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February 19, 2013

魔女っ子涅槃変 新房昭之 『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [後編]永遠の物語』

Mmk2昨年より一大ブームを巻き起こしているアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』。先日より近くの映画館で劇場版前後編が相次いで公開されたので張り切って観てまいりました。今回は後編について紹介いたしますが、できましたら前編はもちろん後編を観た後でお読みいただきたいいいい。ちなみに前編の記事はコチラ

絶望と希望のバランスが崩れ、「魔法少女」から「魔女」へと変貌してしまったさやか。まどかや杏子は彼女を元に戻すための手立てを必死に探すが・・・ そのさ中、謎めいた魔法少女暁美ほむらの真の目的が明らかになる。時間を遡行する能力を持つ彼女は、まどかが「最強の魔女」となる運命を変えるべく何度もタイムリープを繰り返していたのだ。それぞれの思いをよそに、見滝原に壊滅をもたらす「ワルプルギスの夜」が静かに迫りつつあった。

『まどか☆マギカ』の特色を一言で現すなら、わたしは「二面性」であると考えます。どの少女たちも自分の内に相反する二つのものを抱え込んでいます。
さやかは純粋な愛情と嫉妬心を、マミは自信に満ち溢れた外面と恐怖に必死に耐えている内面を、杏子は悪を気取りながら「誰かを助けたい」という思いを、ほむらは非情を装いながらその内に激しい感情を押さえ込んでいます。ヒロインのまどかはちょっと違っていて感情面では極めて一途ですが、無力で平凡な少女でありながら、世界の理を変えるほどの存在でもあるという点ではやはり二面性を持つ存在であると言えるでしょう。そして彼女たちはみな無垢で清らかな「魔法少女」でありながら、人々を死に追いやる「魔女」になる可能性も持っています。
またキュウベエも述べていましたが、十代の少女というのは特にこの点で際立った存在かもしれません。子供の時代を残しながら、同時に大人にもなりかけている。わずかな間に驚くほどの変貌を遂げる「少女」も少なくありません。対して男というのはいつまでも子供だったり、本質的にあまり変わらない場合が多い気がします(笑)

目的のためには全くぶれていないキュウベエも同様です。冒頭こそ少女たちの夢をかなえるかわいらしげな妖精として登場しますが、その正体は彼女達を地獄へ追いやる悪魔だったりして。憎んでも憎み足りないようなキャラでありながら、キュートな声で「なんでだろう~ わかんないな~」と言われるとやっぱり憎みきれなかったりして。

こうした二面性はキャラクターだけでなく作品の構造にも現れています。前半では理屈を無視したファンタジーのように思われた作風が、後半では見事な理論のアクロバットによって実はサイエンス・フィクションだったことが明らかにされます。
キャラクターのデザインがいかにもかわいらしい今時の「萌え絵」であるのに対し、ストーリーは生々しく毒々しい内容であるところも大した二重性です。この絵面にだまされて普通の魔女っ子アニメだと思って観にいった親子連れがトラウマになったという話も聞きました(笑) せめてポスターの端っこに「この作品には過激な表現が含まれてます」と一言入れておくべきでしたね・・・

とまあさんざん理屈をこねて参りましたが、実際観賞している時は鼻水がジェット噴射のように吹きすさび、嗚咽を無理やりかみ殺していたら吐きそうになったりして大変でした。傍から見たらさぞキモキモな光景であったことでしょう。前編ではさやかちゃんの「大切な友達さえ傷つけて・・・」で号泣してしまいましたが、後編ではまどかのために幾度となく悲しいループを繰り返すほむらちゃんにずいぶんとやられました。さらにクライマックスのまどかの「全部見てきたよ」でドロドロのぐちゃぐちゃのスライム状になってしまいました。これまでにも何度か書きましたが、わたし「自分のことも顧みず誰かのために必死になる姿」とか、「隠していた辛い思いが誰かにわかってもらえる瞬間」というのに本当に弱いものですから・・・
40手前で自称ハードボイルダーとしては目の大きなキャピキャピした女の子や、「魔法少女」というキーワードにひいてしまう時もありましたが、それでもなおひきつけられずにはいられませんでした。

Mmk3なんかもう、年の初めから年間ベスト1に当たってしまったようで・・・ 2013年、果たしてこれを超える映画に出会えるでしょうか。
かくて大団円を迎えた『魔法少女まどか☆マギカ』でしたが、さらなる続編が計画されているとのこと。なんでここで終りにできないんですか! フンガー!! 納得行きませんが確実に観にいってしまうことでしょう・・・


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Comments

ほむらは戦闘力高くないし、アイテムが突拍子無いものだから、ネタ扱いされるんだろうな(笑)。

一応、TV版の結末は知ってますが……………そのあたり含め、「ハガレン」の2003年アニメ版同様存在は認めつつも「俺の好みでは無い」になるんだよな(因みにハガレンアニメはFA版がしっくり来た)。

「蒼樹うめ」だから何でもオッケーは有り得ない。
……………とは言うものの見たら見たで感慨は深くなるでしょうね。

因みに現在は「たまこまーけっと」見てます。この面白さには参った(笑)。

Posted by: まさとし@ | February 20, 2013 at 07:30 PM

>まさとし@さん

ああ、できれば全部観てからと言ったのに!
いやー、ほむらちゃんは初登場時はそれこそ無双じゃないかってくらいバカ強でしたがね。そのネタがわかるとねw

そういやハガレンは一期の方の劇場版は観にいきましたが、FAの方はついスルーしちゃったなあ。ずるい方法だとは思いますがやっぱりその後の話となると観たくなるのですよ
それはともかく一度観ていただきたいもの。実はわたしも話題になった時ウィキとか読んでだいたいあらすじ知ってたんですよw

Posted by: SGA屋伍一 | February 21, 2013 at 10:35 PM

SGAさんこんばんわ♪

1ヶ月またいでようやく後編観ましたが、確かにこちらも良かったですね~^^前編でえらい驚愕されたり呆気に取られたりもしたもんですから正直構えて見てた部分もあるんですが、後編は打って変わって目頭熱くなりましたねぇ。主にほむらにw
意味深な言葉が多かったりまどかにやたら冷たかったりしてましたから一番気になる子ではありましたけども、知ったら知ったで想像以上にヘビーな経緯を持ってて、30過ぎのオヤジもちょっとヤバかったですわぁ^^;まどかの変身は何時かな~?なんて言ってたものの、なんだかほむらだけでお腹一杯になってしまった後編です(笑

そいえば最新作の新編の公開ももうすぐみたいですね。でも自分は公開期間中ちょうど出張入っちゃったので観れない可能性大!40手前の自称ハードボイルダー!!(超強調)な方の感想を楽しみにしていますw

Posted by: メビウス | October 07, 2013 at 09:38 PM

>メビウスさん

こちらにもありがとうございます3です
もうすっかりほむほむの虜ですね… 無理もありません
わたしも今年初めからどうしたらほむほむが幸せになれるのかそればかり考えています。ロリコンじゃないのに! もう40になっちゃったのに!(あいたたた)

しかしちょうど新作公開の時期に出張とは厳しいですね。でもそうやって我慢できるところがメビウスさんはご立派です。わたしだったら仕事やめるかも(あいたたたたたた)

Posted by: SGA屋伍一 | October 07, 2013 at 10:48 PM

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【監督】新房昭之/宮本幸裕 【声の出演】悠木碧/斎藤千和/水橋かおり/喜多村英梨/野中藍/加藤英美里 【公開日】2012年 10月13日 【製作】日本 【ストーリー】 キュゥべえと契約し魔法少女となったさやかは、信念を貫き他人のために戦おうと決意するが、無茶な戦いに身を投じ破滅へと向かっていく。雨の中しめやかに行われたさやかの葬儀。うつろな目をして家に戻り、自分の部屋で...... [Read More]

Tracked on October 07, 2013 at 09:37 PM

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