その場で裁判、その場で執行 ピート・トラヴィス 『ジャッジ・ドレッド』
アメコミ映画がまだいまほど盛り上がってなかった95年。低迷していたスタローンが主演で作られた『ジャッジ・ドレッド』というヒーロー映画がありました。出来も売り上げもイマイチで、もう今となってはスタローンが荒地でロボと戦ってたかな・・・くらいの記憶しかないのですが、そいつがなぜか今頃リメイクされたという。そしてなぜだかやたらと評判がいい!?
首をかしげながら観にいってまいりました。『ジャッジ・ドレッド』ご紹介します。
核戦争で荒廃した未来。犯罪が横行する都市の治安を守るのは「ジャッジ」と呼ばれる存在だった。法を法とも思わぬ輩を鍛え抜かれた格闘術と、最新の武装で成敗するジャッジたち。中でも伝説の存在と言われているジャッジ「ドレッド」は、新人のアンダーソンと共に麻薬の密売組織が潜む200階建ての高層ビルに向かう。だが組織のボス「ママ」の策略により二人はビルの中に閉じ込められてしまう。孤立無援・絶体絶命の状況で、しかしドレッドはひるまずボスの居場所へと近づいていく。
最近のアメコミヒーローの特徴とはなにか。それは「悩む」ことです。戦う目的や苦しさ、その他諸々について程度の差こそあれバットマンもスパイダーマンもX-MENもみな悩みます。しかしこのジャッジ・ドレッドは自分の行動について全く悩みません。そのあまりのブレのなさは人間というよりマシンのようです。彼は最初から最後まで一度たりともメットを脱がないので、そんなところが一層非人間性を際立たせています。たまに八方塞になって口元だけ困った表情を浮かべるところもあるんですが、それもなんだかコンピューターがフリーズしているかのようでしたw
一方相棒のカワイコちゃんアンダーソンはしょっちゅうゆらいでいて、迷いのないドレッドと好対照をなしていました。
まあ監督はドレッドの内面を描くことに興味はなかったんでしょうね。かわりに力が入ってるのはドラッグでラリってる状態のアート描写です。この映画にはラリると時間感覚がめっちゃゆっくりになる「スローモー」という麻薬が登場するのですが、その文字通りスローモーになる映像がキラキラ3Dで輝いてとても美しかったのですよ。ちょっとネタバレになっちゃうかもしれませんが・・・
もしかした舞台となるビルが200階なのも、ラスボスがこの手の映画にはにつかわしくない微妙美人なのも、そして麻薬の効果がスローモーションなのも、全てはクライマックスのあるシーンのためなんじゃないかと思えてなりません。それくらい全ての要素がそのワンシーンに向けて集約していきます。
だからといって娯楽性そっちのけでアートばかりに力が入ってるわけではありません。ドレッドたちが数限りないピンチを乗り越えて、敵の本丸に迫っていく姿を追っていくストーリーもまことに一級品であります。
そんな(新)『ジャッジ・ドレッド』は三部作を予定しているそうですが、他国での成績がかなりよくないようなので続編は絶望的みたいです。なんでだ・・・ こんなに突き抜けてるのに・・・ 突きぬけすぎちゃったのが良くなかったのか!?
だもんで日本でもほとんど話題になっておらず、すでに上映も終わってしまったところもあるのですが、わたしの近所ではまだ辛うじてやっております! えらいぜ! シ○プラ○サントムーン!
というわけで近くで上映してたら騙されたと思って観てみてください。イラストは上が新ジャッジ、下が旧ジャッジです。顔の中央がバッテンになっているか否かで見分けてください!
Comments
面白い映画が入らないのは腹立たしくてしょうがない。
スタローンのは「ジャッジドレッド」より前後どちらかに作られた「デモリションマン」の方がまだ覚えてますね。よし、「デモリションマン」のリメイクでリベンジ戦だ。
それはそうとアンダーソンがキュート
Posted by: ふじき78 | March 29, 2013 11:35 PM
>ふじき78さん
わたしはデモリッションマンもあんまり覚えてないなあ。売れる前のサンドラ・ブロックが「ヴァーチャルセックスしましょうよ」と言うので、スタローンが期待してたら「これで終り?」とがっかりしてたシーンくらいかな
結論:スタローンはSFにむいてない
Posted by: SGA屋伍一 | March 30, 2013 09:36 PM