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January 29, 2013

理想の現実 ジョナサン・デイトン&バレリー・ファリス 『ルビー・スパークス』

Rsps2『駆ける少年』を観終わって映画館を出たらそれはもう見事な雪景色。いまのうちに帰った方がいいのだろうか・・・ とも思ったのですが、もう一本観たい映画があったので意を決してシネクイントに向かいました(笑) それがこの作品『ルビー・スパークス』。はじめはま~ったく興味なかったんですけど、Twitterなどで熱い呟きを見かけるにれ観賞意欲がギラギラと高まってきまして。本当にのせられやすい・流されやすい体質であります。それではあらすじから。

若くして天才作家の名声を得たカルヴィン。だが彼はデビュー作以降スランプが続き、見事な一発屋としての日々を送っていた。ある時夢でカルヴィンは自分が理想としていた女の子と出会う。思わずその夢のことを文章に書き留めるカルヴィン。ところがその翌日驚くべきことに、夢の中の少女「ルビー・スパークス」が忽然とカルヴィンの前に姿を現す。これはいよいよノイローゼかとパニックに陥る彼だったが、共に過ごすうちにルビーが夢でも妄想でもない、現実の存在であることを認めざるをえなくなる。

いやいやいや・・・ なかなかにぶっとんだお話であります。まったく特殊撮影がなくても、これだけファンタジックな世界が描けるってちょっとすごいですね。
ちなみに空想上の産物であったルビーちゃんがなぜ現実の存在になったかということに関して、もっともらしい説明とか科学的なこじつけは一切ありません。大した思い切りの良さです。その辺のヒントはカルヴィンが愛用しているのが今時のPCではなく古式ゆかしいタイプライターであるところに隠されている気がします。もう今では使われない古めかしい道具には、なんか魔法が宿っていてもおかしくないような、そんな雰囲気があります。

そういう独特な発想は楽しいんですが、あまり恋愛経験もなく、めったにその手の映画もみないわたしにはこそばゆいところも色々ありました。そんな立場なりに感じたのは恋愛というのはうまくことが運びすぎてもかえって味気ないものなのかな、と。思い通りにならなかったり思いがけないことがあったりするからこそ、成就したときの喜びもまた大きい。反面、本当にダメになった時のショックもまた、はんぱなくでかい(笑)
これは仕事や趣味、交友関係にだって同じことが言えますが、こと恋愛はそのふり幅が大きい気がします。

もうひとつ感じたのは芸術に秀でてる人、感性の豊かな人っていうのは、それこそ絵にも描けそうなくらい明快で細かい異性の「理想象」を持ってるんだなあということ。わたし「理想の女性像を語ってみろ」と言われてもあんまし具体的に答えられませんからね・・・  熱狂的に信奉してるアイドルや女優もいないし。その辺の想像力をもっと磨いていけば立派な小説の一本も書けるんでしょうか。

その理想のヒロインを演じているゾーイ・カザンちゃんはこの作品の脚本もてがけています。自分で作った「理想の女の子」を自分で演じるなんて・・・ あなたよっぽど自分のルックスに自信があるのね? 自分ほどかわいい女の子はいないって思ってるでしょ? その自信、なんかむかつくんですけど!?
でも確かに彼女演じるルビー・スパークスは不思議な魅力に満ちています。男なら一度はこんな天然ちゃんに振り回されてみたいなあ、なんて。自分の中ではソフィー・マルソーとかYOUとかその辺のカテゴライズに含まれるタイプの女子。

その相手であり主人公でもあるカルヴィンを演じるのは若手の演技派ポール・ダノ。『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のエセ牧師、『カウボーイ&エイリアン』のドラ息子、『ルーパー』のちゃらい殺し屋と、痛い役ばかり見てきましたが、今回は等身大の親しみやすい草食系男子を好演していました。ラブコメマンガよろしく女の子の反応にその都度一喜一憂する姿も痛いっちゃ痛いですけど。

Rsps3『ルビー・スパークス』は当初三館くらいしか上映が決まってなかったんですが、新宿武蔵野館にムーブオーバーも決まり、その他の上映館もちょぼちょぼ増えている模様。
冒頭で書いたとおり帰りの電車がなくなるかもしれない恐怖に耐えながらの観賞となりましたが、幸い積雪にも関わらず小田Q線はなんとか動いてました。えらいよ小田Q! 


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Comments

伍一くん~~☆
この前書いていた映画だね。
伍一君の文章が今回はとても素敵。
やっぱりたまに恋愛物を観るのもいいのかも?
理想の女性像ないの??
あまり理想を追求するのも良くないけど・・・・
天然キャラの女の子に翻弄される伍一くんが、容易に想像できて笑えた~☆
最後の絵がキュート!

Posted by: ノルウェーまだ~む | January 30, 2013 at 09:58 AM

>ノルウェーまだ~むさん

そうです。これはまだ~むにも、というかまだ~むにこそおすすめ
恋愛ものにもいいものいっぱいあるんでしょうね。しかし時間が限られてるとどうしても怪獣ものを優先しがちです
理想はあんまし考えたことないですね。親切にしてくれる女性に弱いです。一番結婚詐欺にひっかかりやすそうなタイプですね
実は以前天然系に振り回されたことが・・・ いや、この話はやめましょう(笑)

Posted by: SGA屋伍一 | January 30, 2013 at 11:11 PM

やあ! あの雪の日に行ったんですか。根性ある~

>理想はあんまし考えたことないですね。親切にしてくれる女性に弱い
それやばくない? そんなこと言ってますが実は理想が密かに高いからなかなか恋愛に発展しづらいとか。。。w

めずらしくごいちにしてはマジに書いてると思ったら、
>実は以前天然系に振り回されたことが
笑! あーでもなんとなくわかるわー。
振り回された方の負けだよな。。 まあ、ガンバレ(笑)

Posted by: rose_chocolat | January 31, 2013 at 06:20 PM

あの日に映画館に行くとは強者です。

うちの近所は雨でしたが、滋賀県で雪がひどいと帰れなくなるので、あんな天気の日は出掛けられません。

ルビー…は、トレイラー見て、当に私好みのシットコムと思ったので絶対に行きます。

Posted by: サワ | February 01, 2013 at 01:09 PM

>rose_chocolatさん

うん、よっぽど途中でひきかえそうかと思ったんですがね

>実は理想が密かに高いからなかなか恋愛に発展しづらいとか。。。w

いや。普通にもてないだけですよ。ふううううう

>まあ、ガンバレ(笑)

これは現在進行中の話ではなくとっくに過去完了した話ですよ
今にして思えばそれなりに楽しい思い出ですね(笑)

Posted by: SGA屋伍一 | February 02, 2013 at 12:35 AM

>サワさん

いや、単に天気予報を全く見てなかっただけでして・・・ でも見てても「なんとかなるだろ」と結局行ったかもしれませんw たまたまなんとかなったから良かったですけどね!

『ルビー』は確か心斎橋でもかかるんじゃなかったかな。サワさんの感想楽しみにしてます

Posted by: SGA屋伍一 | February 02, 2013 at 12:42 AM

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