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August 09, 2013

お化けなんて怖くない(場合もある) ダン・スキャンロン 『モンスターズ・ユニバーシティ』

Msuv1昨年の『メリダとおそろしの森』の日本での爆死っぷりが記憶に新しいピクサー・アニメーション・スタジオ。しかし今年はうってかわって全盛期並みの盛り上がりを見せております。そりゃそうだよなー あのマイクとサリーが帰ってきたんだから…
名作『モンスターズ・インク』の12年ぶりの続編というか前日談、『モンスターズ・ユニバーシティ』後紹介します。

そこはモンスターたちが暮らす世界。彼らは人間界へ時々お邪魔しては子供を驚かせ、その恐怖をエネルギーに活用して文明を発展させてきた。モンスターの子供マイクは社会科見学で「怖がらせ屋」たちの仕事を見て以来、自分も「怖がらせ屋」になることを夢見て勉強に励んできた。その甲斐あってマイクは一流モンスターたちが集まる名門「モンスターズ・ユニバーシティ」に晴れて合格する。念願の大学生活に浮かれていたマイクだったが、同じ新入生のサリーのいけすかない態度が彼を苛立たせるのだった…

導入部でまず心を奪われるのはチビマイクのかわいらしさです。正直一作目の時は「やかましいウザいやつ」という印象のマイクでしたが、ちっこくてまん丸でひたむきでかわいそうで、川原泉先生のお言葉を借りるなら「おにぎりにして転がしたいかわいさ」でありました。
ただモンスターにとって「かわいい」というのはあまりほめられた特徴ではないようで。マイクは体格の不利(笑)を補うべく一生懸命努力するのですが、それでも「かわい~~~」と言われてしまうあたりは爆笑ものでした。
爆笑ものといえば自分の限界を感じてマイクが一人川辺でたそがれるシーンがあります。この辺も本当にかわいそうなシーンでもあるんですけど、ただでさえヘンテコなシルエットのマイクが後ろを向いてうなだれる姿はもう謎の物体でしかない。こんなシュールな光景で「泣け」と言われても、ねえ(^^;
そんなわけでとにかくマイクにいろいろ楽しませてもらった二時間でありました。
対して一作目の主人公であったサリーは最初いや~なイメージをまとわせつつ登場いたします。これはショックですよね。『~インク』では優しく朴訥で頼もしかったサリーがまるでいじめっ子みたいなんですから。当然いじめられっ子っぽいマイクとは犬猿の仲であります。
そんな風に観ていくと幾つか疑問がわいてきます。なぜ険悪だったマイクとサリーが『~インク』では親友になっていたのか? そしてマイクは確か「怖がらせ屋」ではなくあくまでサリーのサポート役ではなかったか? 『~インク』での悪役ランドールはなぜサリーを憎んでいたのか? 
前日談の醍醐味というのはこの辺にあると思うんですよね。スターウォーズEP3しかり、X-MENファーストジェネレーションしかり。沸き起こってきた疑問がクライマックスに近づくにつれ次々と解けていき、最後にわたしたちの良く知っているあの話にバーーーーン!と繋がっていくあのカタルシス。その点ではこの『モンスターズ・ユニバーシティ』はなかなか良くできた「前日談もの」でありました。

というわけで十分満足した『モンスターズ・ユニバーシティ』ですが、ちょっと不満というか不安に思った点がひとつ。
これまで「信じれば(がんばれば)どんな夢でもかなう」ということを子供たちに教えてきたディズニー。しかしこの映画では「どんなにがんばってもかなわない夢もある」という現実をはっきりとつきつけます。で、「かなわない夢は諦めて自分の本来持ってる才能を生かせ」と。そういえば春にやってた『シュガー・ラッシュ』もそんな感じだったなあ。
それも確かに人生の真理なのかもしれませんが、子供たちにはもっと甘い夢を見させてあげてもいいのでは… と人生にくたびれてきたおじさんは思うのでした(^^;

Msuv2最近『カーズ2』『トイストーリー3』と続編ものが続き、『ファインディング・ニモ』の続編も準備されているピクサー。しかし『ニモ2』のあとは後進育成のためにしばらく「続編もの」を封印するとの発表だなされました。さすがチャレンジ精神を重んじるピクサー!と感心したものの、ちょっと残念なのも確か。『~インク』で登場したブウちゃんの成長した姿や、彼女とサリーはいつまで一緒にいられるのか?という話も見てみたいんですがね… そんな「後日談」を作ってようやくマイクとサリーの物語は美しく終われると(勝手に)思うんですが。

『モンスターズ・ユニバーシティ』は現在全国の劇場で上映中。『風立ちぬ』と並んで今年の夏はアニメが強いです。

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Comments

チビマイク、可愛かったですよね〜。
そして、この前日談はどちらかというと、マイクのお話でしたよね。
それなりに楽しめる作品でしたけど、
前作を越えるワクワク感はなかったかな〜。

それにしても、ランドールは入学当初は地味で
真面目そうな青年だったのに・・・・
友人は選ばないといけませんね〜〜〜(笑)

Posted by: ルナ | August 11, 2013 at 04:11 PM

>ルナさん

どんな動物でも子供のころはキュートなものですが、まさか一つ目目玉のお化けまでこんなにかわいいものだとは思いませんでした
『~インク』はファンが多いだけに前作には及ばなかった、という方も多いようですね。わたしは今作も楽しみましたが、『~インク』とはまた方向性の異なる作品だと感じました
ランドールが初めは純真そうだったのは、サリーとは逆の意味でショックでした(笑) 彼に更正の機会はあるか?

Posted by: SGA屋伍一 | August 14, 2013 at 12:47 PM

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