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July 23, 2013

Sr.&Jr.スミス ナイト・M・シャマラン 『アフター・アース』

Ae1最近は微妙な出来の作品が続いているのに、なんでか映画ファンからやたらと愛されている映画監督ナイト・M・シャマラン。そのファン待望の新作がこのほど公開されました(もう一ヶ月くらい経っちゃいましたけどね…)。スター俳優ウィル・スミスと初の宇宙SFに挑んだ『アフターアース』、ご紹介します。

はるか遠い未来。宇宙へ進出した人類は、移住した惑星で「アーサ」と呼ばれる生物兵器に襲われる。アーサは視覚をもたないが、生き物の恐怖を感じ取って飽くことなく殺戮を続ける恐ろしい怪物だった。人類が辛くもアーサに勝利を収めた数年後、戦争の英雄サイファは息子を伴って宇宙旅行へ出かける。サイファはその旅で息子との間に生じている溝を埋めようと考えていた。だが宇宙船は予期せぬ流星雨と衝突し、付近の惑星へと不時着。そして恐ろしいことに訓練用に積み込まれていたアーサがその星へと放たれてしまう。

で、タイトルにもあるようにこの不時着した惑星が未来のアレなんですね。『猿の惑星』では最後まで引っ張られた謎がこの映画ではしょっぱなから明かされてしまいます。
なんとか生き延びたもののウィル父さんは怪我で動けず。仕方なく息子のジェイデン君がけだものどもがわしゃわしゃ繁殖しているその星で、遠くにおっこった救援要請装置(進化した発炎筒のようなもの?)を取りにむかいます。都会育ちのジェイデン君は人も住んでいないど田舎で「はじめてのおつかい」を達成できるのでしょうか…

疑問に思ったのはボスキャラ「アーサ」の生態ですね。これは宇宙人が元地球人を駆逐するために開発した生き物なんですが、恐るべき戦闘力を誇るのに目が見えない。「恐怖」を感知して攻撃できるんだからそれでいいやん、と考えたのかもしれませんが、やはりいざという時のために目くらい見えるように作っといたほうがよかったのでは? 実際それが負けた原因にもなっちゃってますし・・・ まあこの辺のうっかりテイストがシャマラン作品の特徴でもありますね。過去の例でいうと、水が苦手なのにうっかり地球に攻めてきちゃう宇宙人とか、さっさと用件を言えばいいのにおどかすだけで帰ってしまう幽霊とか、どう見ても人間の姉ちゃんなのに彼女が妖精だと素直に信じちゃう管理人さんとか。
こういういかにもドジっ子っぽいセンスこそが、シャーミンがみんなから愛されている理由なのかもしれません。多少のうっかりは生暖かい目で見守ってあげることにしましょう。

ただ疑問に思った点はもうひとつあります(書いてるそばから…)。それはこの作品、SFよりも昔話風のファンタジーにした方がしっくり来るんじゃないの?ということ。「昔々化け物を退治した英雄が息子をつれて航海に出るが、海難事故で未知の大陸に漂着してしまう。息子は怪我をした父を救うために数々の試練をくぐりぬけることになる」 これだったら強引なアーサの設定も気にならないかもしれません。昔話に理屈なんか求める人はそうそういないですからね。しかし前作『エアベンダー』もファンタジーでしたし、何よりウィル・スミスが宇宙SFをやりたがったみたいです。最初の案では本当に現代の野山で親子がサバイバルする・・・という話だったそうですから。まったく金と知名度にものをいわせてなんて強引にことを運んでしまうんだ! うらやましい! おかげで前作にもましてシャマランっぽくない作品に仕上がってしまいました。

ただまあわたし今ではそんなに熱心なシャマラン党というわけでもなく。この映画を観ようと思った動機は、なんだか『少年ケニヤ』っぽかったからです。『少年ケニヤ』というのは父とはぐれた少年がアフリカの大自然を舞台に野生動物や悪漢たちとバトルを繰り広げる絵物語。わたしの生まれる前に人気を博した作品でしたが、リバイバルブームが起きたときけっこう夢中になって読んだものでした。『アフターアース』はジェイデン君がいろいろ便利なひみつ道具を持ってるという違いはありましたが、「『少年ケニヤ』みたいなもんが見たいな~」というわたしの期待には十分こたえてくれたのでそれでよしとします。

「見えそうでなかなか姿を現さない怪物が襲ってくる」というところとか、「主人公が家族を亡くした哀しみから立ち直れてない」というところとかは辛うじてこれまでのシャマラン作品と共通しているかも。ファンはそうやって無理矢理「シャマランらしさ」を探って楽しんでみるのも一興かもしれません。

Ae2『アフターアース』は本国ではいまひとつな成績に終わったようですが、なんでか日本では初登場1位を記録。なぜだ・・・ いつもはこれと逆になることが多いんですがねー
ただ日本でもぼちぼち公開が終わりそうです。「熱心なシャマランファンではない」とは書きましたが、やっぱり2、3年に一度のシャマラン祭りがひっそりと終わってしまうのはさびしい… またすぐに帰ってきてね、シャマラン! できればもうちょいあなたらしい映画で…


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Comments

伍一くん☆
いろいろとシャマランでしたが、それが気にならない程度に面白かったです。
なんといってもウィルの親ばか丸出しなかんじが、ほのぼのしちゃいました。

Posted by: ノルウェーまだ~む | July 24, 2013 at 12:53 AM

>ノルウェーまだ~むさん

こちらにもどうも~
そういえば今回シャマランは何の役で出てたのだろう… 猿役?
予告見た時はウィル、速攻で死んじゃいそうな感じだったんですけどねw そのへんのしぶとさはさすがにウィル・スミスでした

Posted by: SGA屋伍一 | July 24, 2013 at 09:49 PM

SGAさんこんばんわ♪

近年あんまりヒット作に恵まれていないシャマラン監督なせいか、本作の楽しみも個人的には監督目当てと言うよりはウィル親子の共演目当ての所が大きかった気がします^^;
やはりシャマラン監督って斬新で独特なアイデアを出す一方で駄作も割と多いので、ファンじゃない人からすればちょっとバクチに近い鑑賞を強いられるとこもあるんじゃないでしょうかね~?自分も『サイン』からちょっと微妙続きなので、そろそろ真の力を見せて欲しいところ(笑
今作ではウィル親子とでしたけど、次回作はまたあのハゲの人と組んで話題性から掴みを取ったらいいんじゃないでしょうかね^^

Posted by: メビウス | July 26, 2013 at 11:56 PM

>メビウスさん

返事が大変遅くなり本当~に申し訳ありません(何度目だ…)
ウィル親子の共演といえば『幸せのちから』ですね。あれだってそんなに前の映画じゃないのに子供が大きくなるのは早いものです

ツイッターでやり取りしてる人は割りとシャマラン好きな人が多くて。微妙なものも多いとわかりつつそれでもシャマランが好きなんですよね(笑) いったいシャマランの何がそんなに人をひきつけるのでしょう

そういえば先日ネットで『アンブレイカブル』続編の噂を見かけました。信憑性は薄いですがこれはちょっと観たい!

Posted by: SGA屋伍一 | July 30, 2013 at 11:34 PM

シャマランの出番

ラストシーンでウィル・スミスか、ジェイデン・スミスのどちらかが顔のマスクを引きはがして「実は俺だ」とか言って出てくる様子をちょっと夢想しました。

ケニヤがちょっとお姉っぽいです。

Posted by: ふじき78 | February 02, 2014 at 10:24 PM

>ふじき78さん

そんなルパンか明智小五郎みたいなシャマランはいやです。…いや、いいか。かえって面白そう
山川惣治先生の描く美少年ってだいたいこんな感じなんですよ。バキとちょっと近い

Posted by: SGA屋伍一 | February 03, 2014 at 10:55 PM

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