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July 02, 2013

丸・三角・記憶 ジョセフ・コシンスキー 『オブリビオン』

Obbin2同じ時期に企画がかぶるということはよくあるようですが、今年はなぜかハリウッドで世界滅亡というかディストピアものが大流行なようで。『アフター・アース』『パシフィック・リム』『ワールド・ウォーZ』『エリュシオン』『ザ・ワールズ・エンド』『ディス・イズ・ジ・エンド』… その先陣を切って公開されたのが、すでに『宇宙戦争』でこの世の終わりを経験しているトム・クルーズの『オブリビオン』。あらすじから参ります。

宇宙からの侵略により、死の星と化してしまった地球。ジャックとヴィカはわずかに生き残った人類の代表として、母星の環境復元と敵の残存勢力追討に日々務めていた。任務も満了に近づいたころ、ジャックは異星人らしき武装集団に襲われる。辛くも逃れたジャックだったが、その時感じた違和感や続けて起きた事件をきっかけに、自分の境遇に疑問を抱き始める。

「オブリビオン」の意味は・・・と書くとこれだけで若干ネタバレになってしまうのが辛いところ。まあ英語圏の人たちには意味なんて一発でわかるわけですから、それくらいバレたってかまわないと作者は思ってるんでしょうけど。これ、なかなかにシンプルで渋いタイトルでありますよ。
正直SF映画やSFアニメをたくさん観てる身としては「ああ、そのアイデアはあれにもあったよね」というところが色々ありました。まあ監督のコシンスキーさんも相当その手の映画が好きなんでしょう。
ただ既視感こそあったものの、「コシンスキーさん、いいセンスしてるなあ」とは思いました。人間や建造物がほとんどないせいか、スクリーンに映る景色が雄大かつ清浄で癒されるんですよね。あといちいち丸っこいビーグルやロボットのデザインも好みでした。夏目房之介先生もおっしゃってましたが、円とか球という形は人の心に安定を与えるんだそうです。
そしてもうひとつ嬉しかったのがけっこういいところでプロコル・ハルムの『青い影』がかかるんですわ。わたしこの曲がオールディーズの中でも1,2を争うくらい好きなもので。ちなみにこの曲ムードたっぷりの甘いメロディなので歌詞もさぞかし甘々なのかと思いきや、こんなわけのわからん歌詞だったりします。

さて・・・ こんだけえんえんと誉めたので、以降はオタクらしく完全ネタバレで「これはあれに似てる」という点をねちっこく指摘してみましょう。そういうわけで未見の方はご了承ください。

☆主人公の正体が実はアレだったという真相・・・いろんなところで言われてますけど、『月に囚われた男』と一緒です。アニメ『ゼーガペイン』の敵もそうでした。

☆古典に触れて感性が豊かになってしまう主人公・・・これは『リベリオン』でしょう。タイトルも似てます。

☆ボール状でダルマみたいなメカ・・・これはたまたま似ちゃっただけだと思いますが、横山光輝御大が描かれた『マーズ』に登場する「ウラエヌス」というロボットにちょっと似てます。あと『ガンダム』のボールとか。

☆敵のコンピューターと対話する場面・・・『装甲騎兵ボトムズ』のクライマックスにそっくしな場面がありました。あと侵入していく様子は『インデペンデンス・デイ』を彷彿とさせます。コンピューターのシンボルが丸い赤ランプなのは『2001年宇宙の旅』ですね。

☆ナツメロがふいに流れ出して踊りだす二人・・・SFじゃないですけど『ゴースト ニューヨークの幻』みたいでした

☆オチ・・・トニー・スコットの『デジャヴ』ですよね~

まだあった気もしますが、観たのももう一ヶ月前なんで思い出せるのはこれくらいです。なるたけその作品のいいところを、オリジナリティを見つけたい・評価したいと思ってるのに、ついついそうでない方が気になっててしまう。オタクというのはつくづく救いがたい人種です。

Obbin1そんな『オブリビオン』はスター俳優トム・クルーズと終末SFの相性がよかったのか、地味なタイトルとは裏腹にそこそこヒットを飛ばしているようです。まだ1、2週間くらいは上映してるんじゃないでしょうか。
とりあえず次はディストピア映画は、これまたスターのウィル・スミスとお騒がせ監督ナイト・M・シャマランが組んだ『アフターアース』を観賞する予定。こちらはまた濃いい地雷臭を感じるのですが、それもまた良しw

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Comments

こんばんは!(*^^*)
言われてみれば、この後世界滅亡モノが目白押しですねー。
まあストーリーはさておき、映像の美しさやデザインのカッコ良さに加え
トムさんの人気もあって、なかなか評判は良かったみたいですね〜。
それに引き換え『アフターアース』の方は、シャマランだし・・・
親バカ映画と酷評も多いようで・・・
なんとなくDVDでもいいかなぁ〜って思っております。
なので、伍一さんの感想を楽しみにしてます!!!

Posted by: ルナ | July 02, 2013 at 11:48 PM

>ルナさん

こんばんは! そういえば今日はトムさま51歳の誕生日だそうで
あの若々しさで51歳って信じられないですよね! わたしも今年で不惑なのでぜひともあやかりたいものです・・・

>それに引き換え『アフターアース』の方は、シャマランだし・・・
親バカ映画と酷評も多いようで・・・

そ、そんな・・・ 考えようによっては離婚して妻子を不幸にしてしまうトム様より親バカなウィル・スミスの方がまっとうな人間かも(あ、でも最近浮気して奥さんを泣かせたなんて話もあったか)

本当にハリウッドスターってのはろくなヤツがいませんね! 話が変な方向に行きましたが、はりきってアフターアース行ってきます!

Posted by: SGA屋伍一 | July 03, 2013 at 09:14 PM

伍一君☆
私としては美しい映像とハイセンスなところなど、存分に楽しめちゃったわ。
確かに既視感はあったけど、そこまでのオタクではなかったので、気にはならなかったです(笑)
ラストだけどうよ?って思ったけど、ま、許せる範囲で♪

Posted by: ノルウェーまだ~む | July 06, 2013 at 10:17 PM

>ノルウェーまだ~むさん

こんにちはです
うん、過去の作品は気にせずにまっさらな気持ちで観られる人の方が映画にしても何にしても得だと思います(笑)
いや、わたしも十分楽しんだんですけどね
監督の前作『トロン・レガシー』は寝ちゃったけど、これはちゃんと起きてたし!

Posted by: SGA屋伍一 | July 08, 2013 at 10:44 AM

暑いですね~~

やっと夏休みになりました。
とはいえ毎日出勤しているのは変わらないのですが
すこしは心に余裕が出てきました。
この作品は劇場まで行って観ることができたのですが
そっか~~いろんな過去作品に似てるんですな。
「月に~」は観ましたがたしかにそうですね。
トムちんは最近わりと好評の映画に出ていて嬉しいです。
レビュー書いていませんが「アウトロー」面白ろかったデス。

月曜はジブリの「風立ちぬ」観に行ってきます。
宮崎監督のアニメは嫌いというかさっぱりわからんのですが
この「風立ちぬ」は従来のものと違って
私の好きなタイプの話のような気がします・・・・

まだまだ猛暑全開ですがSGAさんもご自愛ください。
熱中症に注意!

Posted by: なな | July 20, 2013 at 09:50 PM

>ななさん

ご無沙汰しててすいません&色々お気遣いありがとうございます!
毎日本当に暑い日が続いていますね。うちの猫もすっかりまいってひっくりかえっております。
SF映画も人類滅亡ものもたくさん作られてますからね~ 色々ネタがかぶってしまうのはいたしかたなきことかも。
トム・クルーズはもう50歳なのに相変わらず元気はつらつですごいですね。こないだ『トップガン』に出てた他の俳優さんとの比較写真を見たのですが、明らかに一人だけ年取ってませんでした
これです http://mijinco.blog.shinobi.jp/Entry/5460/

『風立ちぬ』はすごい話題になっていますねー わたしはここんとこ宮崎作品は惰性でつきあってきましたが、今回は「いままでと違うものに挑む!」という気合がみなぎってるのでとても楽しみにしております。

それではななさんも夏休みの間に体力回復されてください。そして暑さにお気をつけて

Posted by: SGA屋伍一 | July 20, 2013 at 10:42 PM

伍一さん、

暑中お見舞い申し上げます。
こちらも今日は、この夏最高気温となるそうです。

『オブリビオン』を楽しめたという点で一致してます。かなり面白い映画だと思いました。

ちょいと久しぶりでしたが、又、御邪魔させていただきたく、どうぞ宜しく御願いします。

Posted by: まみっし | July 22, 2013 at 10:56 PM

>まみっしさん

おお、久しぶりのご来訪ありがとうございます! 涼しげな印象のあるロンドンも今年は相当暑いようで。まみっしさんも熱中症にはお気をつけください
『オブリビオン』、熟睡してしまった『トロン・レガシー』の監督ということでかなり身構えて観ましたが、おもったよりスリリングで楽しかったです
そういえばプロコル・ハルムは確か英国のバンドでしたが、『青い影』はいまでも親しまれているのかな…
またのご来訪をおまちしております(^^)/

Posted by: SGA屋伍一 | July 23, 2013 at 11:30 PM

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