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April 08, 2013

ヒューゴの不思議な熱演 ウォシャウスキー姉弟 トム・ティクバ 『クラウドアトラス』

Cdat1『マトリックス』一作目で天才ともてはやされたものの、その後はイマイチなウォシャウスキー兄(姉)弟(『スピード・レーサー』とか好きですけどね)。そんな彼らが『パフューム』(女子シンガーではない)のトム・ティクバと組んでまたなにやらけったいな映画をこしらえたという。こりゃあ観ねばなりますまい! それでは『クラウド・アトラス』、ご紹介します。

いつの時代のどことも知れぬ場所で。片目の老人は静かに六つの物語を語りだす。
19世紀の南洋を旅する若き奴隷商人。
第二次大戦前、作曲と同棲の恋人に情熱を捧げた青年。
70年代、原発に絡む陰謀に巻き込まれた美しき事件記者。
現代、罠にはめられて養護施設に閉じ込められてしまった老編集者。
近未来、奴隷として作られながら、数奇な運命により自我に目覚めるクローンの少女。
そしてはるかな未来、荒廃した大地で文明社会から来た一人の女性とめぐり合う孤独な男・・・ 
彼らは体にある流星のアザに導かれ、時代を超えて何度もすれ違う。

いわゆるひとつのオムニバス形式のようでありながら、各パートがザッピングしながら同時進行で進んでいき、同じ役者さんが各時代ごとに様々な役を演じているのがこの映画の特色です。あと前後する時代で微妙にかかわりあってるところも面白いです。
こういう作品、他に例がないわけでもないですよね。皆さん特に思い出すのは手塚治虫の『火の鳥』だったようですが、わたしはサイレント映画の『キ-トンの恋愛三代記』や、伊坂幸太郎原作の『フィッシュ・ストーリー』などを連想してました。小説『ハイペリオン』やマンガ『ビリー・バット』とも似たところがありますね。
まあクライマックスの盛り上がりで言えば『恋愛三代記』の方が上だし、各部のつながりでいえば『フィッシュ・ストーリー』の方がよく練られてます。それぞれのエピソードもどっかで観た(読んだ)ような話ばかりだし。例えば老編集者のパートは『カッコーの巣の上で』を、クローン少女のパートは『ブレードランナー』を思わせます。
それでも感銘を受けたのは、これだけジャンルがてんでバラバラの話を、よく強引にひとつの映画にまとめたなあ、ということ。6つのエピソードは時代も場所も隔たっていますが、「人は自由を求めて生きる」というテーマで串ダンゴのごとく見事に貫かれております。
あと役者さんたちの百面相のような特殊メイク&演技も秀逸です。エンドロールで誰が誰を演じていたかざーっと明らかになるのですが、それを観ていたら「皆さん、本当にお疲れ様でした!」という気持ちでいっぱいになりました。中でも演技賞をあげるとするなら、『マトリックス』で敵プログラムを演じていたヒューゴ・ウィービングに差し上げたいです。これ、彼の代表作といっても過言ではないかと。全パート皆勤賞なのにどこでも主役でない、というところがまた泣かせます。

どのパートもそれなりにハラハラドキドキしましたが、一番興奮したのは現代の老編集者のパート。ここ、他がシリアスな中でひとつだけギャグ調でなんか浮いてんですけどね(笑) それだけに波長が合ったというか。あと主役が最もかよわそうなおじいちゃんだったんで、特に手に汗握らされました。
他の部分ではジム・スタージェスの人種を超えた友情や、ベン・ウィショーの性を超えた愛情にホロリと来ました。わたしホモじゃないですけれど。

Cdat2いつの時代もどんな場所でも、人はホラ話を愛し続けるのだな・・・としみじみ思わせてくれる『クラウドアトラス』。残念ながら主要劇場ではぼちぼち上映終了です。興味を惹かれた方はお早めに行かれてください。
あと『キートンの恋愛三代記』、これも本当に面白いのでレンタルかどこかで見かけたらぜひ観てみてください。


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Comments

おはよう、
これ疲れてたのもあるけどほんとつまらなくて
前半でちょこちょこ寝ちゃった、
余計ノレなかったわ〜
ベンウィショーとペドゥナのとこは全部起きてたけどハルベリーのとこはほとんど覚えてないという 
翔は意外とまぁまぁ楽しめたみたいで
これは意見わかれるよねー
最後の絵、雰囲気掴んでるね☆

Posted by: mig | April 10, 2013 at 09:50 AM

>migちゃん

こんばんばん
そうだね。確かに疲れている時にはむかない映画だと思う。ザッピングせずに1エピソードは1エピソードでまとめてくれたら・・・ 同じことだったかな(笑) それにザッピングするのがこの映画のキモでもあるし
これ好きな人はすごく好きみたいだけど、合わない人もけっこういたりして
少し前の『エンジェル・ウォーズ』もそんな感じだったなあ。わたしは『エンジェル~』は微妙だったけどこっちは好き

絵、久しぶりにほめられた(笑) ありがと~

Posted by: SGA屋伍一 | April 11, 2013 at 10:24 PM

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