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July 18, 2013

台湾首刈り伝説 ウェイ・ダーション 『セデック・バレ』

Sdbr1よし! 今日は素面だ! 
本日は2011年に台湾で公開され、その年の映画賞を総なめにした4時間30分の超大作『セデック・バレ』を紹介します。

20世紀初頭、台湾の山岳にはセデック族という狩猟民族が栄えていた。好戦的なセデック族は敵の首を刈ることを名誉なこととしていて、それが「真の男子の証」ともなっていた。
やがて台湾は日本の統治下に置かれ、執拗に抵抗を続けていたセデック族もまた、その武力の前に屈することになる。総督府の支持のもと日本語を教育され、土木工事に使役されるセデック族。中には日本人の国籍を得る者もあり、それなりに平和な20年が過ぎた。しかしかつて日本軍に激しく抵抗し戦った頭目モーナ・ルダオの胸には、押さえがたい反逆の炎がくすぶり続けていたのだった。

1930年に実際に起きた「霧社事件」を題材にした作品。先にも述べましたが、長尺のため第一部「太陽旗」と第二部「虹の橋」からなっております。
いやあ、びっくりですよね・・・ 首刈り族といえばてっきり南洋とかアフリカとかあっちの方の話だと思っていたのに、普通にこの東アジアにもつい最近までいらっしゃったなんて! まあ日本の侍だって戦場においては「敵の首級をあげる」のがお仕事だったわけですから、彼らだって「首刈り族」と言えなくもないですが。
ただ日本においては首を刈るのは侍だけですが、セデック族では男子はみな戦いで首をチョンパすることが必修課題となっていて、それを一度も果たしたことのない者は「天国に行けずにあの世で苦しむ」ということになっています。軟弱者のわたしとしてはセデック族に生まれなくて本当に良かったと思いました。

現代社会に生きているわたしたちからすれば「野蛮な風習だ」と思うかもしれません。しかし彼らが「狩場」を神聖なものとし、死守しようとしていることからもわかるように、限られた土地で一族のために必要な食料を集めるためにはそれくらい必死になって自分たちの領地を守らねばならなかった、ということなのでしょう。
ただセデック族の中にも「首刈りなんてイヤだ」と進んで日本の教育を受ける者もいたり、戦いのない暮らしに安らぎを感じる者もいます(特に女子)。そんな人々が再び激しい戦いに巻き込まれて苦しんでいく様子は、なんともやるせないものがありました。
板ばさみになった者たちの悲劇を丹念に語る一方で、ダーション監督はモーナ・ルダオとその仲間たちを敬意をこめて雄々しく描きます。それはわたしたちが狼やライオンといった、気高い野生の生き物に抱く憧れと似ているかもしれません。そういった生き物を怒らせれば悲惨な結果が待っているのは当然です。それが如実に表れているのが第一部ラスト。本当にこれでもかというくらい首チョンパ・チョンパ・チョンパの嵐です。だもんでこの辺あまり血しぶきの苦手な人にはおすすめできません。
そんだけ派手にチョンパしまくった後で、「真の人になる~」というスローな癒し系のメロディーが流れ出すので少々調子が狂いました。

ちなみにわたくしたまたまこのウェイ・ダーション監督の前作『海角七号、君想う国境の南』という作品を観たことがあるのですが、そちらの方は血の一滴も流れない、台湾と日本の間のメロメロなラブロマンスを描いた映画でした。それからどうしてああしてこうなったのか、さっぱりわかりません。ただダーション監督は「日本と台湾」という題材に興味があるようで、他にも台湾の学校が甲子園で優勝した話を撮っているそうです。

Sdbr2『セデック・バレ』は日本での公開からもう3ヶ月も経ってますが、まだまだこれからかかるところも多いようです。詳しくは公式サイトをチェックしてみてください。


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Comments

観ましたかー。
いやあ、これは今年の1本になって来ると思います。

>軟弱者のわたしとしてはセデック族に生まれなくて本当に良かったと
ごいちは、山走れそうになさそ・・・(ry
首狩りが通過儀礼っていうのもそれだけ戦いが絶えなかったからだよね。
しかしセデック族の体力にはびっくりしました。

Posted by: rose_chocolat | July 19, 2013 at 09:39 AM

>rose_chocolatさん

幸い小田原と沼津の両方で上映してたので小田原で観てきました
うちの中学校のマラソン大会は山越えの過酷なコースだったんですぜー ま、大抵ビリの方でしたけどね…

日本にも中世には「サンカ」という山に住む民族がいたそうです。セデック族みたいに首刈りの習慣はなかったようですが

Posted by: SGA屋伍一 | July 20, 2013 at 10:32 PM

トラックバックどうもですノシ

いや~凄惨で腰が抜けましたw
バラエティ番組でお馴染みのきむ兄がチョンパされるのは、もう中学生の頃に見たスターシップ・トゥルーパーズ以来の衝撃ですよ!
首チョンパ必修科目嫌ですね~~!!

そういえば地獄の黙示録では生の牛を実際に屠殺するシーンがあって、意外とあんな風に体をバスって切っても血は出ないものなんだって思ってたんですよ。
その上での、この血がブシューってならないクビチョンパ描写・・・!実はこっちがリアルなんじゃないかってゾッとしました(^_^;)
普通北斗の拳みたいなバイオレンス作品では血がいっぱい出そうなもんなんですけどね。

首チョンパシーンを自分の作品で描くことはなさそうですが、もし描くことになったら、この映画を参考にしようと思います。
もの食いながら見ていたので、気持ち悪くなっちゃったほどですからね。

Posted by: 田代剛大 | November 06, 2013 at 07:26 PM

御紹介ありがとうございます。
所処にでもある「今となっては…」という慣習とはいえ、少し前の台湾の現実ですね。首、飾ってあったんですよね。いいとか悪いとかの問題ではない世界。

昔は各国各民族、成人男子の儀式として様々な儀式がありました。
それは御紹介の様に、一人前の男として認められる為の重要な儀式で、部族内ではそれ無しには立派な成人男子の一員として認められなかった。「勇敢な印」「力のある印」などとして、とても大事な民族精神の一つとして存在していました。
日本人は、彼等の世界と西欧型近代化の接点を作る事を遣った。
彼等にとっては、外部から来た侵略者であり、自らのテリトリーを侵す者として、闘うべき相手だった。
台湾は戦闘部族がいっぱい居たので、日本人が行かなくて、台湾人だけで台湾島を統一したとしても、何らかの戦闘は避けられなかったと思います。その台湾島統一や近代化の役割を担ったのが、たまたま日本人だった。
日本人は、迫る植民地支配の危機もあり、急速な近代化やその社会への適応を台湾人に要求せざるを得なかった。映画を見ていませんけれど、彼等の抵抗は凄かったと思います。逆の立場だったら、やはり日本人も抵抗し闘ったでしょうね。

大日本帝国時代の日本人の先輩が、戦争には日本人が優先的に兵隊として出兵した。それは兵隊は先陣切って闘うので亡くなる可能性が高かったから、台湾人朝鮮人には後方部隊を任せた。でも、戦争末期には日本人が減っていて、台湾人が進んで戦地に出てくれると言ってくれて、本当にありがたかった、と心から感謝していました。戦況が迫っていて、出兵したら帰国できる可能性も低くなっていた時に、こんな文字じゃ陳腐で表現しきれないのが悔しいですれけど、本当に嬉しく有り難かったかったそうです。彼等が出てくれなかったらあれ程は戦えなかったでしょう。高砂族の先輩方、そして大日本帝国の先輩方、善良な思いと御尽力をありがとうございます。
あの戦争では本当に惜しい方達を大勢亡くしてしまいました。皆、待っていた方達もとても辛い思いをしました。しかし、各地の自立独立支援を戦乱の中で出来る範囲で支援していた先輩方の足跡を辿るに連れ、ますます今の陳腐な若者文化に喝を入れたくなります。
日本の神社にある台湾の木も、きちっと表示して、台湾の後輩の方がいらしても解るようにしてくれるといいですね。木を切った台湾の土地に慰霊碑か祠が有れば、日本人も御参りできるのですれけど。
先輩方の善良な努力と思いは、後の世代にも受け継いでいってほしいものです。慰霊碑を、台湾人と日本人の双方の子孫達に語り継いで行って、それ以前の戦闘で亡くなられた方々への慰霊も込めて、ずっと維持し続けて行ける事を祈ります。

Posted by: Nao | November 08, 2013 at 01:17 AM

>田代剛大さん

いやー、お返事大変遅くなってもうしわけありません。ただいま試験勉強真っ最中でして…(^^;
キム兄、びっくりの熱演ぶりでしたね! 「あ、ケンドーコバヤシ出てるんだ」と最初思ってたのは内緒です…
わたし、別にそんなにクビチョンパって好きではないんですけどね。むしろ苦手(^^; でもこの映画はなんか爽快感あってよかったな!(えっ)
漫画でクビチョンパといえば思い出すのはやはり永井豪&石川賢の作品群でしょうか。多感な時期はこういうのにウヒウヒ言えるかもしれませんが、もう40になると疲れますね。
と言いながら先日「武器人間」というこれまた壮絶な映画を観てしまいました…

Posted by: SGA屋伍一 | November 11, 2013 at 11:44 PM

>Naoさん

コメントありがとうございます。
日本もこの少し前に欧米列強に無理やり開国させられ、西欧化を余儀なくされたわけですよね。それが今度は促す側になり、そしてまたその後にはセデック族のように圧倒的な勢力と戦うことになり… 歴史の不思議さというか皮肉を感じます
ウィキペディアにありましたが、セデック族の生き残りは第二次大戦時目を見張るような戦いぶりを見せたとか。この映画を観ると大いに納得してしまいます
台湾の方々は東アジアの中では例外的に日本に友好的ですよね。その辺から近隣諸国と仲良くできるヒントが見つからないかな… とわたしは思ったりします

Posted by: SGA屋伍一 | November 11, 2013 at 11:54 PM

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