悪いヤツほどイノセンス リッチ・ムーア 『シュガーラッシュ』
『RED』『エクスペンダブルズ』『アヴェンジャーズ』と豪勢な「大集合」映画が続くこのごろですが、今度はゲームの人気キャラが大集合? ディズニーが贈る本格的TVゲームアニメ『シュガーラッシュ』ご紹介します。
みんな大好きテレビゲーム。しかしそのテレビゲ-ムの中のキャラが、本当は一人一人自我を持っていたとしたら・・・ アーケードゲーム「フィックス・イット・フェリックス」のキャラのラルフは、悪役として来る日も来る日もビルを壊し、来る日も来る日もビルから投げ落とされていた。しかしラルフはいつしかそんな立場がいやになり、悪役をやめられたら・・・と思うようになる。ある日「フィックス~」の30周年記念パーティーに自分だけ呼ばれなかったことをきっかけに、彼の不満はとうとう爆発する。ラルフは善玉だけがもらえるメダルを持ってくることとひきかえに、みんなと同じマンションに住ませてもらえる約束をとりつける。そして別のゲームの世界へメダルを探しに行くのだが・・・
すいません。最初に「人気キャラ大集合!」と書きましたが、中心になっているのはあくまでオリキャラです。クッパとかパックマンとかソニックなどの有名キャラはカメオとしてその辺をうろちょろしてるだけ。でもちょうどゲームウォッチや初代ファミコンに親しんでいた世代としてはそれだけでも心和みます。
たぶんラルフは初代ドンキーコングあたりがモデルなんだと思います。ビルのてっぺんで吠えまくり、チンチクリンの修理屋にやっつけられる姿は本当に昔のドンキーコングそのもの。ただこの映画のメインの舞台となるのは、全てがお菓子でできた世界のレースゲーム『シュガーラッシュ』。こちらは『マリオカート』をもっとメルヘンチックにしたようなものでしょうか。
で、この映画のゲーム世界なんですがメルヘンの裏でなかなかに厳しい事情もあったりします。人気がなくなったり不具合を起こしたゲームは電源を抜かれて「消滅」。消えたゲームのキャラたちは難民や失業者としてケーブルの間で生きていかなくてはならないんですね・・・ 誰だよこんなシビアな設定考えたの!
一時は脚光を浴びても、人が集まらなくなればひっそりと消えていったり、暗黙のうちに善玉悪玉のキャラが決まってるあたりは芸能界とも色々通じるものがあります。
最初に予告を見た時は「『トイ・ストーリー』と『モンスターズ・インク』を組み合わせたような感じだなあ」と思いました。『シュガーラッシュ』は確かにいい意味でこの二つの作品のスピリットを受け継いでおりました。人でないものたちの冒険を語りながら、生きることのさびしさとか人と人の絆が描かれているという点で。
ラルフは作中で執拗にメダルを欲しがるわけですが、なんでそんなにメダルを欲しがるのかといえば、それは「皆の仲間に入れてほしい」からなんですよね。そんな「悪者」の心情を思うとハラハラと泣けてくるのでした。
そんなラルフが「シュガーラッシュ」の世界で会うのが同じようにつまはじきにされてる少女ヴァネロペ。このヴァネロペがまた最初こそ強がって悪ぶってたりするんですが、ラルフに優しくされた途端に父親を慕う娘のようにデレデレになるんですね。これにやられないオッサンはいないと思います。いや、違います! わたしはロリコンじゃありません! ちょっとストライクゾーンが広いだけ・・・ じゃなくて純粋な意味でいとおしいんです!(何を言っても泥沼だな!)
お菓子らしくさわやかに毒々しい「シュガーラッシュ」のビジュアルや、迫力満点のレースシーンも見所です。あとラルフが途中で立ち寄る中に今風のCGバリバリのシューティングゲームの世界もあるんですが、そこでの彼の「いつの間にゲームはこんなに過激になったんだ!?」という嘆きには全く同意でした。あくまで好みの問題ですが、やっぱりTVゲームは単純なキャラが単純な背景をぴょんぴょん飛び回るようなものが一番痛快だと思います。
最近日本ではCGアニメはあんまるうけないので『シュガーラッシュ』もそうだろうな・・・と予想してたらこれがなかなかのヒットぶりで嬉しい誤算でした。やはりなじみのゲーキャラがうろちょろしてるのが効を奏したんでしょうか。
ちなみに今大人気のマンガ『進撃の巨人』の作者もこんな興味深いを書いておられます。そんな悲しい展望はいやだあああ!
Comments
こんばんは。ツイッターではお世話になってます。
記事のタイトルからターボタスティックの考察かと思っちゃったじゃないですか!私はとにかくあいつが好きですw自分に似てて。
いい映画って悪役が良く出来てますよね。
Posted by: 田代剛大 | April 28, 2013 01:08 AM
>田代剛大さん
せっかくコメントくださったのに返事が遅くなってしまってすみません。こちらこそいつもにお世話になってます
そういえばターボなんちゃらについては何にも書かなかったなあ(笑) 彼も純粋っていやあ純粋ですよね。
最近のピクサー・ディズニーの悪役は最初善人っぽく出てきてやがて本性を表す、というパターンが多いですね。外見でぱっとわかる悪役より怖い・・・
Posted by: SGA屋伍一 | May 01, 2013 01:42 PM
こんばんは!(*^^*)
大人も子供楽しめるディズニーらしい作品でしたね。
ちょっとレトロチックなゲームから、CGバリバリのゲームまで
いろんなキャラがごちゃまぜになっているのが
なかなか面白かったです。
最近は、悪役でも人気のあるキャラも結構いるので、
失業しちゃったキャラの方が、断然可愛そうでしたよねー。
Posted by: ルナ | June 05, 2013 12:01 AM
>ルナさん
こんばんは
最近日本では不調のディズニーですが、この作品はけっこうヒットしてましたね。やっぱりなじみ深いゲームキャラにみなさんひかれたんでしょうか
レトロなキャラとCGバリバリのキャラが並んでいるのにはゲームの進化の歴史を感じました(笑) でもわたしはやっぱり昔のカクカクしたゲームが好きだなあ
失業したキャラはかわいそうでしたが、あのデザインでは無理ないと思いました。デザイナーが悪い?
Posted by: SGA屋伍一 | June 06, 2013 10:31 PM
お久しぶりです!
しかも、四ヶ月前の記事にコメントすいません!
久しぶりに劇場で二度観た映画です。
ブルーレイ&DVDも(中古で)買いました!
(最近、どうしてこういう売り方をするんでしょうね)
この映画は、男の夢、もしくはお父さんの夢が
描かれています。
1、子どもを励まし、夢を後押しする。
2、愛する子どものためなら、嫌われることも辞さない。
3、愛する子どものために命を投げ出す。
4、その子に助けられる!
これぞお父さんの本懐というもんです。
始めは、この世界の楽しさに、
次に、差別の悲しさに、
シュガーラッシュ界の可愛さも半端なく、
その後は前述の内容に
僕は全編通して、
号泣(心の中で)でしたよ。
これにやられないオッサンはいないというのは、
全くもって、その通りです!
どうもアメリカCGアニメは、お父さん心を刺激するものが多いですね。
『モンスターズ・インク』『怪盗グルーの月泥棒』と並び、
私の父性愛(萌え)三部作です(笑)。
と思ったら『グルー』続編来ますね。
『ユニバーシティ』みたく、3姉妹は出ず、
あのバナナ人間ばっか出ると思ったら、
そんなことはなく、みんな出るそうなので
安心してます。
Posted by: かに | August 14, 2013 11:18 PM
>かにさん
こんにちは!
こちらこそご無沙汰しててすいません!
かにさんはずいぶんこの映画にほれ込まれたんですね…
わたしもとてもよかったですけど感涙とまではいきませんでした。たぶんとなりでなぜかオカンが観ていたからだと思います。オカンめ!
それはともかく確かに米国のCGアニメでは父性をテーマにしたものが多いですね。女の子ではないけれどファインディング・ニモもそうでしたし。アイスエイジのあれは男児だったのか女児だったのか…
『怪盗グルー』はもう来月かな? わたしはどっちかといえば『モンスターズ・ユニバーシティ』よりこっちの方が楽しみだったりして。すでに米国では続編も大ヒットしたようで、『ミニオンズ』というスピンオフの製作も決まったそうです(^^; こういうタイトルですが『グルー』の面々も登場するとのことです
Posted by: SGA屋伍一 | August 16, 2013 02:57 PM