ドリフ(ト)の大爆発 ギレルモ・デル・トロ 『パシフィック・リム』
この夏はいつも以上にハリウッドのSF・冒険大作が集中し、なんだか夏祭りの屋台で手当たり次第に焼き鳥やらイカ焼きやらたこ焼きやら食い漁ってるような感じなのですが、中でも本命といったらやっぱりコレですよ奥さん! 『ヘルボ-イ』や『パンズ・ラビリンス』などの妖怪大好き監督、ギレルモ・デル・トロの最新作『パシフィック・リム』ご紹介します。
近未来、太平洋の海底に突然生じた裂け目から、謎の巨大生物「怪獣」が現れ都市を破壊するという事件が相次いだ。環太平洋の国々は互いに協力し、怪獣専用の人型兵器「イェーガー」を建造。怪獣達を次々と撃退することに成功する。
そんな折、アラスカ基地のイェーガーパイロット・ベケット兄弟はかつてないほど強力な怪獣に遭遇。辛くも勝利を収めるものの、兄のヤンシーは壮絶な戦死を遂げた。うちのめされる弟のローリー。だがモンスターたちとの戦いは以後一層激しさを増していく。
あれは何年前でしたかねえ(そんなに前でもない)。ギレルモさんが今度ゴジラみたいな、クローバー・フィールドみたいな怪獣映画を作るよーという噂を耳にしまして「へ~」と思ったものでした。
それが少し経って今度は「怪獣が巨大なロボットと戦う話らしい」と聞いて「え?」と思い、さらには「ロボットも怪獣も何体もいて集団戦をやるらしい。そしてヒロインは菊地凛子」という情報を得るに至って「えええええ!?」と驚愕したものでした。
一体… どうして… こんなマニアックな企画が成立してしまったんでしょうね…
ひとつには『トランスフォーマー』シリーズの成功があると考えます。あれのヒットを見て映画会社の方が「うちもロボでなんか作られないものか!」とか思っちゃったんでしょうね。
ただ向こうの人って巨大ロボットのことを一種の「モンスター」としてとらえているところがあると思うんです。自我をもって勝手に動くロボはともかく、兵器として人が動かすロボってどれくらい受け入れられているのかなあと。そしたらやはり米国ではコケてしまったそうです。あはははは
けれどもそんな心配とは別に、発表されたトレイラーを見るととんでもない映像が次々に映し出され、映画ファンとしてロボットファンとして今か今かと公開を待っていたのでした。いや~、期待に違わぬ出来でしたね。
まあはっきり言っちゃいますと内容は無いヨーーーー!!!! いいんすよ! 映画に内容なんてなくたって!!(暴言) も~ 本当にね~ 次から次へと繰り出される巨大物映像の迫力にひたすらうちのめされた2時間でした。この映画観て、自分がなんで映画館に通うようになったのかあらためて思い出しましたよ。それは単純に「でっかいものがでっかく見えるから」ということなんですけど(『インデペンデンス・デイ』だったんですけど…)。もっとも最近はアート系作品なんかもテレビサイズでは集中できなくなっちゃったので、結論として結局は「どんな映画も映画館で観た方がいい」ってことなんですが、ともかくわたしの映画ファンとしてのスタートはそこにあったのでした。単純なところでこれまで実写作品でこれほどドでかいパンチが繰り出される映像があったか?と言えば、たぶんない…と思います。その映像だけでも観る価値があると思います。
以下ネタバレで。わたしが特に燃えたシーンはといいますと。





・冒頭で半壊状態のイェーガー「ジプシーデンジャー」が力尽きて氷の大地にズズーンと倒れるシーン
・怪獣に襲われているところを助けられた幼き日のヒロイン(演じるは芦田愛菜)が、イェーガーからパイロットが現れるところを見て笑顔になるシーン
・中盤の山場の香港戦でジプシーがタンカーで怪獣を殴ったり、ロケットパンチを繰り出したり、上空に運び去られてなすすべもないところで「まだ武器があるわ!」となったり他
これらのシーンがもう一度観たいがために今日2回目を観てきてしまったほどです(^^;
そんなわけでわたしが盛り上がったのはクライマックスより中盤の方だったりして。終盤の展開には正直「またイ○デ○ンデンス・○イ的展開かよ… こないだ○○○○○ズや○○○○○ンでもやったばっかしじゃん…」と若干萎えたのですが、その前の映像だけでも十分お釣りがきますし、2回目観たらその辺もそんなに悪くないような気がしてきました。やっぱり2時間ですっぱり決着つけるにはこの方法しかなかったのかもね… こうしたことで「続編に期待して!」という中途半端感もなかったし。この辺の話はまた『ワールド・ウォー・Z』のレビューでしたいと思います。
色々出てくるロボット・怪獣でわたしが特に気に入ったのはロシア製のイェーガー、チェルノ・アルファ。他のイェーガーがシャープでヒーロー然としてるのに対し、これだけ明らかに手抜きデザインというか、敵のロボが紛れ込んできたみたいな。でもそんなシュールなシルエットがかえって大人のハートをくすぐるのでした。
『パシフィック・リム』はただいま全国で苦戦しながら絶賛上映中。どうでしょう。わたしの熱意伝わったでしょうか。じゃあそれ、いつ観に行くんですか? まだやってるうちにでしょう!
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【ネタバレ注意】
ジャンボーグA対大悪獣ギロン!
『パシフィック・リム』には冒頭から度肝を抜かれた。全編がこんな夢の対決で溢れているのだ。
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【監督】ギレルモ・デル・トロ
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【公開日】2013年 8月9日
...... [Read More]
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» パシフィック・リム [ルナのシネマ缶]
朝のワイドショーで、
ギレルモ・デル・トロ監督がお台場の
ガンダムを拝んでいるシーンが
放送されていましたが・・・(笑)
そんな監督のこだわりが
満載な作品でした。
怪獣やロボット、特撮などが
大好きだった人のために
作られた作品ですよね〜。
未知の巨大生命体KAIJUが太平洋深海の裂け目から突如現われ、
人類は破滅寸前へと追い込まれてしまう。
そこで人類は一致団結して科学や軍事のテクノロジーを結集し、
KAIJUに対抗可能な人型巨大兵器イェーガーの開発する。
一時は優... [Read More]
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五つ星評価で【★★★★近親憎悪のようなものかもしれんが】
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» パシフィック・リム [風に吹かれて]
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» パシフィック・リム [映画的・絵画的・音楽的]
『パシフィック・リム』を渋谷シネパレスで見ました。
(1)評判がよさそうなので、随分と遅ればせながらも見に行ってきました。
本作は、深海にできた時空を越える通路を通って他の天体(「異世界アンティヴァース」)から次々と送られてくる巨大な怪獣(“kaiju”)に...... [Read More]
Tracked on September 23, 2013 06:53 AM
» 映画:パシフィック・リム [よしなしごと]
(基本的にネタバレありですのでご注意ください。)
●パシフィック・リム
2013年、太平洋グアム沖の深海に異世界とつながる割れ目が生じ、そこから怪獣が現れ、サンフランシスコを襲撃する。米軍は陸海空軍総攻撃をかけ、その怪獣を倒すことに成功する。しかし喜ぶのもつかの間、次々と怪獣が出現する。関係各国は協力して環太平洋防衛軍、通称PPDCを設立し、対怪獣用巨人兵器イェーガーを開発する。イェーガーの操縦には精神的、肉体的にも負担がかかることから、2人のパイロットが脳の同調回路...... [Read More]
Tracked on November 18, 2013 11:02 PM
» パシフィック・リム [いやいやえん]
かかか、KAIJU!
ギレルモ・デル・トロ監督作品。巨大モンスターを「KAIJU」とよぶ事からも分かるとおり、かなり日本の特撮映画をリスペクトしています。どうやら昔日本の特撮をみてたようですよ(放送してたの?)。
対KAIJU兵器「イェーガー」には精神的負担の軽減からパイロットは二人、そのシンクロ率は作品の中でも重視されていて、二人の記憶を共有してしまうなどの面も。
特撮の設定を実写でやったらバカみたいだろうというのをハリウッド級の映像でやっちゃうから、ツッコミどころが多くて仕方な... [Read More]
Tracked on December 13, 2013 11:57 AM
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□監督・脚本:ギレルモ・デル・トロ□脚本:トラヴィス・ビーチャム◆チャーリー・...... [Read More]
Tracked on February 01, 2014 06:59 PM
» パシフィック・リム [RISING STEEL]
パシフィック・リム / PACIFIC RIM
2013年 アメリカ映画 ワーナー製作
監督:ギレルモ・デル・トロ
製作:トーマス・タル ␣ ジョン・ジャシュニ ␣ ギレルモ・デル・トロ ␣ メアリー・ペアレント
製作総指揮: カラム・グリーン
原案:トラヴィス・ビーチャム
脚本:トラヴィス・ビーチャム ␣ ギレルモ・デル・トロ
撮影:ギレル...... [Read More]
Tracked on March 21, 2016 04:56 PM
Comments
SGAさんこんばんわ♪
自分も本作は3回リピートしましたが、全然飽きなかったですね^^特撮&ロボットという自分の大好物が2つくっついてるような内容だからっていうのもありますけど、やっぱりリピートした分今度は細かな所にも目を配ることが出来て新しい楽しみも見えてきたりしてたので、個人的には見返すたび新鮮なとこもありましたね。香港戦でのジプシー・デンジャーの奮闘っぷりも3度燃えましたw
そいえば本作は海外では興収厳しいと自分も聞きましたが、やっぱし日本と向こうではこのロボットに対する見方といいますか、価値観みたいなものが異なってるのかもしれませんね?ロボットにロマンを求めてるのは特撮畑の日本だけでしょうか?
Posted by: メビウス | August 27, 2013 10:01 PM
>メビウスさん
こんばんは♪
3回ですか… 負けたぜ… ていうか自分ももう一回観たいけど時間が…(^^;
わたしも一回目は「萌&健太ビデオ」を見逃したんですけど、二回目はしっかりチェックしました! そして二回観てもロケットパンチがどうやって戻ったのかわからなかったという…(戻ってないのか?)
そして悲しい話ですけどこの作品日本でもあんましヒットしてないんですよね。今の日本はウルトラマン・ゴジラもそうですけど巨大特撮に対して厳しい環境なのかもしれません。ただなぜか中国に限ってはメガヒットを飛ばしているそうです。えらいぞ! 中国!
Posted by: SGA屋伍一 | August 28, 2013 09:23 PM
なんか久々にワクワクした作品を見た!って感じでした。
ただ残念ながら、興行的にはイマイチみたいですよねー。
ネットでの評判は、かなり良いみたいですが、
やはり一般受けはしてない!ってことですよね〜。
なんとなく終わってしまいそうなので、私もなるべく早く
もう一度見に行こうと思っています!
中盤、注意して見てきます!!!(^_^)
Posted by: ルナ | August 28, 2013 10:48 PM
>ルナさん
おお、ルナさんにも大好評ですごく嬉しいです!
この映画、基本的に男子向けだとは思うんですが、一部の女子からも熱烈な支持がありますよね~
先日2回目を観に行ったときは混雑というほどではありませんでしたが、スタートレックよりお客さんが入っていて嬉しくなっちゃいましたよ。スタートレックも十分面白かったんですけどね(^^;
ちなみにフォロワーさんにはすでに10回くらい観にいってる人もいます。すげえぜw
Posted by: SGA屋伍一 | August 29, 2013 10:46 PM
やはり、チェルノ・アルファっす。
わかった。わかった。マコのイラスト、誰ぞに似てると思ったのはあれだ、久本だ。
Posted by: ふじき78 | August 30, 2013 01:43 AM
>ふじき78さん
ポスターでタイトルの後ろにチェルノのシルエットだけ描かれていないのがむかつきます
久本は実際に間近で見た方の話によると意外と美人らしいですよ
Posted by: SGA屋伍一 | August 31, 2013 11:54 PM
こんなワクワクさせられたのは久々でした
凄いアクションとか、映像が凄い!とか、内容が濃いとかハートフルとかは他の作品であるものの
こー 燃えてくるというか、キタキタキター!という感情がぐんぐんと芽生える作品でした
ほとんどの戦場が夜の海で「怪獣のフォルムがはっきりしない」のは残念でしたが、私もコンテナなどでKAIJUをなぐるシーンはお気に入りです♪
アソコの香港戦は熱かったですよねー
燃えた 萌えた という感じです
Posted by: maki | December 14, 2013 09:17 AM
>makiさん
コメントくださったのに反映させるのが遅くなってすみません
香港戦は巨大ロボットで育った男子なので当然燃え上がりました! ただ男子だけでなく一部女子でも「燃えた」という意見を幾つか目にしました。あまり「男はこう、女はこう」と決め付けるのはよくないですね。最近それでネット上で炎上したし…
個人的に萌えたのは微妙な美貌の菊地凛子さんw 今日見た『47RONIN』では怪獣というか妖怪のような役でがんばってました
Posted by: SGA屋伍一 | December 14, 2013 09:20 PM
この映画の評価すべきポイントは9体もの怪獣を出したところ
Posted by: 昏睡レイヴ!怪獣と化した先輩 | July 08, 2014 06:47 AM
> 昏睡レイヴ!怪獣と化した先輩さん
すばらしいサービス精神でした
Posted by: SGA屋伍一 | July 10, 2014 10:38 PM