったクラーク青年の悩みが丁寧に描かれていました(1点ひっかかるところもありましたが…)。

以後、どんどんネタバレしていくのでご了承ください。

rock
punch
rock
punch

ところが後半同等の力を持つ強敵「ゾッド将軍」が登場すると、それまでの苦悩はどこへやら、周囲のビルを片っ端からぶっ壊しながらパワー全開で猛烈なバトルを繰り広げます。この辺の都市破壊描写は本当にすごいです。ゴジラ他名だたる怪獣たちも、ここまではやってないだろう…というほどの壊しっぷりでした。
しかしそういった映像技術に興奮する一方で、バトルの影でかなりの数の人々が犠牲になっているであろうことを想像すると「納得いかーん!」という思いがムラムラと立ちこめてきたのでした。
これをゴジラやハルクがやっているんだったらまだいいんです。連中は怪獣だから。でもスーパーマンには悪者をやっつけるより前に、レスキューマンであってほしいんですよね。高所から落ちそうな人や瓦礫に閉じ込められてる人がいたなら、真っ先に飛んでって助け出して、一人の犠牲者も出さない… そういうヒーローであってほしいのです。ちょうどこの前に作られた『スーパーマン・リターンズ』の彼がまさにそうでした。あとこの映画でも前半では立派にレスキューマンだったと思います。それを貫徹してくれればよかったのに… 自分、スーパーマンにはあまり思いいれがない方だったので、そんなこだわりを感じるとは正直意外でした(笑)

「敵があまりにも強すぎてそこまで手が回らない」「周囲を壊さずに倒すことができない」そういう事情もあるのかもしれません。でもそれだったらせめて「わたしは未熟だ」とか「力が足りない」と反省する描写が欲しかったです。ギャオスとの戦闘中うっかり一般人を「プチッ」とやっちゃったガメラや、防衛隊員に「全然守れてねーじゃねーか!」と怒られてたウルトラマンメビウスのことなど思い出しながらそんなことを考えてました。ところが笑顔で「世界を救った」とか言っちゃってるので「こりゃダメだ~」と思いましたcoldsweats01

これはやっぱりザック・スナイダーとスーパーマンの相性が悪かったってことなんですかね。ザックさんはとにかくぶっ飛ばすこととぶっ壊すことが一番やりたいことみたいなので。前半は脚本に従ってその衝動をよく我慢したと言うべきでしょうか。

Mos2夏の大作はコケてるものも幾つかありますが、スーパーマンは日本でも知名度が高いということもあってそこそこお客さん入っている模様。単純に「今の技術でここまで出来るんだ! すげー! こまけー!」と興奮できれば十分楽しめると思います。
あとアメコミ者として今出てるスーパーマンの日本語版コミックを二作品ばかり紹介します(共に小学館集英社プロダクションより)。

☆『スーパーマン:アースワン』
本来のDCワールドとは別の世界を舞台とした、スーパーマンの誕生話。今回の原作なんじゃ…と思えるほど、『マン・オブ・スティール』と話がよく似てます。ただこちらは映画ほど街を壊してないのでストレスはたまらないかも。

☆『スーパーマン:レッド・サン』
これまた本来のDCワールドとは別の世界を舞台とした話。もしスーパーマンがカンザスではなく共産主義真っ只中のロシア=ソ連に不時着していたなら… という内容。意外な発想と展開、正義への皮肉が利いた傑作コミックです。ストーリー担当は『キック・アス』『ウォンテッド』のマーク・ミラー。

あとスーパーマンがバットマン、フラッシュら他のDCヒーローとチームを組む『ジャスティス・リーグ:誕生』もおすすめです。ワーナーさんは次にスーパーマンとバットマンの共演映画を経て、この『ジャスティス・リーグ』へ持っていきたいようです。「『アヴェンジャーズ』の二番煎じ」的な感はぬぐえませんが(コミックではこっちのが先なんですがね…)、楽しみにお待ちしております。

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September 11, 2013

続・新宇宙スパイ大作戦 J・J・エイブラムス 『スタートレック:イントゥ・ダークネス』

Stid1うちゅう… それはさいごのふろんてぃあ… たーららー たーらーらーたーららー
夏休み大作シリーズ第4弾。本日は4年ぶりに(けっこう時間かかりましたね…)帰って来た人気SFシリーズ『スタートレック』の最新作、『スタートレック:イントゥ・ダークネス』ご紹介します。

銀河を又にかけた大事件から数年。銀河連邦は5年に渡る外宇宙への探査計画を立案。「任務を任せられるのは俺っきゃないでしょ!」とウハウハのカーク艦長であったが、直前にやらかしていたオイタが融通の利かないスポック副長のせいで上にばれて左遷。親父代わりのパイク提督の副艦長に降格されてしまう。
そんな折、ロンドンの資料館を狙った爆破テロが勃発。犯人はかつて特殊部隊に所属していたハリソンという男だった。連邦のブレーンを集めて行われた会議の席上で、カークは嫌な予感を覚える…

長寿シリーズ『スタートレック』がなぜ仕切りなおしになったのかという理由については、前作のレビューに書きました。そして今作を観てあらためて確信しましたが、かつてのスタトレにあったのんびりしてオッサンくさいムードは、ほとんどなくなっちゃいましたね。
代わりに一分一秒たりとも油断できないぴりぴりした空気が、ずっと漂っております。これはスリルとサスペンスを得意とするヒットメーカー・J・J・エイブラムスが監督してるからなんでしょうけど。
あとこの一本の映画の中に無茶な潜入任務が三回くらい繰り返されていて、『宇宙大作戦』というより『スパイ大作戦』みたいでした。
そういえばこの映画には他にも『スパイ大作戦』と共通しているところが幾つかあります。挙げてみますと
・二つとも60年代に製作されたTVシリーズが元になっている
・監督が『ミッション・インポッシブル』3作目を手がけているJJA
・旧作でスポックを演じていたレナード・ニモイは、一時期『スパイ大作戦』にもレギュラー出演していた
・『ミッション~』3・4でコメディリリーフを演じていたサイモン・ペッグが、こちらにも同じポジションで出演
他にはチームプレイが多いとか、爆弾解体シーンでハラハラするところなどもそうですね。「だからなんなの」と言われたら「別に…」としか言いようがないんですが。

そんな風に次から次へと与えられていく不可能ミッションも楽しかったですが、わかりやすい濃いいメインキャラたちがまた楽しませてくれます。
まず艦長のカー君ことジェイムズ・カークですが、前作と全く変わっていません。思ったら…というより思う前にまず行動し、可愛い子には片っ端から声をかける、今時珍しいくらいのバカ一直線野郎です。部下を大事に思う気持ちもちゃんと持ってるんですが、正直この人の下で働くのは苦労が半端なさそうなのでちょっとごめんこうむりたいですねw
対照的にだいぶかわったのが副長のスコップ君、じゃなくてスポック君。論理と規則を重んじるガチガチの堅物であるのは一緒なんですが、前作であれほど毛嫌いしてたカークにかなりほれこんでいる模様。それこそ冒頭のくだりなんか「カークの命令なら死んでもかまわないheart04」ってくらいの勢いです。…ていうか、言っちゃったもんね… 「(恋人の)ウフーラを置いて死ぬのは感情を抑えられた」のに、カークが死にそうな場面では「感情を抑えきれない!」って。恐らく彼の心の中では カーク>>>>>>ウフーラ くらいの位置づけなんだと思います。いやー、わたしもあんまし腐女子めいたことは言いたくないんですけど、新スポックを演じているザカリー・クイント氏がゲイなせいか、カークと二人のシーンはやけに真に迫っていた気がしてなりませんw

そして今回二人に負けないくらいキャラ立ちしてたのが、最近ドラマ『シャーロック』などで人気沸騰のベネディクト・カンバーバッチ演じるハリソン。このカンパチさんとやらも『つぐない』ではロリコン変態野郎だったんだがな… それはともかくハリソンさん、血も涙もないテロリストかと思いきや突然降伏したり、手助けしてくれたりいちいち行動が謎です。彼の真の動機がなんなのか探りながら見ていくと、さらに面白さが増していきます。
ちなみにこのハリソンさん、驚きの正体を隠しているんですが、これが日本の一般社会にはなかなか浸透してない名前だったりして。彼が正体を明らかにするシーンの反応ですが、恐らくこんな風になるかと思います。

トレッキー・・・・・「なんだってえ~!!」
年食った映画ファン・・・・・「うーん、聞いたこと、あるかな?」
その他・・・・・「ふーん。で?」

気になる方は旧シリーズの劇場版第二作あたりをチェックしてみてください。わたしも観てないんですけどね(^^;

Stid2_3二三、ひっかかる点もありましたが、クライマックス直前のミッションがあまりにもバカすぎたんで許します。実におかずにすればご飯が4,5杯はいけそうなシーンでした。ご馳走様です。
『スタートレック・イントゥ・ダークネス』はバッチさん効果が聞いたのかそれなりにヒット上映中。あともう1、2週は公開しているでしょう。監督JJ氏は3作目も『スターウォーズ』の新作も任せられているそうですが… 無茶するなあ。死ななきゃいいんですけど。
となりのイラストはバッチさんのつもり。ファンの人、どうか見逃してくだされ。


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September 09, 2013

ふらんすからあめりかへ物語 テレンス・マリック 『トゥ・ザ・ワンダー』

5framsmc0020めいごが去ってうちもだいぶ落ち着きました… ふ~~~
夏休み大作シリーズはひとまずおきまして、今回は叙情性豊かな巨匠テレンス・マリック氏の映像芸術をご紹介いたします。『トゥ・ザ・ワンダー』のまずはあらすじから。

パリに住むマリーナは、アメリカからやってきたニールと恋に落ちる。モン・サン・ミッシェルへの旅を経て、二人の愛は深まっていく。やがてニールが故国へ帰る日がやってくる。だがニールはマリーナを彼女の娘ともどもアメリカへと呼び寄せ、家族のように一緒に暮らし始める。それは幸せで満ち足りた生活になるはずだったが、マリーナはいつもニールの愛に不安を抱えていた。
一方彼らの町に住む神父クインターナも、長年抱き続けてきた信仰に、わずかなゆらぎを感じ始めていた…

二年前物議をかもした『ツリー・オブ・ライフ』と同様、美しい映像と音楽に彩られていて、会話少なめ、モノローグ多目な映画でございます。
『ツリー~』ほど突飛な構成ではありませんが、それほどストーリーに起伏があるわけではなく、ただ淡々と悩める男女たちをスクリーンは映し出していきます。
そしてタイトルは『トゥ・ザ・ワンダー(To the Wonder)』。この場合wonderというのはどう訳したらよいものか。不思議、驚異、神秘… そんなとこでいいのでしょうか。
冒頭他で印象的に使われているフランスの名所モン・サン・ミッシェル。その周辺は広大なムール貝畑が広がっているそうです。いや…、これは関係なかったか。ともかく、この名は直訳すると「聖ミカエルの山」という意味なんだそうです。聖ミカエルというのはキリスト教において特に重要とされる天使の名前。この辺からも前作と同様濃いい宗教色が感じられます。

この映画のヒロインであるマリーナや、ニールの昔の恋人ジェーンはモノローグを通じて盛んに自分の不安を吐露します。しかしいまひとりの重要人物であるニールの台詞はすごく少ないです。たまにあっても遠くで小声でボソボソ言ってるだけなのでなんと言ってるかわかりにくかったりして。外見やそぶりからなんとなく優しい男性なんだろうなーと感じさせるニール。しかし実際のところ、腹の底で何を思っているのかはっきり悟ることはできません。それがわからないゆえか、マリーナは絶えずいらだったり嘆いたりを繰り返します。

そしてそういった愛への不信感は、「神はわたしたちを愛してくれているのか?」という疑念に通じるところがあります。教会は神は愛であると説きます。また、聖書には「神の性質は造られたものを通して認められる」という言葉があります。なるほど、雄大で息を呑むような風景や美しい形の生き物などを観るとき、確かにそれは優しい神からの贈り物だと感じることがあるかもしれません。しかし神様は実際にわたしたちに「愛しているよ」と語りかけてくれるわけではありません。それゆえ大きな不幸に直面した人はその愛が本当に存在するものなのか、疑わしく思えたりするのでしょう(日本でははなから信じてない人もたくさんいますが…)。

しかしどれほど不安であっても、疑わしく思えても、人は異性や神への愛を求めずにはいられない… これはそういうことを穏やかに綴った作品だとわたしは思います。

面白いのはそんな映像抒情詩を、普段どちらかといえば銃撃戦を繰り広げているような方々が演じているということですね。『デアデビル』(あえてそれか)『ザ・タウン』のベン・アフレック、『007/慰めの報酬』『オブリビオン』のオルガ・キュリレンコ、『シャーロック・ホームズ』シリーズのレイチェル・マクアダムス、そして言わずもがなの(笑)ハビエル・バルデム。本当にハビエルさんがこんなに穏やかで、こんなに普通でいいものか? 突然豹変して周囲の人間を切り刻み始めるのでは大変ヒヤヒヤしました。あと前作のブラッド・ピットもどちらかといえばアクションの仕事の方が多いですね。
マリック監督がどうしてそちらのキャストを集中して起用したのかはよくわかりません。単なる偶然かもしれないし。
ただ、アクションが決まる美男美女というのはやはり黙ってじっと佇んでいる姿も様になるもので。そんな彼らが美しい夕焼けの中を粛々と歩んでいる絵は、愛憎劇を描いていてもまったく泥臭くなく、どこか遠くの浮世離れした世界の出来事のように感じられるのでした(実際遠いですけど…)。

幾つもの賞を取り、日本でも全国で200以上のスクリーンで公開された前作に比べ、『トゥ・ザ・ワンダー』は現在30スクリーンくらいで上映中・上映予定です。すでにさっさと終了したところもありますね… この極端な差はなんあんでしょう。日本でメジャーなスター俳優が出てないこともありましょうが、やはり『ツリー・オブ~』がよっぽど儲からなかったってことでしょうか。

Ttwd2この映画で一応演技派としての面目も保ったベン・アフレックは、先日再来年公開予定の『スーパーマンVSバットマン』で新たなるブルース・ウェインを演じることが決まりました。ちなみに『トゥ・ザ・ワンダー』のニール役は当初クリスチャン・ベールがやることになっていたそうで… なんだか面白い符号でありますね。
恐らくかなりアゴが目立つバットマンになるかとは思いますが、期待しております。

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September 03, 2013

ZはゾンビのZ マックス・ブルックス マーク・フォースター 『ワールド・ウォー・Z』

Wwz1珍しくがんばって連日更新! 「夏休みを偲んで」企画第三弾は、大スター、ブラッド・ピットが初めてゾンビものに挑んだSF大作『ワールド・ウォー・Z』をご紹介します。

かつて国連軍で働いていたジェリー・レインは任務に疲れて退役し、いまではフィラデルフィアで家族と穏やかな日々を過ごしていた。だがある朝娘達を学校へ送っていく途中、ジェリーと家族の日常は一変してしまう。
渋滞の中暴走する車の群れ。さらにそのあとから現れた大量の「ゾンビ」たち。突然流行りだした奇病のために町はまたたくまに地獄と化してしまう。
ジェリーは腕を化して欲しいという元同僚の連絡を受け、ゾンビたちの猛攻をかわしながら約束した集合場所へと向かう。果たして彼らはそこへたどり着けるのか。そして世界の行く末は…

最初にこの映画のタイトルを聞いた時はあまりのアホっぽさに、てっきり『ゾンビランド』みたいなコメディかと想像してたんですが予告映像を見たらかなり深刻そうな話だったんでたまげました。
でもまあ、わたしゾンビものってあんまし興味なくて。これまで観たゾンビ映画といえばそれこそ『ゾンビランド』に『バイオハザード』シリーズ、それに『レミントンとオカマゾンビの呪い』くらいなものです。
だからこの映画も「話題になってるしスケール大きそうだしなんとなく観てみようかなー」くらいの気持ちで観に行ったのですが、そんな風にほとんど期待してなかったせいかかなり楽しめました。
意外だったのはよくあるゾンビ映画かと思っていたら、これちゃんと「本格SF」してるんですよ! 本格SFとはなんぞや。世にはいろいろSFっぽいものが溢れていますが、通に言わせると単に宇宙が舞台だったりタイムスリップしたりすればSFってわけじゃないそうです。ちゃんと現在流布している科学知識基づいて、推理し、仮説を立て、空想を発展させる。これこそが「真のSF」なんだとか。

で、この映画、なんでゾンビ菌(ウィルス?)が発生したかについては明らかにしないんですが、ゾンビたちに見られる「ある奇妙な振る舞い」や、自然に見られる細菌の特徴などを手がかりに推理や考察を重ね、自然が隠そうとしていた「真相」へと迫っていきます。
主人公のブラピはゾンビたちと戦う兵士であり、同時に謎を追う刑事でもあります。米国、韓国、中東、欧州と移動していくごとに、ひとつひとつ手がかりを得ていきます。そんな感じなので中盤まではともかく、クライマックスはかなりゾンビ映画としては独特なのではないでしょうか。だからこそゾンビ好きには物足りないかもしれませんが、わたしはミステリーも好きなんでかなりこの展開にはスカッとしました。

もうひとつ良かった点について。こういうパニックものや侵略SFものにはおおまかな形式があります。実際に書いてみると

発端→パニック→雌伏→逆転→解決

と、こんな感じでしょうか。ただ映画は基本的に2時間なので、その枠の中でこれらを全部納めるのはけっこう大変だと思うんですよね。特に後半の「逆転」の部分、時間内に納めようとして無茶苦茶強引な展開になることも珍しくありません。わりとよくある例は「敵の本陣に潜入していって、爆弾放り投げて帰ってくる」ってヤツですね。あとなかには解決にまで至らず、なげっぱなにして終わってしまう映画もけっこうあります(^^;
その点『ワールド・ウォー・Z』はお話を無駄なく自然に運んでました。映画が冗長になる原因のひとつに「前フリが長い」というのがありますが、『WWZ』は始まってすぐゾンビ!です。前フリと呼べるものは10分もなかったような。
あと一番むずかしい終盤のくだりもわりと自然だったと思います。この自然さというか無理のなさが「物足りない」「スカッとしない」と感じる人もいるかもしれませんが、気になった人は自分の目で確かめてみてください。

Photoちなみに原作小説は世界の様々な場所の視点から描かれたちょっとオムニバスっぽい話だそうで。こちらもなんだか興味が沸いてまいりました。
『ワールド・ウォー・Z』は現在全国でまだヒット上映中。『ジャッキー・コーガン』の不振はこれで返済かな?


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September 02, 2013

戦隊ひとり ゴア・ヴァービンスキー 『ローン・レンジャー』

Lrg1ここんとこ家でめいっこをあずかっているので、面倒見その他のため更新が空いてしまいました… でも今日はがんばって書く! 夏休み(もう終りじゃねえか!)ハッタリ大作シリーズ第二弾。『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのジョニー・デップとゴア・ヴァービンスキーの二人がまたがっちりと手を組んだ! それで果たして出来の方はいかがなものか? かつて一世を風靡したラジオドラマのリメイク『ローン・レンジャー』、ご紹介します。

これはかつて西部で強気をくじき弱きを助けたヒーローの物語。生真面目な法律家の青年ジョンは、故郷へ向かう列車の中で拘留中の悪党ブッチ・キャベンディッシュと居合わせる。ブッチは手下たちを呼び寄せて列車から見事に脱出。いろいろあってジョンはブッチを仇とつけねらう風変わりな原住民・トントと共に、悪党達を追跡することになる。

ネットなどの感想を見ると「『パイレーツ・オブ・カリビアン』と大体一緒」という意見が多かったですね。それは確かにある。でもまあ違うところもちょこちょこありましたよ。
違うところのその1はパイカリが海洋冒険ものであるのに対し、こちらは西部劇だということですね。まあそんなのはポスター見ればすぐわかりますよね。
違うところのその2はパイカリがもうファンタジーの領域に入っちゃった話であるのに対し、こちらは現実的にギリギリ「あり」な話だということです。なんかその辺こだわりがあったのか、今回の作品ではゴア監督、極力CGを使わないことを心がけたんだとか。
逆にこれまでのゴア作品と似ているところは、「主人公が始終妄想にふけっている」という点ですね。ただジャック・スパロウが根っからの変人で、ランゴが成り行き上仕方なく妄想に入り込んでいたのと違い、こちらの「悪霊ハンター」トントがあっちの世界に行っちゃってるのには悲しい理由があるのですね。あまりにも辛い経験をしてしまったから、「あれは悪霊の仕業だったんだ」と現実逃避することで己の精神が崩壊するのを防いでいるのです。「ジョニデの白塗りももう飽きたよ」という方もいらっしゃいましょうが、そんな背景を思うと同情したくなるキャラクターでした。

さて、この映画実は最初はあんまり興味なかったのですが、公開二週後くらいに「映画史に残るウン十分ぶっ続けの列車アクション!」みたいなコピーを見て俄然観たくなってきたのでした。これはもしかして…『キートンの大列車強盗』をリスペクトしてるんでないかと。わたくしバスター・キートンの作品が本当に好きでして。そいつをオマージュしてるのかどうかぜひ確認せねばと思って観賞を決意しました。うん、クライマックスのあたりはかなりよく似たシーンがありましたね。『大列車強盗』未見の方はぜひDVDでご確認ください。
ついでに言うと最近のジョニデさんが基本的に無表情キャラなのも、恐らくはキートンへのリスペクトから来てるものだと思います。

あともう一点気になってたのは、今回はいい動物は出ているのかということ。ゴアさんはヘンテコな動物を撮らせるとなかなかいい仕事するんですよね。『マウス・ハント』のネズミ、『パイカリ2』の巨大ダコ、『ランゴ』のカメレオン他大勢。『ローン・レンジャー』ではグロくて面白い動物は出てきませんでしたが、途中から主役二人のあとをくっついてくる白馬が期待にこたえてくれました。普通白馬ってのは気品があってかっこいいものですが、こちらの白馬さんはなかなかやることがすっとぼけていてずるがしこい。でもヒーローのピンチには颯爽と駆けつける! そんなギャップが印象深い登場馬物でした。

Photoそんなわけで馬と列車が好きな人にはぜひおすすめのこの1本。ただやってるのはあと1週か2週でしょうか。今年の大作映画は『モンスターズ・ユニバーシティ』&『風立ちぬ』とぶつかったのが不憫です。そんな中、『ローン・レンジャー』は割りと健闘している方です。ひきつづきがんばりたまえ!

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