インドの3馬鹿大将 ラージクマール・ヒラーニ 『きっと、うまくいく』
昨年の『ロボット』のヒット以来、またちょこまかと紹介されるようになったインド映画。『ロボット』『ラ・ワン』を堪能してしまった身としては「メカが出てこないとイマイチ物足りないよなー」なんて思っていたのですが、こちらはやけに評判がいいし、お誘いもあったので観てきました。『きっと、うまくいく』ご紹介します。
ファランはまさに旅行に出かけようとした時、同級生だった通称「消音銃」からの電話をうける。行方がわからなくなっていたやはり同級生のランチョーの居所がわかったというのだ。急いで旅行を取りやめ、空港に引き返すファラン。彼とランチョーとラジューは大学時代同じ部屋に住み、何をするのも一緒だった。高圧的な学長や上級生に皆が怯える中、毅然として異を唱えるランチョー。それでいて彼には親友のためには労を惜しまない情熱的な面もあった。ランチョーを兄弟のように思っていたファランとラジューは、「消音銃」と共に彼が住んでいるという町へ向かう。
この映画はこの三人が車で旅をする間に、大学時代の思い出がえんえんとカットバックされるという構成になっております。というか回想シーンの方が断然多いですね。
基本的には人情喜劇でありますが、大学が舞台ということもあってさりげなく「真の教育とは何か?」ということも語られたりします。さすがに以前に比べるとカースト制度の影響は薄くなってきてるようですが、その代わりインドの若者たちは競走重視の社会に悩まされているようです。男の子であればエンジニアに、女の子であれば医者になって高収入を得ることが幸福であり、教育はその職に就くための手段でしかない・・・という考えが現代のインドでは一般的なようで。そんな社会にランチョーは学ぶ喜び、楽しさを懸命に説きます。
この映画で特に印象に残ったのはそんなランチョーに敵対する二人の男でした。いわば悪役ですが、この悪役が非常にいきいきとしてるんですよね。
まず純粋に金と名誉欲のために大学へ行っている「消音銃」。彼はいい成績を取る為には他人を蹴落とすこともいとわない男ですが、その徹底した小物ぶりがなんだかすばらしい。そして幾らがんばってもランチョーにかなわないところがまた涙を誘います。まるでヤッターマンのドロンボー一味のような魅力を放つキャラクターでした。
もう1人の悪役は成績の低い生徒や反抗的な生徒をあの手この手でいじめぬく学長先生。こちらは魅力とかは全くございません。もう本当~~~にただただ憎らしい。しかしそんな極悪人(さすがに言いすぎか・・・)にも救いを用意し、ホロリと泣かせてくれる脚本にはさすがおしゃかさんの国だなあと暖かい気持ちになったのでした。
面白いのはインドの人たちって父親をけっこう重要視してるんだなあ、ということでした。ランチョーの二人の親友ファランとラジューは父親を喜ばせようとしたり、あるいは理解してもらうために一生懸命心を砕きます。日本ではどっちかというと「泣かせ」に用いられるのは母親であり、父親は男にとって乗り越えるべき壁みたいに描かれることの方が多いですよね。そういえば『ロボット』『ラ・ワン』も「父親」がストーリー上太い柱となっていた作品でした。
個人的にツボにはまったのはおじいちゃんやチンコをネタにしたギャグの数々ですね。特に男性には股間にズキュウウウンと来るシーンがあるのでぜひ体感していただきたいものです。あと冒頭で「メカが出ないと物足りない」と書きましたが、メカもそれなりに出番があったりして。
ちなみに上の画像の得体の知れないキャラクターは「ナン子ちゃん」と言います。最初に観た時はぎょっとしましたが、微妙好きとしてはなかなかそそられます。考案したのは元筋肉少女隊のミュージシャン大槻ケンヂ氏。わたくしが観た回では二人そろって登壇して映画に花を添えてくれました。オーケン氏はそれこそ学生時代ラジオ「オールナイトニッポン」などで楽しませてもらったので、生の姿が観られて嬉しかったな~
『きっと、うまくいく』は評判を呼んで大ヒットしてるようなので、まだ当分やってるかと思われます。上映劇場は公式サイトをチェックしてみてください(なげやり)
Comments
安倍でございます。すんません、、、ボクのブログをリンクしてくださって。。。ブログタイトルが長くて5行にもなっとりますよ。たぶん 『伸ばしたい!!』 んとこでおわりでいいですよ。まあ、どっちでもいいですが。。。
あとポスターの写真がカラのクビレディーに似てたのもよかったよね。じゃ。公務がありますので。
Posted by: アベノミクス。。。 | June 14, 2013 12:01 AM
こんばんは。最近東京は雨すごいですー。
熱海はいかがかな?
本当だ、いつの間にかウラヤマさんのブログをリンクしてる。
ウラヤマさんが早めに行っていい席取ってくれたから、トークも前の方で見れたのでした!
オーケン、ニット帽あんまり似合わなかったね。
これ、すごいtwitterでは評判いいみたい。私のTLだと、みんな大絶賛してるよ。
ホロリとしてちゃんとメッセージも入ってるし、本当いい物語でした!
Posted by: とらねこ | June 14, 2013 12:42 AM
>アベノミクス。。。さん
こんばんは。。。 大丈夫ですよ。このブログ、リンクのリストがだいぶ下の方にあるのであんまり見る人もいないだろうから。。。
そういえば以前知り合いのウラヤマさんという型にカラと少女時代はどこが違うのか教えてもらったっけ。で・・・ どこが違うんだったかな?
それでは公務お疲れ様です。み~ん。。。
Posted by: SGA屋伍一 | June 14, 2013 10:21 PM
>とらねこどん
こんばんは。お返しありがとうございます
ようやく梅雨らしくなってきましたなー 熱海はちょぼちょぼくらいです。わたしのように煮え切らない天気が続いてます。。。
そうそう。ウラヤマさんにはお世話になりましたね。さすができる男は違いますのう。あっちでは立ち見も出るほどに大盛況だったのに、小田原ではやっぱり二週間程度で終わっちゃいましたよ。。。
うちのTLでも概ね大好評ですね。1人『サニー』の嫌いなひねた若者がこきおろしていたくらいでw
Posted by: SGA屋伍一 | June 14, 2013 10:24 PM
こちらにもお邪魔します。
いやはや、この作品は個人的に凄い良かったです♪職場の方からオススメされてレンタル鑑賞したのですが、今年中に見なければかなり後悔してたかも?^^;
コメディ色が強い内容ではあるんですが、その中にちゃんとインドの教育問題とかを取り入れてもいましたからなんか「タメ」にもなっちゃったんですよねぇ。それでいてインド映画定番の歌って踊ってのミュージカルもノリノリで楽しかったですし、ギャグや笑いもツボに入ったものがかなり多かったのも好印象です(3バカの1人のラージューの家に行くと白黒映像になったりとかw)。
今更ですがこんなことなら自分も『ロボット』や『ラ・ワン』を観ておくべきでしたねぇ。インド映画恐るべし・・。
Posted by: メビウス | December 06, 2013 10:11 PM
>メビウスさん
こちらにもどうも。職場で映画の話ができるっていいですね~ わたしはリアル友達で映画の話が出来る人ってあまりいなくって
ラージューのお父さん関連では強烈なギャグが多かったですよね。わたしはランチョーとヒロインが妄想でバイクで相乗りしてるシーンで、なぜかラジュー父も一緒に乗っているあたりがツボでしたw
というわけで『ロボット』『ラ・ワン』もおすすめですよ。まあちょっと長めなのがインド映画のネックですけど
Posted by: SGA屋伍一 | December 09, 2013 10:46 PM